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リソル Research Memo(10):新たな長期事業方針に期待

注目トピックス 日本株
■中期業績の考察

1. 長期事業方針
リソルホールディングス<5261>は長期方針の中で、「人にやさしい」「社会にやさしい」「地球にやさしい」という3つの「やさしい」をすべての事業を通じて実現することで、顧客に心から喜んでもらい信頼される企業になれるよう、公正な企業活動を実践している。同社は、新たな事業セグメントに基づいて、次期長期事業方針を視野に入れた事業展開を進めている。事業セグメントの変更は、従来の開発事業を分解し、「大学連携型CCRC」などの地方創生推進事業をCCRC事業、太陽光等自然エネルギー事業を再生エネルギー事業として昇格・新設、一方でデューデリジェンス事業と再生事業不動産等の販売をリゾート関連事業と統合して不動産関連事業として括り直した。また、ホテル運営事業とゴルフ運営事業の中で「リソル生命の森」で展開している施設については、CCRC事業へと移管した。

新事業セグメントに基づく同社の成長シナリオも、従前同様に中期と長期に分けられると考える。中期的には、インバウンド需要や東京オリンピックなどビッグイベントの強い追い風を背景に、ホテル運営事業を中心に成長戦略を展開している。一方、東京オリンピック後の少子高齢化など長期的な経済環境を見据え、CCRC事業と再生エネルギー事業を強化している。また、再生ビジネスは不動産の売却によるキャピタルゲイン型から、別荘の運営事業など長期安定的なインカム型ビジネスへと転換を進めている。こうした持続的に利益を得る体質への緩やかな変化を織り込み、飛躍のステージを見通す新たな長期事業方針がそろそろ必要になると思われる。

なお同社は、今後IRを通じて各事業の考えを積極的に発信していくとしており、ステークホルダーとの接点が強まっていくにつれて業績・社会的な注目が高まっていくことが期待される。


順調な中期成長を見込む
2. 中期成長イメージ
ホテル運営事業では、中期的に“ホテルリソル”ブランドの新規オープンを強める方針で、2021年3月期までに20施設超、供給客室を全2,800室超とする体制構築を目指し、力強く開発のスピードを上げている。また、長期的に強いと言われるインバウンド需要だが、東京オリンピック後の宿泊需要を慎重に見極めながら収益基盤の拡大を堅実に進める考えである。中期成長に向け“ホテルリソル”ブランドでは簡易型や長期滞在型など新たなスタイルの開発、他ブランド(ペット同伴・温泉とゴルフが付帯する上級リゾート・暮らすように泊まる長期滞在型・保養所タイプの宿泊施設)では施設拡大、さらには新ブランドの開拓を進める方針である。加えて収益性向上策も継続しており、中期的にも長期的にも同社をけん引する事業として更なる成長が見込まれる。

ゴルフ運営事業では、地域や客層に合わせて品質向上と生産性改善に取組む。業務の自動化などによる労働時間の効率化やサービス品質の向上を進め、幅広い客層を取り込むためバンケット事業の強化も進めている。また、国内外のゴルフツーリズム獲得に取組む考えもある。さらに、「上級」「カントリークラブ」「カジュアル」「リゾートコース」と各運営スタイルを通じて得られたノウハウを生かし、運営受託の獲得やコンサルティング案件での収益化を強化する。ゴルフマーケットの変化に対応する同社ならではの施策・企画・発想で中長期的な利益を得る事業展開を進め、同時にニューマーケットの創出も図っていく。様々な見かたで観測されるマーケットなだけに、今後も同事業の動きに着目しておきたいところだ。

CCRC事業では、中期的に「RE−BORN計画」に基づいた「リソル生命の森」全体の上質化が段階的に進むのに伴い、リブランディングは着実に進むと見られる。長期的には、多世代が交流するウェルネス事業の需要拡大を見据え、新たな施設の建設が進む。また、千葉大学や千葉県長柄町と協力して確固たる事業モデルの確立を目指す「大学連携型CCRC」では、引き続き健康寿命延伸プログラムの質・量の拡充を図る。中期的にはリニューアル施設が徐々にオープンしていく見通しで、利益は後半へ向けて積上がっていくと考えられる。

福利厚生事業では、会員企業や団体、そこで働く人やその家族のニーズをくみ取った同社独自のメニュー開発や参加型イベントの企画などにより、持続的な利用率の向上を目指す。収益的に黒字化が定着してきており、中期的に収益を積上げていくことになるだろう。同事業を源泉とする利益がグループ経営上重要なのは当然だが、BtoB・BtoBtoCを事業領域にもつ多彩な事業活動を通じグループシナジーのコアとしてより強力に事業連携をドライブしていくことが大いに期待される。

再生エネルギー事業は、福島の太陽光発電所での売電開始により、長期安定した収益獲得が期待されている。さらに、「リソル生命の森」で蓄積している地産地消型再生エネルギーモデルのノウハウを活用し、新たな再生エネルギー関連の開発案件獲得を目指す。

不動産関連事業では、バリューアップ型投資再生事業において不動産の再生・活性化ノウハウを最大限活用することで、こうしたグループのシナジーを最大化していく方針である。

以上のように、各事業において中期的な戦略は打たれており、順調な中期成長が期待される。とはいえ、2019年3月期の減益で中期成長イメージが損なわれた印象を持つかもしれない。しかし、前述したとおり、2018年3月期に特殊事情が重なって高水準の利益となったことの反動と、特に営業利益面で収益計上の区分が変わったことの影響で、実態は順調に成長してきたと言える。その点を考慮すれば、同社の強いシナジーを持った多事業のビジネスモデルは、今後中期的に、順調に成長していくことが見込まれる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)



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