ハウスドゥ Research Memo(4):高齢社会の問題に対するソリューションビジネスを積極推進
[19/10/03]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■事業概要
(2) 高齢者の資金需要に対応する「不動産+金融」サービス
高齢者は、住宅という資産を所有しているものの、収入と支出が低水準にとどまっている。高齢者の持家率は、60代が93.3%、70代以上も94.8%と極めて高い。公的年金以外に老後資金として2,000万円が必要との試算が出された。高齢者の平均貯蓄額は2,284万円であるが、中央値は1,515万円であり、60%以上は貯蓄が2,000万円未満となる。ハウスドゥ<3457>は、不動産ストックの流動化により資産を資金化することで資金を市場に還流させ、経済活性化の一翼を担うことを目的として、高齢者の資金需要に対応する「不動産+金融」サービスを提供している。高齢者は、自宅に住みながら老後の生活資金を得ることができるため、資金面で老後のQOLを向上させることができる。
総務省の土地統計調査によると、日本の空き家率は2018年10月時点で13.6%にも上った。地方を中心に人口が減少しており、空き家の数は2013年より26万戸増え、846万戸となった。都道府県別の空き家率は、山梨県の21.3%が最高だが、都市部でも大阪府が15.2%、愛知県が11.2%、東京都が10.6%となっている。一方で、日本は2018年の年間死亡数が136万人以上になり、多死社会を迎えている。団塊世代が80歳以上になる2030年には160万人を超える見通しだ。なお、東京都の人口は人口流入により増加基調にあるが、2025年をピークに減少に転じると予想されている。
相続でもめる遺産規模の割合は、1,000万円以上5,000万円未満の43.0%と1,000万円未満の31.9%を合わせて4分の3を占め、実は資産規模が小さい方が圧倒的に多い。主な遺産が自宅である場合、分割が困難な不動産を複数人が相続することになるため、トラブルの原因となりやすい。ハウス・リースバックにより資産を資金化してあれば、相続争いを緩和しやすくなる。
同社は2013年10月より、自宅を売却した後も住み続けられる「ハウス・リースバック」サービスを開始している。さらに、2016年7月より、一時的な資金ニーズはあるものの、自宅を売却するほどの金額を必要としない人向けに「不動産担保ローン」、2017年10月より、地域の金融機関と提携して自宅を担保に融資を受けられる「リバースモーゲージ保証事業」をスタートさせた。幅広い商品ラインナップにより、多様な顧客ニーズに応える。
a) ハウス・リースバック事業
「ハウス・リースバック」は、住宅を買い取り、売主とリース(賃貸)契約を結ぶスキームである。持ち主は自宅を売却して資金を得た後も、愛着のある住居や地域で住み続けられる。資金の使途、年齢、収入、対象者、対象物件に制限がない上、住居の賃貸契約に保証人も不要である。同社は、不動産の査定や不動産売買、金融サービスのノウハウを持っていることから、ハウス・リースバックに必要な機能を自社の経営リソースでカバーできるのが強みになる。「ハウス・リースバック」の商標登録は、2013年に出願し、2015年7月に取得した。
ハウス・リースバック事業は、買取時の事務手数料、毎月の家賃収入、売却時のキャピタルゲインと3種類の収益機会がある。物件は顧客から直接取得し、仕入額の約3%が買取時の事務手数料となる。取得翌月からは毎月家賃としてインカムゲインが発生し、年間で仕入額の約8%程度がリターンとして入る。売却時には、諸費用及び手数料別途で仕入額の15%程度のキャピタルゲインが発生する。
b) 金融事業:不動産担保ローンとリバースモーゲージ保証事業
金融事業の2019年6月期の売上高は前期比53.3%増の810百万円、営業利益は先行投資が嵩んで同84.8%減の16百万円となった。
c) 不動産担保ローン
動産担保ローンのスキームは、融資の金利及び事務手数料などで同業他社と大差がない。同社のメインビジネスが不動産売買の仲介業であり、不動産価格の査定に関しては質量ともに他社を凌駕する。査定のスピードも速い。2019年6月期末の不動産担保融資残高は、前期末比46.1%増の8,163百万円となった。貸金業者は激減しており、貸金業法対象の貸金業者には総量規制がかかっている。潜在需要は大きい。
d) リバースモーゲージ保証事業
リバースモーゲージは、自宅を担保として融資を受けることができる金融商品の1つである。住宅ローンが元本・利息を毎月返済するのに対し、リバースモーゲージは利息のみを毎月払う。元本は生存中は返す義務がなく、死亡後、担保である自宅を売却するなどして一括返済する。自宅は所有しているが、現金収入が少ないという高齢者向けの資金調達手段として、1981年に導入された。これまで、資金の出し手となる金融機関が限定されており、本格普及に至っていない。同商品は、不動産価格の下落、金利上昇、長命化などのリスクがあるが、同社子会社がリスクを負担することで同商品を活性化させる。同社子会社は、契約時に事務手数料・調査料を受け取り、利用者が金融機関に支払う利息の一部を保証料として得るため、イニシャルとランニングの両方で収益機会がある。
