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ココナラ Research Memo(5):2021年8月期の営業収益は、制作・ビジネス系サービスの急成長で1.5倍に

注目トピックス 日本株
■業績動向

1. 2021年8月期の業績概要
ココナラ<4176>の2021年8月期の業績は、営業収益で前期比54.7%増の2,746百万円、営業利益で89百万円(前期は80百万円の損失)、経常利益で59百万円(同83百万円の損失)、当期純利益で41百万円(同94百万円の損失)となり、3期ぶりの黒字に転じた。コロナ禍が続くなかで、マーケティング施策やマスメディア等を通じたユーザー層の取り込みに注力したほか、「ココナラ」の利便性向上に向けた機能拡充を図った結果、期末の会員数が前期末比31.6%増の242万人となり、流通高も同51.6%増の9,599百万円と大きく伸長した。四半期ベースの流通高の動きを見ると、第4四半期に前年同期比35.7%増とやや減速した格好となっているが、これはコロナ禍におけるサービスマッチングのオンライン化が進展したことに伴い前年同期の水準が高くなってきたことが要因で、同社によると同社が想定していた範囲内での動きであり高成長が続いているという認識だ。なお、ココナラ法律相談の営業収益については約2億円となり、前期比で127%増となっている。

(1) 流通額の動向
流通額をカテゴリ別で見ると、制作・ビジネス系が前期比70.5%増の5,515百万円と大きく伸長したほか、相談・プライベート系も同31.3%増の4,057百万円と順調に拡大した。制作・ビジネス系について、出品者側から見るとコロナ禍が続くなかで在宅勤務の増加によりエンジニアやデザイナーなどで副業を始める人が増えたこと、購入者側から見るとWebサイトやデザイン制作等の発注を非対面で迅速かつ低コストで実現できる「ココナラ」の認知度が高まり、同サービスを利用する法人ユーザーが増加したことが高成長につながっている。また、相談・プライベート系については「占い」系だけでなく、レッスン系など様々なサービスが伸長した。

流通高を購入UU数と1人当たり購入額に分解してみると、制作・ビジネス系では購入UU数が前期比37.0%増の189,786人、1人当たり購入額が同24.4%増の29,067円といずれも高い伸びとなっており、購入単価の高い法人ユーザーが増加したことがうかがえる。一方、相談・プライベート系については購入UU数が前期比25.9%増の155,289人となった一方で、1人当たり購入額は同4.2%増の26,143円と1ケタ台の伸びにとどまり、購入UU数の増加が流通高の拡大に寄与した。

同社では「ココナラ」の流通高拡大施策として、機能拡充にも取り組んだ。2020年9月にココナラ内に書かれたブログや自身の制作したコンテンツを「有料ブログ」として販売・購入できる機能をリリースしたほか、同年12月に新たな決済手段として「セブン-イレブン決済」を追加した。そのほかにも、出品サービスを検索しやすくするためジャンルの階層を従来の2層から3層に変更するとともに、カテゴリ数を従来の212個から450個以上に拡充し、スタイルや手法、ジャンル、業種など細やかな設定情報でサービスの絞り込みが簡便にできるようにした。

テイクレート(営業収益÷流通高)について見ると、2020年8月期以降は26%台とほぼ横ばい水準で推移している。2021年4月以降、手数料率を一律25%にしたことから(電話相談は約50%)、今後は流通額の拡大とともに25%台まで緩やかに低下していくものと予想される。

(2) 費用の動向
2021年8月期の営業費用は前期比43.1%増の2,657百万円となった。流通高拡大に伴う変動費の増加に加えて、今後の事業拡大に向けた成長投資の実施により固定費も増加した。内訳を見ると、人員体制の強化に伴い人件費・採用費が同49.2%増の1,031百万円、業務委託費が同113.2%増の226百万円(株式上場に伴うコーポレート機能強化、「ココナラ法律相談」の拡大)、地代家賃を含むその他費用が同61.4%増の276百万円(本社移転増床)となった。また、流通高の拡大に伴い変動費となる支払手数料・システム費が同58.3%増の619百万円なった。一方、広告宣伝費は同1.7%増の495百万円にとどまった。Web広告やSEO対策費用等の通常の広告宣伝費は同34.9%増の321百万円と増加基調が続いたが、TVCM関連費用が同29.6%減の174百万円と減少した。

2021年8月期末の従業員数(契約社員含む)は136名と前期末から43名増となった。内訳を見ると、プロダクト部門が同28名増の74名、CS部門が同7名増の31名、マーケティング部門が同1名増の10名、コーポレート部門が同7名増の21名となっている。営業収益に比例して増加するのはCS部門のみとなるが、当面はプロダクト開発及び経営基盤強化のための人材採用を積極的に進めていく計画となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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