インテリックス Research Memo(5):リースバック事業では初めて信託受益権の販売収益を計上
[21/02/17]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■インテリックス<8940>の業績動向
2. 事業セグメント別動向
(1) 中古マンション再生流通事業(リノヴェックスマンション事業)
中古マンション再生流通事業の売上高は前年同期比13.1%増の16,815百万円、営業利益は同32.8%増の514百万円と2期連続で増収増益となった。売上高の内訳を見ると、リノヴェックスマンションの物件販売で同13.2%増の16,725百万円、マンションの賃貸収入で同9.4%減の77百万円、その他収入(不動産仲介手数料)で同31.8%増の12百万円となっている。
リノヴェックスマンションの販売件数は前年同期比17.1%増の745件となり、平均販売単価は同3.4%減の2,245万円となった。エリア別の販売件数を見ると、首都圏が同9.4%増の326件と第2四半期累計としては9年ぶりに増加に転じたほか、地方エリアについても同24.0%増の419件と3年ぶりに過去最高を更新した。新築マンションの供給戸数が減少するなかで、中古マンションの需要は首都圏を中心に相対的に堅調に推移したこと、前期に仕入れを強化し在庫を潤沢に抱えていたことが、販売件数の増加につながった。地方店では特に大阪支店が前年同期比59.6%増の142件、福岡支店が同50.0%増の75件と大きく伸長した。これら拠点では中途採用による営業体制を強化したことが奏功したと見られる。
一方、仕入件数については前年同期比31.5%減の557件、うち首都圏が同31.0%減の245件、地方エリアが同31.9%減の312件とそれぞれ2ケタ減少となった。首都圏は2年ぶり、地方エリアは3年ぶりの減少に転じたことになる。コロナ禍のため人口の移動が停滞し、業界全体で中古マンションの売却物件が減少したことが一因と見られる。実際、首都圏の中古マンションの動向を見ると、成約件数についてはコロナ禍に伴う緊急事態宣言発出の影響で4月、5月に大きく減少したものの、6〜11月では前年同期比5.6%増の19,900件と堅調に推移したが、在庫件数は2019年12月に前年同月比で減少に転じて以降、月を追うごとに減少率が拡大し、2020年12月には18.9%減、件数で3.8万件と5年ぶりに4万件の水準を割り込んでおり、流通市場において売買可能な中古マンションの件数が減少したことがうかがえる。
なお、リノヴェックスマンション販売の売上総利益率は前年同期の12.9%から11.8%に低下し、売上総利益は同3.3%増の1,968百万円にとどまった。第1四半期に事業期間が120日と長期化したため、一部値引き販売を実施したことが要因だ。ただ、第2四半期は需要が総じて強かったこともあり、事業期間が107日に短縮しており、四半期別の売上総利益率で見ても、第1四半期の10.9%から第2四半期は12.4%まで改善した。第1四半期に事業期間が伸びた要因としては、コロナ禍により住設機器の調達が一時的にストップしたことで施工期間が43日に伸びたことに加え、販売期間も緊急事態宣言解除後ということもあって77日とやや長期化したことによる。ただ、第2四半期以降は調達も正常化し、施工期間は37日程度と平常に戻っている。
(2) その他不動産事業
その他不動産事業の売上高は前年同期比42.8%増の4,215百万円、営業利益は同33.5%増の359百万円となった。売上高の内訳を見ると、物件販売が同102.2%増の3,045百万円、賃貸収入が同0.8%減の463百万円、その他収入が同27.8%減の707百万円となり、物件販売の大幅伸長が増収増益要因となった。
物件販売の増収は、リースバック物件の販売収入の増加が主因となっている。不動産信託受益権の譲渡※も含めて93件を売却、25億円弱の売上を計上した。リースバック事業では、物件の取得から保有(賃貸収益)、流動化(譲渡益)による財務体質の向上と更なる物件の取得といったサイクルを繰り返していくことで事業を拡大していく戦略となっているが、今回、纏まった規模の流動化を実現したことで、こうした好循環サイクルを完成させたと言え、今後更なる物件取得を推進していくものと予想される。なお、第2四半期末におけるリースバック物件の保有件数は信託受益権(68件分)の譲渡や通常売却等もあって、前期末比51件減の337件(55%が戸建、45%がマンション)、保有総額で同15億円減の47億円となっている。
※2020年9月にリースバック物件68件の信託受益権を合同会社あんばいLB1号に譲渡(譲渡価格1,941百万円、帳簿価格1,632百万円)し、オフバランス化した。
そのほか、アセットシェアリング商品については前年同期と同じく販売が無く、その他不動産物件の販売も減少した。また、その他不動産物件販売の売上総利益率は前年同期の16.6%に対して16.4%とほぼ同水準を維持し、売上総利益は同100.1%増の500百万円となった。
賃貸収入はリースバック物件の保有件数減少に伴い若干減収となったものの、売上総利益は前年同期比11.3%増の248百万円と増益となった。保有不動産の減価償却負担低減が一因と見られる。また、その他収入の減収についてはリノベーション内装事業が法人や個人顧客からの受注減少に伴い前年同期比22%減の5.7億円となったことに加えて、ホテル宿泊事業等の減収によるものとなっている。ホテル宿泊事業では2020年1月に開業した「LANDABOUT」のほか、「montan HAKATA(モンタン博多)」「京町家」等の稼働率がコロナ禍において低迷し、収益圧迫要因となった。この結果、その他収入の売上総利益は前年同期の138百万円の利益から13百万円の損失に転じた。なお、「LANDABOUT」に関しては、運営実績を重ねてからアセットシェアリング商品として販売していく方針であったが、稼働率が正常化するまでにはなお時間を要する見込みであり、商品化時期は未定となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<NB>