リバースモーゲージ保証事業には、同社グループがこれまで培ったノウハウを生かせる。金融機関は、不動産売買を本業としていないため、物件処分がネックとなる。一方、同社は不動産売買におけるノウハウを持っており、全国600店舗を超える加盟店チェーンを擁しているため、市場取引価格に基づいた査定が可能である。通常、不動産売買で債権処理が発生した場合、不動産販売などに20〜25%の中間マージンが発生するが、同社にとっては直接販売となるため不要である。
リバースモーゲージ保証事業業務では、安全性を考慮しても不動産評価額を金融機関自身が行うよりも融資枠も大きく提供することができる。リバースモーゲージの利用客が、同社子会社がリバースモーゲージ保証として提供する商品と契約を結ぶ動機付けとなる。なお、保証業務には物件購入などの資金が不要のため、ハウス・リースバック事業の次の柱と位置付けている。
同社は地方銀行や信用金庫などの地域金融機関と提携して、サービスエリアを広げている。2017年10月に大阪信用金庫(大阪市天王寺区)との提携により「リバースモーゲージ保証事業」を開始した。同信用金庫が提供するリバースモーゲージ「悠々自適」の担保評価と保証を行う。金融機関との提携は、2018年に大阪商工信用金庫(大阪市中央区)、飯能信用金庫(埼玉県飯能市)、知多信用金庫(愛知県半田市)、大光銀行<8537>(新潟県長岡市)と行い、2019年には(株)神奈川銀行(神奈川県横浜市)、足立成和信用金庫(東京都足立区)、尾西信用金庫(愛知県一宮市)と愛媛銀行<8541>(愛媛県松山市)、東京スター銀行を加え、サービスエリアを拡大した。今後人員を増強して、更なる拡大を図る。
3. フロー型収益事業
首都圏の不動産市況には、局所的に過熱感が現れたことから、一時、安全重視の姿勢を取った。現在は、注意深く遂行する通常型に戻した。物件仕入を厳選し、直営店仲介事業とのコラボレーションを強化し、在庫高より回転を重視して、商品在庫を50億〜60億円程度に維持する。
直営店による不動産売買仲介に買取りやリフォームを組み合わせたり、契約機会をリフォーム・住宅ローン・火災保険などの関連ビジネスにつなげることで収益の維持・増大を図る。これまでは、人員をフランチャイズ事業、ハウス・リースバック事業のストック型収益事業にシフトさせている。
リフォーム事業は、不動産売買事業、不動産流通事業及びハウス・リースバック事業と連携して事業を運営している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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(2) 高齢者の資金需要に対応する「不動産+金融」サービス
高齢者は、住宅という資産を所有しているものの、収入と支出が低水準にとどまっている。高齢者の持家率は、60代が93.3%、70代以上も94.8%と極めて高い。公的年金以外に老後資金として2,000万円が必要との試算が出された。高齢者の平均貯蓄額は2,284万円であるが、中央値は1,515万円であり、60%以上は貯蓄が2,000万円未満となる。ハウスドゥ<3457>は、不動産ストックの流動化により資産を資金化することで資金を市場に還流させ、経済活性化の一翼を担うことを目的として、高齢者の資金需要に対応する「不動産+金融」サービスを提供している。高齢者は、自宅に住みながら老後の生活資金を得ることができるため、資金面で老後のQOLを向上させることができる。
総務省の土地統計調査によると、日本の空き家率は2018年10月時点で13.6%にも上った。地方を中心に人口が減少しており、空き家の数は2013年より26万戸増え、846万戸となった。都道府県別の空き家率は、山梨県の21.3%が最高だが、都市部でも大阪府が15.2%、愛知県が11.2%、東京都が10.6%となっている。一方で、日本は2018年の年間死亡数が136万人以上になり、多死社会を迎えている。団塊世代が80歳以上になる2030年には160万人を超える見通しだ。なお、東京都の人口は人口流入により増加基調にあるが、2025年をピークに減少に転じると予想されている。
相続でもめる遺産規模の割合は、1,000万円以上5,000万円未満の43.0%と1,000万円未満の31.9%を合わせて4分の3を占め、実は資産規模が小さい方が圧倒的に多い。主な遺産が自宅である場合、分割が困難な不動産を複数人が相続することになるため、トラブルの原因となりやすい。ハウス・リースバックにより資産を資金化してあれば、相続争いを緩和しやすくなる。
同社は2013年10月より、自宅を売却した後も住み続けられる「ハウス・リースバック」サービスを開始している。さらに、2016年7月より、一時的な資金ニーズはあるものの、自宅を売却するほどの金額を必要としない人向けに「不動産担保ローン」、2017年10月より、地域の金融機関と提携して自宅を担保に融資を受けられる「リバースモーゲージ保証事業」をスタートさせた。幅広い商品ラインナップにより、多様な顧客ニーズに応える。
a) ハウス・リースバック事業
