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ミアヘルサ Research Memo(8):中期経営計画を発表、2024年3月期に売上高200億円を目指す(2)

注目トピックス 日本株
■ミアヘルサ<7688>の今後の成長戦略

b) 介護事業
介護事業では2024年3月期に売上高4,090百万円(前期比26.4%増)、営業利益率で7.6%以上(前期実績4.6%)を目指している。売上高については、2021年3月に開設したグループホームが寄与するほか、新たにホスピス型ホームを展開することで目標を達成していく方針だ。介護事業所数・施設数については前期末の61事業所から64事業所(M&Aで増える可能性あり)を計画している。

高齢化社会が進展するなかで、看取りのためのホスピスの需要も今後増大していくものと見て、ホスピス型ホームを新たに展開していくことにした。ホスピス型ホームでは看護ステーションが併設されるほか薬剤料も含めると、顧客1人あたりの売上高はグループホームなどと比べて約2.5倍の水準となり、医薬事業とのシナジー効果も見込まれる。1施設当たりの定員数は45〜60人程度を想定している。社員寮などの中古物件を改装して利用するほか、物件オーナーに改築・内装を行ってもらい、同社は賃借するのみであるため初期投資を抑えて展開していく計画となっている。また、サービス付き高齢者向け住宅のホスピス化についても検討を進めている。開設にあたっては、近隣の医療機関との連携を事前に取って、自治体に許認可を得てから開設していくことになる。ホスピス型ホームのドミナント展開によって、地域包括ケア体制をさらに拡充し、事業効率を一段と高めていく戦略だ。

利益率は前期実績から3%以上の上昇を見込んでいる。ホスピス型ホームを含めて認知症や重症患者への対応強化により、期待収益率の高い施設系サービスの売上拡大と入居率向上、及び運営スタッフの最適化を図ることで収益性向上を実現していく考えだ。また、デイサービスなど改善型介護サービスについても、中核人材となるスタッフ(介護知識を備えた学生等)を採用・育成していくことで、事業基盤を強化していく方針となっている。

高齢化社会の進展により65歳以上の人口は2026年には38.1%まで上昇することが予測されている。なかでも、介護サービスの利用率が高まる75歳以上の人口については2020年の1,872万人から2055年には2,446万人と約1.3倍に増加し、4人に1人が75歳以上という超高齢化社会に突入することになる。このため、今後も介護サービスの市場は安定的に拡大していくことが予想され、なかでも人口の多い首都圏で施設系から在宅系まで幅広い領域のサービスを展開する同社にとっては、事業を拡大していく好機と言える。

c) 保育事業
保育事業では2024年3月期に売上高5,000百万円(前期比27.4%増)、営業利益率で10.1%以上(前期実績9.1%)を目指している。売上高については、認可保育所の計画的な開設に加えて、新たに開始した公立保育園の指定管理(受託運営)を増やしていくことで拡大していく戦略だ。運営保育園数は前期末の30園から41園(M&Aで増える可能性あり)と年間3園ペースで増やしていく計画となっている。このため保育士の採用、並びに保育の質の強化についても引き続き重点施策として取り組んでいく方針となっている。

なお、厚生労働省の発表資料によると、待機児童解消に向けた保育園等の増設がここ数年で進んだことによって、保育利用率が2015年の37.9%から47.7%に上昇し、待機児童数率が2017年をピークに減少傾向となっており、今後は少子化がさらに進むことから、2025年以降は保育利用者数が頭打ちになるとの見方が出ている。ただ、隠れ待機児童数※も含めると実際の待機児童数は公表されている1.2万人に対して8〜9万人いると言われている。2020年はコロナ禍で在宅勤務が増えたこともあり、一時的に保育需要が伸び悩んだ可能性はあるが、子育て支援策の強化によって今後も保育利用率の上昇が見込まれることや、首都圏においては全国平均と比較しても待機児童率が高く、地域によっては依然、保育所が不足している状況にあることから、同エリアで事業展開している同社にとっては今後も安定成長が可能と弊社では見ている。特に、同社は認可基準以上の保育士を配置し、保育の質と安全を確保しながら保育園の運営を行ってきたことで、各自治体からも高い評価を得ていることから、公立保育園の運営受託事業についても拡大していく可能性が十分ある。

※隠れ待機児童とは、利用したい認可保育所などに入所できていない状況にもかかわらず、 国や自治体での待機児童数を数える際にカウントされていない児童のこと。 例えば、「保護者が何らかの理由で求職活動を中止している」「特定の保育園のみ希望している」などの理由から入所していない状況にある子どもが挙げられる。


(5) ICT投資計画
ICT投資については従来から継続して実施しているが、今後は顧客の利便性向上や業務効率の改善に向けて、より一層の利活用を進めていく方針となっている。

顧客の利便性向上に関しては、医薬事業におけるオンライン服薬指導や、即日配送の本格運用開始、介護事業における介護報酬計算システムの導入、保育事業における保護者とのコミュニケーションツールの導入、食品事業における受発注システムの更新などを計画している。また、業務効率の向上に向けた投資として、医薬事業では調剤業務効率化設備の増強、介護事業では介護報酬計算と請求業務、労務の一元管理システムの構築、保育事業ではオンラインを活用した研修・採用活動など、食品事業では商品管理システムなどの開発を進めていく計画となっている。年間のICT関連の投資額としては1億円程度となる見通しだ。

(6) 人財戦略
多様な能力を持った人財の育成と働きやすい職場づくりを整備していくことで、優秀な人財の定着率を向上し、経営基盤の強化を図っていく。

人財育成に関しては、職能と階層ごとの社内外研修を実施していくほか、資格取得支援や資格手当の拡充、キャリアパス制度の見直しなどに取り組んでいく。また、働きやすい職場づくりとして同社ではトレード制度(施設長と職員が相互に紹介しあい、希望の配属先をマッチングさせる)を導入しているほか、女性が働きやすい制度なども充実させている(2012年にくるみんマーク※取得済み)

※くるみんマークとは、厚生労働省が「子育てサポート企業」の推進を目的として設けた認証制度で、育児休業取得率や法定外労働時間の削減等、設定された一定基準をクリアする必要がある。


(7) 財務・資本施策
3ヶ年のキャッシュ・フロー計画を見ると、営業キャッシュ・フローで30億円の収入、投資キャッシュ・フローで20億円の支出となり、フリーキャッシュ・フローとして残った10億円のうち、2.5億円を配当金、2.5億円を有利子負債の返済に充当し、残額分については状況に応じて追加投資や追加配当に振り向けていく計画としている。2024年3月期末の純資産額については前期末比11億円増加の40億円とし、自己資本の充実と株主還元を両立しながら収益拡大を目指していくことになる。

(8) 持株会社体制への移行
同社は戦略的提携の加速(M&A含む)と新たな事業機会の創出、ガバナンス体制の一層の強化と業務執行の迅速化・効率化、グループ経営人材の育成を図るため、2021年10月1日付で、持株会社体制に移行することを発表している。新たにミアヘルサホールディングス(株)を設立し、株式移転によって子会社にミアヘルサ(株)、孫会社に(株)東昇商事を置く格好となる。また、2022年1月には業務の一元管理による管理機能の強化と経営の効率化を目的に、東昇商事をミアヘルサに吸収合併することも併せて決定している。株式上場についてはミアヘルサに代わって、ミアヘルサホールディングスがJASDAQ市場に新規上場することになるが、既存株主の保有株については同株数がミアヘルサホールディングス株式に自動的に移行するため、特段の影響は無い。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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