エレマテック Research Memo(3):多数の商材・取引先を生かして業績の安定成長を実現
[20/06/29]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■会社概要
2. 特長と強み
エレマテック<2715>の特長としてまず挙げられるのは、多数の取引先と商材を抱える点だ。仕入先は約7,100社(メーカー)にのぼり、一方で約6,600社の販売先(ユーザー)に対して、電子材料や電子部品を中心とする広範囲で多様な商材の取引を行っている。個別の仕入先および販売先は開示されていないが、主な販売先上位10社で売上高の約42.1%(2020年3月期)を占める。このように仕入先や販売先、取扱い商品が分散されているため、業績は特定の顧客や製品の動向に大きく左右されることが少なく安定した成長の持続が可能となっている。
また多数の商材、顧客を抱えていることから機敏に新しい成長分野への展開を行えるのも同社の強みだろう。同社は現在、スマートフォンから自動車やロボット等へ事業の軸足を移す過渡期にある。言うまでもなく、それぞれの市場の成長性の変化に対応したものだ。足元は米中貿易摩擦の激化によって決して理想的な事業環境とは言えないが、事業環境と成長市場という2つの変動要因を巧みにコントロールして業績面で大きな谷間を作ることなく、変化の波を乗り切ろうとしていることに同社の本領が発揮されていると言えるだろう。
同社が提供しているのは、最適な部材の供給、信用供与・ファイナンス、納期・在庫の管理といったエレクトロニクス商社としてのベーシックなサービス・機能だけではない。製造サービス、調達代行サービスなど、より高度で付加価値の高いサービス・機能も提供している。同社は5つのサービス・機能を掲げているが、こうした機能があるからこそ、多様な商材をビジネスにつなげ、業績に落とし込むことができているということだ。
同社は今後、自社の有する特長・強みと、独立系技術商社としての機能・知見とを組み合わせ、「付加価値創造」の取り組みを強化する方針だ。そして、今後はこの「付加価値創造力」を成長の原動力の1つとしていく方針だ。これまでは、成長市場への機敏な対応という「横展開」が収益成長のけん引力であったが、今後は、付加価値創造という「縦展開」(深堀り)でさらなる成長を目指す方針だ。
3. 5つのサービス・機能
(1) 企画開発・設計:真のニーズにマッチした製品の企画開発・設計
顧客の購買部門だけでなく、設計・開発部門などとも深い関わりを持ち、真のニーズを掘り起こしている。ちょっとしたヒントからでもニーズを汲み取り、営業部門・開発部・技術部が一体となって検討を重ね、新しいパーツやユニットなどを企画開発・設計する。技術部では、機構及び電気回路設計などの専門家と、3D CAD・3Dプリンター・NC工作機械などの試作設備も保有している。これらリソースの活用に加え、長年培ってきたノウハウや最先端の専門知識をもとに、膨大な営業基盤を生かして、顧客のニーズにマッチした製品を提供する。
(2) 調達代行サービス:顧客が求める品質・コスト・納期に最適な部材の調達代行
多数の調達先管理、頻雑な発注・納期管理など、顧客の業務効率化とコスト低減を実現するため、同社が調達業務を代行する。長年培ってきたノウハウ・専門知識を駆使して、国内外問わず部材を調達し、品質管理や納期管理を徹底し、また、指定された部材の取り扱いだけでなく、世界中の多くの仕入先のそれぞれが持つ得意分野をしっかり把握した上で、より適した調達先を選定し提案する。万一の品質問題等の発生時にもワールドワイドで拠点を生かして迅速に対応する。
(3) 製造サービス:高品質な製造サービスを提供し、個別のカスタマイズにも対応
世界中の拠点ネットワークを通じて集められる、顧客の製品開発情報や最新技術情報をもとにして、顧客ごとに個別に企画開発・設計されたカスタマイズ品やモジュール品を製造するために、同社では国内1ヶ所(横浜)、海外2ヶ所(大連、無錫)に加工工場を設けている。また、自社工場ばかりでなく、優良な技術やコスト競争力を持った国内外の外部製造委託先とタッグを組んで、カスタマイズ品・モジュール品に加え、完成品(ODM)も提供することができる。「情報」「技術」「モノの作り方」を理解し、グローバルなサプライチェーンを構築している。
