ユニリタ Research Memo(4):2020年3月期上期業績は、各クラウドサービスや既存製品販売などが好調に推移
[19/12/12]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■決算動向等
ユニリタ<3800>の2020年3月期上期の業績は、売上高が前年同期比8.5%増の4,879百万円、営業利益が同20.6%増の451百万円、経常利益が同18.3%増の555百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同23.2%増の358百万円と計画を上回る増収増益となった。
売上高は、成熟期にある「メインフレーム事業」を除く、すべての事業が伸長した。特に、市場が拡大している「クラウド事業」においては、各サービスの新規利用者が増加。「プロダクト事業」についても積極的な情報発信活動(セミナー、イベント等)が奏功し、既存製品の販売が伸びている。また、「ソリューション事業」はアウトソーシングが好調であった。
利益面でも、増収効果や「クラウド事業」の損益改善により売上原価率が42.2%(前年同期は43.3%)に良化。販管費は、人件費やのれん償却費、外注費等により若干増加したものの、増収や売上原価率低減によりこなして大幅な営業増益を実現した。なお、営業利益率も9.2%(前年同期は8.3%)に改善している。
財務面では、投資有価証券やソフトウェア(無形固定資産)等の増加により、総資産が前期末比1.5%増の15,654百万円に微増となった一方、自己資本も内部留保の積み増しにより同2.2%増の11,955百万円に増加したことから、自己資本比率は76.4%(前期末は75.9%)と高い水準を維持している。
事業別の業績は以下のとおりである。
(1) クラウド事業
売上高は前年同期比24.0%増の424百万円、営業損失は26百万円(前年同期は66百万円の損失)と大幅な増収により収益性が改善(損失幅が縮小)した。売上高は、成長期にある主力の3サービスが順調に拡大。特に、「LMIS」(サービスマネジメントプラットフォーム)については、顧客のDX※1への取り組みが各事業部門へと拡がりを見せるなか、これまでのIT部門向けサービスだけでなく、統合的なサービスマネジメントプラットフォームとして提供したことが奏功した。また、「DigiSheet」(SaaS型勤怠管理サービス)は、主力マーケットの人材派遣業界のほかに建設業界への横展開に成功。「らくらくBOSS」についても、「働き方改革」並びに消費増税対応などにかかわる業務効率化ニーズを取り込み経費業務管理サービスが大きく伸びている。したがって、クラウド(及びサブスクリプションモデル※2)への需要拡大やDXへの対応ニーズが顕在化するなかで、新たな顧客層への拡充を図ったことが業績の伸びをけん引したと言える。一方、導入期にある「iofoScoop×Digital Workforce」(働き方改革を支援するリモートワーク基盤)についても、大手ユーザからの評価を受け採用につなげることができたようだ。また、利益面では、主力3サービスの黒字化により収益性の改善を図ったものの、導入期及び開発期にある新サービスへの積極的な先行費用投入により、依然として営業損失が続いている。
※1 デジタルトランスフォーメーションの略。「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズをもとに、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」(経済産業省の定義より)。
※2 ユーザがソフトウェアを所有せずに、ネットワークを通じて利用し、その利用量に応じて課金される料金モデル。
(2) プロダクト事業
売上高は前年同期比11.4%増の1,491百万円、営業利益が同90.7%増の158百万円と増収増益となった。DXの潮流の中、オンプレミス※とクラウド上のシステムを組み合わせることによるハイブリッド環境でのシステム運用の統合化、自動化ニーズを取り組んだことにより自動化製品が伸びたほか、基幹システム刷新に伴う大型帳票基盤案件の受注により帳票系製品も好調に推移した。2020年3月期第1四半期に製品紹介セミナー、イベント出展など市場への情報発信活動を積極的に行ったことが奏功したと言える。利益面でも、増収により新規事業(移動体系事業)等への先行費用などをこなしながら大幅な増益を実現した。
※自社の中で情報システムを保有し、自社内の設備によって運用すること。クラウドサービスと区別するため従来の自社運用をオンプレミスと呼ぶ。
(3) ソリューション事業
売上高は前年同期比17.7%増の1,015百万円、営業利益が14百万円(前年同期は1百万円の損失)と増収により黒字転換を実現した。売上高は、プロダクト事業の伸びに伴って、その後工程となる「技術支援サービス」が伸長するとともに、同社の強みであるシステム運用やBPMの「コンサルティング」も堅調に推移。さらに、アウトソーシングについても顧客の業務効率化ニーズを取り込み大きく伸びている。利益面では、増収効果のほか、前期業績の足を引っ張った不採算案件の解消が損益改善(黒字転換)につながった。
(4) メインフレーム事業
売上高は前年同期比2.6%減の1,022百万円、営業利益が同5.6%減の528百万円と減収減益となった。市場全体は緩やかな減少傾向にあるものの、メインフレームのグレードアップ※や継続商品サポートへの強い顧客ニーズにより需要面は安定傾向にあるようだ。利益面でも依然として高い収益性を維持している。
※電子マネーなどの少額決済の増加に伴うデータ処理量の拡大に対応するものなど。
(5) システムインテグレーション事業
