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イージェイHD Research Memo(5):2020年5月期は2ケタ増収増益、経常利益は6期ぶり過去最高更新見通し

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

1. 2020年5月期の業績見通し
E・Jホールディングス<2153>の2020年5月期の連結業績は、売上高が前期比10.8%増の29,000百万円、営業利益が同16.8%増の2,000百万円、経常利益が同22.8%増の2,100百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同3.1%増の1,300百万円と増収増益が続く見通し。豊富な受注残を背景に売上高は2ケタ増収となり、営業利益と経常利益については6期ぶりに過去最高を更新する見込みだ。また、受注高については補正予算等の特殊要因を考慮しないベースで、前期比4.5%減の29,000百万円を計画している。手持受注残を多く抱えていることから、今期は選別受注を進めながら技術提案型業務等の高付加価値案件や重点事業5分野、発注者支援業務や海外案件の受注獲得に注力していく方針だ。

売上原価率は前期比1.2ポイント上昇の71.4%となるが、これは「働き方改革」の一環として、残業や休日出勤の削減に取り組む一方で、それを補うための人員の増員を図っており、労務費率が上昇することが主因となっている。2020年5月期末の従業員数(技術職)は前期末比124名増の1,084名を計画している。一方、販管費率は人件費やIT投資費用の増加等を増収効果によって吸収し、前期比1.6ポイント低下の21.7%を見込み、営業利益率では同0.4ポイント上昇の6.9%となる。また、親会社株主に帰属する当期純利益の増益率は、税負担の正常化により1ケタ台にとどまる見通しだ。なお、当第2四半期から連結対象に加わるアークコンサルタント、アイ・デベロップ・コンサルタンツの影響額については売上高で10億円弱の増額要因となるが、のれん償却が発生するため利益への影響は軽微と見られる。


重点事業5分野の受注高で前期比13%増を見込む
2. 2020年5月期の営業方針
2020年5月期の営業方針としては、「技術提案型業務の受注拡大」「グループ連携の強化」「海外コンサルタントの事業領域拡大」の3点を掲げている。

(1) 技術提案型業務の受注拡大
ここ数年、多発している豪雨や地震などの自然災害に備えるための国土強靭化対応として、自然災害リスク軽減分野での技術提案型業務の受注拡大を図っていくほか、発注者支援対応としてインフラマネジメント分野での技術提案型業務の受注獲得にも注力している。特に、発注者支援業務に関しては、新たに子会社化したアイ・デベロップ・コンサルタンツが加わったことで、九州エリアでの受注拡大が期待される。また、BIM※/CIMによる新技術開発の推進による地域密着型案件の創出にも取り組んでいく。これら取り組みにより、技術提案型業務の受注高で前期比6.2%増の10,074百万円を計画している。

※BIM(Building Information Modeling)は、コンピューター上に作成した3次元の建物のデジタルモデルに、コストや仕上げ、管理情報などの属性データを追加した建築物のデータベースを、建築の設計、施工から維持管理までのあらゆる工程で情報共有・活用するためのソリューションであり、建築プロジェクトの業務効率化等に寄与するワークフローのこと。国交省でCIMと合わせたガイドラインを策定している。


また、重点事業5分野の受注額は前期比13.7%増を見込んでいる。分野別ではインフラマネジメントがM&A効果もあって前期比31.4%増と最も高い伸びとなり、その他4分野についてもすべて拡大する計画となっている。

(2) グループ連携の強化
グループ各社の専門性を発揮するとともに各社の技術連携により、インフラ事業、地域創生事業、社会資本メンテナンス事業の上流から下流までのワンストップサービスで業務量を拡大していく。また、グループ連携やM&Aを推進していくことで、弱点領域の営業強化を図っていく。

(3) 海外コンサルタントの事業領域拡大
アフリカ、東南アジア諸国での実績を生かし、諸国間を結ぶ広域インフラ整備、都市ライフライン分野等への展開を強化していく。特に、東南アジアではタイの駐在員事務所やミャンマー支店を営業拠点として、現地企業との協業を図りながら事業規模を拡大していく考えで、これら拠点での現地法人化の検討も開始している。

(4) 地域別売上見通し
地域別売上高では、M&A効果により九州で前期比119.1%増とほぼ倍増するほか、関東で同20.4%増、中部で同14.7%増、海外で同51.3%増とそれぞれ2ケタ増収を見込んでいる。海外についてはJICA経由の受注が2018年末から再開された効果により、2期ぶりに増収に転じる見通し。一方、ここ数年高成長を続けてきた近畿については、プロジェクトが一巡したこともあり、今期は一服する格好となる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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