ザイマックス Research Memo(3):減収減益ながら、利益は直近予想を上回る
[21/05/24]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
1. 2021年2月期の業績概要
ザイマックス・リート投資法人<3488>の2021年2月期(第6期)決算は、営業収益1,293百万円(前期比5.2%減)、営業利益716百万円(同7.2%減)、経常利益651百万円(同10.2%減)、当期純利益650百万円(同10.2%減)の減収減益であった。ただ、2021年1月発表した直近の修正予想比では、営業利益は2.6%上回った。営業収益ではコロナ禍の影響でオフィス賃料の一時減免対応やホテル賃料の計画比減などがあったが、営業費用でのリーシングコストの不発生(2021年2月期へのずれ込み)や原状回復費用の計画比減などが大きかったためである。ホテルの減収を除いてコロナ禍の影響は限定的であった。なお、REITでは、税引前利益の90%超を分配金として支払う場合には法人税が免除されることから、当期純利益は経常利益とほぼ同水準となっている。
結果、1口当たり当期純利益は前期比330円減となったことから、分配金も2,911円/口と同331円減としたものの、直近予想の2,822円/口からは89円上回った。ポートフォリオ全体の稼働率は98.9%と、前期比0.3pt低下ながら高水準を維持した。アセットタイプ別には、商業、ホテルの稼働率が100% を維持し、その他(住宅)も99.0%に上昇した。一方、オフィスは元々稼働率が高かったが、リーシング期間が長期化したことで96.5%に低下した。また、NOI利回り(実質利回りとも言う。実績賃貸業利益/取得額で計算)は5.7%と、前期比0.3pt低下したものの、引き続き高い水準を維持した。テナント入替と契約更新時の改定により、2018年8月期〜2021年2月期までの6期通算で、月額1,084万円の収益拡大を実現している。継続的な賃料増額の成果により、鑑定賃料単価とのレントギャップは解消している。これは、テナントとの粘り強い交渉の成果と言えるだろう。
2. 財政状態
2021年2月期の財政状態は、総資産37,636百万円(前期末比2.5%増)、純資産23,236百万円(同0.3%減)、有利子負債12,780百万円(同9.4%増)であった。
有利子負債の平均利率は0.598%と前期比0.026pt低下する一方、固定金利比率は89.0%と同2.4pt上昇、平均残存期間も2年5ヶ月と同8ヶ月増となり、リファイナンスによって財務の安全性は増している。借入先は、スポンサーと財務取引関係を有するメガバンク・地方銀行等を中心に幅広く、安定的なレンダーフォーメーションを構築している。また、総資産LTV(Loan to Value:不動産価格に対する借入金の割合)は34.0%と低く、50%までの借入れ余力は約120億円であり、将来の機動的な物件取得が可能になっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
<NB>
1. 2021年2月期の業績概要
ザイマックス・リート投資法人<3488>の2021年2月期(第6期)決算は、営業収益1,293百万円(前期比5.2%減)、営業利益716百万円(同7.2%減)、経常利益651百万円(同10.2%減)、当期純利益650百万円(同10.2%減)の減収減益であった。ただ、2021年1月発表した直近の修正予想比では、営業利益は2.6%上回った。営業収益ではコロナ禍の影響でオフィス賃料の一時減免対応やホテル賃料の計画比減などがあったが、営業費用でのリーシングコストの不発生(2021年2月期へのずれ込み)や原状回復費用の計画比減などが大きかったためである。ホテルの減収を除いてコロナ禍の影響は限定的であった。なお、REITでは、税引前利益の90%超を分配金として支払う場合には法人税が免除されることから、当期純利益は経常利益とほぼ同水準となっている。
結果、1口当たり当期純利益は前期比330円減となったことから、分配金も2,911円/口と同331円減としたものの、直近予想の2,822円/口からは89円上回った。ポートフォリオ全体の稼働率は98.9%と、前期比0.3pt低下ながら高水準を維持した。アセットタイプ別には、商業、ホテルの稼働率が100% を維持し、その他(住宅)も99.0%に上昇した。一方、オフィスは元々稼働率が高かったが、リーシング期間が長期化したことで96.5%に低下した。また、NOI利回り(実質利回りとも言う。実績賃貸業利益/取得額で計算)は5.7%と、前期比0.3pt低下したものの、引き続き高い水準を維持した。テナント入替と契約更新時の改定により、2018年8月期〜2021年2月期までの6期通算で、月額1,084万円の収益拡大を実現している。継続的な賃料増額の成果により、鑑定賃料単価とのレントギャップは解消している。これは、テナントとの粘り強い交渉の成果と言えるだろう。
2. 財政状態
2021年2月期の財政状態は、総資産37,636百万円(前期末比2.5%増)、純資産23,236百万円(同0.3%減)、有利子負債12,780百万円(同9.4%増)であった。
有利子負債の平均利率は0.598%と前期比0.026pt低下する一方、固定金利比率は89.0%と同2.4pt上昇、平均残存期間も2年5ヶ月と同8ヶ月増となり、リファイナンスによって財務の安全性は増している。借入先は、スポンサーと財務取引関係を有するメガバンク・地方銀行等を中心に幅広く、安定的なレンダーフォーメーションを構築している。また、総資産LTV(Loan to Value:不動産価格に対する借入金の割合)は34.0%と低く、50%までの借入れ余力は約120億円であり、将来の機動的な物件取得が可能になっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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