ミロク情報 Research Memo(6):2021年3月期は新型コロナウイルスの影響が前提に保守的に策定
[20/06/25]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■今後の見通し
1. 2021年3月期の業績見通し
ミロク情報サービス<9928>の2021年3月期の連結業績は、売上高で前期比1.4%増の36,000百万円、営業利益で同31.5%減の3,580百万円、経常利益で同32.2%減の3,600百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同27.2%増の2,340百万円となる見通しだ。新型コロナウイルス感染症の影響が第2四半期まで続き、第3四半期以降は事業環境が正常化することを前提とし、また、ストックビジネスであるサービス収入に関しては新規顧客獲得による上積み分を織り込まず、保守的な計画とした。2019年5月に公表した経営数値目標(売上高38,000百万円、経常利益8,000百万円)も新型コロナウイルスの影響を考慮して引き下げている。
単独業績は、売上高で前期比6.9%減の29,700百万円、経常利益で同32.9%減の3,300百万円を計画している。連結と単独で売上高に乖離が生じているのは、連結には子会社以外にM&Aによる増収効果を見込んでいるためだ。2020年5月までにグループ会社化した2社の売上とあわせて、M&Aによる効果で20億円程度の増収を見込んでいる。ただ、営業利益に関してはのれん償却を計上することもあり、影響は軽微となっている。
新型コロナウイルスの影響が第3四半期以降も続くようであれば、業績下振れリスクも出てくるが、第2四半期で収束し、売上高が計画を達成できれば、営業利益は上振れする可能性が高いと弊社では見ている。単独業績で見た場合、売上高は約20億円の減収となるが、減収分の大半はハードウェアやユースウェアとなっている。これらは相対的に利益率が低いこともあり、減収に伴う利益減のインパクトは保守的に見ても5億円前後かと思われる。一方、増益要因としては前期に早期償却したソフトウェア資産の償却負担(約10億円)が無くなることが挙げられる。開発費そのものは2億円程度増やす計画となっているため、差し引き約8億円の増益要因となる。そのほか、営業・開発部門を中心とした体制強化による人件費増(2020年春の新卒社員は約70名)や、福岡支社の移転費用など減益要因はあるものの、会社の利益計画は保守的との印象が強い。
また、収益性の高いサービス収入を前期比1.5%増の11,225百万円と保守的に見ているが、前第4四半期の売上高が2,874百万円となっており、契約件数が今後変わらなければ2021年3月期の売上高は単純に4倍の115億円程度が見込めることになり、当期分で獲得する新規契約分がさらに上積みされることになる。景気悪化で中小企業のIT投資が冷え込むリスクもあるため、先行きに関しては不透明感が残るものの、第2四半期までに新型コロナウイルスの影響が収束し、売上高が計画通りに推移するようであれば、利益ベースで会社計画を上回る可能性が高いと弊社では見ている。
なお、M&Aにより新たにグループ会社として加わったのは、独立系で国内最大級の組織・人事コンサルティングファームである(株)トランストラクチャと、セントラル警備保障(株)<9740>の子会社で、店舗内現金の管理・流通効率化等を行うスパイス(株)の2社となる。このうち、トランストラクチャに関しては、企業の適性にあわせた新たな人事制度の「計画・設計」から「導入・運用」の支援までを行っており、人事評価分析ツールの開発・提供も行っている。今回、トランストラクチャを子会社化することで、同社のERP製品とトランストラクチャの組織・人事コンサルティングソリューションを連携・融合させ、より高度で効果的なHRソリューションの提供を、同社の全国31拠点における営業基盤や顧客基盤を活用して展開していくことにしている。現在、トランストラクチャは首都圏のみの展開で、売上規模は年間10億円程度、営業利益率は1割強程度の水準となっている。今後は全国各地で共同セミナーを開催し、新規顧客の獲得を進めていく方針で、同社の営業力を活用することで、事業規模の一層の拡大が期待される。
一方、スパイスは商業施設などにテナント出店している企業に対して、売上金の早期資金化を図るサービスを主に提供している。商業施設にテナント出店した場合は、日々の売上金を一旦、商業施設運営側が回収するため、資金回収までに一定の期間を要している。スパイスで支払代行・収納代行を行うことで店舗のキャッシュ・フロー効率化と現金の取り扱いリスク極小化を支援している。今回はフィンテックサービスの開発を行うMJS Finance&Technologyが子会社化した。今後、両社のノウハウを融合することで、新たな商業施設の開拓、キャッシュレス売上金立替え払いサービスなどの新規サービスの事業化を進めていく予定となっている。また、同社は今回のM&Aによって構築した関係を活かしてセントラル警備保障と提携する中小警備会社に対して、同社製品・サービスの提供を進めていくほか、mmapを通じて中小警備会社のM&A等の支援を行っていく考えだ。今後も同社ではM&Aについて前向きに検討を進めていく方針となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2021年3月期の業績見通し
