スカラ Research Memo(10):2022年6月期は既存事業の拡大とM&Aの実行により大幅増収増益を見込む
[21/09/15]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■今後の見通し
1. 2022年6月期の業績見通し
スカラ<4845>の2022年6月期の業績見通しは、M&Aを視野に入れていることもありレンジを設けた計画で発表している。売上収益は12,000〜20,000百万円(前期比37.4%増〜129.0%増)、営業利益は450〜1,200百万円(同104.2%増〜444.6%増)、税引前利益は400〜1,150百万円(同112.1%増〜509.8%増)と大幅増収増益を見込んでいる。なお、親会社の所有者に帰属する当期利益については、前期にソフトブレーンの株式売却益を計上した反動で300〜800百万円(同90.2%減〜73.9%減)と減益を見込んでいる。
既存事業については、2021年6月期までに取り組んできた成長戦略の種を開花させていくことで、前期比2ケタ増収増益を見込んでいる。加えて、M&Aの実行により業績成長を加速していく計画となっている。M&Aの収益影響額については開示していないが、計画下限値でもある程度の効果を織り込んでいるものと見られる。なお、M&Aや業務資本提携の対象先については、社内外のネットワークや独自調査により発掘、絞り込みを行い、共創・協働を含めて年間10件程度のペースで進めていく。具体的には、シナジーが見込める技術力を持つIT企業や、同社の技術力を利活用することで企業価値の向上が見込まれる企業などが挙げられる。
事業セグメント別の今後の取り組み方針については、以下の通りとなる。
(1) IT/AI/IoT/DX事業
IT/AI/IoT/DX事業では、新サービスや他事業をフックに新規契約を獲得し、ストック収入を積み上げていくほか、受託開発でも大型案件や新規事業につながる案件の獲得に取り組むことで、年率2ケタ成長を目指す。サービス別契約件数で見ると、現在売上収益の約7割を占めるiシリーズで前期比6.2%増の2,550件、やや単価の高いエンタープライズ案件(カスタム案件)で同15.2%増の190件、共創プロジェクトなどの大型案件で同29.6%増の35件を計画している。なお、共創プロジェクトには、損害保険ジャパン向けの安全運転支援サービスの継続プロジェクトで複数案件の納品が予定されている。また、2021年6月期にシノケングループ<8909>との業務提携により共同開発に着手した、「xID」を活用した個人認証による電子契約プラットフォーム「不動産のトラストDXプラットフォーム」も売上貢献する。2021年7月に「契約」手続きから適用を開始しており、今後は金融機関との連携により「融資申込」も同プラットフォームで完結できるようにし、将来的には不動産取引にかかわる「決済」「登記」手続きの機能も追加していく計画となっている。
DXにより業務効率や顧客サービスの向上に取り組む企業は増加傾向にあることから、同社ではこれらの需要を取り込んでいく方針だ。共創プロジェクトではシステムの受託開発だけでなく、マーケティングやCRMに関してiシリーズの導入提案を行うことにより、顧客当たり単価の増加も見込まれる。また、将来的には、健康管理分野で自社サービスの提供にも取り組んでいく考えだ。IT/AI/IoT/DX事業については、今後も企業や自治体などのDXニーズが旺盛なことに加え、サービス拡充を進めることにより、中期的に年率15%程度の成長が期待できるものと同社では見ている。
(2) カスタマーサポート事業
カスタマーサポート事業では、カスタマーサポート領域のサービスの高付加価値化に取り組んでいく。具体的には、低採算案件の縮小と利益率の高いコールセンターの構築並びに同社グループの商材を掛け合わせることで、利便性や生産性の向上を図り、事業規模の拡大と収益性向上を目指していく。
2022年6月期に関しては低採算案件の見直しを継続するため、売上収益は現状維持を目指しながら、営業利益に関しては単月ベースでの黒字化、通期で収支均衡水準を見込んでいる。コールセンターの席数で見ると、従来コンサル対象となっていたコールセンターの席数が2021年6月期の300席から2022年6月期は200席、2025年6月期は100席と減少するのに対して、新たに同社で立ち上げる内製コールセンターが2022年6月期の50席から2025年6月期は500席に拡大する計画となっている。この結果、合計席数は2021年6月期の300席から2025年6月期は600席、契約件数も同様に250件から500件を目指す。
(3) 人材・教育事業
人材・教育事業のうち、人材事業では新卒採用や人材紹介による求職者の登録数拡大に取り組んでいく。新卒体育会学生については2021年6月期の17千人から2022年6月期は18千人、新卒女子学生については13千人から14千人、人材紹介による求職者については7千人から8千人にそれぞれ増やす計画となっている。ブランド力のある企業からの求人案件を増やすことで登録者数を拡大していく。また、コロナ禍で低迷していた採用関連イベントの開催数についても、2021年6月期の72件から、オンラインでのイベントを継続しながら2022年6月期は80件と回復を見込んでいる。
