早稲アカ Research Memo(2):首都圏で小中高校生を対象にした進学塾「早稲田アカデミー」を展開(1)
[20/11/30]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■会社概要
1. 会社沿革
早稲田アカデミー<4718>は1975年に創業者の須野田誠(すのだまこと)氏が早稲田大学在学中に、東京都杉並区にて小中学生対象の学習指導サークルを開始したところからスタートする。社名の早稲田アカデミーは創業者の出身大学から取ったもので、当初は都立の進学高校であった「西高の合格者数No.1」を目標に進学塾を運営。数年後に目標を達成したが、その後、進学校の人気が公立高校から私立高校へシフトしていくなかで、同社も新たな目標として「早慶附属高校の合格者数No.1」を目指すことを1990年に打ち出した。カリキュラム、教材の充実を進めると同時に、教務指導力の強化に取り組みながら合格実績を年々積み上げ、2001年に合格者数No.1を達成、その後はこのブランド力を持って校舎数の拡大を進め、業績も本格的な成長期に入っていった。
早慶附属高校は首都圏で7校あり、年間の受験者数は1万名を超える。潜在的な志望生徒数は数万名となり、高校受験の進学塾として成長を目指すため、同分野で合格者数No.1を獲得することは最大の宣伝効果になったと言える。その後も2020年まで20年連続でトップを走っており、今では2位以下を大きく引き離す圧倒的なNo.1となっている(定員約1,610名に対して2020年春の合格者数は1,506名)。また、次の目標として設定した最難関私立高の「開成高の合格者数No.1」も13年連続で達成しており(同100名に対して103名)、首都圏における高校受験ではブランド力、合格実績ともにNo.1の進学塾として不動の地位を確立している。現在は次の目標である首都圏の難関中学である「御三家中学※の合格者数No.1」達成に向けた取り組みを進めている。
※男子は開成、麻布、武蔵中学校、女子は桜蔭、女子学院、雙葉(ふたば)中学校を指す。
また、グループ展開として2007年に医歯薬系大学受験専門予備校「野田クルゼ」を運営する野田学園を完全子会社化したほか、2015年に茨城県内で小中高校生を対象とした進学塾「水戸アカデミー」を運営する(株)アカデミー(現水戸アカデミー)、2018年1月には千葉県内で小中高校生を対象とした進学塾「QUARD」を運営する集学舎の株式を取得し完全子会社化している。
さらに、帰国生入試分野における一層の業容拡大を推進するため、2019年にロンドンとニューヨークで子会社による早稲田アカデミー直営校を開校したほか、(株)学研スタディエ及びその子会社との間で、早稲田アカデミーブランドによる海外学習塾事業に関する業務提携を行い、アジアで4校(シンガポール2校、ベトナム1校、台湾1校)を展開している。
2. 事業内容
同社の事業セグメントは2020年3月期まで教育関連事業と不動産賃貸事業とに分けて開示していたが、2020年3月期中に同社グループが保有していた賃貸用不動産物件の大部分を売却したことにより、不動産賃貸事業の重要性が乏しくなったことから、2021年3月期からは教育関連事業の単一セグメントに変更している。
教育関連事業では小学生から高校生までを対象とした進学塾「早稲田アカデミー」を首都圏(東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城)で展開している。ブランド名としては「早稲田アカデミー」(2020年9月末113校)のほか、「早稲田アカデミー大学受験部」(同7校)、個別指導塾の「早稲田アカデミー個別進学館」(同28校)、難関中学高校受験専門塾「ExiV(エクシブ)」(同5校)、小中学生向け受験塾の「国研」(同1校)、最難関中学受験専門塾の「SPICA(スピカ)」(同1校)など合計155校を直営で展開している。
子会社では、野田学園が医歯薬系専門の大学受験予備校「野田クルゼ」を都内で運営している。また、水戸アカデミーでは、茨城県内で小中学生を対象とした進学塾「水戸アカデミー」を1校運営しており、県内の難関公立高校である水戸第一高校の合格者数で高い実績を持つ。集学舎では千葉県内で小中高校生を対象とした進学塾「QUARD」を4校展開しており、うち高校部門については東進衛星予備校の映像授業を行っている。中学部が主力で県立千葉高校を始めとする難関公立高校への高い合格実績を有している。いずれも難関公立校への進学を志望する生徒の獲得強化に取り組んでいる同社にとって、シナジーが得られるとの考えから子会社化した。特に、集学舎とは人材採用や受験対策講座の共同開催など協業が進んでいる。そのほか、ロンドンとニューヨークで早稲田アカデミー各1校運営しており、2020年9月末のグループ全体の校舎数は164校となっている。
