タナベ経営 Research Memo(2):ドメイン×ファンクション×リージョンを最適化するチームコンサルティング拡大
[19/07/26]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■事業概要
1. 会社概要
タナベ経営<9644>は1957年に京都で創業した日本の民間経営コンサルティングファームのパイオニアであり、業界大手の一角を占める。「C&C(コンサルティング&コングロマリット)戦略」(コンサルティング領域の多角化)及びプラットフォーム戦略の推進により、顧客へ新たなコンサルティング価値を提供し、顧客と共に持続的成長を目指す「『ファーストコールカンパニー 100年先も一番に選ばれる会社』をともに」を経営ミッションとしている。
同社は主に中堅企業の「戦略パートナー」として、事業戦略の立案から組織デザイン、経営システムの構築、次世代経営体制づくりなどの経営全般にわたるコンサルティングに加えて、企業内大学の設立やオーダーメイド型教育、セミナーにより、経営者・後継者から新入社員までを育成する人材開発コンサルティング、プロモーション・ブランディング戦略の立案からクリエイティブ、デザインまでをワンストップで支援するSP(セールスプロモーション)コンサルティングを全国で展開している。顧客ごとの課題に合わせて、「ドメイン(事業領域・業種)×ファンクション(組織・経営機能)×リージョン(地域)」の観点で最適な専門コンサルタントを複数名選定してチームを組成する「チームコンサルティング」を提供していることが特徴となっている。
事業拠点については、北海道から沖縄までの全国主要10都市に展開している。同業の中で、地域に根付いたファーム形式で全国展開しているのは同社だけであり、地域密着型のコンサルティングサービスを提供できることも同社の特色であり強みとなっている。また、各種コンサルティングサービスの企画・プロデュースや、コンサルティング現場等から収集した経営情報を分析・情報発信していく機能を果たす戦略総合研究所や、IR・SR・PR、人材採用、M&A・提携機能等を大阪・東京の両本社に設置することで、全国へのサポート機能の充実を図っている。
2. 事業内容
同社の事業セグメントは、経営コンサルティング事業とSP(セールスプロモーション)コンサルティング事業の2事業で区分開示している。売上高構成比(2019年3月期)は、経営コンサルティング事業が57.2%、SPコンサルティング事業が42.8%となっているが、営業利益では経営コンサルティング事業が87.8%を占めている。営業利益率は、経営コンサルティング事業が26.3%であるのに対して、SPコンサルティング事業は4.8%であるが、これはプロモーション商品等の仕入れ販売が含まれていることが要因となっている。ただ、ここ数年は付加価値の高いSPコンサルティング領域に注力していることで、営業利益率も上昇傾向にある。
同社の顧客創造モデルとして、既存顧客や提携先金融機関からの紹介だけでなく、Webマーケティング、営業開拓等で新規顧客と接点を持ち、戦略ドメイン&ファンクション研究会やFCCセミナーなどの開催を通じて、様々な経営課題を持つ企業を集客し、チームコンサルティング(経営コンサルティング、人材開発コンサルティング、SPコンサルティング)の契約につなげ、ロイヤルカスタマー化していく流れとなる。コンサルティングサービスを契約する顧客企業の更新率は約70%と高く、同社の様々なサービスを利用しながら、最終的にファーストコールカンパニーを目指していく仕組みである。ここ数年は、戦略ドメイン&ファンクション研究会のテーマ拡充を進めてきたこともあり、新規顧客のうち約7割がこれら研究会や各種セミナーに参加した企業で占められるようになってきている。また、顧客の大部分は、メルマガ会員やFCCアカデミークラウド(デジタル教育)会員となっている。
(1) 経営コンサルティング事業
経営コンサルティング事業は、サービス内容によって経営コンサルティングと人材開発コンサルティングに分けている。同事業の売上高の約6割を占める経営コンサルティングは、主に中堅企業を対象に、「人材採用・育成・活躍」「中期経営計画(ビジョン)策定・推進」「ビジネスモデル・成長戦略」「事業承継・後継体制づくり」等の経営コンサルティングのほか、経営コンサルティング契約につなげていくための導線となる「戦略ドメイン&ファンクション研究会」、地域の経営者を対象とした勉強会である「FCCトップ会」、提携先の金融機関等と協働する「M&Aコンサルティング」などのサービスが含まれる。
