リソル Research Memo(3):シナジーモデルは特徴であり、強みでもある
[20/07/14]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■事業概要
リソルホールディングス<5261>の2020年3月期における事業セグメント別売上高構成比を見ると、ホテル運営事業とゴルフ運営事業の構成比が大きく、この2事業がグループの収益を安定的に支えてきたことが分かる。また、長期成長のけん引役が期待されるCCRC事業(リソルの森事業)、福利厚生事業、再生エネルギー事業が次に大きいグループを形成している。同社の事業セグメントはこのように一見ばらばらのようだが、福利厚生事業を要に、後述する「リソルサイクル」によってシナジーを醸成している。また、不動産関連事業の売上高構成比は低く、投資再生事業の案件次第で他の事業の収益や営業外収益になることもあるため目立たないが、バリューアップ型の事業であるため、同社の業績とシナジーを裏で支えている。こうしたシナジーモデルは同社の大きな特徴であり、強みとなっている。
多彩なブランドで多様な宿泊ニーズに対応
1. ホテル運営事業
ホテル運営事業は同社の主力事業で、「ホテルリソル」ブランドの各種シリーズや温泉付き上級リゾート「スパ & ゴルフリゾート」、ペットと泊まれる「ペット & スパホテル」、暮らすように泊まる「リソルステイ(直営別荘スイートヴィラ)」、マリンリゾート「プリシアリゾートヨロン」など、全国に多彩なブランドで38施設を運営している(本レポート配信時点・一部他事業を含む)。こうしたフォーメーションは、利用者に地域や滞在期間、利用目的などによって「選べる利便性」を提供する一方、同社自身にとっても、地域・客層・競合など諸条件を厳密に評価しながら運営の最適化を図ることができ、投資戦略やマーケティング戦略をきめ細かく設定できるというメリットがある。
なかでも主力ブランドの「ホテルリソル」は、「くつろぎを、デザインする。」をコンセプトに全国16ヶ所(2020年3月末)に展開、同社の収益の柱となっている。また、同ブランドには、主軸の「ホテルリソル」シリーズとワンランク上の「ホテルリソルトリニティ」シリーズがあり、自宅のようにくつろげる居心地の良い「リビングロビー®」※、客室の中で靴を脱いでくつろげる「シューズオフスタイル」、「RESOLオリジナル快眠ベッド」や「ウェルカムアロマ」など、くつろぎの「リソルスタイル」が人気となっている。また、笑顔の接客はもちろん、ポイントを貯めて使える「リソルカードH」や宿泊者アンケートによるフォローアップなど、徹底した顧客志向が他社との大きな差別化要素になっている。なお、新形態のキャビン型宿泊施設「リソルポシュテル」を2020年1月に東京浅草にオープンした。江戸の文化と歴史の空気をまとった新しい形態の宿泊施設で、「ポシュテル」とは「ホステル」に上品な・洗練されたという意味の「ポッシュ」という言葉を掛け合わせたものである。個人だけでなく、家族連れや女性グループにも利用しやすい4〜6名個室や団体貸し切り部屋も用意している。
※リビングロビーは同社の登録商標。
シチュエーションとサービスの在り方に応じた4つの運営スタイル
2. ゴルフ運営事業
ゴルフ運営事業は、シチュエーションとサービスの在り方に応じて4つの運営スタイルで顧客のニーズに対応している。品格や伝統を重視したワンランク上のサービスを提供する「上級」、レストランの上質化を図りながらゴルファーはもちろん家族や地域の人々が交流するコミュニティの場も提供する「カントリークラブ」、オペレーションの効率化でリーズナブルな価格を実現し気軽にたくさんゴルフを楽しめる「カジュアル」、リゾートホテルやヴィラに滞在しながらゴルフはもちろん上質な食事や観光などもゆったり楽しむことができる「リゾートコース」である。なお、「上級」の「中京ゴルフ倶楽部石野コース」を単独で経営することになった。四季の変化に富んだなだらかな丘陵地帯にある美しいコースで、従来の伝統と格式を維持しつつ、中部地区最上級のコースとしてこれまで以上に質の高いサービスを提供していく方針である。
延期になったとはいえ、東京オリンピックでゴルフが正式種目に選ばれたことは、ゴルフ人口の拡大につながると期待されている。このため同社は、ゴルフ場運営で蓄積したマネジメントノウハウを、ゴルフ場経営コンサルティングやニューマーケットの創出に生かし、新規客やリピーターの確保へ向けて様々な施策を展開している。ゴルフプレーヤー以外でも気軽に利用できる、ゴルフ場のレストランを活用した「バンケット事業」は、既に地域のコミュニティとして順調に根付いている。ほかにも、女性や初心者向けメニューなどの開発や、リピーター向けにQRコードを活用した各種ポイント優待施策を実施している。また、グループが運営する施設で共通に使える「リソルカードG」を用いて、チェックインから精算までをワンストップで行うことができる、自動精算機「リソルカードナビステーション(ナビステ)」を活用し、利用者に利便性と各種会員サービスを提供しながら、事業所は合理化を推進することができる。
