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テックファム Research Memo(6):2020年6月期業績は半期ベースでは上向きに転じる見通し

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

1. 2020年6月期の業績見通し
テックファームホールディングス<3625>の2020年6月期の連結業績は、売上高が前期比21.3%増の8,000百万円、営業利益が同11.1%増の800百万円、経常利益が同10.5%増の790百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が430百万円(前期は16百万円の損失)と期初計画を据え置いている。ただ、既述のとおり第2四半期累計業績はグループ会社のシステム開発投資の遅れなどが影響して計画をやや下回って推移しており、これら開発投資については下期も続くことから、通期業績は下振れする可能性があると弊社では見ている。ただ、ICTソリューション事業では高付加価値案件の受注が堅調なこと、自動車アフターマーケット事業では下期から高い利益率が見込まれる部品商向けシステムの販売を開始していることなどから、半期ベースで見れば収益は上向きに転じるものと予想される。また、新型コロナウイルスの感染拡大によるマイナスの影響がなければ、2019年6月期下期(売上高3,578百万円、営業利益513百万円)との比較においても増収増益は可能と見られる。

事業セグメント別の見通し(期初計画)は以下のとおり。

(1) ICTソリューション事業
ICTソリューション事業の売上高は前期比9%増の55億円を見込む。計画達成に必要となる下期の売上高は前年同期比22%増の32億円となる。開発要員が他事業のシステム開発に一部充当されていることもあり、ハードルは高いものの、IoT/AI関連や5G、DX関連などの高付加価値案件の取り込みにより、増収増益を目指す方針だ。

新たな取り組みとして、2020年2月にテックファームがジャストプランニング<4287>の子会社であるプットメニュー(株)とセルフオーダーサービス「Putmenu」の販売パートナー契約を締結し、テックファームのトイレIoTやAIカメラ、電子スタンプなどのソリューションサービスと組み合わせて飲食店向けへの導入提案を開始している。テックファームは従来から、施設内の混雑状況を可視化するソリューションとしてAIカメラやトイレIoTなどを開発・提供しており、これらソリューションと「Putmenu」を組み合わせることでサービスの高付加価値化を図り、受注増加につなげていく方針だ。

IoTソリューションでは自社プラットフォーム「MoL (Monitoring of Location)」を活用したソリューションサービスの拡大が見込まれる。オフィスに設置されたセンサーが室内環境を測定することで、従業員がストレスなく効率的に事務作業や研究開発を進められるように工夫された「スマートオフィス」導入の取り組みや、青果物市場内にある運搬用車両の管理システム、小売店舗までのトラック配送管理システムの引き合いも来ており、今後の受注獲得が期待される。

(2) 自動車アフターマーケット事業
自動車アフターマーケット事業の売上高は、前期比8%増の17億円を見込む。計画達成に必要となる下期の売上高は前年同期比19%増の11億円となる。従来から売上高は下期偏重型であること、第3四半期から、部品商向けシステムの販売を再開しており、売上貢献が期待されることなどから、計画を達成する可能性は十分ある。

なお、ガラス商向けシステムについては、追加の開発投資が2020年秋以降までかかる見通しで、販売再開は当初計画よりも1年遅れて2021年6月期からとなる見通しだ。弊社では売上単価の高い部品商・ガラス商向けシステムの販売再開により、同事業の収益は一段と拡大するものと予想している。同社が開発したシステムはコストパフォーマンスの良さと、カスタマイズが可能なことが特徴で、今後の販売動向が注目される。

自動車整備システムやガラス商・部品商向けシステムの対象顧客数について見ると、整備事業者数が6〜7万社あるのに対して、ガラス商は500社、部品商は1,500社程度となっている。ガラス商や部品商の数は少ないものの、1社当たりの売上規模は整備支援システムの数倍以上であり、新規参入の同社にとって成長余地は大きい。また、自動車整備システムに関しては、クラウド版の開発を進めており、2022年6月期の完成を目指している。初期導入費用を抑えられるサブスクリプション型(月額課金収入)モデルとなるため、一時的に売上高が目減りする可能性もあるが、こちらも新規顧客の獲得余地が大きいことから成長は可能と見られる。

そのほか、リニューアルしたロードサービス管理システムについても拡販を進めていく。災害時のロードサービス車の運行支援・管理を行うシステムとなる。2019年は全国各地で自然災害が多発し、ロードサービスの出動件数が増加したことを受け、業務負担軽減に寄与するシステムのニーズが増加すると見た。従来、ロードサービス事業者は、隊員への情報伝達手段をメモや口頭で指示しているのが通例であったが、件数が多くなると伝達ミスが生じるなど業務負担が増加するため、配車管理などを含めて利便性の高いITシステムが求められていた。現在、導入社数は約80社だが、2020年内に200社、2023年に1千社への導入を目指していく。競合製品もほとんどないため開拓余地は大きく、今後の展開が注目される。

(3) 農水産物輸出ソリューション事業
農水産物輸出ソリューション事業の売上高は8億円を見込んでいたが、香港での民主デモの影響や輸出支援システムの開発遅れにより、計画を下回る可能性が大きい。ただ、同社が開発する流通データ・プラットフォームに対する国内卸業者等からの関心は高い。同業界ではIT化が遅れている上、人手不足もあって経営のIT化が喫緊の課題となっているためだ。

こうしたなかで先般、青果物の加工・仲卸の国内最大手である(株)ベジテックと提携し、輸出業務に関してWe Agriを通じて行うこととなった。ベジテックの売上規模は650億円(2019年3月期)で、輸入を含む協業予定の取引高は年間30億円程度とみられ、これを2〜3年かけて共同運用する予定にしている。また、国内でも配送業務の管理システムのニーズがあり、こちらはICTソリューション事業での受注増につながる可能性がある。運送トラックのドライバー不足により、サービスの均質化が課題となっており、これを同社のシステムを使ってリアルタイムに遠隔管理することで実現可能とする。

当面の課題は輸出支援システムを完成させることにあり、同システムが完成すれば取引顧客も拡大し収益も成長ステージに入るものと予想される。同社では収益化(のれん償却後)の目途として、2022年6月期を目標としている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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