Iスペース Research Memo(8):PER、EV/EBITDA倍率は4社の平均水準
[19/06/28]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
注目トピックス 日本株
■同業他社比較
アフィリエイト運営会社の大手はインタースペース<2122>のほかファンコミュニケーションズ、アドウェイズ、バリューコマース、リンクシェア・ジャパン(株)(楽天<4755>の子会社)の4社が挙げられる。売上高規模はその他の事業も展開しているため各社ばらつきがあるものの、同社も含めた5社合計のアフィリエイトサービスにおける業界シェアは6割程度とみられ、同社は約1割のシェアとなっている。
同業他社の特徴について見ると、ファンコミュニケーションズは2019年3月時点で「A8.net」のパートナーサイト数が約258万サイト、稼働広告主ID数で3,502件となっており、業界最大規模となっている。中小企業向け広告ビジネスを長くやっており、eコマース向けの依存度が比較的高いのが特徴だ。業績面ではCPC/ターゲティング型アドネットワーク事業における広告単価下落の影響により、2015年12月期をピークに減益が続いており、2019年12月期の営業利益も前期比12.1%減と4期連続の減益を見込んでいる。ただ、営業利益率は10.8%と依然高収益性を保っている。
アドウェイズはモバイル向け比率が5割強(対国内広告売上高)となっており、ゲーム系に強みを持つ。アプリ・メディア事業などまだ収益化していない事業も抱えていることから全体の利益率は低いが、広告事業だけの営業利益率は2019年3月期で約6%の水準となっており、2020年3月期については1ケタ台の増収増益を見込んでいる。バリューコマースはヤフー<4689>の子会社であり、2019年3月時点のパートナーサイト数は75万サイト、広告主数は1,381件となっている。業種別売上構成比で金融カテゴリーが約3割と高いことが特徴で、営業利益率も2019年12月期見込みで17.8%と高く、2ケタ増収増益見通しとなっている。
これら上場企業の中で、インタースペースのインターネット広告事業の営業利益率を見ると、2019年9月期第2四半期累計で4.3%と相対的に低水準となっている。海外事業がまだ収益化していないことや、提携サイト、広告主開拓のためのコスト、新規事業開発コストなどを積極的に投下していることなどが要因となっている。前述したとおり、2019年9月期も収益性に関しては厳しい状況が続く見込みだが、中期的には海外事業の収益化やメディア事業との相互連携により同事業の収益性も向上していくものと弊社では予想している。
株価指標について見ると、同社の株価は2019年9月期の予想PERで22倍台、EV/EBITDA倍率で5.46倍とそれぞれ2番目に低い水準となっている。EV/EBITDA倍率とは、企業を買収する場合に、その企業価値(時価総額+有利子負債−現預金及び有価証券)に対して、期間収益(営業利益+償却費)の何年分で回収できるかを簡易的に指標化したものとなり、倍率が低いほど時価総額が過小に評価されていることになる。同社の2019年9月期業績は上振れする可能性があると弊社では見ており、また、2020年9月期以降の成長期待を織り込む展開となれば、EV/EBITDA倍率もいずれ見直される可能性がある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<YM>
アフィリエイト運営会社の大手はインタースペース<2122>のほかファンコミュニケーションズ、アドウェイズ、バリューコマース、リンクシェア・ジャパン(株)(楽天<4755>の子会社)の4社が挙げられる。売上高規模はその他の事業も展開しているため各社ばらつきがあるものの、同社も含めた5社合計のアフィリエイトサービスにおける業界シェアは6割程度とみられ、同社は約1割のシェアとなっている。
同業他社の特徴について見ると、ファンコミュニケーションズは2019年3月時点で「A8.net」のパートナーサイト数が約258万サイト、稼働広告主ID数で3,502件となっており、業界最大規模となっている。中小企業向け広告ビジネスを長くやっており、eコマース向けの依存度が比較的高いのが特徴だ。業績面ではCPC/ターゲティング型アドネットワーク事業における広告単価下落の影響により、2015年12月期をピークに減益が続いており、2019年12月期の営業利益も前期比12.1%減と4期連続の減益を見込んでいる。ただ、営業利益率は10.8%と依然高収益性を保っている。
アドウェイズはモバイル向け比率が5割強(対国内広告売上高)となっており、ゲーム系に強みを持つ。アプリ・メディア事業などまだ収益化していない事業も抱えていることから全体の利益率は低いが、広告事業だけの営業利益率は2019年3月期で約6%の水準となっており、2020年3月期については1ケタ台の増収増益を見込んでいる。バリューコマースはヤフー<4689>の子会社であり、2019年3月時点のパートナーサイト数は75万サイト、広告主数は1,381件となっている。業種別売上構成比で金融カテゴリーが約3割と高いことが特徴で、営業利益率も2019年12月期見込みで17.8%と高く、2ケタ増収増益見通しとなっている。
これら上場企業の中で、インタースペースのインターネット広告事業の営業利益率を見ると、2019年9月期第2四半期累計で4.3%と相対的に低水準となっている。海外事業がまだ収益化していないことや、提携サイト、広告主開拓のためのコスト、新規事業開発コストなどを積極的に投下していることなどが要因となっている。前述したとおり、2019年9月期も収益性に関しては厳しい状況が続く見込みだが、中期的には海外事業の収益化やメディア事業との相互連携により同事業の収益性も向上していくものと弊社では予想している。
株価指標について見ると、同社の株価は2019年9月期の予想PERで22倍台、EV/EBITDA倍率で5.46倍とそれぞれ2番目に低い水準となっている。EV/EBITDA倍率とは、企業を買収する場合に、その企業価値(時価総額+有利子負債−現預金及び有価証券)に対して、期間収益(営業利益+償却費)の何年分で回収できるかを簡易的に指標化したものとなり、倍率が低いほど時価総額が過小に評価されていることになる。同社の2019年9月期業績は上振れする可能性があると弊社では見ており、また、2020年9月期以降の成長期待を織り込む展開となれば、EV/EBITDA倍率もいずれ見直される可能性がある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<YM>