(4) 品質・環境マネジメント:高品質な製品の提供と高度な品質管理体制の確立
顧客からの高度な品質要求に応えるため、様々なサービスを提供している。顧客の監査要望書に基づき、成分分析などの環境対策や製品が基準を満たしているかを検査するのはもちろん、試作から量産に移行する際に、安定した量産が行えるかも確認している。また、万一不良品が発生した場合には、顧客と共に不良品の識別、解析を迅速に行い、改善計画を立案して実施し、再発防止に取り組むなど、環境・品質保証部を中心にあらゆる面からサポートしている。
(5) 海外ネットワーク:ワールドワイドなネットワークを使って、スムーズなグローバル物流を実現する
グローバル化が進んだ今、日本を経由しない、いわゆる三国間ビジネスが拡大している一方で、世界的なビジネスの潮流も、「世界の工場」と呼ばれてきた中国から、ASEANを中心に生産移管が進むといった変化が起こっている。同社のワールドワイド・ネットワークはこうした流れにも対応できる。日本国内の拠点と海外現地法人ばかりでなく、海外現地法人同士が密な連携を図ることに加え、国内外を問わずいつも顧客の身近にいることで、時差も、言葉の壁も超えて、より迅速でスムーズなコミュニケーションや物流を実現している。
以上のように、同社は単なる部品商社ではなく様々なサービスや機能を有している。言い換えれば、上記の「5つのサービスや機能」を提供することで単純な商社機能に付加価値をオンしており、その結果として相対的に高い粗利率を維持している。今後も「5つのサービスや機能」をより活用していくことで、同社の粗利率はさらに向上していくはずだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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2. 特長と強み
エレマテック<2715>の特長としてまず挙げられるのは、多数の取引先と商材を抱える点だ。仕入先は約7,100社(メーカー)にのぼり、一方で約6,600社の販売先(ユーザー)に対して、電子材料や電子部品を中心とする広範囲で多様な商材の取引を行っている。個別の仕入先および販売先は開示されていないが、主な販売先上位10社で売上高の約42.1%(2020年3月期)を占める。このように仕入先や販売先、取扱い商品が分散されているため、業績は特定の顧客や製品の動向に大きく左右されることが少なく安定した成長の持続が可能となっている。
また多数の商材、顧客を抱えていることから機敏に新しい成長分野への展開を行えるのも同社の強みだろう。同社は現在、スマートフォンから自動車やロボット等へ事業の軸足を移す過渡期にある。言うまでもなく、それぞれの市場の成長性の変化に対応したものだ。足元は米中貿易摩擦の激化によって決して理想的な事業環境とは言えないが、事業環境と成長市場という2つの変動要因を巧みにコントロールして業績面で大きな谷間を作ることなく、変化の波を乗り切ろうとしていることに同社の本領が発揮されていると言えるだろう。
同社が提供しているのは、最適な部材の供給、信用供与・ファイナンス、納期・在庫の管理といったエレクトロニクス商社としてのベーシックなサービス・機能だけではない。製造サービス、調達代行サービスなど、より高度で付加価値の高いサービス・機能も提供している。同社は5つのサービス・機能を掲げているが、こうした機能があるからこそ、多様な商材をビジネスにつなげ、業績に落とし込むことができているということだ。
同社は今後、自社の有する特長・強みと、独立系技術商社としての機能・知見とを組み合わせ、「付加価値創造」の取り組みを強化する方針だ。そして、今後はこの「付加価値創造力」を成長の原動力の1つとしていく方針だ。これまでは、成長市場への機敏な対応という「横展開」が収益成長のけん引力であったが、今後は、付加価値創造という「縦展開」(深堀り)でさらなる成長を目指す方針だ。