「ハウス・リースバック」は、住宅を買い取り、売主とリース(賃貸)契約を結ぶスキームである。持ち主は自宅を売却して資金を得た後も、愛着のある住居や地域で住み続けられる。資金の使途、年齢、収入、対象者、対象物件に制限がない上、住居の賃貸契約に保証人も不要である。同社は、不動産の査定や不動産売買、金融サービスのノウハウを持っていることから、ハウス・リースバックに必要な機能を自社の経営リソースでカバーできるのが強みになる。「ハウス・リースバック」の商標登録は、2013年に出願し、2015年7月に取得した。
ハウス・リースバック事業は、買取時の事務手数料、毎月の家賃収入、売却時のキャピタルゲインと3種類の収益機会がある。物件は顧客から直接取得し、仕入額の約3%が買取時の事務手数料となる。取得翌月からは毎月家賃としてインカムゲインが発生し、年間で仕入額の約8%程度がリターンとして入る。売却時には、諸費用及び手数料別途で仕入額の15%程度のキャピタルゲインが発生する。
b) 金融事業:不動産担保ローンとリバースモーゲージ保証事業
金融事業の2019年6月期の売上高は前期比53.3%増の810百万円、営業利益は先行投資が嵩んで同84.8%減の16百万円となった。
c) 不動産担保ローン
動産担保ローンのスキームは、融資の金利及び事務手数料などで同業他社と大差がない。同社のメインビジネスが不動産売買の仲介業であり、不動産価格の査定に関しては質量ともに他社を凌駕する。査定のスピードも速い。2019年6月期末の不動産担保融資残高は、前期末比46.1%増の8,163百万円となった。貸金業者は激減しており、貸金業法対象の貸金業者には総量規制がかかっている。潜在需要は大きい。
d) リバースモーゲージ保証事業
リバースモーゲージは、自宅を担保として融資を受けることができる金融商品の1つである。住宅ローンが元本・利息を毎月返済するのに対し、リバースモーゲージは利息のみを毎月払う。元本は生存中は返す義務がなく、死亡後、担保である自宅を売却するなどして一括返済する。自宅は所有しているが、現金収入が少ないという高齢者向けの資金調達手段として、1981年に導入された。これまで、資金の出し手となる金融機関が限定されており、本格普及に至っていない。同商品は、不動産価格の下落、金利上昇、長命化などのリスクがあるが、同社子会社がリスクを負担することで同商品を活性化させる。同社子会社は、契約時に事務手数料・調査料を受け取り、利用者が金融機関に支払う利息の一部を保証料として得るため、イニシャルとランニングの両方で収益機会がある。
リバースモーゲージ保証事業には、同社グループがこれまで培ったノウハウを生かせる。金融機関は、不動産売買を本業としていないため、物件処分がネックとなる。一方、同社は不動産売買におけるノウハウを持っており、全国600店舗を超える加盟店チェーンを擁しているため、市場取引価格に基づいた査定が可能である。通常、不動産売買で債権処理が発生した場合、不動産販売などに20〜25%の中間マージンが発生するが、同社にとっては直接販売となるため不要である。
リバースモーゲージ保証事業業務では、安全性を考慮しても不動産評価額を金融機関自身が行うよりも融資枠も大きく提供することができる。リバースモーゲージの利用客が、同社子会社がリバースモーゲージ保証として提供する商品と契約を結ぶ動機付けとなる。なお、保証業務には物件購入などの資金が不要のため、ハウス・リースバック事業の次の柱と位置付けている。
同社は地方銀行や信用金庫などの地域金融機関と提携して、サービスエリアを広げている。2017年10月に大阪信用金庫(大阪市天王寺区)との提携により「リバースモーゲージ保証事業」を開始した。同信用金庫が提供するリバースモーゲージ「悠々自適」の担保評価と保証を行う。金融機関との提携は、2018年に大阪商工信用金庫(大阪市中央区)、飯能信用金庫(埼玉県飯能市)、知多信用金庫(愛知県半田市)、大光銀行<8537>(新潟県長岡市)と行い、2019年には(株)神奈川銀行(神奈川県横浜市)、足立成和信用金庫(東京都足立区)、尾西信用金庫(愛知県一宮市)と愛媛銀行<8541>(愛媛県松山市)、東京スター銀行を加え、サービスエリアを拡大した。今後人員を増強して、更なる拡大を図る。
3. フロー型収益事業
首都圏の不動産市況には、局所的に過熱感が現れたことから、一時、安全重視の姿勢を取った。現在は、注意深く遂行する通常型に戻した。物件仕入を厳選し、直営店仲介事業とのコラボレーションを強化し、在庫高より回転を重視して、商品在庫を50億〜60億円程度に維持する。
直営店による不動産売買仲介に買取りやリフォームを組み合わせたり、契約機会をリフォーム・住宅ローン・火災保険などの関連ビジネスにつなげることで収益の維持・増大を図る。これまでは、人員をフランチャイズ事業、ハウス・リースバック事業のストック型収益事業にシフトさせている。
リフォーム事業は、不動産売買事業、不動産流通事業及びハウス・リースバック事業と連携して事業を運営している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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