タマホーム Research Memo(5):2021年5月期第2四半期累計の注文住宅の受注棟数は前年同期比15.4%増
[21/02/24]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■タマホーム<1419>の業績動向
2.事業セグメント別動向
(1) 住宅事業
住宅事業の売上高は前年同期比0.2%増の78,818百万円、営業利益は同576.3%増の1,748百万円となった。売上高の内訳(セグメント間取引含む)は、注文住宅事業が同0.7%減の74,206百万円、リフォーム事業が同19.7%増の3,888百万円、その他が同3.9%減の863百万円となり、第2四半期累計としては5年連続の増収となった。また、営業利益は注文住宅事業における価格改定効果等による収益改善やリフォーム事業の増収効果に加えて、広告宣伝費を中心に販管費が減少したことも増益要因となり、2期連続の増益となった。
注文住宅の受注棟数は前年同期比15.4%増の5,518棟と2年ぶりに増加に転じた。同期間における競合大手の受注高伸び率と比較しても同社の好調ぶりが際立っている。同社では受注が好調だった要因として、地域限定商品及び期間限定商品を中心に、マーケットニーズに応じた柔軟な価格戦略を推進したことに加えて、コロナ禍において注文住宅を購入する顧客の行動様式が変化してきたことが背景にあると見ている。従来、注文住宅の購入を検討する顧客は総合住宅展示場などに足を運び、販売員の話を聞きながら3〜4社のモデルハウスを見て、どのハウスメーカーで住宅を建てるかを決める人が多かったが、コロナ禍において総合住宅展示場が休場となるなかで、顧客はまず各社のWebサイトから住宅に関する情報を収集し、資料請求して比較検討するようになり、こうしたなかで同社の住宅性能が競合他社と同等水準であるだけでなく、コストパフォーマンスでは優位性のあることが改めて認知されたことが大きい。また、資料請求が来場予約につながるような導線づくりを行ったことやWeb面談などの取り組みも早期に対応するなど、Webマーケティングによる集客施策を強化したことも受注増に貢献している。
こうした取り組みによって、展示場への来場組数は2020年7月以降急速に回復し、第2四半期累計では前年同期比1%減と業界全体が13%減と2ケタ減に落ち込むなかで健闘し、これが受注の差になって表れたものと考えられる。地域別でも、全国各エリアにて受注が伸びたようだ。なお、コロナ禍において展示場への来場を完全予約制としたことで、従来よりも契約意思の高い顧客が来場するようになったため、来場者の成約率も従来よりも高くなっている。
販売棟数は前年同期比4.0%減の4,056棟となったが、平均販売価格は同3.5%上昇の1,829万円となった。商品別の販売棟数で見ると、地域限定商品や期間限定商品等の既存ラインが堅調に推移した一方で、低価格帯となるベーシックラインの構成比が減少しており、こうした販売構成比の変化が平均単価の上昇要因になったと見られる。低価格商品については集客施策のなかで展示場へ来場者を呼び込むためのフック役としての位置づけであり、期間限定商品等の需要が旺盛だったこともあり減少している。
リフォーム事業は、入居後10年を経過した物件を中心に保証延長工事※等の受注活動を積極的に展開した。受注獲得のノウハウを全支店で共有化するなどの取り組みを進めたことで、受注高は前年同期比27.6%増の4,344百万円、売上高は同19.7%増の3,888百万円といずれも半期ベースで過去最高を更新した。また、利益面でも増収効果により増益となっている。
※入居後10年を経過した物件に対して、瑕疵担保責任期間(10年間)を超える保障について、同社が実施する定期点検及び必要に応じた有償メンテナンス工事を条件として、10年ごとの保証延長を継続することが可能となる。
(2) 不動産事業
不動産事業の売上高は前年同期比2.4%減の15,845百万円、営業利益は同47.4%減の1,663百万円となった。前述したように前年同期に計上した販売用不動産(タマディアホテル羽田)の売却益が無くなったことが減益要因となっている。営業利益に関しては2019年5月期第2四半期累計にも自社ビルの売却益を計上していたことから2年連続の減益となっているが、戸建分譲事業だけで見れば2ケタ増収増益と好調を持続している。
