すららネット Research Memo(1):2021年12月期は先行投資費用増加により減益予想も、その後は成長見込み
[21/08/30]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
すららネット<3998>の主力事業は、主に小学生・中学生・高校生を対象としている学習塾や学校に対して、オンライン学習教材「すらら」及びその姉妹版である「すららドリル」のサービスを提供することである。「すらら」を導入する顧客に対して、「すらら」を活用した教育カリキュラムの提案や独立開業の各種支援、経営支援サービス等も行っている。また、近年では独立行政法人国際協力機構(JICA)からの採択を契機にスリランカ、インドネシア等の海外でも事業展開を行っている。
契約する学習塾や学校から毎月サービス利用料を徴収すると同時に、同社のシステムを利用する生徒一人ひとりに対してIDを発行し、毎月その利用料を徴収するのが基本的なビジネスモデルとなる。したがって、導入校数と発行ID数が増加すれば収益が増加する。クラウドでサービスを提供していることから、損益分岐点を超えてからの限界利益率は非常に高い。
1. 2021年12月期第2四半期業績の概要
2021年12月期第2四半期の業績は、売上高925百万円(前年同期比36.6%増)、営業利益259百万円(同39.6%増)、経常利益290百万円(同49.8%増)、四半期純利益201百万円(同50.0%増)となった。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)によりオンライン授業の関心・需要が高まったこともあり、重要指標(KPI)である導入校数(2021年12月期第2四半期末)は1,903(前年同期末比415増)、ID数(同)は156,212(同46,240増)と順調に増加した。一方で費用面では、人員増による人件費の増加があったが、緊急事態宣言や外出自粛要請等を受けたことによる出張費用の減少等により販管費率が低下し、営業増益となった。なお、同社自体へのコロナ禍の影響はほとんどなかった。
2. 2021年12月期業績見通し
2021年12月期の業績予想については、2021年8月23日に上方修正を発表し、売上高1,955百万円(前期比18.6%増)、営業利益441百万円(同18.4%減)、経常利益472百万円(同13.9%減)、当期純利益323百万円(同14.9%減)とした。上方修正の理由として、売上高については、2021年8月20日付のEdTech導入補助金の交付決定に伴い、EdTech導入補助金のうちソフトウェア・サービス利用費及びソフトウェア・サービス導入関連サポート費を2021年12月期に計上することによる。また、利益面については、一部コンテンツ開発リリース延期に伴い売上原価が減少したこと、及びコロナ禍の影響により2020年12月期に減少した出張費用等費が2019年12月期水準に回復する見込みで計画していたものの、引き続き予断を許さない状況が継続しており、販売費及び一般管理費が減少したことによる。
2021年12月期の売上高については、引き続きGIGAスクール構想※の進捗により教育現場でのICT化が進むと予想され、重要指標は増加が見込まれる。一方で、今後の業容拡大に向けて積極的に人材採用を行うこと、競争力強化のためシステムやコンテンツへ積極的な開発投資を行う予定であることなどから、営業利益は前期比で減益を予想している。
※GIGA(Global and Innovation Gateway for All)スクール構想:義務教育を受ける児童生徒のために、1人1台の学習者用PCと高速ネットワーク環境などを整備する5年間の計画。校内LANの整備、学習者用のPCの導入、学習ツールと校務のクラウド化などが盛り込まれている。
3. 中長期の見通し
中長期の展望としては、国内市場でのシェアアップ(特に低学力生徒向けやローカル中堅大手の学習塾、学校等の大口顧客)により成長を図る計画だ。最近では顧客基盤が大手学習塾、私立学校、専門学校、通信制高校や全国の公立学校、さらには社会問題の解決に寄与する教育機関以外の領域(放課後等デイサービス施設等)にも広がりつつある。また、現在はコロナ禍の影響で足踏みしている海外展開(発展途上国でのローカル顧客向け、現地日本人学校向け)も将来的には成長余地が大きい。現時点での定量的な目標として、2023年12月期に売上高3,100百万円、営業利益940百万円を掲げているが、前提条件を厳しく見ていることに加え、足元の業績が好調であることから、この目標が前倒しで達成される可能性は高いと弊社では見ている。
■Key Points
・学校や学習塾等に対してのクラウドでの学習教材・サービスの提供が主力事業
・2021年12月期第2四半期はオンライン学習需要拡大により前年同期比39.6%営業増益。EdTech導入補助金の交付決定に伴い、2021年12月期業績予想を上方修正
・中長期では国内でのシェアアップと海外展開で成長を目指し、2023年12月期に営業利益940百万円を目標に掲げる
