Jトラスト Research Memo(1):日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業で安定的利益を確保
[20/06/15]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
1. 会社概要
Jトラスト<8508>は、東証2部に上場しており、傘下に国内外の金融事業、非金融事業などを有するホールディングカンパニーである。藤澤信義(ふじさわのぶよし)前社長のもと、国内外で数々のM&Aにより成長を続けてきた結果、日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業、東南アジア金融事業を中心に2019年12月期の資産合計は7,000億円超の規模に拡大している。2019年3月期には東南アジア金融事業及び投資事業において大幅な営業損失を計上して不良債権の抜本的処理を断行し、業績回復への道筋を付けた。今後は、2020年3月に就任した江口譲二(えぐちじょうじ)新社長のもと、アジアでの金融3事業を中心に着実な成長を図る方針である。
2. 2020年12月期第1四半期の業績概要
同社では、海外子会社の増加に伴い、前連結会計年度(2019年12月期)より決算期を3月から12月に変更したことで、2019年12月期は9ヶ月決算となった。2020年12月期第1四半期の営業収益は195億円(前年同期(2019年4月〜6月)比13億円増)、営業利益は15億円(同11億円増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益15億円(同16億円増)と好スタートを切った。営業利益は通期予想比92.5%に達し、業績回復基調が鮮明となった。セグメント別営業利益では、日本金融事業は11億円(前年同期比1億円増)で、保証残高や回収実績は順調に推移し、通期予想比39%と計画を上回る着地となった。また、韓国及びモンゴル金融事業も21億円(同4億円減)と、通期予想比37%に達し、新型コロナウイルス感染拡大の特殊要因下でも確実に利益を確保した。さらに、再建に向けて改革を継続している東南アジア金融事業では、12億円の営業損失となったものの、前年同期比6億円の赤字縮小となり、着実に改革の成果が現れている。
3. 2020年12月期業績見通し
2020年12月期業績見通しは、期初の予想どおり営業収益865億円、営業利益16億円、当期損失16億円を見込んでいる。新型コロナウイルスの業績への影響が懸念されるが、第1四半期の業績が好調であったことから、現時点では業績予想の修正は行わず、引き続き今後の業績モニタリングを慎重に行う方針だ。日本金融事業では信用保証業務及び債権回収業務を中心に、安定した利益を計上する。韓国及びモンゴル金融事業でも、低迷する韓国経済や金融規制強化のなか、2019年12月期の不良債権売却益がなくなるものの、良質なアセットが積み上がっていることから今期も引き続き安定的な利益を見込む。他方、東南アジア金融事業では、2019年8月より傘下に収めたカンボジアの優良銀行JTrust Royal Bank Plc.(以下、JTRB)の利益が1年間フルに貢献する一方、インドネシアの銀行PT Bank JTrust Indonesia,Tbk.(以下、BJI)では事業継続のための土台整備を2019年12月期で完了したものの、業績回復にまだ時間を要するため、損失を計上する見通しだ。また、投資事業でも通常発生する損失として損失計上を予想する。配当については前期並みの年間1円を予定している。
4. 中長期の成長戦略
同社グループでは、日本金融事業と韓国及びモンゴル金融事業で安定的に利益を確保する一方で、中期的には成長可能性が大きい東南アジア金融事業を原動力として、持続的な成長を目指している。そのために、日本金融事業では信用保証業務における保証商品の多角化を進めるほか、新たに在留外国人向け「グローバルカード」を発行し、また韓国及びモンゴル金融事業では引き続きサービスの向上と債権の「質」の向上を目指し、両事業から安定的な利益を得る計画だ。一方、懸案の東南アジア金融事業では早期の黒字転換を目指して、インドネシアでは優良なアセットの積み上げを図り、カンボジアでは顧客層を徐々に広げてアセット増を図る。藤澤前社長の事業拡大路線のもと、グループの業績改善の道筋が見えたことから、江口新社長は安定志向で着実な利益拡大に取り組む方針である。同社グループは、長期的には東南アジア金融事業の改善を中心に着実な業績回復を続けると見ている。
■Key Points
・日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業、東南アジア金融事業など、アジアの金融事業を中心に発展を目指す金融グループ。
・2020年12月期第1四半期は、日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業が好調で、営業利益は通期予想比92.5%に達する好決算。
・2020年12月期は、新型コロナウイルスの影響が懸念されるが、第1四半期業績が好調だったことから、現段階では期初の業績予想を維持。日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業を中心に利益を積み上げ、東南アジア金融事業では赤字幅の縮小を予想。
