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LTS Research Memo(7):2024年12月期に売上高12,000百万円、営業利益1,800百万円へ(1)

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

2. 中期経営計画
(1) 中期経営計画の概要
エル・ティー・エス<6560>は2024年12月期までの中期経営計画を発表した。2024年12月期の目指すべき姿として「デジタル時代のベスト・パートナー」になることを掲げた。同社は創業当初より、デジタル時代において顧客がDXを実現するために、顧客自らが変革を実行できる組織能力を醸成することをサービスの提供価値として位置付けてきた。それを実現するための施策として、戦略コンサルティングからIT・業務設計、デジタル活用・エンジニアリングと様々な領域で顧客の変革を支援し、各チームがネットワーク組織的に連携することで、総合チームとしてのスピード感を持った価値の提供を実現している。同社はベスト・パートナーとしてDXを支援し、顧客と共に成長していくことを目指している。

また、業績数値目標としては、2024年12月期に売上高12,000百万円、営業利益1,800百万円を掲げた。4年間の年平均成長率は売上高で21.2%、営業利益で39.3%となり、M&Aを含まないオーガニックの成長による目標値となる。市場環境としては、経営のDXニーズは依然旺盛であることから、年率20%超の成長は実現可能な水準と見られる。課題としては、高成長を支える人的リソースの採用・育成が想定通り進むかどうかが挙げられる。ただ、人材採用が想定通りに進まなかった場合でも、その補完としてM&Aや「コンサルタントジョブ」のサービスを活用することで業績目標を達成することは可能と弊社では見ている。

(2) 重点施策
a) 人材戦略
同社では今後の収益成長を継続していくための施策として、人材の採用並びに育成強化とグループ間のナレッジ連携に取り組んでいく方針だ。

人材に関してはグループで年間100名の純増を目指し、不足するようであればM&Aによって補完していくことにしている。単独ベースでは、採用数が2020年で約40名だったが、2021年に70名(新卒22名)、2022年以降は100名(同40〜50名)ペースで拡大していく予定となっている。加えて2019年にFPTジャパンホールディングスと合弁で設立したFPTコンサルティングジャパン(持分法適用関連会社)でも人材採用が着実に進んでいる(2021年1月時点で70名)。2022年1月には120〜130名体制となり、プロジェクト処理能力の拡大と持分法による投資利益に貢献してくる見通しだ。

育成面においては、グループ教育体制並びに現場での教育施策を強化していくほか、グループ会社間での人材交流を積極化させ、様々な角度からOJTによる変革現場を経験する機会を創出することで、個々のスキルアップを図っていく。また、コンサルタントとエンジニア間のキャリア転換の機会も充実させ、コンサルティングスキルとエンジニアスキルの双方を持つ人材を増やしていく考えだ。

ナレッジ連携では、グループ間のナレッジ連携を図るための専門組織を設置し、ナレッジの再整備、教育体系の再設計などを実行することで、グループ全体の競争力を強化していく。

b) 顧客戦略
顧客戦略としては、DXに積極的に取り組む先進企業群との関係強化を継続していくほか、営業エリアの拡大、顧客層の拡大(自治体、中堅・中小企業向け等)にも取り組んでいく。

営業エリアの拡大では、中部(静岡、愛知)、関西(大阪、京都)での体制強化に加えて、今後も対応エリアの拡大を推進していく。中部についてはソフテックを子会社化したことで、人的リソースが強化された。同エリアは自動車業界を中心に製造業が集積しているエリアで、特に自動車業界においては、ガソリン車からEVなど環境対応車へのシフトによって、今後産業構造が大きく変化することが見込まれている。経営のDXに対するコンサルティングニーズも増えると見られ、同社にとってはビジネスチャンスとなる。

また、国内だけでなくアジアを中心としたグローバルでのサービス展開にも取り組んでいく予定だ。コロナ禍の影響で2020年12月期はストップした状態だったが、コロナ収束後は取り組みを再開する。アジア展開については、ベトナムのICT企業で最大手となるFPTとの協業により推進していく戦略となる。ベトナムのFPTグループはエンジニアを約3.5万人抱えており、中国やインドの大手を除けばアジアで有数のIT企業となる。主にエンジニア派遣を主力とし、顧客は日系企業が約5割を占める。同社はFPTの開発リソースと同社のコンサルティングサービスを組み合わせることで、アジアでも国内と同様のビジネスモデルを展開し、事業を拡大していく戦略を描いている。コンサルタントの単価については、既にマネージャークラスで日本とアジアで同水準(250〜300万円/月)となっているため、コスト競争力でも十分太刀打ちできると見られる。

c) 顧客層の拡大
同社では従来、大企業とそのグループ会社を中心に顧客展開を進めてきたが、企業規模を一段と拡大していくため、顧客層の裾野も拡大していく方針となっている。具体的には、産学連携プロジェクトにおける戦略立案やコンサルティングサービスの提供、自治体向け、中堅・中小企業向けのサービスを積極展開していく。自治体向けに関しては、子会社のワクトにおいて2020年12月に広島県からの委託事業として「AI/IoT実証プラットフォーム事業(ニューノーマル提案型)管理・運営業務」を受注するなど実績も出はじめている。自治体ではDXに向けた取り組みが今後活発化するものと予想され、同社も単独、ないしは大手Sierなどとの協業により事業を拡大していく好機と言える。

d) グループ経営
グループ経営を強化することで、各事業のバリューアップと合理化を推進する。引き続き、グループ会社のアセットを活用した顧客開拓・案件獲得により営業人員を最適化し、単価向上と支援テーマの拡大を実現していく。また、グループ横断での案件デリバリを増やし、総合チームとしての価値提供を推進することで、グループ全体の収益力を高めていく方針だ。

また、グループ各社の管理機能を共通化することで、機能の高度化とコストの適正化を図っていく。このため、2022年12月期上期にはオフィスを移転し、グループ各社を集約化する予定となっている。グループIT基盤を共通化し、新たなワークスタイルを確立することで生産性向上を目指す。

e) プラットフォーム事業
プラットフォーム事業については、2022年12月期までを投資フェーズと位置づけ、開発投資等が一巡する2023年12月期以降に収益逓増フェーズに入る計画を立てている。同事業を拡大することで、プロフェッショナルサービス事業への「フリーコンサルタントの提供」「優良IT・DX企業群の情報提供」だけでなく、会員基盤や各種データを利用したM&A検討先のリファレンスなども行うことが可能となり、事業間シナジーの向上も期待できることになる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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