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SI Research Memo(5):Object Browser事業、E-Commerce事業が増収増益

注目トピックス 日本株
■システムインテグレータ<3826>の業績動向

2. 事業セグメント別動向
(1) Object Browser事業
Object Browser事業の売上高は前年同期比6.4%増の390百万円、営業利益は同12.4%増の172百万円とほぼ会社計画どおりとなり半期ベースで過去最高を更新した。製品別の動向を見ると、「SI Object Browser」シリーズは、新規顧客への導入が進んだほか、既存顧客からの更新需要などもあり、前年同期比1ケタ増収となった。導入社数は前期末の1.7万社超(39万ライセンス)から1.8万社(41万ライセンス)に拡大しており、業界デファクトスタンダード製品として着実に成長を続けている。

また、「OBPM」は導入社数が前期末の170社超から180社超に拡大し、引き続き2ケタペースで成長している。IT業界ではプロジェクトの開発遅延リスクを低減するため、プロジェクト全体を管理するニーズが増大しており、同社製品への引き合いが増加している。販売形態はまだオンプレミス型が過半を占めているものの、クラウドサービス比率は上昇傾向にある。

アプリケーション設計ツールの「OBDZ」の契約数は徐々に増えているものの、まだ売上規模は小さい。2019年6月にパフォーマンスを大幅に向上した完全Web版をリリースしており、今後セミナー等の販促活動の取り組みを強化することで、契約社数の拡大を目指していく。エンジニア不足が慢性化するなかで、ソフトウェア開発分野の生産性を高めるツールとして今後の成長が期待される。

(2) E-Commerce事業
E-Commerce事業の売上高は前年同期比9.5%増の400百万円、営業利益は同39.6%増の104百万円と会社計画(売上高300百万円、営業利益65百万円)を上回った。EC市場の拡大とともに競合するECサイト構築事業者が増えているものの、ECサイトの大規模化、多機能化、他システムとの連携等といった高度なニーズに対応可能な開発力を持つ企業は同社を含めて数社に限られており、他社製品を利用していた顧客がEC事業拡大に伴ってECサイトを見直す際に、同社に発注する事例が増えている。ここ最近の傾向はERPなど他システムとの連携や多様なビジネス形態(BtoC/モール/BtoB/オムニチャネル)への対応を求められるケースが増えており、1案件当たり受注額も1〜2億円(標準パッケージは1千万円程度)に大型化する傾向にある。また、利益率に関しても開発効率の向上により前年同期の20.5%から26.2%まで上昇した。

(3) ERP・AI事業
ERP・AI事業の売上高は前年同期比15.3%減の1,144百万円、営業利益は同71.4%減の27百万円と減収減益となったが、前述したように前年同期は大型案件が上期に偏重し、2020年2月期は下期に偏重する計画となっていることが要因であり、会社計画(売上高1,085百万円、営業損失7百万円)に対しては売上高、営業利益ともに上回っている。売上高については開発案件数そのものは計画どおりだったが、機能追加等により1件当たりの売上規模が大きくなったこと、営業利益は開発効率の向上が進んだことが上振れ要因となった。

2019年8月には製造業での生産、販売、据付・設置、アフターサービスの業態に一気通貫で対応できる各種アドオンモジュール(生産管理、工事管理、原価管理)をバージョンアップ及び新規リリースし、他効果で受注件数も引き続き好調に推移している。同社の強みは自らが「GRANDIT」と「OBPM」を連携させ、「継続取引管理アドオンモジュール」も利用した上で、IT企業における理想的な合理化モデルを構築し実証している点にあり、この連携モデルを「ITテンプレート」として製品化し、受注を伸ばしている。

また、「AISI∀-AD」については大手メーカーから工場単位で多くの引き合いがきている。検査対象物としては、輸送機器用部品やペットボトルのキャップ、電設資材など多種多様であり、現在はそのうち2〜3社と実証試験を進めている段階にある。実証試験の期間として当初3ヶ月程度を想定していたが、試験を進めていくなかで追加要望などがでてくることが多く、試験期間がやや長期化している状況にある。現在の見込みでは2020年前半までには、導入実績が出始めるものと予想される。課題は人的リソースで、現在は営業、開発含めて7〜8人体制で対応しているが、引き合い件数は販売開始から70〜80件に上っており、人員を増員して対応していく(2020年2月期下期に1人増員)。

(4) その他
その他の事業では、「TOPSIC」の売上高が前年同期の4百万円から15百万円と順調に拡大し、営業損失も48百万円から26百万円に縮小した。2020年2月期第2四半期末における契約社数は前年同期の25社から約70社に拡大しており、企業への導入が進んでいることがうかがえる。また、教育現場でのプログラミング教育の必修化を見据えて、2019年4月より新料金プラン「アカデミックプラン」、「研修サービスプラン」を開始しており、法政大学や多摩大学など学校向けにも導入が進んでいる。

「TOPSIC」はサブスクリプション型の収益モデルとなっており、当初は2021年2月期からの黒字化を計画していたが、契約社数が順調に拡大していることから黒字化時期は1年前倒しで達成できる見込みとなっている。売上規模こそまだ小さいものの、売上総利益率はObject Browser事業と同様、高い水準となっており、将来的に収益の柱の1つに育つ可能性が高いと弊社では見ている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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