・新社長のもと、今後は東南アジア金融事業の改善を中心に、着実な業績回復を目指す。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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1. 会社概要
Jトラスト<8508>は、東証2部に上場しており、傘下に国内外の金融事業、非金融事業などを有するホールディングカンパニーである。藤澤信義(ふじさわのぶよし)前社長のもと、国内外で数々のM&Aにより成長を続けてきた結果、日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業、東南アジア金融事業を中心に2019年12月期の資産合計は7,000億円超の規模に拡大している。2019年3月期には東南アジア金融事業及び投資事業において大幅な営業損失を計上して不良債権の抜本的処理を断行し、業績回復への道筋を付けた。今後は、2020年3月に就任した江口譲二(えぐちじょうじ)新社長のもと、アジアでの金融3事業を中心に着実な成長を図る方針である。
2. 2020年12月期第1四半期の業績概要
同社では、海外子会社の増加に伴い、前連結会計年度(2019年12月期)より決算期を3月から12月に変更したことで、2019年12月期は9ヶ月決算となった。2020年12月期第1四半期の営業収益は195億円(前年同期(2019年4月〜6月)比13億円増)、営業利益は15億円(同11億円増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益15億円(同16億円増)と好スタートを切った。営業利益は通期予想比92.5%に達し、業績回復基調が鮮明となった。セグメント別営業利益では、日本金融事業は11億円(前年同期比1億円増)で、保証残高や回収実績は順調に推移し、通期予想比39%と計画を上回る着地となった。また、韓国及びモンゴル金融事業も21億円(同4億円減)と、通期予想比37%に達し、新型コロナウイルス感染拡大の特殊要因下でも確実に利益を確保した。さらに、再建に向けて改革を継続している東南アジア金融事業では、12億円の営業損失となったものの、前年同期比6億円の赤字縮小となり、着実に改革の成果が現れている。
3. 2020年12月期業績見通し
2020年12月期業績見通しは、期初の予想どおり営業収益865億円、営業利益16億円、当期損失16億円を見込んでいる。新型コロナウイルスの業績への影響が懸念されるが、第1四半期の業績が好調であったことから、現時点では業績予想の修正は行わず、引き続き今後の業績モニタリングを慎重に行う方針だ。日本金融事業では信用保証業務及び債権回収業務を中心に、安定した利益を計上する。韓国及びモンゴル金融事業でも、低迷する韓国経済や金融規制強化のなか、2019年12月期の不良債権売却益がなくなるものの、良質なアセットが積み上がっていることから今期も引き続き安定的な利益を見込む。他方、東南アジア金融事業では、2019年8月より傘下に収めたカンボジアの優良銀行JTrust Royal Bank Plc.(以下、JTRB)の利益が1年間フルに貢献する一方、インドネシアの銀行PT Bank JTrust Indonesia,Tbk.(以下、BJI)では事業継続のための土台整備を2019年12月期で完了したものの、業績回復にまだ時間を要するため、損失を計上する見通しだ。また、投資事業でも通常発生する損失として損失計上を予想する。配当については前期並みの年間1円を予定している。
4. 中長期の成長戦略
同社グループでは、日本金融事業と韓国及びモンゴル金融事業で安定的に利益を確保する一方で、中期的には成長可能性が大きい東南アジア金融事業を原動力として、持続的な成長を目指している。そのために、日本金融事業では信用保証業務における保証商品の多角化を進めるほか、新たに在留外国人向け「グローバルカード」を発行し、また韓国及びモンゴル金融事業では引き続きサービスの向上と債権の「質」の向上を目指し、両事業から安定的な利益を得る計画だ。一方、懸案の東南アジア金融事業では早期の黒字転換を目指して、インドネシアでは優良なアセットの積み上げを図り、カンボジアでは顧客層を徐々に広げてアセット増を図る。藤澤前社長の事業拡大路線のもと、グループの業績改善の道筋が見えたことから、江口新社長は安定志向で着実な利益拡大に取り組む方針である。同社グループは、長期的には東南アジア金融事業の改善を中心に着実な業績回復を続けると見ている。
■Key Points
・日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業、東南アジア金融事業など、アジアの金融事業を中心に発展を目指す金融グループ。
・2020年12月期第1四半期は、日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業が好調で、営業利益は通期予想比92.5%に達する好決算。
・2020年12月期は、新型コロナウイルスの影響が懸念されるが、第1四半期業績が好調だったことから、現段階では期初の業績予想を維持。日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業を中心に利益を積み上げ、東南アジア金融事業では赤字幅の縮小を予想。
・新社長のもと、今後は東南アジア金融事業の改善を中心に、着実な業績回復を目指す。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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