ダイナムジャパンHD Research Memo(5):リース新会計基準の適用により総資産額が大きく増加
[20/07/15]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■ダイナムジャパンホールディングス<06889/HK>の2020年3月期の業績状況
2. 財政状態
2020年3月期末の資産合計は前期末比91,907百万円増加の277,239百万円となった。このうち、リース新会計基準適用に伴う影響額として、使用権資産(将来家賃の総額)79,048百万円を計上している。参考までに従来と同一基準で試算した場合、6,756百万円の増加となった。主な変動要因を見ると、現金及び預金が5,727百万円減少し、棚卸資産及び景品が2,212百万円、有形固定資産が9,761百万円それぞれ増加している。有形固定資産の増加は航空機リース事業開始に伴う航空機(3機で16,337百万円)の資産計上によるもので、同要因を除けば有形固定資産も減少した格好となっている。
負債合計については前期末比98,975百万円増加の142,507百万円となった。このうち、リース新会計基準適用に伴う影響額として、リース負債が93,642百万円増加している。従来基準との比較で見れば、有利子負債が10,602百万円増加し、未払金・未払費用が4,496百万円、未払法人所得税等が1,009百万円減少している。有利子負債の増加は航空機調達資金として、11,221百万円を銀行から借り入れたことによる。同社では航空機調達資金の70%を金融機関借入で賄う方針となっている。なお、当該借入金については全額ノンリコースローン(非訴求型融資)となっており、返済については航空機リース事業のキャッシュフローを原資として、その範囲以上の返済義務は負わない契約となっており、借入に伴うリスク軽減を図っている。
資本合計については前期末比7,068百万円減少の134,732百万円となった。リース新会計基準適用に伴う影響額として剰余金等が9,443百万円の減少要因となっており、従来基準との比較では当期利益の計上12,747百万円に対して配当支払9,192百万円、その他包括利益-1,180百万円が減少要因となっている。
自己資本比率が前期末の76.5%から48.6%に低下しているが、これはリース新会計基準の適用に伴う影響によるもので、従来基準で試算すると74.6%と引き続き高水準を維持しており、財務の健全性は維持しているものと判断される。
ダイナムの2020年3月期業績は新型コロナウイルスの影響により減収減益に
3. (株)ダイナムの状況
同社グループの基幹会社であるダイナムの2020年3月期の業績(日本基準)は、営業収入で前期比2.8%減の132,714百万円、営業利益で同6.3%減の17,016百万円、経常利益で同4.6%減の18,193百万円、当期純利益で同5.1%減の11,758百万円となった。
第3四半期までは、パチンコ機の減収を集客力の高いパチスロ機の導入拡大によってカバーしていたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で3月に入って客数が大幅に落ち込んだことが響き、通期では減収となった。
費用面では人気パチスロ機の積極導入により機械費が前期比1,715百万円増加したものの、広告宣伝費や人件費など機械費以外の店舗運営費用の削減に取り組んだことで、合計では同2,724百万円減少した。ただ、営業収入の減少分をカバーするまでには至らず、営業利益は同1,144百万円の減益となった。
KPI(重要経営評価指標)の中の稼働率を見ると、パチンコ機が前期比1.6ポイント低下の41.4%、パチスロ機が同1.8ポイント低下の38.2%といずれも低下している。これは2018年2月に遊技機設置基準に関する規則改正が行われたことで、射幸性の高い旧規則機の撤去を進めていく必要があり、新たに導入した新規則機の稼働率が低迷していることが要因だ。これは同社だけの要因ではなく業界全体の課題となっている。実際、同社独自で調査している競合店との稼働率の比較では、パチンコ機で9.5%ポイント、パチスロ機で4.6%ポイント同社店舗が上回っており、集客力の優位性については変わっていない。
2020年3月期における店舗異動については、2店舗(山形・酒田泉店、茨城・東町店)を閉店し、1店舗(山形イオンタウン酒田店)を出店し、合計405店舗となった。酒田泉店については不動産貸主側の事情によるもので、代わりに山形イオンタウン酒田店として出店した。また、東町店については建て替えを進めていたもので、2020年3月までにリニューアルオープンする予定であったが、新型コロナウイルスの影響で7月オープンを予定している。
2018年3月期以降は同社の出店も頭打ちとなっているが、これは射幸性に関する規則改定が行われ、2021年1月末までに旧規則機をすべて新規則機に入れ替える必要性が生じ、短期的に機種入替に係る投資負担が増大すること、また、新規則機への入替による客離れで収益が悪化する可能性があり、現時点では積極的な出店拡大よりも店舗の収益力を高めることが重要と判断したためだ。結果的に、今回の新型コロナウイルスの影響でパチンコホール業界は経営面で甚大な影響を受けており、近年、出店基準をより精緻に分析した上で、出店判断を一時見合わせたことが奏功したと言えるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. 財政状態
