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システム ディ Research Memo(8):教育分野や公共分野はIT化、クラウド化の進展を背景に成長余地が大きい

注目トピックス 日本株
■システムディ<3804>の今後の見通し

2. 事業部門別の施策
(1) 学園ソリューション事業
学園ソリューション事業では、既存顧客の更新需要を確実に取り込むだけでなく、新規顧客の獲得に注力していく。大学市場については全国約1,100大学のうち約360校に導入が進み、既にトップシェアを不動のものとしているが、「CampusPlan Smart」の投入により、機能面・品質面での優位性を訴求していくことでシェアの維持向上を図っていく。特に、大学では会計制度の変更によって2015年前後にシステム改修・更新の特需が発生しており、この部分の更新需要が2021年〜2022年頃に発生するものと予想され、他社製品をリプレイスする好機となる。

「CampusPlan」の大きな特長は、学務系業務や法人系業務などをトータルで提供できる点にあり、この“トータルソリューションの提供”という点では直接的な競合製品がない。同社が高シェアを獲得し業界トップシェアの地位を確立した要因はここにある。領域ごと(例えば“会計・経理”や“人事”などの領域)では、強い競合製品がそれぞれ複数存在するが、同社の製品は価格競争力でも優れているため、どの領域においても選定されることが多い状況となっている。2019年11月からは次世代版となる「CampusPlan Smart」の総務・人事給与システムを先行リリースしているが、2021〜2022年の更新需要に合わせて学務系システムなども次世代版を投入し、シェア拡大につなげていく戦略と見られ、今後の動向が注目される。

一方、私立高校は全国に約1,300校、専門学校は約2,900校あり、そのうち同社製品は約620校に導入されていると見られる。シェアで見ると1〜2割の水準であり、今後のシェア拡大余地も大きい。高校・専門学校の1校当たり生徒・職員数※は、高校で約800名、専門学校で約200名となり、大学の約4,000名と比べて規模が小さいことから、初期投資負担の少ないクラウドサービス「CampusPlan for Azure」で機能性やコストパフォーマンスを訴求し、顧客開拓を進めていく戦略となる。売上規模は大学と比べて小さいものの、クラウドサービスでの提供のため、安定収益基盤として利益率の向上に寄与するものと期待される。

※文部科学省「令和元年 学校基本調査」のデータをもとに算出。


(2) ウェルネスソリューション事業
フィットネスジムやスポーツ施設向けに関しては、ここ数年、異業種からの参入が活発だったこともあり、2020年10月期は需要が一服すると見ている。そうしたなかで、小規模事業者向けのサービスとしてクラウド版会員管理システム「Smart Hello」を2020年春にリリースし、新規顧客の開拓に取り組んでいく方針となっている。また、観光・文化施設向け「Hello Fun」についても徐々に引き合いが増えており、第2の柱に育つものと期待される。

(3) 公教育ソリューション
公立の小・中・高校向けについては政府によるIT化促進の取り組みを受けて、導入校数を拡大していく好機になると見ている。公立高校についてはITシステムの導入を決定していないところが、10都道府県ほど残っているとみられ、このうち5都道府県、シェア50%の受注獲得に取り組んでいく。

一方、小中学校向けの市場は依然として成長余地が大きい。小中学校は基本的に全国の1,741市町村(東京の23特別区を含む)の教育委員会が交渉相手となるが、この市場では同社のシェアは高校に比べて低く、業界で3〜4番手のポジションとみられる。それだけアップサイドポテンシャルが大きいという見方もできる。市町村向け(小・中学校向け)でシェアが低いのは、クラウドサービスに対するセキュリティ面での懸念が教育委員会側にあったためと、同社では分析している。しかし、前述したようにクラウドのセキュリティ面での安全性はここ数年で大幅に強化されており、利便性やコスト面などを考えても、今後はクラウドサービスの利用率が高まっていく可能性が高く、同社のシェアも上昇していくものと弊社では予想している。

同社がシェアを拡大していく契機として、もう1つの注目点は“県域案件”の増加が挙げられる。これは都道府県単位で、県下全域にわたって統合型校務支援ソフト導入する案件のことで、簡単に言えば当該の県下すべての公立小・中・高校で同じ校務支援ソフトを導入することを意味する。これまで4県が実施し、同社はそのうち2県(奈良・高知)を受注している。この4県は文科省の実証実験として採択されたものであり、同実証実験において一定の効果が確認されれば、これを先行事例として他の都道府県にも広がることが想定されている。その際は公立高校市場で50%のシェアを有していること、小規模校にとって導入ハードルが低いクラウド型でサービスを提供していることがシェア拡大に有利に働くものと期待される。

(4) 公会計ソリューション事業
公会計ソリューションは端境期となっているため、2020年10月期も売上高の増加を見込んでいないものの、前述したように、業界第2位となる競合製品が2021年度末でのサービス中止を発表したこともあり、同ユーザーからのリプレイス需要が2020年以降も続く可能性がある。2番手のシェアが約25%だったため、このうち約半分の顧客を獲得できれば、自治体向けのシェアは約60%、導入数で1,000を超える可能性がある。また、導入数がまだ少ない公共関連団体向けの販売強化にも取り組んでいく。そのほか、同事業では新たな成長ドライバーとなるような製品を現在、開発している模様で、今後の開発動向が注目される。

(5) ソフトエンジニアリング事業
ソフトエンジニアリング事業では、コンプライアンスやコーポレートガバナンス強化の流れを受けて、金融機関や官公庁・地方自治体などの公共部門での導入拡大が進むものと予想される。金融機関については当局からのライセンスを得て行うという事業の性質上、コンプライアンス順守のための仕組みへのニーズが一般企業よりも強いと考えられるためだ。同社は「規程管理システム金融機関版」をリリースして既に数行で導入されるなど実績が出始めており、2020年10月期は更なる売上増が期待される。また、官公庁や地方自治体の公共部門についても、文書管理の適正化に対するニーズが一層高まることが予想され、同社の文書管理システムもそこにフィットすると期待される。

(6) 薬局ソリューション事業
調剤薬局業界は、大手チェーンと個人経営の小規模薬局とに大きく二分された業界構造となっている。また、国(厚労省)が医療制度改革の一環として“患者のための薬局ビジョン”を掲げてあるべき薬局像の確立や業界構造の変革を急ぐ状況下にある。こうしたなか、同社の潜在顧客である個人・小規模薬局については、業務効率化や経営改善に寄与できるソフトウェアやサービスのニーズがあり、今後も保守・サポートを中心に安定した需要を見込んでいる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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