スカラ Research Memo(1):ソフトブレーン株式を売却し、高収益案件への投資を加速する
[20/09/14]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
スカラ<4845>は、企業のWebサイト内で利用する検索サービスやFAQサービス等の大手で、ストック型ビジネスモデルであるSaaS/ASP※事業を中心に展開し、M&A戦略によって事業領域を拡大しながら成長を続けている。2019年8月に中期経営計画「COMMIT5000」を発表。3つのケイパビリティ(真の課題を探り出す能力、リソースの埋もれた価値を炙り出す能力、課題とリソースの最適な組み合わせを提案・実行し価値を最大化する能力)によって価値共創プラットフォームを構築し、2030年6月期に売上収益5千億円を目指している。なお、同社は国際会計基準のIFRSを採用している。
※アプリケーションソフトの機能をネットワーク経由で顧客に提供するサービス。
1. 2020年6月期の業績概要
2020年6月期の連結業績は、売上収益で前期比0.5%減の17,025百万円、営業利益で同56.6%減の934百万円となった。子会社のソフトブレーン<4779>の業績が新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受け減収減益となったほか、第4四半期より連結子会社に加わったグリットグループホールディングス(株)※127百万円の損失を計上したこと、SasS/ASP事業においても中期経営計画実現に向けた先行投資負担の増加により減益となったことなどが要因だ。
※人材サービス事業や地方創生事業、子供教育事業、外国人雇用サポート事業などをグリットグループホールディングス他4社で展開している。
2. 2021年6月期の業績見通し
2021年6月期は、新型コロナウイルス感染症拡大の動向が依然不透明なこともあり、レンジ形式での業績見通しを発表している。売上収益は10,000〜13,000百万円、営業利益は3,100〜3,500百万円を見込んでいる。ソフトブレーン株式の売却を予定しており、第2四半期以降連結対象から外れることにより、売上収益で約72億円、営業利益で約6億円の減収減益要因となる。一方、第3四半期に会計上の株式売却益約26億円が営業利益段階で計上される見込みとなっている。これら要因を除いた継続事業ベースでは、SaaS/ASP事業、カスタマーサポート事業、EC事業ともに順調に拡大する見通しとなっている。また、新たに取り組んでいる価値創造経営支援事業では、顧客企業のDX化に対するコンサルティングやシステム開発だけでなく、企業価値を高めるためのIR支援などトータルで支援していく事業となる。IT系コンサルティング企業は多いものの、企業価値の向上まで合わせて支援するサービスはほかになく、差別化要因と成り得るサービスとして注目される。また、同社はこれらの対象企業に対して株式取得も行い、キャピタルゲインを得ていくことも同時に考えている。現在、時価総額で100億円規模までの上場企業10社と具体的な出資交渉を行っており、このうち2021年6月期は最大5社程度の投資を実現したい考えだ。
3. 中期経営計画と成長戦略
中期経営計画「COMMIT5000」では、価値創造経営支援事業、AI/IoT/IT事業、社会問題解決型事業の3事業を推進し、2030年6月期に売上収益5,000億円、営業利益500億円を目標に掲げている。目標実現のため今後も積極的にM&Aやアライアンスにも取り組んでいく。国内では2020年2月に資本業務提携したxID(クロスID)(株)との取り組みが注目される。xIDはブロックチェーン技術を用いたデジタル身分証明アプリ「xID」の開発企業で、今後、マイナンバーとの連携による普及拡大が期待されている。既に金融機関や人材サービス会社などからの引き合いもきており、xIDと合わせて既存のSaaS/ASPサービスの導入拡大が期待される。また、社会問題解決型事業として国内での地方創生事業に加えて、ミャンマーでの取り組みも開始している。具体的には、2020年6月に現地のヘルステック企業であるMyanCare Co.,Ltd.に出資し、両者のノウハウを融合してミャンマーにおける医療、保険を含めたヘルスケア産業のDX化を推進、健康的な生活の増進による活力ある社会構築への貢献に取り組んでいく方針だ。
■Key Points
・2020年6月期業績は先行投資費用の増加と新型コロナウイルス感染症拡大の影響により減益に
・2021年6月期の業績はソフトブレーンの影響を除いた継続事業ベースで10%以上の増収増益となる見通し
・中期経営計画では2030年6月期に売上収益5,000億円、営業利益500億円を目標に掲げる