これらの取り組みにより、2021年6月期下期から注力している人材事業の成長が続く見通しで、2022年6月期は増収・営業利益の黒字化を見込んでいる。また、2025年6月期に向けては、新卒女子学生や人材紹介による求職者の登録者数拡大に注力する方針だ。一方で、体育会学生については登録率が既に高水準となっているため、安定成長を見込んでいる。
一方、教育事業では、従前の保育園や幼保園の自社運営にとどまらず、そのノウハウを生かし受託運営へと展開していくことで、事業規模の拡大と収益の安定性を高めていく。自社運営する幼保施設に関しては2021年6月期の6施設から2022年6月期は7施設に増加する見通し。また、受託運営も1施設が決まっており、そのほかにも複数の引き合いがきているもようだ。マンションのテナントスペースを幼保施設として活用したい不動産オーナーのニーズが不動産デベロッパー経由で増えてきている。そのほか、教育コンテンツの開発・販売やライセンス提供なども進めていく方針で、地方創生関連サービスとの連携も図りながら、着実に事業規模を拡大していく戦略となっている。
(4) EC事業
EC事業では、2022年6月期も2ケタ増収増益が続く見通しだ。ECサイト「カードショップ - 遊々亭 -」の継続的なシステム改善やデジタルマーケティングの強化により、会員数及び販売枚数の拡大に取り組んでいく。また、フルフィルメント業務を改善することで、収益性の向上も図っていく。会員数については、2021年6月期の140千人から2022年6月期に180千人、2025年6月期に230千人と、トレーディングカードゲームのECショップ最大手としてさらなる成長を目指す。
事業規模の拡大に向けては、リアル店舗の開設も検討しているようだ。リアル店舗ではメーカーから直接トレーディングカードを仕入れることができるため、品揃えが充実し販売機会の増大が見込めるためだ。また、将来的には、同社グループの教育コンテンツに関連したカードゲームの制作についても視野に入れている。
(5) 投資・インキュベーション事業
ジェイ・フェニックス・リサーチでは、年間200社程度に継続的なアプローチを行うことで、価値創造経営支援やDX支援等の案件獲得及びM&Aや資本業務提携の実行に取り組んでいく。
一方、「逆プロポ」案件についても新規事業開発を行う企業や自治体からの関心が非常に高く、さらなる案件の獲得が見込まれる。2022年6月期はこれらの案件の収益化に加え、マッチングをきっかけに受託開発案件の獲得につなげる方針だ。「逆プロポ」によるマッチング成約件数は2021年6月期の2件から2022年6月期は15件、2025年6月期は30件に拡大し、マッチングをきっかけとする受託案件数も2021年6月期の1件から2025年6月期は30件に拡大する計画となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2022年6月期の業績見通し
スカラ<4845>の2022年6月期の業績見通しは、M&Aを視野に入れていることもありレンジを設けた計画で発表している。売上収益は12,000〜20,000百万円(前期比37.4%増〜129.0%増)、営業利益は450〜1,200百万円(同104.2%増〜444.6%増)、税引前利益は400〜1,150百万円(同112.1%増〜509.8%増)と大幅増収増益を見込んでいる。なお、親会社の所有者に帰属する当期利益については、前期にソフトブレーンの株式売却益を計上した反動で300〜800百万円(同90.2%減〜73.9%減)と減益を見込んでいる。
既存事業については、2021年6月期までに取り組んできた成長戦略の種を開花させていくことで、前期比2ケタ増収増益を見込んでいる。加えて、M&Aの実行により業績成長を加速していく計画となっている。M&Aの収益影響額については開示していないが、計画下限値でもある程度の効果を織り込んでいるものと見られる。なお、M&Aや業務資本提携の対象先については、社内外のネットワークや独自調査により発掘、絞り込みを行い、共創・協働を含めて年間10件程度のペースで進めていく。具体的には、シナジーが見込める技術力を持つIT企業や、同社の技術力を利活用することで企業価値の向上が見込まれる企業などが挙げられる。
事業セグメント別の今後の取り組み方針については、以下の通りとなる。
(1) IT/AI/IoT/DX事業
IT/AI/IoT/DX事業では、新サービスや他事業をフックに新規契約を獲得し、ストック収入を積み上げていくほか、受託開発でも大型案件や新規事業につながる案件の獲得に取り組むことで、年率2ケタ成長を目指す。サービス別契約件数で見ると、現在売上収益の約7割を占めるiシリーズで前期比6.2%増の2,550件、やや単価の高いエンタープライズ案件(カスタム案件)で同15.2%増の190件、共創プロジェクトなどの大型案件で同29.6%増の35件を計画している。なお、共創プロジェクトには、損害保険ジャパン向けの安全運転支援サービスの継続プロジェクトで複数案件の納品が予定されている。また、2021年6月期にシノケングループ<8909>との業務提携により共同開発に着手した、「xID」を活用した個人認証による電子契約プラットフォーム「不動産のトラストDXプラットフォーム」も売上貢献する。2021年7月に「契約」手続きから適用を開始しており、今後は金融機関との連携により「融資申込」も同プラットフォームで完結できるようにし、将来的には不動産取引にかかわる「決済」「登記」手続きの機能も追加していく計画となっている。