ミロク情報サービス<9928>の2021年3月期の連結業績は、売上高で前期比1.4%増の36,000百万円、営業利益で同31.5%減の3,580百万円、経常利益で同32.2%減の3,600百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同27.2%増の2,340百万円となる見通しだ。新型コロナウイルス感染症の影響が第2四半期まで続き、第3四半期以降は事業環境が正常化することを前提とし、また、ストックビジネスであるサービス収入に関しては新規顧客獲得による上積み分を織り込まず、保守的な計画とした。2019年5月に公表した経営数値目標(売上高38,000百万円、経常利益8,000百万円)も新型コロナウイルスの影響を考慮して引き下げている。
単独業績は、売上高で前期比6.9%減の29,700百万円、経常利益で同32.9%減の3,300百万円を計画している。連結と単独で売上高に乖離が生じているのは、連結には子会社以外にM&Aによる増収効果を見込んでいるためだ。2020年5月までにグループ会社化した2社の売上とあわせて、M&Aによる効果で20億円程度の増収を見込んでいる。ただ、営業利益に関してはのれん償却を計上することもあり、影響は軽微となっている。
新型コロナウイルスの影響が第3四半期以降も続くようであれば、業績下振れリスクも出てくるが、第2四半期で収束し、売上高が計画を達成できれば、営業利益は上振れする可能性が高いと弊社では見ている。単独業績で見た場合、売上高は約20億円の減収となるが、減収分の大半はハードウェアやユースウェアとなっている。これらは相対的に利益率が低いこともあり、減収に伴う利益減のインパクトは保守的に見ても5億円前後かと思われる。一方、増益要因としては前期に早期償却したソフトウェア資産の償却負担(約10億円)が無くなることが挙げられる。開発費そのものは2億円程度増やす計画となっているため、差し引き約8億円の増益要因となる。そのほか、営業・開発部門を中心とした体制強化による人件費増(2020年春の新卒社員は約70名)や、福岡支社の移転費用など減益要因はあるものの、会社の利益計画は保守的との印象が強い。
また、収益性の高いサービス収入を前期比1.5%増の11,225百万円と保守的に見ているが、前第4四半期の売上高が2,874百万円となっており、契約件数が今後変わらなければ2021年3月期の売上高は単純に4倍の115億円程度が見込めることになり、当期分で獲得する新規契約分がさらに上積みされることになる。景気悪化で中小企業のIT投資が冷え込むリスクもあるため、先行きに関しては不透明感が残るものの、第2四半期までに新型コロナウイルスの影響が収束し、売上高が計画通りに推移するようであれば、利益ベースで会社計画を上回る可能性が高いと弊社では見ている。
なお、M&Aにより新たにグループ会社として加わったのは、独立系で国内最大級の組織・人事コンサルティングファームである(株)トランストラクチャと、セントラル警備保障(株)<9740>の子会社で、店舗内現金の管理・流通効率化等を行うスパイス(株)の2社となる。このうち、トランストラクチャに関しては、企業の適性にあわせた新たな人事制度の「計画・設計」から「導入・運用」の支援までを行っており、人事評価分析ツールの開発・提供も行っている。今回、トランストラクチャを子会社化することで、同社のERP製品とトランストラクチャの組織・人事コンサルティングソリューションを連携・融合させ、より高度で効果的なHRソリューションの提供を、同社の全国31拠点における営業基盤や顧客基盤を活用して展開していくことにしている。現在、トランストラクチャは首都圏のみの展開で、売上規模は年間10億円程度、営業利益率は1割強程度の水準となっている。今後は全国各地で共同セミナーを開催し、新規顧客の獲得を進めていく方針で、同社の営業力を活用することで、事業規模の一層の拡大が期待される。
一方、スパイスは商業施設などにテナント出店している企業に対して、売上金の早期資金化を図るサービスを主に提供している。商業施設にテナント出店した場合は、日々の売上金を一旦、商業施設運営側が回収するため、資金回収までに一定の期間を要している。スパイスで支払代行・収納代行を行うことで店舗のキャッシュ・フロー効率化と現金の取り扱いリスク極小化を支援している。今回はフィンテックサービスの開発を行うMJS Finance&Technologyが子会社化した。今後、両社のノウハウを融合することで、新たな商業施設の開拓、キャッシュレス売上金立替え払いサービスなどの新規サービスの事業化を進めていく予定となっている。また、同社は今回のM&Aによって構築した関係を活かしてセントラル警備保障と提携する中小警備会社に対して、同社製品・サービスの提供を進めていくほか、mmapを通じて中小警備会社のM&A等の支援を行っていく考えだ。今後も同社ではM&Aについて前向きに検討を進めていく方針となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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