ハウスドゥ Research Memo(5):2019年6月期は大幅な伸長で過去最高を更新
[19/10/03]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
1. 2019年6月期の業績概要
(1) 業績概要
ハウスドゥ<3457>の2019年6月期の連結業績は、大幅な伸長を遂げ過去最高水準を更新した。売上高は前期比40.1%増の31,546百万円、営業利益が同49.2%増の3,156百万円、経常利益が同57.3%増の3,003百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同56.8%増の2,006百万円となった。予想比では売上高が14.7%上回ったが、先行投資を進めたことで利益はほぼ予想並みであった。
不動産業界は、雇用や所得環境の改善、住宅優遇制度や日銀の金融緩和政策の継続を背景に、地価が上昇基調を保ち、住宅需要は堅調に推移した。不動産売買、不動産流通とリフォームのフロー型収益事業は、売上高と営業利益が前期比横ばいとなった。ストック型収益事業は、同社の優位性を発揮でき、市場が急拡大している。フロー型収益事業からストック型収益事業への人事異動にも助けられ、売上高は前期比倍増、営業利益が5割以上の伸びとなった。その結果、ストック事業の構成比は、売上高で55.4%、営業利益で70.8%となった。
(2) 事業別動向
a) フランチャイズ事業
フランチャイズ事業の売上高は前期比13.5%増の2,833百万円、営業利益は13.7%増の1,677百万円と2ケタの増収増益を達成した。売上高営業利益率は59.2%の高水準を維持した。新規加盟契約舗数数は145店、新規開店店舗数は133店であった。期末の累計加盟契約店舗数は602店、累計開店店舗数が497店となった。新ブランド「レントドゥ!」の加盟を促進し、「売買×賃貸」のハイブリッドモデルを推進している。
b) ハウス・リースバック事業
ハウス・リースバック事業は、売上高が前期比144.9%増の14,001百万円、営業利益が同163.2%増の2,074百万円と急成長を継続した。事業別利益額ではフランチャイズ事業を上回り、最大となった。単独ベースのデータでは、売却件数はファンド以外への売却件数が前期の153件から298件へ、ファンドへの売却が同85件から453件へ、合計が同238件から751件へ増加した。その結果、売却売上高の売上構成比が前期の81.7%から92.4%へ上昇した。ファンドへの売却は下期のみに行われたため、同事業の営業利益は上期の406百万円に対し、下期は1,528百万円に拡大した。
c) 金融事業
金融事業の売上高は前期比53.3%増の810百万円、営業利益は同84.8%減の16百万円となった。体制整備に向けた先行投資による販管費の増加が減益を招いた。不動産担保融資実行件数は前期の147件から186件へ、不動産担保融資残高は同8,163百万円と、前期末比46.1%増加した。リバースモーゲージ保証業務は、保証件数が前期末の117件から129件へ、保証残高が同1,470百万円から2,614百万円に増加した。先行的に人員強化を進めており、金融機関の提携先を増やす。
d) 労働集約型ビジネス
不動産売買事業は、売上高が前期比1.5%増の9,040百万円、営業利益が同5.5%減の778百万円となった。前期にあったような大型案件がなかったものの、取引件数は9.2%増加した。商品在庫は60億円程度を維持し、回転率を重視している。不動産売買仲介業を直営店で主として行う不動産流通事業は、売上高が同0.8%減の2,059百万円、営業利益が同8.0%増の491百万円と健闘した。ハウス・リースバック事業への人員強化のため、1店舗を閉店したこともあり、仲介件数は2.9%減少した。仲介を起点にシナジーを効かせ、リフォームや買取を推進している。また、直営店は、FC加盟店のモデル店の役割を担う。リフォーム事業は、売上高が前期比0.3%増の3,099百万円、営業利益が同9.0%増の309百万円であった。
2. 財務状況と経営指標
(1) 財務状況
2019年6月期末の総資産は40,386百万円と、前期末比9,765百万円増加した。流動資産は同12,013百万円増加したものの、有形固定資産は2,907百万円減少した。ハウス・リースバック資産の仕入強化に備えて、現金及び預金を8,749百万円増やした。営業貸付金は2,609百万円増えた。有利子負債は、短期が7,858百万円増加し、長期が190百万円減少した。その結果、流動比率は前期末比8.7ポイント減の153.7%へ、自己資本比率は同3.8ポイント減の27.8%へ低下した。
(2) 経営指標
2019年6月期の財務比率は、売上高営業利益率が10.0%、ROAが8.5%、ROEが19.2%と高い収益性を維持した。収益性の向上が財務レバレッジの低下をほぼ補った。
(3) キャッシュ・フロー計算書
2019年6月期末の現金及び現金同等物の残高は、前期末比8,750百万円増の12,435百万円となった。当期の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引等調整前当期純利益2,854百万円とたな卸資産が9,370百万円減少し、9,296百万円の資金を獲得し、投資活動によるキャッシュ・フローによる支出7,805百万円を上回った。財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の増加により7,258百万円の流入であった。
同社は2018年6月に公募増資を行い、約59億円を調達した。また、ハウス・リースバック事業の保有固定資産をファンドへ売却することで、オフバランス化を進めた。利益の急拡大もあり、現預金は12,435百万円と5期前の410百万円から飛躍的に増加した。銀行との取引関係を構築しつつあり、M&Aなど資金ニーズが発生した時に機敏に行動できる態勢を築いている。資産規模の拡大と財務体質の改善により、リバースモーゲージの保証業務での金融機関との提携を円滑にしている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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1. 2019年6月期の業績概要