「リソルの森」をフルリニューアル
3. CCRC事業(リソルの森事業)
大規模改修をしていた「リソル生命の森」を、2020年4月1日、体験型リゾート施設「Sport & Do Resort リソルの森」と名称も新たにリニューアルオープンした。「Sport & Do Resort リソルの森」は、都心から50km圏内という絶好のロケーションに位置し、緑豊かで広大な敷地に、宿泊施設、ゴルフ場、多彩なスポーツ・レジャー・レクリエーション施設、レストランやクリニックを併せ持つ多世代交流型リゾートコミュニティである。そこで、スポーツ・ウェルネス・自然を通して生きがいや絆、健康、くつろぎを提供する、多世代交流型ウェルネス事業を展開しており、同社と千葉大学、千葉県長柄町の3者で「大学連携型CCRC※」の構想実現を進めている。しかし、建設コストや介護・医療の面で地域や他社との連携が必要とされるプロジェクトであるため、完成までに長い期間を想定する必要がある。そこで、リニューアルの内容は後述するが、今回のリニューアルで「ワーク」という切り口を取り入れた。これにより、収益化を進めやすくなると思われる。
※同社グループと長柄町、千葉大学の「産官学」が協力し、一般的なCCRC(Continuing Care Retirement Community)という概念の枠を超えて進める取り組み。千葉大学は「知的資源を生かした生涯学習や学生との交流」や「予防医学や先進的な健康支援」など主に「学ぶ」と「健康」を、長柄町は「高齢者の住替え支援」や「地域住民との交流」、「地域医療機関の連携」などによって「地域社会との協働」を、そして同社は施設やプログラム、専門のスタッフを通じて「健康寿命の延伸」や「スポーツ・趣味活動・各種イベント」を提供し、3者で生きがいや家族・友人との絆づくり、多世代間で交流を促す場を築いている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<NB>
リソルホールディングス<5261>の2020年3月期における事業セグメント別売上高構成比を見ると、ホテル運営事業とゴルフ運営事業の構成比が大きく、この2事業がグループの収益を安定的に支えてきたことが分かる。また、長期成長のけん引役が期待されるCCRC事業(リソルの森事業)、福利厚生事業、再生エネルギー事業が次に大きいグループを形成している。同社の事業セグメントはこのように一見ばらばらのようだが、福利厚生事業を要に、後述する「リソルサイクル」によってシナジーを醸成している。また、不動産関連事業の売上高構成比は低く、投資再生事業の案件次第で他の事業の収益や営業外収益になることもあるため目立たないが、バリューアップ型の事業であるため、同社の業績とシナジーを裏で支えている。こうしたシナジーモデルは同社の大きな特徴であり、強みとなっている。
多彩なブランドで多様な宿泊ニーズに対応
1. ホテル運営事業
ホテル運営事業は同社の主力事業で、「ホテルリソル」ブランドの各種シリーズや温泉付き上級リゾート「スパ & ゴルフリゾート」、ペットと泊まれる「ペット & スパホテル」、暮らすように泊まる「リソルステイ(直営別荘スイートヴィラ)」、マリンリゾート「プリシアリゾートヨロン」など、全国に多彩なブランドで38施設を運営している(本レポート配信時点・一部他事業を含む)。こうしたフォーメーションは、利用者に地域や滞在期間、利用目的などによって「選べる利便性」を提供する一方、同社自身にとっても、地域・客層・競合など諸条件を厳密に評価しながら運営の最適化を図ることができ、投資戦略やマーケティング戦略をきめ細かく設定できるというメリットがある。
なかでも主力ブランドの「ホテルリソル」は、「くつろぎを、デザインする。」をコンセプトに全国16ヶ所(2020年3月末)に展開、同社の収益の柱となっている。また、同ブランドには、主軸の「ホテルリソル」シリーズとワンランク上の「ホテルリソルトリニティ」シリーズがあり、自宅のようにくつろげる居心地の良い「リビングロビー®」※、客室の中で靴を脱いでくつろげる「シューズオフスタイル」、「RESOLオリジナル快眠ベッド」や「ウェルカムアロマ」など、くつろぎの「リソルスタイル」が人気となっている。また、笑顔の接客はもちろん、ポイントを貯めて使える「リソルカードH」や宿泊者アンケートによるフォローアップなど、徹底した顧客志向が他社との大きな差別化要素になっている。なお、新形態のキャビン型宿泊施設「リソルポシュテル」を2020年1月に東京浅草にオープンした。江戸の文化と歴史の空気をまとった新しい形態の宿泊施設で、「ポシュテル」とは「ホステル」に上品な・洗練されたという意味の「ポッシュ」という言葉を掛け合わせたものである。個人だけでなく、家族連れや女性グループにも利用しやすい4〜6名個室や団体貸し切り部屋も用意している。
