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1stコーポ Research Memo(5):土地の手当が当面の課題に

注目トピックス 日本株
■今後の展開

マンション開発において「土地を制する者がすべてを制する」(中村利秋(なかむらとしあき)代表取締役社長)と言われるなかで、ファーストコーポレーション<1430>は本格的に土地開発の専任部隊を置き、良質な土地を確保している。そこにデベロッパーと協調しながら良い建物を建てていく──そうした形で事業を進めているが、現実に造注方式の大元となる建設用地の確保が着実に進んでいる。

直近の業績一服は、用地確保が厳しかったことが理由として大きい。ホテルとの競争激化が沈静化しながらも、なお、地権者は強気な状況にあり、この面での環境は引き続き厳しいものとなっている。

ただ、土地取引に関しては、かつてがそうだったように、潮目が変わるとがらりと様相が変化する特徴があり、それを待っている段階だ。用地確保がスムーズになるとともに、造注方式の案件が再び増えるようになれば、収益が再び上向くことが期待できるようになる。その意味でも、良質な土地がいかに手当てできるかが、当面の課題となるのは語るまでもない。

また、今後の成長を考える上で注目できるのが、健常シニア用のマンション、いわゆるアクティブシニア向けのマンションだ。高齢者向けのマンションと言うと、多くの業者が介護付きのサ高住(サービス付き高齢者向け住宅)で展開し、アクティブシニア向けを手掛ける業者は少ないが、同社はこの分野で先行している。

シニア向けは、そもそもが通勤仕様ではないため、駅前立地でなくて良い。さらに、温泉やジムなど付帯設備の建設などで単価がアップできるなど、利益面でも期待できる案件だ。上半期に取得した東京都八王子市の用地も、アクティブ・シニア向けマンションを企画している。

大型案件の中には、デベロッパーと共同事業で行うケースもある。これまでもいくつか実績があるものの、今後もデベロッパーと組む案件が多くなっていくものとみられる。これらは収益の下支え効果をもたらしそうだ。

顧客となる取引先も増加した。2018年5月期は26社だったのが、2019年5月期には28社に拡大。2020年5月期は29社となる。取引先には、(株)アーネストワン、一建設(株)、東京建物(株)、日本土地建物(株)、日鉄興和不動産(株)、三井不動産レジデンシャル(株)、阪急阪神不動産(株)、タカラレーベン<8897>、東急不動産(株)(東急不動産ホールディングス<3289>)といった大手の著名デベロッパーが多く名を連ねている。今後も取引先が拡大するとともに、ビジネスの幅も広がっていきそうだ。


再開発事業が開花すれば収益は再び上昇基調に
さらに、同社は今後、再開発事業に注力する考え。この分野では、現在、JR前橋駅北口地区再開発事業に事業施行者として参画している。ここでは、27階建の施設を建設、同社にとって大きな案件だが、ここの工事施工者となれば、業績にインパクトを与えるのはもちろん、高層建築の実績となって、今後のタワーマンションへの展開に強力な武器となるだろう。実際に形になった場合、新たな収益源として貢献することが期待できそうだ。

前橋駅のプロジェクトについては、2022年度の工事完了を見込んでおり(前橋市の公表概要を参考)、これから業績に貢献することになる。また、再開発に関しては、横浜エリアにも再開発予定用地の一部を取得。将来的に再開発ビジネスが開花すれば、同社の収益は再び上昇基調に転じるものと思われる。その意味で、前橋のプロジェクトに対する期待は大きい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)



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