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アクセスグループ Research Memo(4):売上高は期初計画並みだが、想定を上回る原価発生が重石

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

1.2019年9月期見通し
アクセスグループ・ホールディングス<7042>の2019年9月期通期については、売上高4,584百万円(前期比0.3%減)、営業利益75百万円(同63.0%減)、経常利益55百万円(同70.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益15百万円(同87.2%減)と連結業績予想を修正している。

プロモーション事業の売上高については、大口クライアントの広告方針変更による影響があるが、キャンペーン事務局案件での売上増や他のクライアントへの営業注力、営業体制の全般的な見直し、追加的な連合企画の実施などにより、ほぼ期初予想並みでの着地を見込む。損益面については、キャンペーン事務局案件での景品の取扱い作業代行が前期より大幅増となったことにより、郵送料や景品手配にかかるコストが増加し、原価が想定を大きく上回った。また、上期のシニア分野のイベントにおいて、想定のイベント動員数の確保に向けて、追加的な動員プロモーションに関する費用が必要となった影響もあり、想定を上回る原価発生が重石となる。
採用広報事業についても売上高は期初並みでの着地を見込むが、利益面の貢献度合いが高い2019年3月卒業生を対象とした「アクセス就活フェア」(上期開催分)や2020年3月卒業生向けのイベント(下期開催分)の売上が想定を下回った影響により、利益を圧縮した。

学校広報事業については、第3四半期累計期間において、売上高・利益とも前年同期を下回る水準となっているが、通期のセグメント利益は第4四半期に復調することを見込んでおり、利益面では期初予想どおりとなる見通しである。

なお、同社グループの業績については季節変動要因がある。採用広報事業は、就活関連のイベントの開催やアウトソーシング業務等が増加する第2四半期及び第3四半期に売上が集中する傾向がある。このため、同事業においては第3四半期連結累計期間の営業利益がピークとなる傾向があり、通期の営業利益が第3四半期までの営業利益の累計額と比較して減少する。

ただし、第4四半期(7-9月)での営業利益の減少幅は、2018年9月期は90百万円だったが、2019年9月期は上場に関連する費用が発生しないことや、学校広報事業の業績回復を見込んでいること、及び引き続き経費削減に取り組んでいることから、50百万円程度に圧縮する見通しである。


東京都から大型案件を受託
2.今後の経営方針と2020年9月期の受注状況
2020年9月期以降の業績回復につなげるため、プロモーション事業では連結子会社である(株)アクセスプログレスの代表取締役の異動と組織体制の刷新を行い、クライアント業界を熟知した社員がより専門力を発揮できる事業部体制と、収益性の高い商材の拡充を図る。採用広報事業では、既存イベントに代わる新たな事業やサービスとして、動画によるダイレクトリクルーティングアプリの本格始動や新卒人材紹介、インターンシップイベント等の拡充を図るほか、(株)リアライブとの販売提携による相互拡販も行う。また、2020年9月期売上計上分として、東京都から大型案件も2件受託している。学校広報事業については、「教育機関の運営・発展のための総合プロデュース会社」として再定義し、これまで取引対象となってきた入試広報部門だけでなく、全部門に取引を拡大する。また、外国人留学生分野について(株)One Terraceと業務提携し、日本語教育機関向けに新たなサービスをリリースして、売上の拡大を図る。各事業セグメントとも、2020年9月期の受注は、前年同期を上回る水準で進捗している。

このほか、従来の事業領域にとらわれず、グループ各社を牽引して、他社との業務提携や新規事業の検討を積極的に行う方針だ。


採用広報では企業が学生をスカウトする新サービスを導入、官公庁・私大団体のイベント受託を拡大、外国人留学生に向けた取り組みに積極姿勢
3.セグメントごとの取組み
1)プロモーション事業
「住宅分野」においては、営業体制の見直しにより、既存クライアントへの深耕営業を拡大する。新築マンション案件を複数獲得し、さらに主幹事代理店案件の獲得を目指す。「広告分野」は引き続き、IT分野の業務提携先を拡充し、多様なキャンペーンを受託できる基盤整備を進める。「自動車分野」では受託済みの展示・試乗イベントのノウハウを拡大するとともに、全国での提案を実施する。「その他」では自社スペース「アクセスフォーラム」の一層の拡販及びイベント周辺プロモーションを含めて提案を拡大する。

2)採用広報事業
「新卒イベント」では就活の早期化に合わせたイベントを新設する。売手市場に適合したスカウト型イベント等を拡大する。「中途分野への参入」では第二新卒・既卒者に出会えるイベントを継続的に開催し、収益基盤を強化する。「人材紹介事業の本格化」においては、人員を拡充し、就活後半戦の収益基盤として強化する。「スカウト型」新サービスの導入では、現在の就活事情に合わせ、企業が学生をスカウトする新サービスを導入。新しい料金体系とし、さらなる拡販に乗り出す。

3)学校広報事業
「アクセス進学」内に「検索」とは異なる新たな進学情報サイト等、新コンセプトの情報コンテンツをリリースする。入試広報分野から幅を広げ、学校全体、学園全体への提案活動を拡大する。官公庁・私大団体のイベント受託を起点に出展学校への拡販を強化する等、イベント案件からの受託拡大を狙う。その他、情報サイト「アクセス進学」「アクセス日本留学」広告枠を企業向けに拡販する。

外国人留学生に向けた取り組みでは、2019年6月より、大学・専門学校等への進学を希望する外国人留学生とその教育指導担当者を対象にした国内最大級規模の合同進学相談会、『アクセス日本留学フェア「外国人学生のための進学説明会」』を東京・大阪・名古屋・京都・札幌・福岡で順次開催した。外国人留学生に特化したWEB出願システムも自社開発する。合同進学説明会のほか、「アクセス日本留学」にも情報を掲載するなど、生活支援情報の強化や複数の大学と連携したキャリア教育も開始している。また、(株)観光経済新聞と連携した就活イベントでは、観光サービス業と一体となったマッチングセミナーを本格化した。その他、6月には独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)より 「2019年度外国人学生のための進学説明会運営業務」を受託している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 村瀬智一)




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