サムティ Research Memo(2):不動産事業と不動産賃貸事業のバランスの取れた事業構成(1)
[21/08/19]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■サムティ<3244>の会社概要
1. 事業概要
事業セグメントは、「不動産事業」「不動産賃貸事業」「その他の事業」の3つに分類される。好調に推移している「不動産事業」が売上高の79.0%を占めている(2021年11月期上期実績)。ただし、「不動産賃貸事業」が安定推移していることに対して、「不動産事業」は事業環境等によって大きく増減するところに注意が必要である。創業以来、安定した高稼働率が期待できるレジデンス(マンション等)を得意分野としており、リーシング(賃貸付け)に強みがある。2019年5月には、大和証券グループ本社<8601>と資本業務提携を行い、ホテルREITの組成や海外展開、クラウドファンディングなどで協働を進めている。
2015年3月にSRRを設立し、同年6月に東証J-REIT市場に上場させた。同社グループは、SRRへのスポンサーとしての役割(物件供給)とアセットマネジメント業務等を担っている。SRRの現在の資産規模は156物件で1,438億円(2021年8月3日時点)※と着実に成長を続けている。また、ホテル開発ファンドの組成も進めており、2022年春以降、ホテルREITとして上場させる計画である。
※資産規模は上場後約6年で4.7倍に成長
営業拠点は、大阪本社(大阪市淀川区)※のほか、東京支店(東京都千代田区)※、福岡支店(福岡市博多区)、札幌支店(札幌市中央区)、名古屋支店(名古屋市中村区)、広島支店(広島市中区)にあり、地方大都市圏を中心として全国に展開する体制が確立されている。
※神戸、新宿及び横浜営業所を有する。
同社グループは、同社及び連結子会社18社によって構成されるが、「不動産事業」及び「不動産賃貸事業」を行うプロセスにおいて、土地・建物及び信託受益権を取得・保有・開発するスキームに関連して設立または出資しているSPCや一般社団法人が8社含まれている(2021年5月末時点)※。主な連結子会社には、サムティアセットマネジメント(株)(アセットマネジメント等)、サムティホテルマネジメント(株)(ホテル運営等)、サムティプロパティマネジメント(株)(物件管理等)、SAMTY ASIA INVESTMENTS PTE.LTD.(シンガポール子会社)などがある。
※なお、2021年5月25日付けで資本業務提携を締結したWMIについては、2021年7月30日の株式取得(持株比率32.02%)により持分法適用会社となっている。
各事業の概要は以下のとおりである。
(1) 不動産事業
同社の成長を支える事業であり、「開発流動化」「再生流動化」「投資分譲」「アセットマネジメント」の4つのサブセグメントに区分される。
「開発流動化」は、不動産ファンド向け賃貸マンション(自社開発ブランド「S-RESIDENCE」シリーズ)等の企画、開発及び販売を行っている。各エリアのニーズを捉えたコンセプト・意匠により、解放感溢れるエントランスや内廊下等を採用し、高いデザイン性や居住性を有する単身者・DINKS向けのマンションである。SRRに対して「S-RESIDENCE」シリーズの優先交渉権を付与しており、基本的にはSRRへの物件供給を中心に据えている。また、新たな分野としてホテル(自社開発ブランド「S-PERIA」シリーズ等)やオフィスの企画、開発及び販売にも取り組んでいる。
「再生流動化」は、既存の収益不動産の再生及び販売を行っている。取得した収益不動産に対して、リーシング(賃貸付けを行った上で卸販売)やバリューアップノウハウの活用、設備改修によるグレードアップなどにより、稼働率の向上等を図り、保有期間中の収益確保につなげるとともに、最終的には、投資物件として不動産ファンドや事業会社、個人富裕層等に販売することによる売却益を目的としている。また、SRR向けのウェアハウジング※も行っている。なお、保有期間中の賃料収入は不動産賃貸事業に計上される。
※REITに組み入れるための物件取得。
