コスモスイニシア Research Memo(7):「中期経営計画2018」は目標達成
[19/06/26]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■コスモスイニシア<8844>の中期経営計画
1. 前中期経営計画の振り返り
「中期経営計画2018」の基本方針として、より良い都市生活環境の実現を目指して、経営基盤の強化と成長戦略の更なる実践を掲げ、特に後者においては、事業ポートフォリオの変革の推進と多様化するニーズに対応する商品・サービス展開というサブテーマも掲げた。各事業別には、レジデンシャル事業では、1)新築分譲の深耕や中古ストック再生の強化、リノベーション工事の拡大、入居後サービスの拡張による顧客への豊富なメニューとサービスの提供、2)アクティブシニア向け住宅供給と入居後サービスの進化・拡張、3)大和ハウスグループと連携した建て替えや再開発事業への取り組みの強化、ソリューション事業においては、1)プロのコンサルタント集団として事業用不動産に関するあらゆるソリューションのワンストップ提供、2)投資用不動産開発に加え中古ストック再生の強化拡大??などを具体的戦略目標として挙げていた。そのほかでは、工事事業では、既存事業の拡張に加え「大規模修繕工事」を強化、海外事業では大和ハウスグループと連携したオーストラリアでの住宅開発の継続、新規事業ではインバウンドの宿泊需要に対応した新規ビジネスの展開??を目指した。
「中期経営計画2018」が終了したが、5期連続の増収営業増益を達成、特に2019年3月期の売上高と営業利益は、2016年3月期比でそれぞれ1.2倍、1.5倍に拡大しており、経営基盤の強化という目的は達成したと評価できる。目標経営指標については、最終年度の2019年3月期目標の売上高105,000百万円、営業利益5,000百万円、ネット有利子負債43,000百万円、純資産29,000百万円、ネットD/Eレシオ1.5倍に対して、2019年3月期の実績として売上高104,606百万円、営業利益5,380百万円、ネット有利子負債50,845百万円、純資産29,839百万円、ネットD/Eレシオ1.7倍とおおむね順調な進捗となった。なかでも、営業利益は成長のスピードが速く、当初目標に対して7.6%上回って着地、このため増配も継続することができた。この点で経営基盤の強化はかなり進んだということができる。成長戦略の更なる実践における事業ポートフォリオの変革については、新築マンションを核とするレジデンシャル事業が外部環境の影響から一旦縮小するなかで、シナジーのない海外ホテル・リゾート事業を売却したことで海外事業の整理が進み、一方新規事業(宿泊事業)を含むソリューション事業が拡大したことは、変革が大きく進展したという見方ができる。
多様化するニーズに対応する商品・サービス展開では、レジデンシャル事業において、新築分譲マンションや一戸建の「イニシア」や「グランフォーラム」といったブランドを強化することができた。アクティブシニア向けマンションは地方再開発と相性がよく、2016年竣工の「グランコスモ武蔵浦和」を皮切りに第6号プロジェクトまで内定している。リノベーションマンションについては、「&リノベーション」のサービス・商品企画の強化により事業ボリュームが拡大したが、新築マンション「イニシア」の空間設計をもとにリノベーションするため、顧客にイメージしやすいと好評で、かつ新築とのシナジーから同社にとっても工事効率やデザイン効率が高くなっている。ソリューション事業においては、投資用不動産は賃貸マンション、オフィスビルで新規開発と中古ストックのバリューアップを行い、それぞれブランド展開を進め、2019年3月期の売上高は2016年3月期の7倍強の285億円に拡大するなど主力事業に成長した。コンサルティング・賃貸管理・売買仲介ではワンストップサービスを提供、住宅管理戸数は10,000戸を突破した。そのほか、工事事業は、近年需要が増している働き方改革を支援するオフィス空間のデザイン・工事が順調に推移、海外事業はホテル・リゾート運営事業売却を完了する一方、シドニーで新たに住宅開発プロジェクト2件を開始した。
新たなミッションは「Next GOOD」
2. 新たなミッションと中長期経営方針
同社は2020年3月期を起点に、改めて顧客と将来の社会を見据えた新たなミッションとその達成に向けた中長期経営方針を策定した。ミッション(存在意義)は「『Next GOOD』お客さまへ。社会へ。一歩先の発想で、一歩先の価値を。」で、CSV※1を軸に安心のNext、快適のNext、持続のNext、独創のNext、環境のNext、公正・公平のNextという6つのNextの実現を目指す。事業ドメインは「都市環境のプロデュース」で、中長期経営方針では、すべての経営活動におけるCSVの実践とSDGs※2/ESG※3を意識した経営により社会的価値を創出し、社会の変化とニーズの多様化に応える都市環境をプロデュースすることによって事業を創造・革新し、財務基盤の更なる強化と株主還元の充実により株主価値の向上を図ることを目的としている。更なる飛躍と新たなステージを目指した方針である。
※1 CSV(Creating Shared Value):企業の強みを生かして社会問題を解決することで、持続的な成長を図る差別化戦略。CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)の発展形と言われる。
※2 SDGs(Sustainable Development Goals):持続可能な開発目標。2015年の国連サミットにおいて全会一致で採択され、「貧困の根絶」や「働きがい」、「気候変動への対策」など国際社会に実現を求める17の目標。
※3 ESG(Environment, Social, web Governance):環境・社会・企業統治。持続可能な社会の形成に寄与するために企業や機関投資家が配慮すべき3つの要素。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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1. 前中期経営計画の振り返り