2. 事業セグメント別動向
(1) 中古マンション再生流通事業(リノヴェックスマンション事業)
中古マンション再生流通事業の売上高は前年同期比13.1%増の16,815百万円、営業利益は同32.8%増の514百万円と2期連続で増収増益となった。売上高の内訳を見ると、リノヴェックスマンションの物件販売で同13.2%増の16,725百万円、マンションの賃貸収入で同9.4%減の77百万円、その他収入(不動産仲介手数料)で同31.8%増の12百万円となっている。
リノヴェックスマンションの販売件数は前年同期比17.1%増の745件となり、平均販売単価は同3.4%減の2,245万円となった。エリア別の販売件数を見ると、首都圏が同9.4%増の326件と第2四半期累計としては9年ぶりに増加に転じたほか、地方エリアについても同24.0%増の419件と3年ぶりに過去最高を更新した。新築マンションの供給戸数が減少するなかで、中古マンションの需要は首都圏を中心に相対的に堅調に推移したこと、前期に仕入れを強化し在庫を潤沢に抱えていたことが、販売件数の増加につながった。地方店では特に大阪支店が前年同期比59.6%増の142件、福岡支店が同50.0%増の75件と大きく伸長した。これら拠点では中途採用による営業体制を強化したことが奏功したと見られる。
一方、仕入件数については前年同期比31.5%減の557件、うち首都圏が同31.0%減の245件、地方エリアが同31.9%減の312件とそれぞれ2ケタ減少となった。首都圏は2年ぶり、地方エリアは3年ぶりの減少に転じたことになる。コロナ禍のため人口の移動が停滞し、業界全体で中古マンションの売却物件が減少したことが一因と見られる。実際、首都圏の中古マンションの動向を見ると、成約件数についてはコロナ禍に伴う緊急事態宣言発出の影響で4月、5月に大きく減少したものの、6〜11月では前年同期比5.6%増の19,900件と堅調に推移したが、在庫件数は2019年12月に前年同月比で減少に転じて以降、月を追うごとに減少率が拡大し、2020年12月には18.9%減、件数で3.8万件と5年ぶりに4万件の水準を割り込んでおり、流通市場において売買可能な中古マンションの件数が減少したことがうかがえる。
なお、リノヴェックスマンション販売の売上総利益率は前年同期の12.9%から11.8%に低下し、売上総利益は同3.3%増の1,968百万円にとどまった。第1四半期に事業期間が120日と長期化したため、一部値引き販売を実施したことが要因だ。ただ、第2四半期は需要が総じて強かったこともあり、事業期間が107日に短縮しており、四半期別の売上総利益率で見ても、第1四半期の10.9%から第2四半期は12.4%まで改善した。第1四半期に事業期間が伸びた要因としては、コロナ禍により住設機器の調達が一時的にストップしたことで施工期間が43日に伸びたことに加え、販売期間も緊急事態宣言解除後ということもあって77日とやや長期化したことによる。ただ、第2四半期以降は調達も正常化し、施工期間は37日程度と平常に戻っている。
(2) その他不動産事業
その他不動産事業の売上高は前年同期比42.8%増の4,215百万円、営業利益は同33.5%増の359百万円となった。売上高の内訳を見ると、物件販売が同102.2%増の3,045百万円、賃貸収入が同0.8%減の463百万円、その他収入が同27.8%減の707百万円となり、物件販売の大幅伸長が増収増益要因となった。
物件販売の増収は、リースバック物件の販売収入の増加が主因となっている。不動産信託受益権の譲渡※も含めて93件を売却、25億円弱の売上を計上した。リースバック事業では、物件の取得から保有(賃貸収益)、流動化(譲渡益)による財務体質の向上と更なる物件の取得といったサイクルを繰り返していくことで事業を拡大していく戦略となっているが、今回、纏まった規模の流動化を実現したことで、こうした好循環サイクルを完成させたと言え、今後更なる物件取得を推進していくものと予想される。なお、第2四半期末におけるリースバック物件の保有件数は信託受益権(68件分)の譲渡や通常売却等もあって、前期末比51件減の337件(55%が戸建、45%がマンション)、保有総額で同15億円減の47億円となっている。
※2020年9月にリースバック物件68件の信託受益権を合同会社あんばいLB1号に譲渡(譲渡価格1,941百万円、帳簿価格1,632百万円)し、オフバランス化した。
そのほか、アセットシェアリング商品については前年同期と同じく販売が無く、その他不動産物件の販売も減少した。また、その他不動産物件販売の売上総利益率は前年同期の16.6%に対して16.4%とほぼ同水準を維持し、売上総利益は同100.1%増の500百万円となった。
賃貸収入はリースバック物件の保有件数減少に伴い若干減収となったものの、売上総利益は前年同期比11.3%増の248百万円と増益となった。保有不動産の減価償却負担低減が一因と見られる。また、その他収入の減収についてはリノベーション内装事業が法人や個人顧客からの受注減少に伴い前年同期比22%減の5.7億円となったことに加えて、ホテル宿泊事業等の減収によるものとなっている。ホテル宿泊事業では2020年1月に開業した「LANDABOUT」のほか、「montan HAKATA(モンタン博多)」「京町家」等の稼働率がコロナ禍において低迷し、収益圧迫要因となった。この結果、その他収入の売上総利益は前年同期の138百万円の利益から13百万円の損失に転じた。なお、「LANDABOUT」に関しては、運営実績を重ねてからアセットシェアリング商品として販売していく方針であったが、稼働率が正常化するまでにはなお時間を要する見込みであり、商品化時期は未定となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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