2021年3月期第2四半期累計の期中平均塾生数は前年同期比3.5%減の37,193名と減少に転じている。コロナ禍の影響で新年度生の獲得施策が制限を受け、4月のグループ全体の塾生数が前年同月比で7.6%減と大幅減でスタートしたことが要因だ。また、大学受験部の校舎を2020年3月期に3校舎閉鎖したことで高校部の塾生が前年同期比19.5%減の2,615名と低調に推移したことも要因となっている。高校部については、拠点展開を大都市部に集約化する戦略にシフトしており、現在はその過渡期として校舎数の閉鎖が生徒数の減少に直結する格好となっている。
また、ここ数年は英語教育への取り組みにも注力している。2012年に「東大・医学部・ハーバードに一番近い小学生たちの英語塾」をコンセプトに、年長から小4生(現在は小6生)を対象とした英語英才講座「早稲田アカデミーIBS(Integrated Bilingual School)」を開講し、世界に通用するグローバル人材を育成するプログラムとして注目度が高まっている。2017年からは小中学生を対象に、IBSのノウハウを活用した、より汎用性の高い「多読英語教室 早稲田アカデミー English ENGINE」を開校している。2020年からは、オンラインを活用した海外のネイティブ講師とのマンツーマン英語レッスン「Online English Education」をスタートしている。
その他にも現役教師の研修用教材となるeラーニング「教師力養成塾e-講座」を提供しているほか、インスクール・ビジネスとして学校や教育委員会から依頼を受け、受託授業なども手掛けている。これらは、進学塾で培った指導ノウハウと社内外の研修・講演等で培った研修ノウハウを組み合わせたものとなっており、今後も公教育支援への取り組みは継続していく方針となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<NB>
1. 会社沿革
早稲田アカデミー<4718>は1975年に創業者の須野田誠(すのだまこと)氏が早稲田大学在学中に、東京都杉並区にて小中学生対象の学習指導サークルを開始したところからスタートする。社名の早稲田アカデミーは創業者の出身大学から取ったもので、当初は都立の進学高校であった「西高の合格者数No.1」を目標に進学塾を運営。数年後に目標を達成したが、その後、進学校の人気が公立高校から私立高校へシフトしていくなかで、同社も新たな目標として「早慶附属高校の合格者数No.1」を目指すことを1990年に打ち出した。カリキュラム、教材の充実を進めると同時に、教務指導力の強化に取り組みながら合格実績を年々積み上げ、2001年に合格者数No.1を達成、その後はこのブランド力を持って校舎数の拡大を進め、業績も本格的な成長期に入っていった。
早慶附属高校は首都圏で7校あり、年間の受験者数は1万名を超える。潜在的な志望生徒数は数万名となり、高校受験の進学塾として成長を目指すため、同分野で合格者数No.1を獲得することは最大の宣伝効果になったと言える。その後も2020年まで20年連続でトップを走っており、今では2位以下を大きく引き離す圧倒的なNo.1となっている(定員約1,610名に対して2020年春の合格者数は1,506名)。また、次の目標として設定した最難関私立高の「開成高の合格者数No.1」も13年連続で達成しており(同100名に対して103名)、首都圏における高校受験ではブランド力、合格実績ともにNo.1の進学塾として不動の地位を確立している。現在は次の目標である首都圏の難関中学である「御三家中学※の合格者数No.1」達成に向けた取り組みを進めている。
※男子は開成、麻布、武蔵中学校、女子は桜蔭、女子学院、雙葉(ふたば)中学校を指す。
また、グループ展開として2007年に医歯薬系大学受験専門予備校「野田クルゼ」を運営する野田学園を完全子会社化したほか、2015年に茨城県内で小中高校生を対象とした進学塾「水戸アカデミー」を運営する(株)アカデミー(現水戸アカデミー)、2018年1月には千葉県内で小中高校生を対象とした進学塾「QUARD」を運営する集学舎の株式を取得し完全子会社化している。
