サイバーコム Research Memo(5):2019年12月期業績は2ケタ増収増益を達成
[20/03/27]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
1. 2019年12月期の業績概要
サイバーコム<3852>の2019年12月期の売上高は前期比15.7%増の13,967百万円、営業利益は同22.6%増の746百万円、経常利益は同22.0%増の751百万円、当期純利益は同33.7%増の559百万円と2ケタ増収増益を達成し、売上高、各利益とも過去最高を更新した。
売上高についてはIT投資の拡大を背景に、ソフトウェア開発事業、サービス事業とも好調に推移した。売上総利益率は増収効果や生命保険会社向け大型案件を計上したこともあり、前期比0.4ポイント上昇の18.8%となった。販管費が前期比で273百万円増加したが、その内訳は人材育成・採用費用(+97百万円)、業務効率向上のための整備費用(+70百万円)、自社ビルの整備費用(+31百万円)、その他(+75百万円)となっている。これら販管費の増加を増収効果で吸収し、営業利益率は前期比0.3ポイント上昇した。また、当期純利益の増益率が高くなっているが、これは税制優遇制度の適用に伴う法人税等の負担軽減があったためである。期初会社計画との比較においては売上高、各利益ともに上回って着地した。
業務ソフトウェア開発は生命保険会社向け大型案件の計上もあり前期比53%増と大幅増益に
2. 事業セグメント別動向
(1) ソフトウェア開発事業
ソフトウェア開発事業の売上高は前期比14.4%増の11,276百万円、セグメント利益は同23.9%増の1,627百万円となった。
けん引役となったのは業務ソフトウェア開発で、売上高は前期比29.5%増の6,171百万円、セグメント利益は同53.4%増の1,002百万円と大幅増収増益となった。業種別売上高の内訳を見ると、生命保険会社向けシステムの大型案件継続が寄与した金融向けが同60.7%増の2,257百万円、公共向けが同51.1%増の847百万円、流通向けが同20.3%増の557百万円、医療向けが同46.6%増の545百万円、その他業務向けが同45.8%増の823百万円といずれも大幅増収となった一方で、情報通信向けが同19.8%減の742百万円、エネルギー向けが同16.4%減の397百万円となった。
通信ソフトウェア開発については、ネットワークシステムでの通信機能開発案件の増加により、売上高は前期比4.5%増の1,802百万円、セグメント利益は同8.5%増の211百万円と堅調に推移した。分野別売上高では、通信基盤が同2.0%減の1,249百万円、その他通信が同23.2%増の552百万円となった。
制御ソフトウェア開発については、売上高が前期比2.0%減の3,302百万円、セグメント利益が同11.2%減の413百万円となった。車載向けはECUやADAS関連等の開発案件が前期並みで推移し、売上高は前期比0.8%減の1,912百万円となった。その他制御向けについては機械系システム開発案件の一部が減少し、同3.5%減の1,389百万円となった。
2016年3月期以降の売上推移を見ると、通信ソフトウェア開発については通信インフラ投資の規模が縮小していることもあって、売上高が伸び悩んでいる一方で、車載向けが好調だった制御ソフトウェア開発や企業の情報化投資拡大を背景とした業務ソフトウェア開発が売上を拡大し、ここ数年の同事業セグメントの業績をけん引してきたことがうかがえる。
(2) サービス事業
サービス事業の売上高は前期比22.5%増の2,636百万円、セグメント利益は同10.1%増の330百万円となった。SIサービス(構築・保守・運用・評価検証サービス)において、社会インフラや金融系を中心とした仮想化、クラウドへの移行案件、サイバーセキュリティ対策案件やネットワーク構築案件が好調に推移し、また、携帯電話の5G基地局検証サービスについても堅調に推移したことが主因だ。
また、売上規模はまだ小さいものの、自社プロダクトである「Cyber Smartシリーズ」についてもIP-PBX案件の導入社数増加や、クラウドサービス及び年間保守料の増加などにより好調に推移した。なお、新サービスとして2019年8月にクラウドVPNサービス「楽々セキュアコネクト」、同年10月に低価格オフィス電話サービス「Cyber Gateway Compact」の販売を開始している。
サービス事業については、ここ数年のクラウドサービス市場の拡大や情報セキュリティ対策の強化に取り組む動きもあって需要は旺盛で、SIサービスを中心に右肩上がりの成長が続いている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2019年12月期の業績概要