「投資分譲」は、主に個人投資家向けの投資用ワンルームマンションの企画・開発を行っている。自社では販売を行わず、販売会社に卸販売(区分または1棟売り)するところに特徴がある。営業エリアにおいて販売実績のある販売会社とのネットワークを構築し、企画開発の段階から販売会社と協議を行うことにより、顧客(利用者)ニーズに合致した物件を供給している。また、同社のリーシングノウハウの高さが他社との差別化や販売会社に対する信頼性及び交渉力につながっている。
「アセットマネジメント」は、同社がアセットマネジャーとして不動産ファンドからの不動産の運用及び管理業務等を受託することによる手数料収入のほか、同社自らの不動産ファンドへの出資による配当収入を目的としている。SRRの資産規模の拡大に伴って、アセットマネジメント業務も拡大する方向にある。なお、本事業における収益体系は、運用報酬(運用資産残高の0.45%)のほか、取得報酬(物件取得価額の1.0%)、譲渡報酬(物件譲渡価額の0.5%)等によって構成される。とりわけ運用報酬については、運用資産残高に応じて、毎期、安定的な収益が期待できるものである。
(2) 不動産賃貸事業
同社の安定性を担保する基盤事業である。セグメント利益率も高い水準を維持している。関西圏及び首都圏のほか、福岡、札幌、名古屋等の政令指定都市を中心とした全国各地に163棟(棚卸資産、固定資産)を有するとともに、マンション、オフィスビル、商業施設等、多様な資産に分散投資を行っている。特に、景気変動の影響を受けにくいマンションの比率が高く、リーシングノウハウを生かすことで年平均90%を超える高い稼働率を実現している。保有不動産の規模はトータルで約2,081億円(簿価)に上るが、最終的に売却を目的とする棚卸資産(販売用不動産)約1,329億円と自社保有を目的とする固定資産約752億円に分かれる(2021年11月期上期末時点)。
(3) その他の事業
主にホテルの保有及び運営、分譲マンション管理事業、建設・リフォーム業を行っている。ホテル事業については、自社開発ホテル9棟を含む、計16棟のホテルの運営・管理を行っている。また、ホテル事業以外では、子会社のサムティプロパティマネジメントによって、分譲マンション管理(同社分譲物件を中心に外部物件を含む)及び建設・リフォームなども手掛けている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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1. 事業概要
事業セグメントは、「不動産事業」「不動産賃貸事業」「その他の事業」の3つに分類される。好調に推移している「不動産事業」が売上高の79.0%を占めている(2021年11月期上期実績)。ただし、「不動産賃貸事業」が安定推移していることに対して、「不動産事業」は事業環境等によって大きく増減するところに注意が必要である。創業以来、安定した高稼働率が期待できるレジデンス(マンション等)を得意分野としており、リーシング(賃貸付け)に強みがある。2019年5月には、大和証券グループ本社<8601>と資本業務提携を行い、ホテルREITの組成や海外展開、クラウドファンディングなどで協働を進めている。
2015年3月にSRRを設立し、同年6月に東証J-REIT市場に上場させた。同社グループは、SRRへのスポンサーとしての役割(物件供給)とアセットマネジメント業務等を担っている。SRRの現在の資産規模は156物件で1,438億円(2021年8月3日時点)※と着実に成長を続けている。また、ホテル開発ファンドの組成も進めており、2022年春以降、ホテルREITとして上場させる計画である。
※資産規模は上場後約6年で4.7倍に成長
営業拠点は、大阪本社(大阪市淀川区)※のほか、東京支店(東京都千代田区)※、福岡支店(福岡市博多区)、札幌支店(札幌市中央区)、名古屋支店(名古屋市中村区)、広島支店(広島市中区)にあり、地方大都市圏を中心として全国に展開する体制が確立されている。
※神戸、新宿及び横浜営業所を有する。
同社グループは、同社及び連結子会社18社によって構成されるが、「不動産事業」及び「不動産賃貸事業」を行うプロセスにおいて、土地・建物及び信託受益権を取得・保有・開発するスキームに関連して設立または出資しているSPCや一般社団法人が8社含まれている(2021年5月末時点)※。主な連結子会社には、サムティアセットマネジメント(株)(アセットマネジメント等)、サムティホテルマネジメント(株)(ホテル運営等)、サムティプロパティマネジメント(株)(物件管理等)、SAMTY ASIA INVESTMENTS PTE.LTD.(シンガポール子会社)などがある。
