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インテリックス Research Memo(7):2021年5月期の業績見通しはリースバック事業の動向がカギを握る

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

1. 2021年5月期の業績見通し
インテリックス<8940>の2021年5月期の連結業績見通しについて、コロナの影響を合理的に算定することが困難なことから未定とした。単独業績については、リノヴェックスマンション事業が地方拠点を中心に底堅く推移しそうなほか、その他不動産事業についても、一棟もの商業ビルの販売やアセットシェアリング商品の販売増を目指すことで、増収増益は可能と見られる。ただ、2020年5月期第4四半期以降、ホテル宿泊施設の稼働率が低迷しており、プロパティマネジメント事業やホテル宿泊事業の収益悪化が続くことから、連結ベースでは増収減益となる可能性が高い。ホテル宿泊施設の稼働率が今後も低迷することを前提とすれば、関連事業の収益は通期で3億円程度の減益要因になると見込まれる。通期で増益となる可能性があるとすれば、リースバック物件について流動化スキームにより売却益を計上した場合が考えられる。前述したとおり、同社は約25億円のリースバック物件を流動資産に振り替えており、仮に、これらを売却することができれば、ホテル宿泊事業等の減益分をカバーすることが想定される。

(1) 中古マンション再生流通事業(リノヴェックスマンション事業)
リノヴェックスマンション事業については、2020年5月期第4四半期にコロナの影響で物件仕入や施工面で影響が出たものの、直近はほぼ通常体制に戻っている。首都圏における中古マンションの成約戸数を見ると、2020年4月-5月は緊急事態宣言の影響により前年同月比で大きく落ち込んだが、6月は前年同期比11.0%減と減少幅は縮小した。同社の販売件数の落ち込みは、市場全体よりも小幅にとどまっているもようだ。新築マンションの発売戸数について見ると、2019年以降前年同期比2ケタ減ペースが続いており、2020年についても景気動向を考えると発売戸数は減少傾向が続く可能性が高い。このため、中古マンション販売の減少率については7月以降も小幅なものにとどまる可能性がある。ただ、コロナの影響でテレワークを導入する企業が増えるなか、都心近郊でマンションを購入するよりも郊外で戸建を購入するといった需要のシフトが進む可能性もあり、今後の市場動向は注視しておく必要がある。

なお、中古マンション市場全体に占める同社の販売シェアは首都圏で約2%、地方拠点で約4%と低いため、市場全体の動きよりも同社の営業戦略によって販売動向は直接的な影響を受けやすい。地方での営業拠点開設については2018年に広島支店を開設したことで一巡した格好だが、2021年5月期は首都圏で渋谷、横浜に次ぐ3番目の営業拠点を東京駅付近に開設する計画となっている。都心での更なるシェア拡大に加えて、シェアが相対的に低い千葉県や埼玉県の営業強化も見据えたものと見られる。営業エリアごとのリノヴェックスマンションの市場シェアを2020年5月期の実績で見ると、千葉県や埼玉県の市場規模は愛知県とほぼ同規模であるにも関わらず、販売シェアは愛知県の3.8%に対して、両県とも1%前後と低い水準にとどまっている。競争が激しいこともあるが、営業リソースが不足していることも一因と見られ、新規営業拠点の開設によるシェア拡大が期待される。

(2) その他不動産事業
その他不動産事業のうち、物件販売については一棟もの商業ビルの販売や「アセットシェアリング」シリーズの販売などで前期比増収を見込んでいる。アセットシェアリングについては当初「LANDABOUT」の販売を予定していたが、稼働率が大きく低下したことから、販売時期は2022年5月期以降にずれ込む見通しで、その他の中古不動産物件で商品化を検討しているもようだ。なお、「LANDABOUT」に関しては上野・浅草に近く好立地にあるため、コロナが収束すれば高稼働率が期待できる物件であり、販売総額としては40億円規模が想定される。

リースバック事業については引き続き、クラウドファンディングによる効率的な資金調達と、提携先である大手不動産仲介会社等との連携強化を進めながら、積極的な仕入活動を継続する方針となっており、2021年5月期も賃貸収入の増加が見込まれる。また、物件売却については前述したように流動化スキームを活用して、まとまった物件を売却することが検討されているようで、2021年5月期中に売上計上される可能性もある。そのほかリノベーション内装事業については、市場動向から前期比でやや減少する見通しだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




<NB>

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