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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スカラ<4845>は、企業のWebサイト内で利用する検索サービスやFAQサービス等の大手で、ストック型ビジネスモデルであるSaaS/ASP※事業を中心に展開し、M&A戦略によって事業領域を拡大しながら成長を続けている。2019年8月に中期経営計画「COMMIT5000」を発表。3つのケイパビリティ(真の課題を探り出す能力、リソースの埋もれた価値を炙り出す能力、課題とリソースの最適な組み合わせを提案・実行し価値を最大化する能力)によって価値共創プラットフォームを構築し、2030年6月期に売上収益5千億円を目指している。なお、同社は国際会計基準のIFRSを採用している。
※アプリケーションソフトの機能をネットワーク経由で顧客に提供するサービス。
1. 2020年6月期の業績概要
2020年6月期の連結業績は、売上収益で前期比0.5%減の17,025百万円、営業利益で同56.6%減の934百万円となった。子会社のソフトブレーン<4779>の業績が新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受け減収減益となったほか、第4四半期より連結子会社に加わったグリットグループホールディングス(株)※127百万円の損失を計上したこと、SasS/ASP事業においても中期経営計画実現に向けた先行投資負担の増加により減益となったことなどが要因だ。
※人材サービス事業や地方創生事業、子供教育事業、外国人雇用サポート事業などをグリットグループホールディングス他4社で展開している。
2. 2021年6月期の業績見通し
2021年6月期は、新型コロナウイルス感染症拡大の動向が依然不透明なこともあり、レンジ形式での業績見通しを発表している。売上収益は10,000〜13,000百万円、営業利益は3,100〜3,500百万円を見込んでいる。ソフトブレーン株式の売却を予定しており、第2四半期以降連結対象から外れることにより、売上収益で約72億円、営業利益で約6億円の減収減益要因となる。一方、第3四半期に会計上の株式売却益約26億円が営業利益段階で計上される見込みとなっている。これら要因を除いた継続事業ベースでは、SaaS/ASP事業、カスタマーサポート事業、EC事業ともに順調に拡大する見通しとなっている。また、新たに取り組んでいる価値創造経営支援事業では、顧客企業のDX化に対するコンサルティングやシステム開発だけでなく、企業価値を高めるためのIR支援などトータルで支援していく事業となる。IT系コンサルティング企業は多いものの、企業価値の向上まで合わせて支援するサービスはほかになく、差別化要因と成り得るサービスとして注目される。また、同社はこれらの対象企業に対して株式取得も行い、キャピタルゲインを得ていくことも同時に考えている。現在、時価総額で100億円規模までの上場企業10社と具体的な出資交渉を行っており、このうち2021年6月期は最大5社程度の投資を実現したい考えだ。
3. 中期経営計画と成長戦略
中期経営計画「COMMIT5000」では、価値創造経営支援事業、AI/IoT/IT事業、社会問題解決型事業の3事業を推進し、2030年6月期に売上収益5,000億円、営業利益500億円を目標に掲げている。目標実現のため今後も積極的にM&Aやアライアンスにも取り組んでいく。国内では2020年2月に資本業務提携したxID(クロスID)(株)との取り組みが注目される。xIDはブロックチェーン技術を用いたデジタル身分証明アプリ「xID」の開発企業で、今後、マイナンバーとの連携による普及拡大が期待されている。既に金融機関や人材サービス会社などからの引き合いもきており、xIDと合わせて既存のSaaS/ASPサービスの導入拡大が期待される。また、社会問題解決型事業として国内での地方創生事業に加えて、ミャンマーでの取り組みも開始している。具体的には、2020年6月に現地のヘルステック企業であるMyanCare Co.,Ltd.に出資し、両者のノウハウを融合してミャンマーにおける医療、保険を含めたヘルスケア産業のDX化を推進、健康的な生活の増進による活力ある社会構築への貢献に取り組んでいく方針だ。
■Key Points
・2020年6月期業績は先行投資費用の増加と新型コロナウイルス感染症拡大の影響により減益に
・2021年6月期の業績はソフトブレーンの影響を除いた継続事業ベースで10%以上の増収増益となる見通し
・中期経営計画では2030年6月期に売上収益5,000億円、営業利益500億円を目標に掲げる
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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