Iスペース Research Memo(4):eコマースの大型案件獲得によりインターネット広告事業が増収増益に
[19/12/13]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■インタースペース<2122>の業績動向
2. 事業セグメント別の動向
(1) インターネット広告事業
インターネット広告事業の売上高は前期比1.3%増の27,676百万円、営業利益は同30.6%増の884百万円となった。期初段階では広告表示規制への対応(eコマースカテゴリの案件精査等)に取り組むことから、2ケタ減収減益を計画していたが、上期にeコマース関連で大型案件の受注を獲得したこと、並びに同案件が相対的に好採算であったことから、結果的に増収増益で着地し、利益率も上昇する格好となった。同案件だけで売上高の1割強を占めたため、業績に与えるインパクトも大きかったと言える。
売上高の内訳を見ると、アフィリエイト広告が前期比7%増の24,116百万円と過去最高を更新した一方で、SFAが同28%減の2,520百万円、その他(ネイティブ広告、その他広告商材)が同24%減の1,032百万円とそれぞれ減少した。SFAについては、スマートフォン販売が低迷していることに加えて、現在の主力商材であるスマートフォン向けセキュリティ商品「NWノートンストア」の売上計上方法が月額方式となっていることも影響している。従来の主力商材は契約時一括計上方式だったため、これら商材の販売減が減収要因となった。セキュリティ商品の月額収入については直近で約2千万円まで積み上がっているもようで、あと2年程度で同商品だけでストアフロントアフィリエイトの黒字化が達成できる見通しとなっている。また、その他については、「X-lift」によるネイティブ広告の販売を収益性の観点から絞り込んだことが減収要因となっている。
インターネット広告事業のカテゴリー別売上高の前期比増減率を見ると、eコマースが7%増、サービスが17%増とそれぞれ増加基調が続いた一方で、金融・保険が5%減、エンターテイメントが21%減なった。eコマースに関しては大型案件を除けば2ケタ減収となっている。金融・保険は広告表現の規制強化や仮想通貨市場が冷え込んだ影響により減収となった。
また、海外事業についてはタイが金融、eコマース案件の増加により増収増益となった。インドネシアについては売上が伸び悩み若干の赤字が続いているものの、2020年春までに単月黒字化を目指している。また、下期から新たにシンガポールやマレーシアでもアフィリエイトサービスを開始しており、連結対象子会社の売上規模は4億円程度に拡大したと見られ、ベトナムの持分法適用関連会社を含めれば8億円規模となっている。
(2) メディア運営事業
メディア運営事業の売上高は前期比16.5%増の1,078百万円、営業損失は6百万円(前期は122百万円の利益)となった。売上高の内訳を見ると、メディア広告が前期比34%増の830百万円、コンテンツが同27%減の248百万円となった。利益が大幅減益となったのは新規メディアや新規サービスの開発・育成等のため、エンジニアを中心に人員を増員したことが主因となっている(同事業の人員は前期末比19名増の63名)。
メディア広告の増収要因は、主力の「ママスタジアム」や「4MEEE」において記事タイアップ広告の受注が好調に推移したこと、また、4MEEEについては2019年9月期第2四半期からの売上寄与であったことが要因となっている。「ママスタジアム」の月間UU数はGoogleの検索アルゴリズムの変更等の影響もあって、2019年9月期から減少しているもののPV数は変わっておらず、媒体価値の高さから広告収入も好調に推移した。
新たな取り組みとして新コンテンツ、新サービスの開発にも注力しており、「ママスタジアム」内の新コンテンツとして保育園探しを支援する「ママスタ保活」を2019年2月にリリースしている。各地域の保育園情報を同社独自のデータ収集によって、場所や様々な保育条件等から、該当する保育園を検索できるサービス(無料)となっている。また、同年4月には(株)sotokoto onlineとの共同でソーシャル&エコ・マガジン「ソトコト」のオンラインメディア「sotokoto online」をリリースするなど雑誌社との連携等も推進している。
一方、ネイティブアプリ等のコンテンツ事業は、2018年9月期第4四半期にApp Storeのガイドラインが見直された影響※で新アプリのリリースや既存アプリの更新が滞り、欧州での売上が減少したほか国内でもAuのスマートパス経由の収入が減少した。現在のApp Storeのガイドラインの下では収益化が困難なことから、今後は新たな開発投資を行わず現状のコンテンツで収益を維持していく方針となっている。
※欧州で2018年5月に施行されたGDPR(一般データ保護規則)に伴い、App Storeではガイドラインを変更し、同一会社の類似アプリはコンテナアプリ(複数のコンテンツをまとめたアプリ)にして申請しないと登録審査が通らなくなり、既に登録済みアプリでも更新時の審査が通らなくなっている。別々のアプリをコンテナ化して1つのアプリとすると1タイトル当たりの課金収入が半減以下となるため同社にとっては採算が厳しくなる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. 事業セグメント別の動向
