翻訳センター Research Memo(8):第四次中期経営計画初年度はすべての目標を達成
[19/07/10]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■中長期の成長戦略
1. 第四次中期経営計画の初年度計画を達成
翻訳センター<2483>は、2019年3月期を初年度、2021年3月期を最終年度とする第四次中期経営計画を策定しており、その初年度が終了した。初年度の業績目標としては、売上高12,000百万円、営業利益900百万円、親会社株主に帰属する当期純利益600百万円、ROE(自己資本当期純利益率)15.0%以上であったが、見事にすべての指標を実績で上回った。この中期経営計画は2021年3月期に売上高で13,600百万円、営業利益で1,300百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で850百万円を目指し、経営指標としては、営業利益率で10%、ROEで15%以上を維持しようとするものだ。
基本方針としては、「日本を代表する言語サービスのコンサルティング企業を目指し、最新のテクノロジーを活用したソリューションビジネスへの転換を図り、翻訳事業の高付加価値化を実現する」であり、機械翻訳(NMT)に本格的に取り組む事業モデルへの転換を図ろうという野心的な内容になっている。
2. 機械翻訳(NMT)と新たなビジネスモデル
機械翻訳(NMT)化を図る戦略のターニングポイントとなったのは、2017年10月に行われた機械翻訳エンジン開発会社である(株)みらい翻訳への資本参加(持分比率11.3%)である。2016年11月にGoogleがリニューアルした翻訳ツールがNMT(Neural Machine Translation)を採用し、一般翻訳の世界では翻訳精度が格段に向上したなか、産業翻訳サービスの世界でも企業が保有する翻訳データを効果的に学習できるNMTが必要不可欠であると判断したことが資本参加の目的だった。現在同社は機械翻訳エンジン「Mirai TranslatorTM」の代理店として外販活動も行っている。
同社は、機械翻訳(NMT)を翻訳工程に取り入れ、特許分野を皮切りに作業時間の短縮を図る取り組みを始めている。2019年1月からは医薬分野でも機械翻訳エンジンの使用を開始し、生産性と品質の向上に関しても実績が出始めている。ちなみにAIの浸透という観点で、翻訳業界は自動車業界に例えられる。自動運転において完全自動運転(ドライバーが運転席にいる必要がない、レベル5と定義される)が普及するまでは、技術やインフラ、法整備の理由で長い年月がかかると言われている。翻訳業界も同様であり、機械翻訳(NMT)により品質や生産性は向上するが、仕上げや確認の作業工程には人手が必要な時代が続くことが予想されている。
機械翻訳(NMT)を活用した新たなビジネスモデルの構築への挑戦も始まっている。「Mirai TranslatorTM」を販売し、顧客社内の翻訳業務の効率化を提案するものだ。機械翻訳(NMT)の精度向上には上質な教師データが不可欠だ。過去の翻訳のビッグデータを保有する同社が人手翻訳のデータを使って個社専用の機械学習用対訳(コーパス)を作成し、機械翻訳エンジンをカスタマイズする。その機械エンジンを使うことにより顧客社内の翻訳業務の効率化につなげるというビジネスモデルである。顧客企業にとっては、過去の言語資産を一元的に活用し、翻訳作業の効率化が実現できることになる。同社にとっては、「Mirai TranslatorTM」導入企業内に散在する人手翻訳ニーズの集約につながる。同社及び翻訳業界は、大きなビジネスモデルの転換点に立っている。早ければ今期中にも、このビジネスモデルの成果が見え始めることになるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
<SF>
1. 第四次中期経営計画の初年度計画を達成
翻訳センター<2483>は、2019年3月期を初年度、2021年3月期を最終年度とする第四次中期経営計画を策定しており、その初年度が終了した。初年度の業績目標としては、売上高12,000百万円、営業利益900百万円、親会社株主に帰属する当期純利益600百万円、ROE(自己資本当期純利益率)15.0%以上であったが、見事にすべての指標を実績で上回った。この中期経営計画は2021年3月期に売上高で13,600百万円、営業利益で1,300百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で850百万円を目指し、経営指標としては、営業利益率で10%、ROEで15%以上を維持しようとするものだ。
基本方針としては、「日本を代表する言語サービスのコンサルティング企業を目指し、最新のテクノロジーを活用したソリューションビジネスへの転換を図り、翻訳事業の高付加価値化を実現する」であり、機械翻訳(NMT)に本格的に取り組む事業モデルへの転換を図ろうという野心的な内容になっている。
2. 機械翻訳(NMT)と新たなビジネスモデル
機械翻訳(NMT)化を図る戦略のターニングポイントとなったのは、2017年10月に行われた機械翻訳エンジン開発会社である(株)みらい翻訳への資本参加(持分比率11.3%)である。2016年11月にGoogleがリニューアルした翻訳ツールがNMT(Neural Machine Translation)を採用し、一般翻訳の世界では翻訳精度が格段に向上したなか、産業翻訳サービスの世界でも企業が保有する翻訳データを効果的に学習できるNMTが必要不可欠であると判断したことが資本参加の目的だった。現在同社は機械翻訳エンジン「Mirai TranslatorTM」の代理店として外販活動も行っている。
同社は、機械翻訳(NMT)を翻訳工程に取り入れ、特許分野を皮切りに作業時間の短縮を図る取り組みを始めている。2019年1月からは医薬分野でも機械翻訳エンジンの使用を開始し、生産性と品質の向上に関しても実績が出始めている。ちなみにAIの浸透という観点で、翻訳業界は自動車業界に例えられる。自動運転において完全自動運転(ドライバーが運転席にいる必要がない、レベル5と定義される)が普及するまでは、技術やインフラ、法整備の理由で長い年月がかかると言われている。翻訳業界も同様であり、機械翻訳(NMT)により品質や生産性は向上するが、仕上げや確認の作業工程には人手が必要な時代が続くことが予想されている。
機械翻訳(NMT)を活用した新たなビジネスモデルの構築への挑戦も始まっている。「Mirai TranslatorTM」を販売し、顧客社内の翻訳業務の効率化を提案するものだ。機械翻訳(NMT)の精度向上には上質な教師データが不可欠だ。過去の翻訳のビッグデータを保有する同社が人手翻訳のデータを使って個社専用の機械学習用対訳(コーパス)を作成し、機械翻訳エンジンをカスタマイズする。その機械エンジンを使うことにより顧客社内の翻訳業務の効率化につなげるというビジネスモデルである。顧客企業にとっては、過去の言語資産を一元的に活用し、翻訳作業の効率化が実現できることになる。同社にとっては、「Mirai TranslatorTM」導入企業内に散在する人手翻訳ニーズの集約につながる。同社及び翻訳業界は、大きなビジネスモデルの転換点に立っている。早ければ今期中にも、このビジネスモデルの成果が見え始めることになるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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