エイシアンスタ Research Memo(1):横浜と上海を中心に事業展開する不動産会社
[22/03/31]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
ASIAN STAR<8946>は、1979年に神奈川県で創業した不動産会社で横浜と上海を中心に事業展開している。創業以来長年に亘って自社マンションブランド「グリフィンシリーズ」の開発・販売を主力事業とする不動産販売ビジネスを展開してきたが、現在は収益、居住用マンションの販売、不動産管理及びその関連事業を行う総合不動産サービス企業へと転換してきた。2022年4月にスタートする東京証券取引所の新市場区分では、「スタンダード市場」に移行する。
1. 2021年12月期業績の概要
2021年12月期は、売上高が前期比30.3%増の2,543百万円、営業損失が3百万円(前期は200百万円の損失)、経常利益が4百万円(同209百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失が21百万円(同310百万円の損失)となった。2020年12月期末に取得した子会社である上海徳威房地産経紀有限公司、上海優宏資産管理有限公司、上海特庫伊投資管理有限公司の3社(以下、上海徳威グループ)が2021年12月期から連結範囲に加わり、これらによる売上増が寄与したことで増収となった。一方、2021年12月期上期に1棟収益マンションの売却が完了した一方で、下期に予定していた不動産販売が計画通りに進捗しなかったことなどにより、利益面は伸び悩んだ。経常利益を除いては黒字転換に至らなかったものの、営業損失と親会社株主に帰属する当期純損失は前期比で縮小しており、回復傾向にあると言えよう。
2. 2022年12月期業績の見通し
2022年12月期は、売上高が前期比35.2%増の3,439百万円、営業利益が110百万円(前期は3百万円の損失)、経常利益が2,515.1%増の111百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が69百万円(同21百万円の損失)を見込む。不動産販売事業において、戸建て開発にとどまらず、土地やマンションの買取再販の件数増加を目指し、収益不動産やその他事業用地売却により、増収増益と黒字転換を図る。中国事業においても、2022年は中国政府の不動産取引抑制施策が緩和されることを見込み、仲介件数、管理受託件数の増加を目指す。
3. 成長戦略について
2020年12月期よりスタートした中期経営計画の基本方針として、事業基盤である不動産サービス事業を強化拡大するとともに、付加価値創造事業分野と位置付けた5分野(生活・娯楽(ライフスタイル)、医療・健康(ヘルスケア)、教育(エディケーション)、観光(インバウンド)、エネルギー(再生可能エネルギー))の成長企業とのコラボレーションによるアジア展開を推進し、同社の企業規模の拡大・収益力の向上を目指している。特に、医薬品、医療機器にフォーカスし、中国人を対象に日本の高水準の医療健康サービスの提供や医療ツーリズム開始に向け準備を進める。
4. 株主還元策
収益基盤のさらなる強化を見据えて無配が続くものの、安定的に収益を確保することで、将来的には配当を予定している。また、個人投資家向けに新たに株主優待制度を導入することを決定した。「ASIAN STARプレミアム優待倶楽部」を新設し、保有株式数(5,000株以上)に応じて優待ポイントを進呈する。ポイントは食品や電化製品など2,000種類以上の商品のほか、共通株主優待コイン「WILLs Coin」とも交換可能となっている。
■Key Points
・2021年12月期は連結子会社の売上増で前期比30.3%の増収。経常利益以外は黒字転換に至らなかった一方で、損失幅は前期比で縮小
・2022年12月期は不動産販売事業における買取再販の件数増加や、中国事業における仲介・管理受託件数の増加で増収増益と黒字転換を見込む
・中国人を対象とした日本の高水準医療健康サービス提供に向けた準備を進める
・株主優待制度「ASIAN STARプレミアム優待倶楽部」を新設
(執筆:フィスコ客員アナリスト 大川勇一郎)
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