同事業の売上高の約3割を占める人材開発コンサルティングは、オーダーメイド型教育(研修)サービスに加えて、教育体系の構築からWeb教育コンテンツのプロデュースまで人材育成をワンストップでトータル支援するFCCアカデミー(企業内大学)設立コンサルティング、ジュニアボード(次世代経営チーム育成)コンサルティング、経営者・後継者から新入社員まで階層別の教育研修プログラムとなるFCCセミナーなど、企業の人材育成に関する幅広いニーズを満たすソリューションをワンストップで提供している。
(2) SP(セールスプロモーション)コンサルティング事業
SP(セールスプロモーション)コンサルティング事業は、顧客企業に対してプロモーション・ブランディング戦略の企画立案から実行推進までを支援するSPコンサルティング(同社専門コンサルタントがデザインするプレミアムノベルティ等であるSPデザイン、SP領域における研究会を含む)のほか、SPツール(定番アイテムに名入れ加工等を施すノベルティ)の企画・販売、ダイアリー(ビジネス手帳・カレンダー)の企画・販売などで構成される。顧客層はブランド力を高めたい地方の中堅企業から大企業に至るまで幅広く、3,000社以上の企業にサービス・商品の提供を行っている。売上構成比はSPコンサルティングが約4割、SPツールとダイアリーが各3割となる。
同事業では、「こども・子育てファミリーマーケット」をターゲットとしたコンサルティングにも注力している。未来の顧客として期待できる同マーケットの可能性とSDGs等の観点から、顧客企業の需要も旺盛である。また、Google(同)等とパートナーとなり、主にブランディング面での課題が多い地方のBtoB企業に対するWebプロモーションコンサルティングにも注力している。最近では、経営コンサルティング事業との連携も進んでおり、顧客企業の事業戦略や組織戦略については経営コンサルタントが支援し、商品の販路拡大やブランディング、CIの策定、主に住宅業界や食品業界の集客・イベントプロモーション、周年イベント等をSPコンサルタントが請け負うといった事例も増えてきている。経営コンサルティングを主力としながら、デザイン機能・物販機能を備えるSPコンサルティングにも対応できる点は、他のコンサルティング企業にはない同社の強みとなっている。
なお、SP(セールスプロモーション)コンサルティング事業に関しては、ダイアリーの販売が第3四半期に集中するため、四半期ベースの収益トレンドとしては例年、第3四半期がピークとなる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 会社概要
タナベ経営<9644>は1957年に京都で創業した日本の民間経営コンサルティングファームのパイオニアであり、業界大手の一角を占める。「C&C(コンサルティング&コングロマリット)戦略」(コンサルティング領域の多角化)及びプラットフォーム戦略の推進により、顧客へ新たなコンサルティング価値を提供し、顧客と共に持続的成長を目指す「『ファーストコールカンパニー 100年先も一番に選ばれる会社』をともに」を経営ミッションとしている。
同社は主に中堅企業の「戦略パートナー」として、事業戦略の立案から組織デザイン、経営システムの構築、次世代経営体制づくりなどの経営全般にわたるコンサルティングに加えて、企業内大学の設立やオーダーメイド型教育、セミナーにより、経営者・後継者から新入社員までを育成する人材開発コンサルティング、プロモーション・ブランディング戦略の立案からクリエイティブ、デザインまでをワンストップで支援するSP(セールスプロモーション)コンサルティングを全国で展開している。顧客ごとの課題に合わせて、「ドメイン(事業領域・業種)×ファンクション(組織・経営機能)×リージョン(地域)」の観点で最適な専門コンサルタントを複数名選定してチームを組成する「チームコンサルティング」を提供していることが特徴となっている。
事業拠点については、北海道から沖縄までの全国主要10都市に展開している。同業の中で、地域に根付いたファーム形式で全国展開しているのは同社だけであり、地域密着型のコンサルティングサービスを提供できることも同社の特色であり強みとなっている。また、各種コンサルティングサービスの企画・プロデュースや、コンサルティング現場等から収集した経営情報を分析・情報発信していく機能を果たす戦略総合研究所や、IR・SR・PR、人材採用、M&A・提携機能等を大阪・東京の両本社に設置することで、全国へのサポート機能の充実を図っている。
2. 事業内容
同社の事業セグメントは、経営コンサルティング事業とSP(セールスプロモーション)コンサルティング事業の2事業で区分開示している。売上高構成比(2019年3月期)は、経営コンサルティング事業が57.2%、SPコンサルティング事業が42.8%となっているが、営業利益では経営コンサルティング事業が87.8%を占めている。営業利益率は、経営コンサルティング事業が26.3%であるのに対して、SPコンサルティング事業は4.8%であるが、これはプロモーション商品等の仕入れ販売が含まれていることが要因となっている。ただ、ここ数年は付加価値の高いSPコンサルティング領域に注力していることで、営業利益率も上昇傾向にある。
