泉州電業 Research Memo(1):独立系電線商社の大手。堅実経営で着実な成長続く
[20/06/30]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
泉州電業<9824>は、独立系では国内トップの電線の総合専門商社である。仕入先は約250社、在庫商品アイテム数は約5万点に上り、「必要な商品を、必要な分だけ、必要なときに届ける」というデリバリー体制が強みである。自社開発のオリジナル商品で差別化を図っている。
1. 2020年10月期第2四半期の連結業績(実績)
2020年10月期第2四半期の連結業績は、売上高38,399百万円(前年同期比9.4%減)、営業利益1,804百万円(同16.1%減)、経常利益1,911百万円(同15.5%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益1,320百万円(同13.1%減)となった。主に3つの要因で減収となった。1つ目は銅価格の下落(期中平均の銅価格は前年同期比で10.7%下落)により売上高が減少したこと、2つ目は、米中貿易摩擦の影響により工作機械や自動車関連向けの機器用電線の需要が第1四半期から第2四半期前半に低迷したこと、3つ目は、第2四半期後半に入り新型コロナウィルス感染症(以下、コロナ)の影響で一部の営業活動や出荷が停滞したことによる。銅価格が下がったことで売上総利益率は前年同期の15.7%から16.6%へ上昇したが、売上総利益は6,388百万円(同4.2%減)となり、販管費の増加(同1.5%増)により営業利益は同16.1%減となった。
2. 2020年10月期の連結業績(予想)
同社は上期の結果(営業減益)を受けて、2020年10月期通期の連結業績を下方修正した。現時点では、コロナの影響も勘案して売上高で前期比9.1%減の76,100百万円、営業利益で同11.8%減の3,510百万円、経常利益で同12.0%減の3,700百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同9.4%減の2,460百万円と予想されている。期中の平均銅価格は630千円/トン(前期比10.8%減)を予想している。上期はコロナの影響も含めて厳しい環境であったが、下期には半導体製造装置向けなどの需要が回復すると見ており、通期ではこの目標を達成する計画だ。
3. 中期経営計画の目標(2021年10月期に経常利益50億円)
さらに同社は、2019年11月18日に設立70周年を迎えたことに合わせて、2021年10月期を最終年度とする中期経営計画を発表している。この計画の数値目標は、売上高1,000億円、経常利益50億円、ROE6.0%以上となっている。現時点ではこの目標を変えていないが、2020年10月期がコロナの影響もあり減益となる見込みであることから、現在新しい中期経営計画(3ヶ年)を作成中である。2020年10月期が終了した時点で発表される予定だ。
4. 株主還元、資本効率改善にも前向き
同社の財務体質は良好であり、加えて「今後は資本効率を改善し、まずはROE8.0%を目指す」と述べている。実現のための具体策として、年間配当を2016年10月期の40円から、2017年10月期45円、2018年10月期55円、2019年10月期には70円(内、記念配当10円)の配当を実施した。進行中の2020年10月期には普通配当で年間70円の配当を予定している。加えて、2016年10月期に271,700株、2018年10月期150,000株、2019年10月期にも300,000株の自社株買いを実行した。さらに進行中の2020年10月期も上期に146,600株(499百万円)の自社株買いを行い、下期も170,000株(上限500百万円)を行うことを公表している。この結果、2020年10月期の総還元性向は67.6%(前期55.4%)になる見込みだ。このような株主還元、資本効率の向上に向けた同社の姿勢は大いに評価されるべきだろう。
■Key Points
・独立系では最大手の総合電線商社。オリジナル商品で差別化を図る
・2020年10月期はコロナの影響等で営業利益は前期比11.8%減を計画
・新中期経営計画を作成中、株主還元にも前向き(2020年10月期の総還元性向は67.6%予想)
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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泉州電業<9824>は、独立系では国内トップの電線の総合専門商社である。仕入先は約250社、在庫商品アイテム数は約5万点に上り、「必要な商品を、必要な分だけ、必要なときに届ける」というデリバリー体制が強みである。自社開発のオリジナル商品で差別化を図っている。
1. 2020年10月期第2四半期の連結業績(実績)
2020年10月期第2四半期の連結業績は、売上高38,399百万円(前年同期比9.4%減)、営業利益1,804百万円(同16.1%減)、経常利益1,911百万円(同15.5%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益1,320百万円(同13.1%減)となった。主に3つの要因で減収となった。1つ目は銅価格の下落(期中平均の銅価格は前年同期比で10.7%下落)により売上高が減少したこと、2つ目は、米中貿易摩擦の影響により工作機械や自動車関連向けの機器用電線の需要が第1四半期から第2四半期前半に低迷したこと、3つ目は、第2四半期後半に入り新型コロナウィルス感染症(以下、コロナ)の影響で一部の営業活動や出荷が停滞したことによる。銅価格が下がったことで売上総利益率は前年同期の15.7%から16.6%へ上昇したが、売上総利益は6,388百万円(同4.2%減)となり、販管費の増加(同1.5%増)により営業利益は同16.1%減となった。
2. 2020年10月期の連結業績(予想)
同社は上期の結果(営業減益)を受けて、2020年10月期通期の連結業績を下方修正した。現時点では、コロナの影響も勘案して売上高で前期比9.1%減の76,100百万円、営業利益で同11.8%減の3,510百万円、経常利益で同12.0%減の3,700百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同9.4%減の2,460百万円と予想されている。期中の平均銅価格は630千円/トン(前期比10.8%減)を予想している。上期はコロナの影響も含めて厳しい環境であったが、下期には半導体製造装置向けなどの需要が回復すると見ており、通期ではこの目標を達成する計画だ。
3. 中期経営計画の目標(2021年10月期に経常利益50億円)
さらに同社は、2019年11月18日に設立70周年を迎えたことに合わせて、2021年10月期を最終年度とする中期経営計画を発表している。この計画の数値目標は、売上高1,000億円、経常利益50億円、ROE6.0%以上となっている。現時点ではこの目標を変えていないが、2020年10月期がコロナの影響もあり減益となる見込みであることから、現在新しい中期経営計画(3ヶ年)を作成中である。2020年10月期が終了した時点で発表される予定だ。
4. 株主還元、資本効率改善にも前向き
同社の財務体質は良好であり、加えて「今後は資本効率を改善し、まずはROE8.0%を目指す」と述べている。実現のための具体策として、年間配当を2016年10月期の40円から、2017年10月期45円、2018年10月期55円、2019年10月期には70円(内、記念配当10円)の配当を実施した。進行中の2020年10月期には普通配当で年間70円の配当を予定している。加えて、2016年10月期に271,700株、2018年10月期150,000株、2019年10月期にも300,000株の自社株買いを実行した。さらに進行中の2020年10月期も上期に146,600株(499百万円)の自社株買いを行い、下期も170,000株(上限500百万円)を行うことを公表している。この結果、2020年10月期の総還元性向は67.6%(前期55.4%)になる見込みだ。このような株主還元、資本効率の向上に向けた同社の姿勢は大いに評価されるべきだろう。
■Key Points
・独立系では最大手の総合電線商社。オリジナル商品で差別化を図る
・2020年10月期はコロナの影響等で営業利益は前期比11.8%減を計画
・新中期経営計画を作成中、株主還元にも前向き(2020年10月期の総還元性向は67.6%予想)
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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