スカラ Research Memo(1):中期経営計画の達成に向けた成長の種が見え始める
[21/03/17]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
スカラ<4845>は、IT/AI/IoT/ECの分野でのコア技術を、パートナー企業と「共創」の形でより広い社会事業に適用することで、究極の社会貢献を目指す、ITサービス、人材・教育、コンサルティング企業をグループ会社に持つ持株会社である。2021年6月期より事業セグメントをIT/AI/IoT/DX事業、カスタマーサポート事業、人材・教育事業、EC事業、投資・インキュベーション事業に再編成し、ソフトブレーン(株)の株式売却で得た資金で積極投資を展開し、中期経営計画「COMMIT5000」で掲げた業績目標(2030年6月期に売上収益5,000億円)の達成を目指す。
1. 2021年6月期第2四半期累計業績の概要
2021年6月期第2四半期累計(2020年7月〜12月)の継続事業※1の売上収益は前年同期比17.5%増の4,285百万円、営業利益は同87.8%減の25百万円となった。売上収益は前第4四半期から連結子会社に加わったグリットグループホールディングス(株)※2の人材・教育事業が657百万円加わったことで増収となったものの、営業利益は主力事業であるIT/AI/IoT/DX事業の収益が、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響による企業のコスト削減意識の高まりにより一時的に減益となったほか、人材・教育事業も人材採用イベントの縮小や季節要因等により131百万円の営業損失を計上したことが減益要因となった。唯一、EC事業は巣ごもり需要による対戦型ゲームのトレーディングカードの売買が活発化し、2ケタ増収増益と好調に推移した。
※1 2020年11月に連結子会社のソフトブレーンを売却したことに伴い、同社及びその子会社を非継続事業に分類し、売上収益及び営業利益は非継続事業を除いた継続事業の金額を表示している。
※2 人材サービス事業、子供教育事業、外国人雇用サポート事業などをグリットグループホールディングス及びその子会社3社で展開している。
2. 2021年6月期の業績見通し
2021年6月期の業績は、継続事業ベースで売上収益が9,000〜12,000百万円、営業利益が100〜500百万円となる見通し。前期のソフトブレーングループを除いた継続事業の業績は、集計中のため前期比増減率は非開示としている。前期業績からソフトブレーンの連結業績分を控除したおおよその売上収益は7,500百万円、営業利益で140百万円程度と推計され、営業利益に関してはほぼ前期並みの水準で見込んでいることになる。2021年6月期下期はIT/AI/IoT/DX事業や人材・教育事業も上向きに転じる見通しだが、中期経営計画の達成に向けた経営基盤の強化を目的とした先行投資も実施する予定となっている。なお、ソフトブレーンの株式売却益約26億円は非継続事業利益として当期利益に反映され、親会社の所有者に帰属する当期利益は2,700〜3,100百万円となる見通しである。また、ソフトブレーン株式の売却によって得られる約105億円の資金は、中期経営計画の実現に向けた投資に充当していく予定にしている。投資先としては、高い収益率の案件に再投資するとともに、投資先の経営支援など同社の様々なリソースを活用し、企業価値の増大によるキャピタルゲインも獲得していく戦略となっている。
3. 中期経営計画と成長戦略
中期経営計画「COMMIT5000」では、価値創造経営支援事業、IT/AI/IoT関連事業、社会問題解決型事業の3事業を推進し、2030年6月期に売上収益5,000億円、営業利益500億円を目標に掲げている。2021年6月期は目標を実現するための新たなソリューションサービスの「型」を実践的に創り、2022年6月期以降にそれらを上場企業や地方自治体へと幅広く横展開し、成長を加速化していく戦略だ。既に、いくつかの取り組み事例も見えはじめており、2020年2月に資本業務提携したxID(クロスID)(株)のデジタルID「xID」と、同社の電話認証及びSMS認証サービスとを組み合わせたソリューションが金融機関で採用され始めているほか、投資用アパート販売大手のシノケングループ<8909>と共同で、「xID」を活用した不動産トラストDXプラットフォームの共同開発も開始しており、同プラットフォームを横展開していく予定にしている。地方創生関連サービスでは、(株)Public dots & Companyと共同でSDGs特化型の「逆公募プロポーザル」サービスを2020年11月にリリースした。自治体で埋もれている潜在的なDXニーズを炙り出すサービスで、想定以上に多くの自治体から問い合わせがきているようだ。同サービスの開始によって自治体とのネットワークも広がっており、既存サービスにもプラスの影響を与えるものと期待される。さらに、移住支援事業を行う(株)スカラパートナーズにおいて、一般的なワーケーションだけでなく「地域課題解決を通じた変革人材育成」など様々なソリューションを今後展開していく予定としている。これらの事業が2022年6月期以降、どのようなペースで成長していくのかが注目される。
■Key Points
・2021年6月期第2四半期累計業績は、M&A効果で増収となるもコロナ禍の影響と先行投資費用の増加により減益に
・2021年6月期業績は下期以降、新規案件が増加し上向きに転じる見通し