DXにより業務効率や顧客サービスの向上に取り組む企業は増加傾向にあることから、同社ではこれらの需要を取り込んでいく方針だ。共創プロジェクトではシステムの受託開発だけでなく、マーケティングやCRMに関してiシリーズの導入提案を行うことにより、顧客当たり単価の増加も見込まれる。また、将来的には、健康管理分野で自社サービスの提供にも取り組んでいく考えだ。IT/AI/IoT/DX事業については、今後も企業や自治体などのDXニーズが旺盛なことに加え、サービス拡充を進めることにより、中期的に年率15%程度の成長が期待できるものと同社では見ている。
(2) カスタマーサポート事業
カスタマーサポート事業では、カスタマーサポート領域のサービスの高付加価値化に取り組んでいく。具体的には、低採算案件の縮小と利益率の高いコールセンターの構築並びに同社グループの商材を掛け合わせることで、利便性や生産性の向上を図り、事業規模の拡大と収益性向上を目指していく。
2022年6月期に関しては低採算案件の見直しを継続するため、売上収益は現状維持を目指しながら、営業利益に関しては単月ベースでの黒字化、通期で収支均衡水準を見込んでいる。コールセンターの席数で見ると、従来コンサル対象となっていたコールセンターの席数が2021年6月期の300席から2022年6月期は200席、2025年6月期は100席と減少するのに対して、新たに同社で立ち上げる内製コールセンターが2022年6月期の50席から2025年6月期は500席に拡大する計画となっている。この結果、合計席数は2021年6月期の300席から2025年6月期は600席、契約件数も同様に250件から500件を目指す。
(3) 人材・教育事業
人材・教育事業のうち、人材事業では新卒採用や人材紹介による求職者の登録数拡大に取り組んでいく。新卒体育会学生については2021年6月期の17千人から2022年6月期は18千人、新卒女子学生については13千人から14千人、人材紹介による求職者については7千人から8千人にそれぞれ増やす計画となっている。ブランド力のある企業からの求人案件を増やすことで登録者数を拡大していく。また、コロナ禍で低迷していた採用関連イベントの開催数についても、2021年6月期の72件から、オンラインでのイベントを継続しながら2022年6月期は80件と回復を見込んでいる。
これらの取り組みにより、2021年6月期下期から注力している人材事業の成長が続く見通しで、2022年6月期は増収・営業利益の黒字化を見込んでいる。また、2025年6月期に向けては、新卒女子学生や人材紹介による求職者の登録者数拡大に注力する方針だ。一方で、体育会学生については登録率が既に高水準となっているため、安定成長を見込んでいる。
一方、教育事業では、従前の保育園や幼保園の自社運営にとどまらず、そのノウハウを生かし受託運営へと展開していくことで、事業規模の拡大と収益の安定性を高めていく。自社運営する幼保施設に関しては2021年6月期の6施設から2022年6月期は7施設に増加する見通し。また、受託運営も1施設が決まっており、そのほかにも複数の引き合いがきているもようだ。マンションのテナントスペースを幼保施設として活用したい不動産オーナーのニーズが不動産デベロッパー経由で増えてきている。そのほか、教育コンテンツの開発・販売やライセンス提供なども進めていく方針で、地方創生関連サービスとの連携も図りながら、着実に事業規模を拡大していく戦略となっている。
(4) EC事業
EC事業では、2022年6月期も2ケタ増収増益が続く見通しだ。ECサイト「カードショップ - 遊々亭 -」の継続的なシステム改善やデジタルマーケティングの強化により、会員数及び販売枚数の拡大に取り組んでいく。また、フルフィルメント業務を改善することで、収益性の向上も図っていく。会員数については、2021年6月期の140千人から2022年6月期に180千人、2025年6月期に230千人と、トレーディングカードゲームのECショップ最大手としてさらなる成長を目指す。
事業規模の拡大に向けては、リアル店舗の開設も検討しているようだ。リアル店舗ではメーカーから直接トレーディングカードを仕入れることができるため、品揃えが充実し販売機会の増大が見込めるためだ。また、将来的には、同社グループの教育コンテンツに関連したカードゲームの制作についても視野に入れている。
(5) 投資・インキュベーション事業
ジェイ・フェニックス・リサーチでは、年間200社程度に継続的なアプローチを行うことで、価値創造経営支援やDX支援等の案件獲得及びM&Aや資本業務提携の実行に取り組んでいく。
一方、「逆プロポ」案件についても新規事業開発を行う企業や自治体からの関心が非常に高く、さらなる案件の獲得が見込まれる。2022年6月期はこれらの案件の収益化に加え、マッチングをきっかけに受託開発案件の獲得につなげる方針だ。「逆プロポ」によるマッチング成約件数は2021年6月期の2件から2022年6月期は15件、2025年6月期は30件に拡大し、マッチングをきっかけとする受託案件数も2021年6月期の1件から2025年6月期は30件に拡大する計画となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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