さらに、帰国生入試分野における一層の業容拡大を推進するため、2019年にロンドンとニューヨークで子会社による早稲田アカデミー直営校を開校したほか、(株)学研スタディエ及びその子会社との間で、早稲田アカデミーブランドによる海外学習塾事業に関する業務提携を行い、アジアで4校(シンガポール2校、ベトナム1校、台湾1校)を展開している。
2. 事業内容
同社の事業セグメントは2020年3月期まで教育関連事業と不動産賃貸事業とに分けて開示していたが、2020年3月期中に同社グループが保有していた賃貸用不動産物件の大部分を売却したことにより、不動産賃貸事業の重要性が乏しくなったことから、2021年3月期からは教育関連事業の単一セグメントに変更している。
教育関連事業では小学生から高校生までを対象とした進学塾「早稲田アカデミー」を首都圏(東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城)で展開している。ブランド名としては「早稲田アカデミー」(2020年9月末113校)のほか、「早稲田アカデミー大学受験部」(同7校)、個別指導塾の「早稲田アカデミー個別進学館」(同28校)、難関中学高校受験専門塾「ExiV(エクシブ)」(同5校)、小中学生向け受験塾の「国研」(同1校)、最難関中学受験専門塾の「SPICA(スピカ)」(同1校)など合計155校を直営で展開している。
子会社では、野田学園が医歯薬系専門の大学受験予備校「野田クルゼ」を都内で運営している。また、水戸アカデミーでは、茨城県内で小中学生を対象とした進学塾「水戸アカデミー」を1校運営しており、県内の難関公立高校である水戸第一高校の合格者数で高い実績を持つ。集学舎では千葉県内で小中高校生を対象とした進学塾「QUARD」を4校展開しており、うち高校部門については東進衛星予備校の映像授業を行っている。中学部が主力で県立千葉高校を始めとする難関公立高校への高い合格実績を有している。いずれも難関公立校への進学を志望する生徒の獲得強化に取り組んでいる同社にとって、シナジーが得られるとの考えから子会社化した。特に、集学舎とは人材採用や受験対策講座の共同開催など協業が進んでいる。そのほか、ロンドンとニューヨークで早稲田アカデミー各1校運営しており、2020年9月末のグループ全体の校舎数は164校となっている。
2021年3月期第2四半期累計の期中平均塾生数は前年同期比3.5%減の37,193名と減少に転じている。コロナ禍の影響で新年度生の獲得施策が制限を受け、4月のグループ全体の塾生数が前年同月比で7.6%減と大幅減でスタートしたことが要因だ。また、大学受験部の校舎を2020年3月期に3校舎閉鎖したことで高校部の塾生が前年同期比19.5%減の2,615名と低調に推移したことも要因となっている。高校部については、拠点展開を大都市部に集約化する戦略にシフトしており、現在はその過渡期として校舎数の閉鎖が生徒数の減少に直結する格好となっている。
また、ここ数年は英語教育への取り組みにも注力している。2012年に「東大・医学部・ハーバードに一番近い小学生たちの英語塾」をコンセプトに、年長から小4生(現在は小6生)を対象とした英語英才講座「早稲田アカデミーIBS(Integrated Bilingual School)」を開講し、世界に通用するグローバル人材を育成するプログラムとして注目度が高まっている。2017年からは小中学生を対象に、IBSのノウハウを活用した、より汎用性の高い「多読英語教室 早稲田アカデミー English ENGINE」を開校している。2020年からは、オンラインを活用した海外のネイティブ講師とのマンツーマン英語レッスン「Online English Education」をスタートしている。
その他にも現役教師の研修用教材となるeラーニング「教師力養成塾e-講座」を提供しているほか、インスクール・ビジネスとして学校や教育委員会から依頼を受け、受託授業なども手掛けている。これらは、進学塾で培った指導ノウハウと社内外の研修・講演等で培った研修ノウハウを組み合わせたものとなっており、今後も公教育支援への取り組みは継続していく方針となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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