・中期経営目標として2030年6月期に売上収益5,000億円、営業利益500億円を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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スカラ<4845>は、IT/AI/IoT/ECの分野でのコア技術を、パートナー企業と「共創」の形でより広い社会事業に適用することで、究極の社会貢献を目指す、ITサービス、人材・教育、コンサルティング企業をグループ会社に持つ持株会社である。2021年6月期より事業セグメントをIT/AI/IoT/DX事業、カスタマーサポート事業、人材・教育事業、EC事業、投資・インキュベーション事業に再編成し、ソフトブレーン(株)の株式売却で得た資金で積極投資を展開し、中期経営計画「COMMIT5000」で掲げた業績目標(2030年6月期に売上収益5,000億円)の達成を目指す。
1. 2021年6月期第2四半期累計業績の概要
2021年6月期第2四半期累計(2020年7月〜12月)の継続事業※1の売上収益は前年同期比17.5%増の4,285百万円、営業利益は同87.8%減の25百万円となった。売上収益は前第4四半期から連結子会社に加わったグリットグループホールディングス(株)※2の人材・教育事業が657百万円加わったことで増収となったものの、営業利益は主力事業であるIT/AI/IoT/DX事業の収益が、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響による企業のコスト削減意識の高まりにより一時的に減益となったほか、人材・教育事業も人材採用イベントの縮小や季節要因等により131百万円の営業損失を計上したことが減益要因となった。唯一、EC事業は巣ごもり需要による対戦型ゲームのトレーディングカードの売買が活発化し、2ケタ増収増益と好調に推移した。
※1 2020年11月に連結子会社のソフトブレーンを売却したことに伴い、同社及びその子会社を非継続事業に分類し、売上収益及び営業利益は非継続事業を除いた継続事業の金額を表示している。
※2 人材サービス事業、子供教育事業、外国人雇用サポート事業などをグリットグループホールディングス及びその子会社3社で展開している。
2. 2021年6月期の業績見通し
2021年6月期の業績は、継続事業ベースで売上収益が9,000〜12,000百万円、営業利益が100〜500百万円となる見通し。前期のソフトブレーングループを除いた継続事業の業績は、集計中のため前期比増減率は非開示としている。前期業績からソフトブレーンの連結業績分を控除したおおよその売上収益は7,500百万円、営業利益で140百万円程度と推計され、営業利益に関してはほぼ前期並みの水準で見込んでいることになる。2021年6月期下期はIT/AI/IoT/DX事業や人材・教育事業も上向きに転じる見通しだが、中期経営計画の達成に向けた経営基盤の強化を目的とした先行投資も実施する予定となっている。なお、ソフトブレーンの株式売却益約26億円は非継続事業利益として当期利益に反映され、親会社の所有者に帰属する当期利益は2,700〜3,100百万円となる見通しである。また、ソフトブレーン株式の売却によって得られる約105億円の資金は、中期経営計画の実現に向けた投資に充当していく予定にしている。投資先としては、高い収益率の案件に再投資するとともに、投資先の経営支援など同社の様々なリソースを活用し、企業価値の増大によるキャピタルゲインも獲得していく戦略となっている。
3. 中期経営計画と成長戦略
中期経営計画「COMMIT5000」では、価値創造経営支援事業、IT/AI/IoT関連事業、社会問題解決型事業の3事業を推進し、2030年6月期に売上収益5,000億円、営業利益500億円を目標に掲げている。2021年6月期は目標を実現するための新たなソリューションサービスの「型」を実践的に創り、2022年6月期以降にそれらを上場企業や地方自治体へと幅広く横展開し、成長を加速化していく戦略だ。既に、いくつかの取り組み事例も見えはじめており、2020年2月に資本業務提携したxID(クロスID)(株)のデジタルID「xID」と、同社の電話認証及びSMS認証サービスとを組み合わせたソリューションが金融機関で採用され始めているほか、投資用アパート販売大手のシノケングループ<8909>と共同で、「xID」を活用した不動産トラストDXプラットフォームの共同開発も開始しており、同プラットフォームを横展開していく予定にしている。地方創生関連サービスでは、(株)Public dots & Companyと共同でSDGs特化型の「逆公募プロポーザル」サービスを2020年11月にリリースした。自治体で埋もれている潜在的なDXニーズを炙り出すサービスで、想定以上に多くの自治体から問い合わせがきているようだ。同サービスの開始によって自治体とのネットワークも広がっており、既存サービスにもプラスの影響を与えるものと期待される。さらに、移住支援事業を行う(株)スカラパートナーズにおいて、一般的なワーケーションだけでなく「地域課題解決を通じた変革人材育成」など様々なソリューションを今後展開していく予定としている。これらの事業が2022年6月期以降、どのようなペースで成長していくのかが注目される。
■Key Points
・2021年6月期第2四半期累計業績は、M&A効果で増収となるもコロナ禍の影響と先行投資費用の増加により減益に
・2021年6月期業績は下期以降、新規案件が増加し上向きに転じる見通し
・中期経営目標として2030年6月期に売上収益5,000億円、営業利益500億円を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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