※なお、2021年5月25日付けで資本業務提携を締結したWMIについては、2021年7月30日の株式取得(持株比率32.02%)により持分法適用会社となっている。
各事業の概要は以下のとおりである。
(1) 不動産事業
同社の成長を支える事業であり、「開発流動化」「再生流動化」「投資分譲」「アセットマネジメント」の4つのサブセグメントに区分される。
「開発流動化」は、不動産ファンド向け賃貸マンション(自社開発ブランド「S-RESIDENCE」シリーズ)等の企画、開発及び販売を行っている。各エリアのニーズを捉えたコンセプト・意匠により、解放感溢れるエントランスや内廊下等を採用し、高いデザイン性や居住性を有する単身者・DINKS向けのマンションである。SRRに対して「S-RESIDENCE」シリーズの優先交渉権を付与しており、基本的にはSRRへの物件供給を中心に据えている。また、新たな分野としてホテル(自社開発ブランド「S-PERIA」シリーズ等)やオフィスの企画、開発及び販売にも取り組んでいる。
「再生流動化」は、既存の収益不動産の再生及び販売を行っている。取得した収益不動産に対して、リーシング(賃貸付けを行った上で卸販売)やバリューアップノウハウの活用、設備改修によるグレードアップなどにより、稼働率の向上等を図り、保有期間中の収益確保につなげるとともに、最終的には、投資物件として不動産ファンドや事業会社、個人富裕層等に販売することによる売却益を目的としている。また、SRR向けのウェアハウジング※も行っている。なお、保有期間中の賃料収入は不動産賃貸事業に計上される。
※REITに組み入れるための物件取得。
「投資分譲」は、主に個人投資家向けの投資用ワンルームマンションの企画・開発を行っている。自社では販売を行わず、販売会社に卸販売(区分または1棟売り)するところに特徴がある。営業エリアにおいて販売実績のある販売会社とのネットワークを構築し、企画開発の段階から販売会社と協議を行うことにより、顧客(利用者)ニーズに合致した物件を供給している。また、同社のリーシングノウハウの高さが他社との差別化や販売会社に対する信頼性及び交渉力につながっている。
「アセットマネジメント」は、同社がアセットマネジャーとして不動産ファンドからの不動産の運用及び管理業務等を受託することによる手数料収入のほか、同社自らの不動産ファンドへの出資による配当収入を目的としている。SRRの資産規模の拡大に伴って、アセットマネジメント業務も拡大する方向にある。なお、本事業における収益体系は、運用報酬(運用資産残高の0.45%)のほか、取得報酬(物件取得価額の1.0%)、譲渡報酬(物件譲渡価額の0.5%)等によって構成される。とりわけ運用報酬については、運用資産残高に応じて、毎期、安定的な収益が期待できるものである。
(2) 不動産賃貸事業
同社の安定性を担保する基盤事業である。セグメント利益率も高い水準を維持している。関西圏及び首都圏のほか、福岡、札幌、名古屋等の政令指定都市を中心とした全国各地に163棟(棚卸資産、固定資産)を有するとともに、マンション、オフィスビル、商業施設等、多様な資産に分散投資を行っている。特に、景気変動の影響を受けにくいマンションの比率が高く、リーシングノウハウを生かすことで年平均90%を超える高い稼働率を実現している。保有不動産の規模はトータルで約2,081億円(簿価)に上るが、最終的に売却を目的とする棚卸資産(販売用不動産)約1,329億円と自社保有を目的とする固定資産約752億円に分かれる(2021年11月期上期末時点)。
(3) その他の事業
主にホテルの保有及び運営、分譲マンション管理事業、建設・リフォーム業を行っている。ホテル事業については、自社開発ホテル9棟を含む、計16棟のホテルの運営・管理を行っている。また、ホテル事業以外では、子会社のサムティプロパティマネジメントによって、分譲マンション管理(同社分譲物件を中心に外部物件を含む)及び建設・リフォームなども手掛けている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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