(1) インターネット広告事業
インターネット広告事業の売上高は前期比1.3%増の27,676百万円、営業利益は同30.6%増の884百万円となった。期初段階では広告表示規制への対応(eコマースカテゴリの案件精査等)に取り組むことから、2ケタ減収減益を計画していたが、上期にeコマース関連で大型案件の受注を獲得したこと、並びに同案件が相対的に好採算であったことから、結果的に増収増益で着地し、利益率も上昇する格好となった。同案件だけで売上高の1割強を占めたため、業績に与えるインパクトも大きかったと言える。
売上高の内訳を見ると、アフィリエイト広告が前期比7%増の24,116百万円と過去最高を更新した一方で、SFAが同28%減の2,520百万円、その他(ネイティブ広告、その他広告商材)が同24%減の1,032百万円とそれぞれ減少した。SFAについては、スマートフォン販売が低迷していることに加えて、現在の主力商材であるスマートフォン向けセキュリティ商品「NWノートンストア」の売上計上方法が月額方式となっていることも影響している。従来の主力商材は契約時一括計上方式だったため、これら商材の販売減が減収要因となった。セキュリティ商品の月額収入については直近で約2千万円まで積み上がっているもようで、あと2年程度で同商品だけでストアフロントアフィリエイトの黒字化が達成できる見通しとなっている。また、その他については、「X-lift」によるネイティブ広告の販売を収益性の観点から絞り込んだことが減収要因となっている。
インターネット広告事業のカテゴリー別売上高の前期比増減率を見ると、eコマースが7%増、サービスが17%増とそれぞれ増加基調が続いた一方で、金融・保険が5%減、エンターテイメントが21%減なった。eコマースに関しては大型案件を除けば2ケタ減収となっている。金融・保険は広告表現の規制強化や仮想通貨市場が冷え込んだ影響により減収となった。
また、海外事業についてはタイが金融、eコマース案件の増加により増収増益となった。インドネシアについては売上が伸び悩み若干の赤字が続いているものの、2020年春までに単月黒字化を目指している。また、下期から新たにシンガポールやマレーシアでもアフィリエイトサービスを開始しており、連結対象子会社の売上規模は4億円程度に拡大したと見られ、ベトナムの持分法適用関連会社を含めれば8億円規模となっている。
(2) メディア運営事業
メディア運営事業の売上高は前期比16.5%増の1,078百万円、営業損失は6百万円(前期は122百万円の利益)となった。売上高の内訳を見ると、メディア広告が前期比34%増の830百万円、コンテンツが同27%減の248百万円となった。利益が大幅減益となったのは新規メディアや新規サービスの開発・育成等のため、エンジニアを中心に人員を増員したことが主因となっている(同事業の人員は前期末比19名増の63名)。
メディア広告の増収要因は、主力の「ママスタジアム」や「4MEEE」において記事タイアップ広告の受注が好調に推移したこと、また、4MEEEについては2019年9月期第2四半期からの売上寄与であったことが要因となっている。「ママスタジアム」の月間UU数はGoogleの検索アルゴリズムの変更等の影響もあって、2019年9月期から減少しているもののPV数は変わっておらず、媒体価値の高さから広告収入も好調に推移した。
新たな取り組みとして新コンテンツ、新サービスの開発にも注力しており、「ママスタジアム」内の新コンテンツとして保育園探しを支援する「ママスタ保活」を2019年2月にリリースしている。各地域の保育園情報を同社独自のデータ収集によって、場所や様々な保育条件等から、該当する保育園を検索できるサービス(無料)となっている。また、同年4月には(株)sotokoto onlineとの共同でソーシャル&エコ・マガジン「ソトコト」のオンラインメディア「sotokoto online」をリリースするなど雑誌社との連携等も推進している。
一方、ネイティブアプリ等のコンテンツ事業は、2018年9月期第4四半期にApp Storeのガイドラインが見直された影響※で新アプリのリリースや既存アプリの更新が滞り、欧州での売上が減少したほか国内でもAuのスマートパス経由の収入が減少した。現在のApp Storeのガイドラインの下では収益化が困難なことから、今後は新たな開発投資を行わず現状のコンテンツで収益を維持していく方針となっている。
※欧州で2018年5月に施行されたGDPR(一般データ保護規則)に伴い、App Storeではガイドラインを変更し、同一会社の類似アプリはコンテナアプリ(複数のコンテンツをまとめたアプリ)にして申請しないと登録審査が通らなくなり、既に登録済みアプリでも更新時の審査が通らなくなっている。別々のアプリをコンテナ化して1つのアプリとすると1タイトル当たりの課金収入が半減以下となるため同社にとっては採算が厳しくなる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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