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<YM>
すららネット<3998>の主力事業は、主に小学生・中学生・高校生を対象としている学習塾や学校に対して、オンライン学習教材「すらら」及びその姉妹版である「すららドリル」のサービスを提供することである。「すらら」を導入する顧客に対して、「すらら」を活用した教育カリキュラムの提案や独立開業の各種支援、経営支援サービス等も行っている。また、近年では独立行政法人国際協力機構(JICA)からの採択を契機にスリランカ、インドネシア等の海外でも事業展開を行っている。
契約する学習塾や学校から毎月サービス利用料を徴収すると同時に、同社のシステムを利用する生徒一人ひとりに対してIDを発行し、毎月その利用料を徴収するのが基本的なビジネスモデルとなる。したがって、導入校数と発行ID数が増加すれば収益が増加する。クラウドでサービスを提供していることから、損益分岐点を超えてからの限界利益率は非常に高い。
1. 2021年12月期第2四半期業績の概要
2021年12月期第2四半期の業績は、売上高925百万円(前年同期比36.6%増)、営業利益259百万円(同39.6%増)、経常利益290百万円(同49.8%増)、四半期純利益201百万円(同50.0%増)となった。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)によりオンライン授業の関心・需要が高まったこともあり、重要指標(KPI)である導入校数(2021年12月期第2四半期末)は1,903(前年同期末比415増)、ID数(同)は156,212(同46,240増)と順調に増加した。一方で費用面では、人員増による人件費の増加があったが、緊急事態宣言や外出自粛要請等を受けたことによる出張費用の減少等により販管費率が低下し、営業増益となった。なお、同社自体へのコロナ禍の影響はほとんどなかった。
2. 2021年12月期業績見通し
2021年12月期の業績予想については、2021年8月23日に上方修正を発表し、売上高1,955百万円(前期比18.6%増)、営業利益441百万円(同18.4%減)、経常利益472百万円(同13.9%減)、当期純利益323百万円(同14.9%減)とした。上方修正の理由として、売上高については、2021年8月20日付のEdTech導入補助金の交付決定に伴い、EdTech導入補助金のうちソフトウェア・サービス利用費及びソフトウェア・サービス導入関連サポート費を2021年12月期に計上することによる。また、利益面については、一部コンテンツ開発リリース延期に伴い売上原価が減少したこと、及びコロナ禍の影響により2020年12月期に減少した出張費用等費が2019年12月期水準に回復する見込みで計画していたものの、引き続き予断を許さない状況が継続しており、販売費及び一般管理費が減少したことによる。
2021年12月期の売上高については、引き続きGIGAスクール構想※の進捗により教育現場でのICT化が進むと予想され、重要指標は増加が見込まれる。一方で、今後の業容拡大に向けて積極的に人材採用を行うこと、競争力強化のためシステムやコンテンツへ積極的な開発投資を行う予定であることなどから、営業利益は前期比で減益を予想している。
※GIGA(Global and Innovation Gateway for All)スクール構想:義務教育を受ける児童生徒のために、1人1台の学習者用PCと高速ネットワーク環境などを整備する5年間の計画。校内LANの整備、学習者用のPCの導入、学習ツールと校務のクラウド化などが盛り込まれている。
3. 中長期の見通し
中長期の展望としては、国内市場でのシェアアップ(特に低学力生徒向けやローカル中堅大手の学習塾、学校等の大口顧客)により成長を図る計画だ。最近では顧客基盤が大手学習塾、私立学校、専門学校、通信制高校や全国の公立学校、さらには社会問題の解決に寄与する教育機関以外の領域(放課後等デイサービス施設等)にも広がりつつある。また、現在はコロナ禍の影響で足踏みしている海外展開(発展途上国でのローカル顧客向け、現地日本人学校向け)も将来的には成長余地が大きい。現時点での定量的な目標として、2023年12月期に売上高3,100百万円、営業利益940百万円を掲げているが、前提条件を厳しく見ていることに加え、足元の業績が好調であることから、この目標が前倒しで達成される可能性は高いと弊社では見ている。
■Key Points
・学校や学習塾等に対してのクラウドでの学習教材・サービスの提供が主力事業
・2021年12月期第2四半期はオンライン学習需要拡大により前年同期比39.6%営業増益。EdTech導入補助金の交付決定に伴い、2021年12月期業績予想を上方修正
・中長期では国内でのシェアアップと海外展開で成長を目指し、2023年12月期に営業利益940百万円を目標に掲げる
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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