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システム ディ Research Memo(9):教育や公共分野のIT化で、業績は中期的に2ケタ成長が続く見通し(1)

注目トピックス 日本株
■システム ディ<3804>の今後の見通し

2. 事業部門別の成長戦略
(1) 学園ソリューション事業
学園ソリューション事業では、既存顧客の更新需要を確実に取り込むだけでなく、新規顧客の獲得に注力していく。大学市場については全国約1,100大学のうち約300校に導入が進み、既にトップシェアを不動のものとしているが、「CampusPlan Smart」の投入により、機能面・品質面での優位性を訴求していくことでシェアの維持向上を図っていく。特に、大学では会計制度の変更によって2015年前後にシステム改修・更新の特需が発生しており、この部分の更新需要が2021年〜2022年ごろに発生するものと予想され、他社製品をリプレイスする好機となる。

「キャンパスプラン」の大きな特長は、学務系業務や法人系業務などをトータルで提供できる点にある。この“トータルソリューションの提供”という点では直接的な競合製品はない。同社が高シェアを獲得し業界トップシェアの地位を確立した要因もここにある。領域ごと(たとえば“会計・経理”や“人事”などの領域)では、強い競合製品がそれぞれ複数存在するが、たとえば、職員が学校内で異なる部署に異動になった場合、違う企業のソフトウェア製品を導入している場合はシステム操作に慣れるまで時間を要するといった問題が発生する。「キャンパスプラン」であれば部署異動があっても同一製品のためスムーズに業務を行うことが可能となっている。また、同社製品は価格競争力で優れているほか、サポートも充実しており、これらが顧客満足度の高さにつながり、高いシェアを維持している要因になっていると考えられる。2019年11月に次世代版となる「CampusPlan Smart」の総務・人事給与システムを先行リリースしたが、2021〜2022年の更新需要に合わせて学務系システムなどの次世代版を投入し、シェアを拡大していく戦略だ。

一方、私立高校は全国に約1,300校、専門学校は約2,900校あり、まだシェア拡大余地が大きいと言える。高校・専門学校の1校当たり生徒・職員数※は、高校で約800名、専門学校で約200名となり、大学の約4,000名と比べて規模が小さいことから、初期投資負担の少ないクラウドサービス「キャンパスプラン for Azure」で機能性やコストパフォーマンスを訴求し、顧客開拓を進めていく戦略となる。売上規模は大学と比べて小さいものの、クラウドサービスでの提供となるため、顧客を開拓していくことで安定収益基盤を拡大し、利益率を高めていく戦略となっている。

※文部科学省「令和元年 学校基本調査」のデータを基に算出。


(2) ウェルネスソリューション事業
フィットネスジムやスポーツ施設向けに関しては、新型コロナウイルス感染症の影響で市場環境が厳しくなっていることから、2020年10月期の売上高は下期にやや落ち込む可能性がある。こうしたなかで、小規模事業者向けのサービスとしてクラウド型システム「Smart Hello」を2020年夏にリリースし、新規顧客の開拓に取り組んでいく方針となっている。また、文化・観光施設向け「Hello Fun」についても現状は厳しい環境だが、中期的には業務効率向上のためのIT投資は必要になってくると見られ、こうした需要を確実に取り込んでいくことで第2の柱に育成していく考えだ。

(3) 公教育ソリューション
公立の小中高校向けについては文科省が2019年12月に発表した「GIGAスクール構想」の実現に向け、ICT投資が拡大する見込みとなっており、事業を拡大する好機になると弊社では見ている。GIGAスクール構想では2023年度までに生徒1人当たり1台のPC端末を整備するほか、校内LANの構築や統合型校務支援システムの100%導入などを目標として掲げている。また、「クラウド・バイ・デフォルト」の原則によりクラウドサービスの導入を前提とした環境整備に取り組むことも明示しており、クラウドサービスで統合型校務支援システムを提供する同社にとっては追い風となる。

公立高校については30強(同社推計)の都道府県で統合型校務支援システムが導入されており、このうち約5割の19県で同社製品が採用されている。未導入の残り約10県についても、シェア5割の受注獲得を目標としている。一方、小中学校向けの市場は依然として成長余地が大きい。小中学校は基本的に全国の1,741市町村(東京の23特別区を含む)の教育委員会が交渉相手となるが、市町村単位では財政的な面から普及率がまだ低い地域も多いためだ。文科省の調べによると、2018年時点で市町村における統合型校務支援システムの導入率は政令指定都市で80%、中核市で57%に達しているのに対して、そのほかの市で28%、町村に至っては17%にとどまっている。文科省では地域格差を解消するため、小中学校についても高校と同様に都道府県単位で共同調達する取り組みを推進している。2018年に文科省の実証実験として4県が実施し、同社はそのうち2県(奈良・高知)を受注した。2020年には3例目として山梨県で受注を獲得したほか、新たに福島県でも採用が決まり、順次県内の公立学校への導入が進む見通しとなっている。

小中学校向けでの同社のシェアは高校に比べて低く、業界で3〜4番手のポジションと見られる。市町村向け(小・中学校向け)のシェアが低かった理由の1つとして、クラウドサービスに対するセキュリティ面での懸念が残っていたことが挙げられるが、前述したようにGIGAスクール構想では「クラウド・バイ・デフォルト」が推奨されていること、また、都道府県単位では5割のシェアを獲得していることから、今後これらの県において小中学校を含めた共同調達を開始することになれば同社が受注する可能性が高く、小中学校の導入校数も今後数年間で大きく伸びる可能性がある。公立の小中学校は全国で約3万校の規模となるだけに、今後の成長期待は大きい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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