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アイリック Research Memo(5):システム事業は「スマートOCR」を中心としたソフトウェア受託開発を展開

注目トピックス 日本株
■アイリックコーポレーション<7325>の事業概要

4. システム事業
システム事業はインフォディオが「スマートOCR」関連を中心として、システム開発やソフトウェア受託開発を行っている。

AIを搭載した非定型帳票対応の次世代型光学文字認識システム「スマートOCR」(2018年4月開発)は、定型・非定型の数千万枚の活字・手書き文書等を認識してデータ化できるエンタープライズ向けシステムである。収益は、提供先から得られるサブスクリプション方式の利用料である。保険用途にとどまらず、幅広く企業・官公庁等のデジタル化・ペーパーレス化に貢献するシステムである。単に定型・非定型の手書き・活字の文字変換を行うだけでなく、マスターデータ連携・自動処理、高いセキュリティ、スマホアプリ等も備えた総合システムとして高い評価を得ている。

データ抽出パッケージとして品ぞろえを強化し、既に「請求書」「領収書・レシート」「名刺」「運転免許証」「健康保険証」「決算書」「源泉徴収票」「診療明細書」などをリリースした。さらに2021年5月には「決算書基本パック」をメジャーアップデート、電子帳簿保存法のスキャナ制度対応の新機能を業界に先駆けてリリースしたほか、「スマートOCR」を活用した「生命保険証券の自動分析サービス」が特許を取得した。2021年9月には「注文書革命DX」をリリースした。2021年10月には、DeSCヘルスケア(株)(ディー・エヌ・エー<2432>の子会社)が提供する「kencom×ほけん for おくすりサポート」に「スマートOCR 健康診断書」が搭載された。2022年3月には住友生命保険(相)がカスタマイズした「スマートOCR 本人確認書類」を採用した。Webによる非対面での新規契約手続き時の本人確認に活用し、契約成立の早期化を目指す。今後も様々な用途のパッケージをリリース予定としている。

なお2021年11月には、(株)アシスト及びUbicomホールディングス<3937>と共同開発した生命保険エコシステム「生命保険給付金支払いプラットフォーム」の提供を開始(チューリッヒ生命保険(株)が業務利用開始)した。給付金支払い判定に必要な「診療明細書」「領収書」「調剤明細書」等を「AI-OCR」によってテキスト化・コード化し、支払い査定業務をデジタル化する。顧客サービス向上と査定業務の自動化・事務効率向上を実現するプラットフォームである。2022年2月にはメディケア生命保険(株)が採用、2022年4月にはアイアル少額短期保険(株)が採用し、採用企業数は3社となった。

さらにAI-OCRソリューションとして、保険業界以外の企業・官公庁等への提供拡大や、システムインテグレータ向けOEMによる提供拡大を推進している。具体例として、2020年11月には、独立行政法人統計センターが集計を行う令和2年国勢調査などの情報(個々を特定できない処理が施された情報)を認識処理する「AI技術を用いた文字認識サービスの提供業務」を受託し、令和2年国勢調査等の定型帳票の手書き文字の認識に用いられている。2020年12月には(株)JTBが「スマートOCR」を組み込んで独自開発した「証憑書類電子保存化システム」が稼働した。JTBグループ全体で年間約570万枚のペーパーレス化、約7億円の経費削減に貢献する。

2021年3月には(株)日立ソリューションズが開発したビジネスデータ活用支援「活文」に「スマートOCR」が採用された。2021年4月には国税庁の「確定申告書等作成コーナーの源泉徴収票OCR機能に係る開発及び機器等の提供等」を受託した。OCRエンジンだけでなく、Webアプリケーション開発、サーバ構築・運用、画像処理エンジンまで、同社の仕組みが採用された。2021年5月には、法務省矯正研修所が行う手書きアンケート情報を認識処理する「効果検証用OCR機器の賃貸借」を受託・運用開始した。

2021年11月には、(株)みずほ銀行の経理業務効率化支援サービス「みずほデジタルアカウンティング」に「スマートOCR」が搭載された。フォーマットが異なる様々な紙の請求書をデータ化し、振込システムや会計システムへの連携も可能になる。2021年12月には埼玉県警察が「スマートOCR」を導入した。紙文書の取り扱いが多い警察業務においてDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する。同12月には、「スマートOCR」で蓄積したAI-OCR技術を活用し、簡単操作で紙帳票を分類・データ化・保管・全文検索できるクラウドサービス「DenHo(デンホー)」をリリースした。2022年1月施行の改正電子帳簿保存法にも対応している。

2022年2月には、ユニアックス(株)が「スマートOCR」を搭載したAI会計自動仕訳クラウドサービス「KEIRAKU」をリリースした。属人的な仕分業務を自動化するサービスである。2022年4月には「スマートOCR」とコダックアラリスジャパン(株)のネットワークスキャナーをパッケージしたサービスの提供を開始した。PCレスでスキャンした書類をシームレスにOCR実行処理することが可能になる。2022年5月にはアミフィアブル(株)が開発したテスト工数削減AIアプリ「MLET.II」に「スマートOCR」が搭載された。国内IT市場で6.4兆円規模になると想定されるテスト市場での活用が開始されることになった。


自社開発システムを活用したワンストップソリューションが強み
5. 特徴・強み
保険販売(訪問型、来店型)は競合の多い市場だが、コンサルティングから契約まで業界唯一のシステムを自社開発して、ワンストップソリューションで展開していることが同社の強み・競合優位性となっている。また、大手保険ショップで唯一FC展開していることも強みである。

自社開発のワンストップ型保険分析・検索システム「保険IQシステム」をベースとして、「保険IQシステム」を汎用化した「ASシステム」、「保険IQシステム」の簡易版である「AS-BOX」、「スマートOCR」の機能を組み込んだ「証券分析AIアシスト機能」「生命保険証券の自動分析サービス」、保険証券の画像と保障内容を一括管理できるスマートフォンアプリ「保険フォルダ」などを開発・提供し、オンライン保険相談サービスなども行っている。2021年6月には、いつでもどこでも「保険クリニック」DXプロジェクト第4弾として、スマートフォンで保険証券を撮影するだけで、最短30秒で加入している保障の範囲が一目でわかる「お手軽web保険診断」をリリースした。

なお、生命保険募集人がスマートフォンやタブレット等のカメラで撮影した生命保険証券を「スマートOCR」を活用して自動分析する「生命保険証券の自動分析サービス」は、2021年5月に特許を取得(第6887233号)した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)




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