売上高の内訳(グループ間取引含む)を見ると、戸建分譲事業は前年同期比52.0%増の13,641百万円となった。資金回転率を重視して、10区画未満の小規模分譲地を中心に仕入・販売に積極的に取り組んだことが奏功した。国内における戸建分譲住宅の着工戸数(2020年4月〜11月)が前年同期比14.2%減と低迷するなか、同社の販売棟数は同50.7%増の455棟と過去最高を更新し、高成長トレンドが継続している。コロナ禍において在宅ワークが浸透するなか、首都圏を中心にこうした需要も取り込んでいる。
マンション事業は新規開発案件が無く、中古マンションのリノベーション販売を中心に売上高は前年同期比35.8%減の70百万円にとどまった。サブリース事業はオフィスビルの期末管理物件数が前期末の16棟から18棟と増加し、稼働率も90%超と高水準を維持したことで、売上高は同27.3%増の1,684百万円と増収基調が続いた。コロナ禍でオフィススペースの見直しを進める企業が増えており、同社が管理する物件においても一部のビルで解約は出たが、大きな影響は出ていないようだ。また、その他売上については同92.2%減の460百万円となった。大型の販売用不動産物件の売却が無かったことに加えて、オフィス区分所有権販売事業についても不動産市場におけるオフィス部門の需要動向が弱含みで推移していることから減収となった。
(3) 金融事業
金融事業の売上高は前年同期比11.0%増の738百万円、営業利益は同30.9%増の317百万円と2期連続で増収増益となった。住宅販売棟数の増加に加えて、火災保険の付保率が高水準で推移したこと、住宅平均販売単価の上昇に伴う保険手数料単価の向上、フラット35の利用率拡大に伴う住宅ローン手数料収入の増加などが増収増益要因となった。
(4) エネルギー事業
エネルギー事業の売上高は前年同期比3.4%増の459百万円、営業利益は同13.4%増の190百万円と2期ぶりの増収増益に転じた。2019年は夏から秋にかけ天候不順が続いたが、2020年の同期間は天候に恵まれ発電量が増加したことが増収増益要因となった。
(5) その他事業
その他事業の売上高は前年同期比13.9%減の2,772百万円、営業利益は同17.1%増の288百万円となった。過年度から進めてきた不採算事業からの撤退により減収となったものの、住宅販売棟数の増加に伴い住宅周辺事業が堅調に推移したこと、不採算事業の縮小などが増益要因となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2.事業セグメント別動向
(1) 住宅事業
住宅事業の売上高は前年同期比0.2%増の78,818百万円、営業利益は同576.3%増の1,748百万円となった。売上高の内訳(セグメント間取引含む)は、注文住宅事業が同0.7%減の74,206百万円、リフォーム事業が同19.7%増の3,888百万円、その他が同3.9%減の863百万円となり、第2四半期累計としては5年連続の増収となった。また、営業利益は注文住宅事業における価格改定効果等による収益改善やリフォーム事業の増収効果に加えて、広告宣伝費を中心に販管費が減少したことも増益要因となり、2期連続の増益となった。
注文住宅の受注棟数は前年同期比15.4%増の5,518棟と2年ぶりに増加に転じた。同期間における競合大手の受注高伸び率と比較しても同社の好調ぶりが際立っている。同社では受注が好調だった要因として、地域限定商品及び期間限定商品を中心に、マーケットニーズに応じた柔軟な価格戦略を推進したことに加えて、コロナ禍において注文住宅を購入する顧客の行動様式が変化してきたことが背景にあると見ている。従来、注文住宅の購入を検討する顧客は総合住宅展示場などに足を運び、販売員の話を聞きながら3〜4社のモデルハウスを見て、どのハウスメーカーで住宅を建てるかを決める人が多かったが、コロナ禍において総合住宅展示場が休場となるなかで、顧客はまず各社のWebサイトから住宅に関する情報を収集し、資料請求して比較検討するようになり、こうしたなかで同社の住宅性能が競合他社と同等水準であるだけでなく、コストパフォーマンスでは優位性のあることが改めて認知されたことが大きい。また、資料請求が来場予約につながるような導線づくりを行ったことやWeb面談などの取り組みも早期に対応するなど、Webマーケティングによる集客施策を強化したことも受注増に貢献している。
こうした取り組みによって、展示場への来場組数は2020年7月以降急速に回復し、第2四半期累計では前年同期比1%減と業界全体が13%減と2ケタ減に落ち込むなかで健闘し、これが受注の差になって表れたものと考えられる。地域別でも、全国各エリアにて受注が伸びたようだ。なお、コロナ禍において展示場への来場を完全予約制としたことで、従来よりも契約意思の高い顧客が来場するようになったため、来場者の成約率も従来よりも高くなっている。
