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平和RE Research Memo(6):分配金の増加に伴い、NAV倍率はさらに上昇すると予想

注目トピックス 日本株
■ベンチマーキング

平和不動産リート投資法人<8966>の投資口価格は、2017年以降おおむね上昇傾向にあったが、2020年3月には新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う社会全体の景気・企業業績への不安に伴い、大きく下落した。ただ、その後は同染症対策の進展もあり、投資口価格も回復基調にある。長期的には、スポンサー変更発表の2009年10月以降、東証リート指数は横ばい〜緩やかな上昇にとどまっているのに対し、同REITの投資口価格は大きく上昇を続け、今回の感染症拡大の影響に伴う一時的な下落後の回復も東証リート指数を上回っている。その結果、2020年7月31日現在のNAV倍率(1口当たり投資口価格/1口当たり純資産額)は0.88倍と、オフィス・レジデンス複合型REITの平均の0.77倍を上回っている。同REITでは、入替戦略の推進、賃料増額改定、キャップレートの低下などに伴い、含み益はさらに成長を続ける見通しだ。また、物件売却に伴う損失発生や突発的な損失に対しては潤沢な内部留保によって相殺し、今後も分配金を持続的に増加することで、中期目標の達成は可能と見込まれる。弊社では、それらが投資家に理解されるに伴い、NAV倍率による評価は今後も高まると予想する。

同REITでは、投資主還元を運用方針の柱の1つに掲げており、潤沢な内部留保の還元、フリーキャッシュの活用、投資主との高い利益の連動性、流動性の向上を目指している。すなわち、潤沢な内部留保を将来の分配金支払い原資として活用する。また、フリーキャッシュを活用し、物件取得や借入金返済に充てることで分配金の巡航水準を向上させる。さらに、投資主との利益の連動性では、スポンサー、資産運用会社、従業員の3層からなるセイムボート出資によって高い運用モチベーションを維持するとともに、2019年12月1日の運用報酬体系変更では報酬に占める業績連動割合を拡大している。加えて、流動性向上では、Global Index組入による、認知度向上と投資口売買高の増加を目指している。また、2020年11月期には、投資家への利益還元策として17億円を上限とする初の自己投資口取得を実施し、中期目標分配金の2,750円に向けた取り組みを続けている。

さらに、2019年に実施されたGRESB(グローバル不動産サスティナビリティ・ベンチマーク:Global Real Estate Sustainability Benchmark)リアルエステイト評価において、3年連続で「Green Star」の評価を取得したことが特筆される。GRESBリアルエステイト評価とは、不動産セクターの環境・社会・ガバナンス(ESG)配慮を測る年次のベンチマーク評価のことで、責任投資原則(PRI)を主導した欧州の主要年金基金グループを中心に2009年に創設された。同REITが取得した「Green Star」の称号は、サスティナビリティ評価にかかる「マネジメントと方針」及び「実行と計測」の両面において優れている会社に付与されるものである。同様に、 (株)日本政策投資銀行のDBJ Green Building認証、(一財)建築環境・省エネルギー機構のCASBEE認証、(一社)住宅性能評価・表示協会のBELS評価も取得している。これらのサスティナビリティへの積極的な取り組みが投資家に評価されていることも、同REITの投資口価格が堅調な一因と考えられる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)




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