3. 5つのサービス・機能
(1) 企画開発・設計:真のニーズにマッチした製品の企画開発・設計
顧客の購買部門だけでなく、設計・開発部門などとも深い関わりを持ち、真のニーズを掘り起こしている。ちょっとしたヒントからでもニーズを汲み取り、営業部門・開発部・技術部が一体となって検討を重ね、新しいパーツやユニットなどを企画開発・設計する。技術部では、機構及び電気回路設計などの専門家と、3D CAD・3Dプリンター・NC工作機械などの試作設備も保有している。これらリソースの活用に加え、長年培ってきたノウハウや最先端の専門知識をもとに、膨大な営業基盤を生かして、顧客のニーズにマッチした製品を提供する。
(2) 調達代行サービス:顧客が求める品質・コスト・納期に最適な部材の調達代行
多数の調達先管理、頻雑な発注・納期管理など、顧客の業務効率化とコスト低減を実現するため、同社が調達業務を代行する。長年培ってきたノウハウ・専門知識を駆使して、国内外問わず部材を調達し、品質管理や納期管理を徹底し、また、指定された部材の取り扱いだけでなく、世界中の多くの仕入先のそれぞれが持つ得意分野をしっかり把握した上で、より適した調達先を選定し提案する。万一の品質問題等の発生時にもワールドワイドで拠点を生かして迅速に対応する。
(3) 製造サービス:高品質な製造サービスを提供し、個別のカスタマイズにも対応
世界中の拠点ネットワークを通じて集められる、顧客の製品開発情報や最新技術情報をもとにして、顧客ごとに個別に企画開発・設計されたカスタマイズ品やモジュール品を製造するために、同社では国内1ヶ所(横浜)、海外2ヶ所(大連、無錫)に加工工場を設けている。また、自社工場ばかりでなく、優良な技術やコスト競争力を持った国内外の外部製造委託先とタッグを組んで、カスタマイズ品・モジュール品に加え、完成品(ODM)も提供することができる。「情報」「技術」「モノの作り方」を理解し、グローバルなサプライチェーンを構築している。
(4) 品質・環境マネジメント:高品質な製品の提供と高度な品質管理体制の確立
顧客からの高度な品質要求に応えるため、様々なサービスを提供している。顧客の監査要望書に基づき、成分分析などの環境対策や製品が基準を満たしているかを検査するのはもちろん、試作から量産に移行する際に、安定した量産が行えるかも確認している。また、万一不良品が発生した場合には、顧客と共に不良品の識別、解析を迅速に行い、改善計画を立案して実施し、再発防止に取り組むなど、環境・品質保証部を中心にあらゆる面からサポートしている。
(5) 海外ネットワーク:ワールドワイドなネットワークを使って、スムーズなグローバル物流を実現する
グローバル化が進んだ今、日本を経由しない、いわゆる三国間ビジネスが拡大している一方で、世界的なビジネスの潮流も、「世界の工場」と呼ばれてきた中国から、ASEANを中心に生産移管が進むといった変化が起こっている。同社のワールドワイド・ネットワークはこうした流れにも対応できる。日本国内の拠点と海外現地法人ばかりでなく、海外現地法人同士が密な連携を図ることに加え、国内外を問わずいつも顧客の身近にいることで、時差も、言葉の壁も超えて、より迅速でスムーズなコミュニケーションや物流を実現している。
以上のように、同社は単なる部品商社ではなく様々なサービスや機能を有している。言い換えれば、上記の「5つのサービスや機能」を提供することで単純な商社機能に付加価値をオンしており、その結果として相対的に高い粗利率を維持している。今後も「5つのサービスや機能」をより活用していくことで、同社の粗利率はさらに向上していくはずだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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