※リビングロビーは同社の登録商標。
シチュエーションとサービスの在り方に応じた4つの運営スタイル
2. ゴルフ運営事業
ゴルフ運営事業は、シチュエーションとサービスの在り方に応じて4つの運営スタイルで顧客のニーズに対応している。品格や伝統を重視したワンランク上のサービスを提供する「上級」、レストランの上質化を図りながらゴルファーはもちろん家族や地域の人々が交流するコミュニティの場も提供する「カントリークラブ」、オペレーションの効率化でリーズナブルな価格を実現し気軽にたくさんゴルフを楽しめる「カジュアル」、リゾートホテルやヴィラに滞在しながらゴルフはもちろん上質な食事や観光などもゆったり楽しむことができる「リゾートコース」である。なお、「上級」の「中京ゴルフ倶楽部石野コース」を単独で経営することになった。四季の変化に富んだなだらかな丘陵地帯にある美しいコースで、従来の伝統と格式を維持しつつ、中部地区最上級のコースとしてこれまで以上に質の高いサービスを提供していく方針である。
延期になったとはいえ、東京オリンピックでゴルフが正式種目に選ばれたことは、ゴルフ人口の拡大につながると期待されている。このため同社は、ゴルフ場運営で蓄積したマネジメントノウハウを、ゴルフ場経営コンサルティングやニューマーケットの創出に生かし、新規客やリピーターの確保へ向けて様々な施策を展開している。ゴルフプレーヤー以外でも気軽に利用できる、ゴルフ場のレストランを活用した「バンケット事業」は、既に地域のコミュニティとして順調に根付いている。ほかにも、女性や初心者向けメニューなどの開発や、リピーター向けにQRコードを活用した各種ポイント優待施策を実施している。また、グループが運営する施設で共通に使える「リソルカードG」を用いて、チェックインから精算までをワンストップで行うことができる、自動精算機「リソルカードナビステーション(ナビステ)」を活用し、利用者に利便性と各種会員サービスを提供しながら、事業所は合理化を推進することができる。
「リソルの森」をフルリニューアル
3. CCRC事業(リソルの森事業)
大規模改修をしていた「リソル生命の森」を、2020年4月1日、体験型リゾート施設「Sport & Do Resort リソルの森」と名称も新たにリニューアルオープンした。「Sport & Do Resort リソルの森」は、都心から50km圏内という絶好のロケーションに位置し、緑豊かで広大な敷地に、宿泊施設、ゴルフ場、多彩なスポーツ・レジャー・レクリエーション施設、レストランやクリニックを併せ持つ多世代交流型リゾートコミュニティである。そこで、スポーツ・ウェルネス・自然を通して生きがいや絆、健康、くつろぎを提供する、多世代交流型ウェルネス事業を展開しており、同社と千葉大学、千葉県長柄町の3者で「大学連携型CCRC※」の構想実現を進めている。しかし、建設コストや介護・医療の面で地域や他社との連携が必要とされるプロジェクトであるため、完成までに長い期間を想定する必要がある。そこで、リニューアルの内容は後述するが、今回のリニューアルで「ワーク」という切り口を取り入れた。これにより、収益化を進めやすくなると思われる。
※同社グループと長柄町、千葉大学の「産官学」が協力し、一般的なCCRC(Continuing Care Retirement Community)という概念の枠を超えて進める取り組み。千葉大学は「知的資源を生かした生涯学習や学生との交流」や「予防医学や先進的な健康支援」など主に「学ぶ」と「健康」を、長柄町は「高齢者の住替え支援」や「地域住民との交流」、「地域医療機関の連携」などによって「地域社会との協働」を、そして同社は施設やプログラム、専門のスタッフを通じて「健康寿命の延伸」や「スポーツ・趣味活動・各種イベント」を提供し、3者で生きがいや家族・友人との絆づくり、多世代間で交流を促す場を築いている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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