(1) 業績概要
ハウスドゥ<3457>の2019年6月期の連結業績は、大幅な伸長を遂げ過去最高水準を更新した。売上高は前期比40.1%増の31,546百万円、営業利益が同49.2%増の3,156百万円、経常利益が同57.3%増の3,003百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同56.8%増の2,006百万円となった。予想比では売上高が14.7%上回ったが、先行投資を進めたことで利益はほぼ予想並みであった。
不動産業界は、雇用や所得環境の改善、住宅優遇制度や日銀の金融緩和政策の継続を背景に、地価が上昇基調を保ち、住宅需要は堅調に推移した。不動産売買、不動産流通とリフォームのフロー型収益事業は、売上高と営業利益が前期比横ばいとなった。ストック型収益事業は、同社の優位性を発揮でき、市場が急拡大している。フロー型収益事業からストック型収益事業への人事異動にも助けられ、売上高は前期比倍増、営業利益が5割以上の伸びとなった。その結果、ストック事業の構成比は、売上高で55.4%、営業利益で70.8%となった。
(2) 事業別動向
a) フランチャイズ事業
フランチャイズ事業の売上高は前期比13.5%増の2,833百万円、営業利益は13.7%増の1,677百万円と2ケタの増収増益を達成した。売上高営業利益率は59.2%の高水準を維持した。新規加盟契約舗数数は145店、新規開店店舗数は133店であった。期末の累計加盟契約店舗数は602店、累計開店店舗数が497店となった。新ブランド「レントドゥ!」の加盟を促進し、「売買×賃貸」のハイブリッドモデルを推進している。
b) ハウス・リースバック事業
ハウス・リースバック事業は、売上高が前期比144.9%増の14,001百万円、営業利益が同163.2%増の2,074百万円と急成長を継続した。事業別利益額ではフランチャイズ事業を上回り、最大となった。単独ベースのデータでは、売却件数はファンド以外への売却件数が前期の153件から298件へ、ファンドへの売却が同85件から453件へ、合計が同238件から751件へ増加した。その結果、売却売上高の売上構成比が前期の81.7%から92.4%へ上昇した。ファンドへの売却は下期のみに行われたため、同事業の営業利益は上期の406百万円に対し、下期は1,528百万円に拡大した。
c) 金融事業
金融事業の売上高は前期比53.3%増の810百万円、営業利益は同84.8%減の16百万円となった。体制整備に向けた先行投資による販管費の増加が減益を招いた。不動産担保融資実行件数は前期の147件から186件へ、不動産担保融資残高は同8,163百万円と、前期末比46.1%増加した。リバースモーゲージ保証業務は、保証件数が前期末の117件から129件へ、保証残高が同1,470百万円から2,614百万円に増加した。先行的に人員強化を進めており、金融機関の提携先を増やす。
d) 労働集約型ビジネス
不動産売買事業は、売上高が前期比1.5%増の9,040百万円、営業利益が同5.5%減の778百万円となった。前期にあったような大型案件がなかったものの、取引件数は9.2%増加した。商品在庫は60億円程度を維持し、回転率を重視している。不動産売買仲介業を直営店で主として行う不動産流通事業は、売上高が同0.8%減の2,059百万円、営業利益が同8.0%増の491百万円と健闘した。ハウス・リースバック事業への人員強化のため、1店舗を閉店したこともあり、仲介件数は2.9%減少した。仲介を起点にシナジーを効かせ、リフォームや買取を推進している。また、直営店は、FC加盟店のモデル店の役割を担う。リフォーム事業は、売上高が前期比0.3%増の3,099百万円、営業利益が同9.0%増の309百万円であった。
2. 財務状況と経営指標
(1) 財務状況
2019年6月期末の総資産は40,386百万円と、前期末比9,765百万円増加した。流動資産は同12,013百万円増加したものの、有形固定資産は2,907百万円減少した。ハウス・リースバック資産の仕入強化に備えて、現金及び預金を8,749百万円増やした。営業貸付金は2,609百万円増えた。有利子負債は、短期が7,858百万円増加し、長期が190百万円減少した。その結果、流動比率は前期末比8.7ポイント減の153.7%へ、自己資本比率は同3.8ポイント減の27.8%へ低下した。
(2) 経営指標
2019年6月期の財務比率は、売上高営業利益率が10.0%、ROAが8.5%、ROEが19.2%と高い収益性を維持した。収益性の向上が財務レバレッジの低下をほぼ補った。
(3) キャッシュ・フロー計算書
2019年6月期末の現金及び現金同等物の残高は、前期末比8,750百万円増の12,435百万円となった。当期の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引等調整前当期純利益2,854百万円とたな卸資産が9,370百万円減少し、9,296百万円の資金を獲得し、投資活動によるキャッシュ・フローによる支出7,805百万円を上回った。財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の増加により7,258百万円の流入であった。
同社は2018年6月に公募増資を行い、約59億円を調達した。また、ハウス・リースバック事業の保有固定資産をファンドへ売却することで、オフバランス化を進めた。利益の急拡大もあり、現預金は12,435百万円と5期前の410百万円から飛躍的に増加した。銀行との取引関係を構築しつつあり、M&Aなど資金ニーズが発生した時に機敏に行動できる態勢を築いている。資産規模の拡大と財務体質の改善により、リバースモーゲージの保証業務での金融機関との提携を円滑にしている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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