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インテリックス Research Memo(5):リノヴェックスマンションは首都圏、地方エリアともに増加に転じる

注目トピックス 日本株
■インテリックス<8940>の業績動向

2. 事業セグメント別動向
(1) 中古マンション再生流通事業(リノヴェックスマンション事業)
中古マンション再生流通事業の売上高は前期比8.5%増の30,767百万円、営業利益は同6.2%増の932百万円と3期ぶりの増収、2期ぶりの増益となった。売上高の内訳を見ると、リノヴェックスマンションの物件販売で同8.6%増の30,570百万円、マンションの賃貸収入で同0.5%減の178百万円、その他収入(不動産仲介手数料)で同17.2%増の18百万円となっている。

リノヴェックスマンションの販売件数は前期比12.6%増の1,336件となった。エリア別の販売件数を見ると、首都圏が同4.7%増の602件と約10年ぶりに増加に転じ、地方拠点についても同19.9%増の734件と2期ぶりに増加に転じた。首都圏については、市況の高騰と競争激化により適正利潤が得られにくくなったことから、ここ数年は慎重な仕入活動を行い、結果、販売件数が減少していたが、2019年は適正価格で仕入可能な物件が増えたことで、積極的な仕入活動に転じたことが販売件数の増加につながった。競合他社の手持ち在庫が増加し、仕入れに関する競争環境が改善したことが一因と見られる。一方、地方拠点はすべての支店で販売件数が増加したが、なかでも福岡支店が同41.0%増の110件、大阪支店が同23.1%増の208件と大きく伸長した。これら拠点では中途採用による営業体制の強化が奏功した格好となっている。仕入件数の合計は同14.6%増の1,429件、うち首都圏が同3.5%増の599件、地方拠点が同24.3%増の830件となっており、地方拠点の成長が目立った。

ただ、四半期ベースの仕入・販売件数の推移を見ると、2020年5月期の第4四半期は、販売件数で410件と10四半期ぶりに400件台まで回復したものの、仕入件数については273件と7四半期ぶりに300件を下回った。仕入件数の減少については、コロナの影響が大きかったものと思われる。緊急事態宣言下において外出自粛が求められるなか、仕入活動も制限された。実際、緊急事態宣言が5月下旬まで続いた首都圏の仕入件数は前年同四半期比40%減の105件と地方店と比べて大きく落ち込んでいる。リノヴェックスマンションの事業期間は約3.5ヶ月となるため、第4四半期の仕入件数の落ち込みは、2021年5月期の第2四半期以降の販売に影響を与える可能性がある。

なお、リノヴェックスマンション販売の売上総利益率は前期の12.8%から12.7%とほぼ横ばい水準となり、同社の目標とする適正水準の範囲に収まり、事業期間についても111日と前期比で2日短縮した(販売期間は77日から72日、施工期間は36日から39日)。コロナの影響で2020年5月期第4四半期は、住設機器の輸入が一時的にストップしてほか、販売期間もやや長引き、事業期間は118日まで延伸している(住設機器のサプライチェーンについては既に回復)。

(2) その他不動産事業
その他不動産事業の売上高は前期比17.7%減の7,096百万円、営業利益は同41.6%減の807百万円となった。売上高の内訳を見ると、物件販売が同30.3%減の4,269百万円、賃貸収入が同11.8%増の956百万円、その他収入が同13.7%増の1,870百万円となり、物件販売の落ち込みが収益悪化要因となった。

物件販売はコロナの影響もあって適切な販売時期を検討した結果、当初予定していたアセットシェアリング商品や一部不動産物件の販売を先送りしたことが減収要因となった。アセットシェアリング商品の販売は「アセットシェアリング博多」のみで前期比9億円減の7億円にとどまったほか、その他物件販売も同9億円減の35億円となり、売上総利益率は前期の26.8%から21.1%に低下した。

一方、賃貸収入はリースバック物件の積み上げが増収要因となっている。2020年5月期末のリースバック物件の保有数は前期末比117件増の371件(保有物件の約6割は戸建、約4割がマンション)、保有総額で同13億円増の58億円となり、賃貸収入は前期の2.5億円から4.4億円に増加した。当事業における賃貸収入の売上総利益率は、同40.6%から49.7%に上昇している。なお、期中におけるリースバック物件の売却件数は14件、売上高で4.4億円※となっている。

※売却物件がマンションの場合は、中古マンション再生流通事業に含まれる。


その他収入については、同業他社や個人向けリノベーション内装事業が前期比22.9%増の1,439百万円となったことが増収要因となった。一方で、売上総利益率は前期の20.3%から9.0%に落ち込み、金額ベースでも前期比49.4%減の168百万円と大きく落ち込んだ。これはコロナの影響で2020年3月以降、アセットシェアリング商品として販売した「montan HAKATA」や「京町家」、今後販売予定の「LANDABOUT」などホテル宿泊施設の稼働率が大きく低下したことにより、プロパティマネジメント事業の収益やホテル宿泊事業の収益が悪化したことが主因となっている。四半期ベースの売上総利益の推移で見ると、第3四半期の64百万円から第4四半期は34百万円の損失に転じており、悪化分についてはコロナの影響と見ることができる。

「montan HAKATA」はホテル&レジデンス(客室数は73室)で、2019年夏までは90%超の高稼働率で推移していたが、秋以降、主要顧客であった韓国からの旅行客が減少した影響で70%台に低下し、2020年3月以降はコロナの影響で1ケタ台まで落ち込んだ。「LANDABOUT」(客室数169室)についても2020年1月のオープンから2月までは70%の稼働率で順調な滑り出しを見せたが、4月−5月は10%台まで低下した。「LANDABOUT」に関しては、「テレワークプラン」を発売するなど国内需要の取り込みによる稼働率向上を図っており、運営実績を重ねてからアセットシェアリング商品として販売していく方針となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




<NB>

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