同社の顧客創造モデルとして、既存顧客や提携先金融機関からの紹介だけでなく、Webマーケティング、営業開拓等で新規顧客と接点を持ち、戦略ドメイン&ファンクション研究会やFCCセミナーなどの開催を通じて、様々な経営課題を持つ企業を集客し、チームコンサルティング(経営コンサルティング、人材開発コンサルティング、SPコンサルティング)の契約につなげ、ロイヤルカスタマー化していく流れとなる。コンサルティングサービスを契約する顧客企業の更新率は約70%と高く、同社の様々なサービスを利用しながら、最終的にファーストコールカンパニーを目指していく仕組みである。ここ数年は、戦略ドメイン&ファンクション研究会のテーマ拡充を進めてきたこともあり、新規顧客のうち約7割がこれら研究会や各種セミナーに参加した企業で占められるようになってきている。また、顧客の大部分は、メルマガ会員やFCCアカデミークラウド(デジタル教育)会員となっている。
(1) 経営コンサルティング事業
経営コンサルティング事業は、サービス内容によって経営コンサルティングと人材開発コンサルティングに分けている。同事業の売上高の約6割を占める経営コンサルティングは、主に中堅企業を対象に、「人材採用・育成・活躍」「中期経営計画(ビジョン)策定・推進」「ビジネスモデル・成長戦略」「事業承継・後継体制づくり」等の経営コンサルティングのほか、経営コンサルティング契約につなげていくための導線となる「戦略ドメイン&ファンクション研究会」、地域の経営者を対象とした勉強会である「FCCトップ会」、提携先の金融機関等と協働する「M&Aコンサルティング」などのサービスが含まれる。
同事業の売上高の約3割を占める人材開発コンサルティングは、オーダーメイド型教育(研修)サービスに加えて、教育体系の構築からWeb教育コンテンツのプロデュースまで人材育成をワンストップでトータル支援するFCCアカデミー(企業内大学)設立コンサルティング、ジュニアボード(次世代経営チーム育成)コンサルティング、経営者・後継者から新入社員まで階層別の教育研修プログラムとなるFCCセミナーなど、企業の人材育成に関する幅広いニーズを満たすソリューションをワンストップで提供している。
(2) SP(セールスプロモーション)コンサルティング事業
SP(セールスプロモーション)コンサルティング事業は、顧客企業に対してプロモーション・ブランディング戦略の企画立案から実行推進までを支援するSPコンサルティング(同社専門コンサルタントがデザインするプレミアムノベルティ等であるSPデザイン、SP領域における研究会を含む)のほか、SPツール(定番アイテムに名入れ加工等を施すノベルティ)の企画・販売、ダイアリー(ビジネス手帳・カレンダー)の企画・販売などで構成される。顧客層はブランド力を高めたい地方の中堅企業から大企業に至るまで幅広く、3,000社以上の企業にサービス・商品の提供を行っている。売上構成比はSPコンサルティングが約4割、SPツールとダイアリーが各3割となる。
同事業では、「こども・子育てファミリーマーケット」をターゲットとしたコンサルティングにも注力している。未来の顧客として期待できる同マーケットの可能性とSDGs等の観点から、顧客企業の需要も旺盛である。また、Google(同)等とパートナーとなり、主にブランディング面での課題が多い地方のBtoB企業に対するWebプロモーションコンサルティングにも注力している。最近では、経営コンサルティング事業との連携も進んでおり、顧客企業の事業戦略や組織戦略については経営コンサルタントが支援し、商品の販路拡大やブランディング、CIの策定、主に住宅業界や食品業界の集客・イベントプロモーション、周年イベント等をSPコンサルタントが請け負うといった事例も増えてきている。経営コンサルティングを主力としながら、デザイン機能・物販機能を備えるSPコンサルティングにも対応できる点は、他のコンサルティング企業にはない同社の強みとなっている。
なお、SP(セールスプロモーション)コンサルティング事業に関しては、ダイアリーの販売が第3四半期に集中するため、四半期ベースの収益トレンドとしては例年、第3四半期がピークとなる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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