2020年3月期末の資産合計は前期末比91,907百万円増加の277,239百万円となった。このうち、リース新会計基準適用に伴う影響額として、使用権資産(将来家賃の総額)79,048百万円を計上している。参考までに従来と同一基準で試算した場合、6,756百万円の増加となった。主な変動要因を見ると、現金及び預金が5,727百万円減少し、棚卸資産及び景品が2,212百万円、有形固定資産が9,761百万円それぞれ増加している。有形固定資産の増加は航空機リース事業開始に伴う航空機(3機で16,337百万円)の資産計上によるもので、同要因を除けば有形固定資産も減少した格好となっている。
負債合計については前期末比98,975百万円増加の142,507百万円となった。このうち、リース新会計基準適用に伴う影響額として、リース負債が93,642百万円増加している。従来基準との比較で見れば、有利子負債が10,602百万円増加し、未払金・未払費用が4,496百万円、未払法人所得税等が1,009百万円減少している。有利子負債の増加は航空機調達資金として、11,221百万円を銀行から借り入れたことによる。同社では航空機調達資金の70%を金融機関借入で賄う方針となっている。なお、当該借入金については全額ノンリコースローン(非訴求型融資)となっており、返済については航空機リース事業のキャッシュフローを原資として、その範囲以上の返済義務は負わない契約となっており、借入に伴うリスク軽減を図っている。
資本合計については前期末比7,068百万円減少の134,732百万円となった。リース新会計基準適用に伴う影響額として剰余金等が9,443百万円の減少要因となっており、従来基準との比較では当期利益の計上12,747百万円に対して配当支払9,192百万円、その他包括利益-1,180百万円が減少要因となっている。
自己資本比率が前期末の76.5%から48.6%に低下しているが、これはリース新会計基準の適用に伴う影響によるもので、従来基準で試算すると74.6%と引き続き高水準を維持しており、財務の健全性は維持しているものと判断される。
ダイナムの2020年3月期業績は新型コロナウイルスの影響により減収減益に
3. (株)ダイナムの状況
同社グループの基幹会社であるダイナムの2020年3月期の業績(日本基準)は、営業収入で前期比2.8%減の132,714百万円、営業利益で同6.3%減の17,016百万円、経常利益で同4.6%減の18,193百万円、当期純利益で同5.1%減の11,758百万円となった。
第3四半期までは、パチンコ機の減収を集客力の高いパチスロ機の導入拡大によってカバーしていたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で3月に入って客数が大幅に落ち込んだことが響き、通期では減収となった。
費用面では人気パチスロ機の積極導入により機械費が前期比1,715百万円増加したものの、広告宣伝費や人件費など機械費以外の店舗運営費用の削減に取り組んだことで、合計では同2,724百万円減少した。ただ、営業収入の減少分をカバーするまでには至らず、営業利益は同1,144百万円の減益となった。
KPI(重要経営評価指標)の中の稼働率を見ると、パチンコ機が前期比1.6ポイント低下の41.4%、パチスロ機が同1.8ポイント低下の38.2%といずれも低下している。これは2018年2月に遊技機設置基準に関する規則改正が行われたことで、射幸性の高い旧規則機の撤去を進めていく必要があり、新たに導入した新規則機の稼働率が低迷していることが要因だ。これは同社だけの要因ではなく業界全体の課題となっている。実際、同社独自で調査している競合店との稼働率の比較では、パチンコ機で9.5%ポイント、パチスロ機で4.6%ポイント同社店舗が上回っており、集客力の優位性については変わっていない。
2020年3月期における店舗異動については、2店舗(山形・酒田泉店、茨城・東町店)を閉店し、1店舗(山形イオンタウン酒田店)を出店し、合計405店舗となった。酒田泉店については不動産貸主側の事情によるもので、代わりに山形イオンタウン酒田店として出店した。また、東町店については建て替えを進めていたもので、2020年3月までにリニューアルオープンする予定であったが、新型コロナウイルスの影響で7月オープンを予定している。
2018年3月期以降は同社の出店も頭打ちとなっているが、これは射幸性に関する規則改定が行われ、2021年1月末までに旧規則機をすべて新規則機に入れ替える必要性が生じ、短期的に機種入替に係る投資負担が増大すること、また、新規則機への入替による客離れで収益が悪化する可能性があり、現時点では積極的な出店拡大よりも店舗の収益力を高めることが重要と判断したためだ。結果的に、今回の新型コロナウイルスの影響でパチンコホール業界は経営面で甚大な影響を受けており、近年、出店基準をより精緻に分析した上で、出店判断を一時見合わせたことが奏功したと言えるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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