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リソル Research Memo(6):新型コロナウイルスの拡大以前の業績は順調に推移

注目トピックス 日本株
■業績動向

1. 2020年3月期の業績動向
リソルホールディングス<5261>の2020年3月期の業績は、売上高20,611百万円(前期比1.6%減)、営業利益423百万円(同44.8%減)、経常利益1,003百万円(同35.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益106百万円(同92.5%減)となった。国内経済は、消費税増税による個人消費の低迷や米中貿易摩擦などを背景に不透明な状況で推移していたが、2020年に入って新型コロナウイルスの影響が世界的に拡大し、インバウンドの激減、国内消費の抑制、金融市場の動揺など経済・社会活動が急速に冷え込んだ。同社は、千葉県などでの自然災害、「リソル生命の森」リニューアル工事期間中の期間損失、新規施設の開業準備費など負担はあったものの、第4四半期中の2020年1月まで同社の業績は順調に推移していた。しかし2月以降、ホテル運営事業を中心に業況が低迷した。


ホテル運営事業で一定水準の利益を確保
2. 事業部門別の業績動向
事業別部門の業績は、ホテル運営事業が売上高10,106百万円(前期比9.5%増)、営業利益675百万円(同44.7%減)、ゴルフ運営事業が売上高4,782百万円(同10.4%減)、営業利益113百万円(同51.9%減)、CCRC事業(リソルの森事業)が売上高2,372百万円(同15.5%減)、営業損失152百万円(同203百万円の減益)、福利厚生事業が売上高1,714百万円(同0.8%減)、営業利益29百万円(同48.4%減)、再生エネルギー事業が売上高1,435百万円(同10.1%減)、営業利益1,072百万円(同118.5%増)、不動産関連事業が売上高199百万円(同20.0%減)、営業損失47百万円(同1百万円の増益)となった。新型コロナウイルスの影響を最も強く受けたと思われるホテル運営事業のみ増収で、利益も一定水準を確保できたのは、インバウンドや新規開業など2020年1月までの貢献が大きかったことによると思われる。

ホテル運営事業では、新規開業や新形態宿泊施設の開発、2021年3月期以降の新規開業の準備などを進め、事業拡大を図った。その結果、2019年4月に「ホテルリソル秋葉原」、「ホテルリソル横浜桜木町」、「ペット&スパホテル伊豆高原」、7月に「ペット&スパホテル伊豆ワン」の4施設の運営を開始、2020年1月には宿泊方法の多様化に対応する新形態のキャビン型宿泊施設「リソルポシュテル東京浅草」を開業した。また、京都の3ホテルではビジネスと観光、インバウンド需要の積極的な取り込みを行った。町田、岐阜、佐世保といった競合出店の少ないエリアを除いて特に大都市圏で新規ホテル開業ラッシュによる価格競争の激化、期中に始まった韓国人旅行客の減少など、東京オリンピック・パラリンピックを前に業況がやや厳しくなる局面もあったが、総じて堅調に推移していたと言うことができるだろう。そこへ新型コロナウイルスの影響が加わったことで、一転、大半のエリアで急激かつ大幅な落ち込みとなった。

一方、茨城県と岡山県で展開する「スパ&ゴルフリゾート」では、宿泊施設や料理・サービスなどの品質向上に取り組んだことが奏功し、宿泊者数・売上ともに順調に推移した。特に茨城県の「スパ&ゴルフリゾート久慈」では、更なる収益拡大を目指して、新たにゴルフヴィラ3棟の増設工事を進めた。また、「ペット&スパホテル」では、顧客満足度の向上と運営現場のローコスト化を推進することで収益が改善した。このように、2020年1月までの好調や地方リゾートの貯金があったものの、新規開業へ向けての開業準備費など先行費用、インバウンド減少や競合ホテルとの価格競争、加えて新型コロナウイルスの影響とネガティブな要因が際立ち、増収ながら減益となった。

ゴルフ運営事業では、グループ運営施設で共通して使える「リソルカードG」の会員拡大を推進した。受付から精算までをワンストップで行える「リソルカードナビステーション(ナビステ)」を導入して利便性を上げるとともに、ポイント優待施策や情報配信を積極化して会員向けサービスを向上、「リソルカードG」会員のリピート率向上につなげた。また、「上級」「カントリークラブ」「カジュアル」「リゾートコース」の4つの運営スタイルで様々なニーズにも対応したが、特に上級コースの「中京ゴルフ倶楽部石野コース」と宿泊施設を併設したゴルフリゾートが好調を維持した。バリューアップ型投資再生ビジネスでは、ゴルフ場の株式を売却した(営業外収益に投資再生関係会社株式売却益を計上)。しかし、自然災害や新型コロナウイルスなどの影響により、減収減益となった。

CCRC事業(リソルの森事業)では、前述したように、2020年4月に体験型リゾート施設「Sport & Do Resort リソルの森」をリニューアルオープンした。上質化へ向けて施設の新設や改修を実施したほか、営業活動やゴルフ会員権の販売を強化するなど早期受注に取り組み、スポーツや食、自然をテーマにしたイベントなど魅力ある体験型プログラムの開発も進めた。また、上質化を徹底することでターゲットを絞り、「Sport & Do Resort リソルの森」の魅力を背景に運営と不動産販売の両輪で収益を確保していく計画となった。しかし、リニューアルオープンが2020年4月1日(2021年3月期)となったため、リニューアル工事期間中の休止による期間損失や開業準備費が先行的に負担となり、営業損失となった。なお、期中に発生した千葉県南部地震や台風15号及び台風19号の被害により、特別損失を計上した。

福利厚生事業では、会員の健康と幸せづくりに応えるため、業務提携などにより人気のサービスメニューを積極的に拡充、商品企画とグループ直営施設の連携を強化するなど、利用率の向上を図った。このため、新型コロナウイルスの影響で宿泊利用は減少したが、売上高はほぼ前年並みの水準を維持することができた。再生エネルギー事業では、福島県で約37メガワットの太陽光発電事業で東北電力<9506>との系統連系が完了、2020年1月から売電を開始した。また、「Sport & Do Resort リソルの森」で進めている「地産地消エネルギーシステム」が2020年4月にスタート、1.5メガワット太陽光発電も2021年3月期中には稼働予定となった。投資再生ビジネスとして、旧ゴルフ場を再生した太陽光発電関連の販売用不動産を売却した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)




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