販売棟数は前年同期比4.0%減の4,056棟となったが、平均販売価格は同3.5%上昇の1,829万円となった。商品別の販売棟数で見ると、地域限定商品や期間限定商品等の既存ラインが堅調に推移した一方で、低価格帯となるベーシックラインの構成比が減少しており、こうした販売構成比の変化が平均単価の上昇要因になったと見られる。低価格商品については集客施策のなかで展示場へ来場者を呼び込むためのフック役としての位置づけであり、期間限定商品等の需要が旺盛だったこともあり減少している。
リフォーム事業は、入居後10年を経過した物件を中心に保証延長工事※等の受注活動を積極的に展開した。受注獲得のノウハウを全支店で共有化するなどの取り組みを進めたことで、受注高は前年同期比27.6%増の4,344百万円、売上高は同19.7%増の3,888百万円といずれも半期ベースで過去最高を更新した。また、利益面でも増収効果により増益となっている。
※入居後10年を経過した物件に対して、瑕疵担保責任期間(10年間)を超える保障について、同社が実施する定期点検及び必要に応じた有償メンテナンス工事を条件として、10年ごとの保証延長を継続することが可能となる。
(2) 不動産事業
不動産事業の売上高は前年同期比2.4%減の15,845百万円、営業利益は同47.4%減の1,663百万円となった。前述したように前年同期に計上した販売用不動産(タマディアホテル羽田)の売却益が無くなったことが減益要因となっている。営業利益に関しては2019年5月期第2四半期累計にも自社ビルの売却益を計上していたことから2年連続の減益となっているが、戸建分譲事業だけで見れば2ケタ増収増益と好調を持続している。
売上高の内訳(グループ間取引含む)を見ると、戸建分譲事業は前年同期比52.0%増の13,641百万円となった。資金回転率を重視して、10区画未満の小規模分譲地を中心に仕入・販売に積極的に取り組んだことが奏功した。国内における戸建分譲住宅の着工戸数(2020年4月〜11月)が前年同期比14.2%減と低迷するなか、同社の販売棟数は同50.7%増の455棟と過去最高を更新し、高成長トレンドが継続している。コロナ禍において在宅ワークが浸透するなか、首都圏を中心にこうした需要も取り込んでいる。
マンション事業は新規開発案件が無く、中古マンションのリノベーション販売を中心に売上高は前年同期比35.8%減の70百万円にとどまった。サブリース事業はオフィスビルの期末管理物件数が前期末の16棟から18棟と増加し、稼働率も90%超と高水準を維持したことで、売上高は同27.3%増の1,684百万円と増収基調が続いた。コロナ禍でオフィススペースの見直しを進める企業が増えており、同社が管理する物件においても一部のビルで解約は出たが、大きな影響は出ていないようだ。また、その他売上については同92.2%減の460百万円となった。大型の販売用不動産物件の売却が無かったことに加えて、オフィス区分所有権販売事業についても不動産市場におけるオフィス部門の需要動向が弱含みで推移していることから減収となった。
(3) 金融事業
金融事業の売上高は前年同期比11.0%増の738百万円、営業利益は同30.9%増の317百万円と2期連続で増収増益となった。住宅販売棟数の増加に加えて、火災保険の付保率が高水準で推移したこと、住宅平均販売単価の上昇に伴う保険手数料単価の向上、フラット35の利用率拡大に伴う住宅ローン手数料収入の増加などが増収増益要因となった。
(4) エネルギー事業
エネルギー事業の売上高は前年同期比3.4%増の459百万円、営業利益は同13.4%増の190百万円と2期ぶりの増収増益に転じた。2019年は夏から秋にかけ天候不順が続いたが、2020年の同期間は天候に恵まれ発電量が増加したことが増収増益要因となった。
(5) その他事業
その他事業の売上高は前年同期比13.9%減の2,772百万円、営業利益は同17.1%増の288百万円となった。過年度から進めてきた不採算事業からの撤退により減収となったものの、住宅販売棟数の増加に伴い住宅周辺事業が堅調に推移したこと、不採算事業の縮小などが増益要因となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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