「中期経営計画2018」の基本方針として、より良い都市生活環境の実現を目指して、経営基盤の強化と成長戦略の更なる実践を掲げ、特に後者においては、事業ポートフォリオの変革の推進と多様化するニーズに対応する商品・サービス展開というサブテーマも掲げた。各事業別には、レジデンシャル事業では、1)新築分譲の深耕や中古ストック再生の強化、リノベーション工事の拡大、入居後サービスの拡張による顧客への豊富なメニューとサービスの提供、2)アクティブシニア向け住宅供給と入居後サービスの進化・拡張、3)大和ハウスグループと連携した建て替えや再開発事業への取り組みの強化、ソリューション事業においては、1)プロのコンサルタント集団として事業用不動産に関するあらゆるソリューションのワンストップ提供、2)投資用不動産開発に加え中古ストック再生の強化拡大??などを具体的戦略目標として挙げていた。そのほかでは、工事事業では、既存事業の拡張に加え「大規模修繕工事」を強化、海外事業では大和ハウスグループと連携したオーストラリアでの住宅開発の継続、新規事業ではインバウンドの宿泊需要に対応した新規ビジネスの展開??を目指した。
「中期経営計画2018」が終了したが、5期連続の増収営業増益を達成、特に2019年3月期の売上高と営業利益は、2016年3月期比でそれぞれ1.2倍、1.5倍に拡大しており、経営基盤の強化という目的は達成したと評価できる。目標経営指標については、最終年度の2019年3月期目標の売上高105,000百万円、営業利益5,000百万円、ネット有利子負債43,000百万円、純資産29,000百万円、ネットD/Eレシオ1.5倍に対して、2019年3月期の実績として売上高104,606百万円、営業利益5,380百万円、ネット有利子負債50,845百万円、純資産29,839百万円、ネットD/Eレシオ1.7倍とおおむね順調な進捗となった。なかでも、営業利益は成長のスピードが速く、当初目標に対して7.6%上回って着地、このため増配も継続することができた。この点で経営基盤の強化はかなり進んだということができる。成長戦略の更なる実践における事業ポートフォリオの変革については、新築マンションを核とするレジデンシャル事業が外部環境の影響から一旦縮小するなかで、シナジーのない海外ホテル・リゾート事業を売却したことで海外事業の整理が進み、一方新規事業(宿泊事業)を含むソリューション事業が拡大したことは、変革が大きく進展したという見方ができる。
多様化するニーズに対応する商品・サービス展開では、レジデンシャル事業において、新築分譲マンションや一戸建の「イニシア」や「グランフォーラム」といったブランドを強化することができた。アクティブシニア向けマンションは地方再開発と相性がよく、2016年竣工の「グランコスモ武蔵浦和」を皮切りに第6号プロジェクトまで内定している。リノベーションマンションについては、「&リノベーション」のサービス・商品企画の強化により事業ボリュームが拡大したが、新築マンション「イニシア」の空間設計をもとにリノベーションするため、顧客にイメージしやすいと好評で、かつ新築とのシナジーから同社にとっても工事効率やデザイン効率が高くなっている。ソリューション事業においては、投資用不動産は賃貸マンション、オフィスビルで新規開発と中古ストックのバリューアップを行い、それぞれブランド展開を進め、2019年3月期の売上高は2016年3月期の7倍強の285億円に拡大するなど主力事業に成長した。コンサルティング・賃貸管理・売買仲介ではワンストップサービスを提供、住宅管理戸数は10,000戸を突破した。そのほか、工事事業は、近年需要が増している働き方改革を支援するオフィス空間のデザイン・工事が順調に推移、海外事業はホテル・リゾート運営事業売却を完了する一方、シドニーで新たに住宅開発プロジェクト2件を開始した。
新たなミッションは「Next GOOD」
2. 新たなミッションと中長期経営方針
同社は2020年3月期を起点に、改めて顧客と将来の社会を見据えた新たなミッションとその達成に向けた中長期経営方針を策定した。ミッション(存在意義)は「『Next GOOD』お客さまへ。社会へ。一歩先の発想で、一歩先の価値を。」で、CSV※1を軸に安心のNext、快適のNext、持続のNext、独創のNext、環境のNext、公正・公平のNextという6つのNextの実現を目指す。事業ドメインは「都市環境のプロデュース」で、中長期経営方針では、すべての経営活動におけるCSVの実践とSDGs※2/ESG※3を意識した経営により社会的価値を創出し、社会の変化とニーズの多様化に応える都市環境をプロデュースすることによって事業を創造・革新し、財務基盤の更なる強化と株主還元の充実により株主価値の向上を図ることを目的としている。更なる飛躍と新たなステージを目指した方針である。
※1 CSV(Creating Shared Value):企業の強みを生かして社会問題を解決することで、持続的な成長を図る差別化戦略。CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)の発展形と言われる。
※2 SDGs(Sustainable Development Goals):持続可能な開発目標。2015年の国連サミットにおいて全会一致で採択され、「貧困の根絶」や「働きがい」、「気候変動への対策」など国際社会に実現を求める17の目標。
※3 ESG(Environment, Social, web Governance):環境・社会・企業統治。持続可能な社会の形成に寄与するために企業や機関投資家が配慮すべき3つの要素。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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