サイバーコム<3852>の2019年12月期の売上高は前期比15.7%増の13,967百万円、営業利益は同22.6%増の746百万円、経常利益は同22.0%増の751百万円、当期純利益は同33.7%増の559百万円と2ケタ増収増益を達成し、売上高、各利益とも過去最高を更新した。
売上高についてはIT投資の拡大を背景に、ソフトウェア開発事業、サービス事業とも好調に推移した。売上総利益率は増収効果や生命保険会社向け大型案件を計上したこともあり、前期比0.4ポイント上昇の18.8%となった。販管費が前期比で273百万円増加したが、その内訳は人材育成・採用費用(+97百万円)、業務効率向上のための整備費用(+70百万円)、自社ビルの整備費用(+31百万円)、その他(+75百万円)となっている。これら販管費の増加を増収効果で吸収し、営業利益率は前期比0.3ポイント上昇した。また、当期純利益の増益率が高くなっているが、これは税制優遇制度の適用に伴う法人税等の負担軽減があったためである。期初会社計画との比較においては売上高、各利益ともに上回って着地した。
業務ソフトウェア開発は生命保険会社向け大型案件の計上もあり前期比53%増と大幅増益に
2. 事業セグメント別動向
(1) ソフトウェア開発事業
ソフトウェア開発事業の売上高は前期比14.4%増の11,276百万円、セグメント利益は同23.9%増の1,627百万円となった。
けん引役となったのは業務ソフトウェア開発で、売上高は前期比29.5%増の6,171百万円、セグメント利益は同53.4%増の1,002百万円と大幅増収増益となった。業種別売上高の内訳を見ると、生命保険会社向けシステムの大型案件継続が寄与した金融向けが同60.7%増の2,257百万円、公共向けが同51.1%増の847百万円、流通向けが同20.3%増の557百万円、医療向けが同46.6%増の545百万円、その他業務向けが同45.8%増の823百万円といずれも大幅増収となった一方で、情報通信向けが同19.8%減の742百万円、エネルギー向けが同16.4%減の397百万円となった。
通信ソフトウェア開発については、ネットワークシステムでの通信機能開発案件の増加により、売上高は前期比4.5%増の1,802百万円、セグメント利益は同8.5%増の211百万円と堅調に推移した。分野別売上高では、通信基盤が同2.0%減の1,249百万円、その他通信が同23.2%増の552百万円となった。
制御ソフトウェア開発については、売上高が前期比2.0%減の3,302百万円、セグメント利益が同11.2%減の413百万円となった。車載向けはECUやADAS関連等の開発案件が前期並みで推移し、売上高は前期比0.8%減の1,912百万円となった。その他制御向けについては機械系システム開発案件の一部が減少し、同3.5%減の1,389百万円となった。
2016年3月期以降の売上推移を見ると、通信ソフトウェア開発については通信インフラ投資の規模が縮小していることもあって、売上高が伸び悩んでいる一方で、車載向けが好調だった制御ソフトウェア開発や企業の情報化投資拡大を背景とした業務ソフトウェア開発が売上を拡大し、ここ数年の同事業セグメントの業績をけん引してきたことがうかがえる。
(2) サービス事業
サービス事業の売上高は前期比22.5%増の2,636百万円、セグメント利益は同10.1%増の330百万円となった。SIサービス(構築・保守・運用・評価検証サービス)において、社会インフラや金融系を中心とした仮想化、クラウドへの移行案件、サイバーセキュリティ対策案件やネットワーク構築案件が好調に推移し、また、携帯電話の5G基地局検証サービスについても堅調に推移したことが主因だ。
また、売上規模はまだ小さいものの、自社プロダクトである「Cyber Smartシリーズ」についてもIP-PBX案件の導入社数増加や、クラウドサービス及び年間保守料の増加などにより好調に推移した。なお、新サービスとして2019年8月にクラウドVPNサービス「楽々セキュアコネクト」、同年10月に低価格オフィス電話サービス「Cyber Gateway Compact」の販売を開始している。
サービス事業については、ここ数年のクラウドサービス市場の拡大や情報セキュリティ対策の強化に取り組む動きもあって需要は旺盛で、SIサービスを中心に右肩上がりの成長が続いている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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