売上高は前年同期比2.5%増の926百万円、営業利益が同12.7%減の18百万円と増収ながら減益となった。売上高は、産業界の好調なシステム投資環境を受け、システム開発の受注が堅調に推移。一方、利益面では、前期にあった利益率の高い大型案件の反動減により減益となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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ユニリタ<3800>の2020年3月期上期の業績は、売上高が前年同期比8.5%増の4,879百万円、営業利益が同20.6%増の451百万円、経常利益が同18.3%増の555百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同23.2%増の358百万円と計画を上回る増収増益となった。
売上高は、成熟期にある「メインフレーム事業」を除く、すべての事業が伸長した。特に、市場が拡大している「クラウド事業」においては、各サービスの新規利用者が増加。「プロダクト事業」についても積極的な情報発信活動(セミナー、イベント等)が奏功し、既存製品の販売が伸びている。また、「ソリューション事業」はアウトソーシングが好調であった。
利益面でも、増収効果や「クラウド事業」の損益改善により売上原価率が42.2%(前年同期は43.3%)に良化。販管費は、人件費やのれん償却費、外注費等により若干増加したものの、増収や売上原価率低減によりこなして大幅な営業増益を実現した。なお、営業利益率も9.2%(前年同期は8.3%)に改善している。
財務面では、投資有価証券やソフトウェア(無形固定資産)等の増加により、総資産が前期末比1.5%増の15,654百万円に微増となった一方、自己資本も内部留保の積み増しにより同2.2%増の11,955百万円に増加したことから、自己資本比率は76.4%(前期末は75.9%)と高い水準を維持している。
事業別の業績は以下のとおりである。
(1) クラウド事業
売上高は前年同期比24.0%増の424百万円、営業損失は26百万円(前年同期は66百万円の損失)と大幅な増収により収益性が改善(損失幅が縮小)した。売上高は、成長期にある主力の3サービスが順調に拡大。特に、「LMIS」(サービスマネジメントプラットフォーム)については、顧客のDX※1への取り組みが各事業部門へと拡がりを見せるなか、これまでのIT部門向けサービスだけでなく、統合的なサービスマネジメントプラットフォームとして提供したことが奏功した。また、「DigiSheet」(SaaS型勤怠管理サービス)は、主力マーケットの人材派遣業界のほかに建設業界への横展開に成功。「らくらくBOSS」についても、「働き方改革」並びに消費増税対応などにかかわる業務効率化ニーズを取り込み経費業務管理サービスが大きく伸びている。したがって、クラウド(及びサブスクリプションモデル※2)への需要拡大やDXへの対応ニーズが顕在化するなかで、新たな顧客層への拡充を図ったことが業績の伸びをけん引したと言える。一方、導入期にある「iofoScoop×Digital Workforce」(働き方改革を支援するリモートワーク基盤)についても、大手ユーザからの評価を受け採用につなげることができたようだ。また、利益面では、主力3サービスの黒字化により収益性の改善を図ったものの、導入期及び開発期にある新サービスへの積極的な先行費用投入により、依然として営業損失が続いている。
※1 デジタルトランスフォーメーションの略。「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズをもとに、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」(経済産業省の定義より)。
※2 ユーザがソフトウェアを所有せずに、ネットワークを通じて利用し、その利用量に応じて課金される料金モデル。
(2) プロダクト事業
売上高は前年同期比11.4%増の1,491百万円、営業利益が同90.7%増の158百万円と増収増益となった。DXの潮流の中、オンプレミス※とクラウド上のシステムを組み合わせることによるハイブリッド環境でのシステム運用の統合化、自動化ニーズを取り組んだことにより自動化製品が伸びたほか、基幹システム刷新に伴う大型帳票基盤案件の受注により帳票系製品も好調に推移した。2020年3月期第1四半期に製品紹介セミナー、イベント出展など市場への情報発信活動を積極的に行ったことが奏功したと言える。利益面でも、増収により新規事業(移動体系事業)等への先行費用などをこなしながら大幅な増益を実現した。
※自社の中で情報システムを保有し、自社内の設備によって運用すること。クラウドサービスと区別するため従来の自社運用をオンプレミスと呼ぶ。
(3) ソリューション事業
売上高は前年同期比17.7%増の1,015百万円、営業利益が14百万円(前年同期は1百万円の損失)と増収により黒字転換を実現した。売上高は、プロダクト事業の伸びに伴って、その後工程となる「技術支援サービス」が伸長するとともに、同社の強みであるシステム運用やBPMの「コンサルティング」も堅調に推移。さらに、アウトソーシングについても顧客の業務効率化ニーズを取り込み大きく伸びている。利益面では、増収効果のほか、前期業績の足を引っ張った不採算案件の解消が損益改善(黒字転換)につながった。
(4) メインフレーム事業
売上高は前年同期比2.6%減の1,022百万円、営業利益が同5.6%減の528百万円と減収減益となった。市場全体は緩やかな減少傾向にあるものの、メインフレームのグレードアップ※や継続商品サポートへの強い顧客ニーズにより需要面は安定傾向にあるようだ。利益面でも依然として高い収益性を維持している。
※電子マネーなどの少額決済の増加に伴うデータ処理量の拡大に対応するものなど。
(5) システムインテグレーション事業
売上高は前年同期比2.5%増の926百万円、営業利益が同12.7%減の18百万円と増収ながら減益となった。売上高は、産業界の好調なシステム投資環境を受け、システム開発の受注が堅調に推移。一方、利益面では、前期にあった利益率の高い大型案件の反動減により減益となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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