CDG Research Memo(3):22年3月期は前期に大型案件を獲得した反動もあり若干ながらも減収減益に転じる
[22/07/11]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
1. 2022年3月期の業績概要
CDG<2487>の2022年3月期の連結業績は、売上高で前期比3.1%減の11,261百万円、営業利益で同9.1%減の501百万円、経常利益で同8.3%減の559百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同13.9%減の435百万円と減収減益に転じ、期初会社計画に対しても売上高、各利益ともに下振れて着地した。なお、2022年3月期より収益認識会計基準等を適用したことに伴い、売上高で317百万円、売上原価で318百万円の減額要因となり、営業利益、経常利益は1百万円の増額要因となっている。従来会計基準で比較すれば、売上高は前期比0.4%減、営業利益は同9.4%減であった。
売上高については、人気のIPコンテンツを活用したプロモーション案件や、リアルとデジタルを組み合わせたプロモーション案件の獲得に取り組んだものの、複数の大型プロモーション案件や新型コロナウイルス関連の特需的な売上貢献があった2021年3月期の水準からは若干減収となった。
売上高総利益率が前期比1.1ポイント上昇したが、従来会計基準ベースで見ると同0.3ポイントの上昇となった。2021年3月期の増収に貢献したリアルとデジタルを融合した複合型案件については、1件当たりの受注金額は大きいものの、工数が多くなるため利益率が相対的にまだ低く、こうした案件が2022年3月期は少なかったことが利益率の改善要因になったと見られる。従来会計基準ベースでの売上高総利益率は27.5%で、2020年3月期の28.4%と比較するとまだ低い水準となっている。売上総利益は利益率の改善により前期比1.0%増と若干ながら利益を確保したが、中長期の売上拡大に向けた人員の増強やDX推進に関連するシステム投資を実施したことにより販管費が同3.1%増加し、営業利益は減益となった。期末の連結従業員数は前期末比9名増の268名となっている。
会社計画比に対する売上高の減額要因としては、2021年3月期に大手コンビニエンスストアから受注したLINEによるデジタルポイントを活用したプロモーション案件について、同顧客が自社アプリで対応するようになったため、売上が無くなったことが主因である。また、主力顧客の一つであった自動車ディーラー向けの販促グッズも、半導体不足による新車の生産計画の遅れによって、店舗への来店客数が減少し減額要因となった。会社計画に対して営業外収支が50百万円改善しているのは、為替差益19百万円、補助金収入16百万円、出資金評価益11百万円の計上が主因である。また、特別利益として投資有価証券売却益24百万円、新株予約権戻入益16百万円を計上した。
2022年3月期は飲食・嗜好品業界、情報・通信業界、ファッション・アクセサリー業界等が2ケタ増収と好調に推移
2. 業種別売上動向
業種別売上高の動向を見ると主要11業種中、増収となったのは4業種にとどまった。このうち、飲料・嗜好品業界向けは、大手飲料メーカーから人気IPコンテンツの商品化や、それにSNSやLINEによるデジタルプロモーションを絡めた長期大型プロモーション案件を受注したことで前期比31.9%増の1,588百万円と大幅増となった。また、情報・通信業界向けでは、大手宅配サービス企業のプロモーション案件が増加したほか、大手インターネット企業が手掛けるライブ配信サービスにおけるオンラインイベント企画やグッズ制作、運営受託業務の売上が好調だったことにより同61.6%増の1,487百万円と急増した。
ファッション・アクセサリー業界向けでは、主要顧客の感謝祭記念セールグッズの増加等により同20.9%増の867百万円となった。金融・保険業界向けでは大手クレジットカード会社のディズニーのコンテンツを使用したプロモーション案件が好調に推移したほか、保険代理店会社の株主優待関連の支援サービスが拡大し、同50.3%増の556百万円と4期ぶりに増収に転じた。
一方で、減収となった主な業種を見ると、流通・小売業界向けが同22.4%減の2,109百万円と3期ぶりの減収に転じた。前述した通り大手コンビニエンスストア向けのデジタルポイントを活用したプロモーション案件が無くなったことによるもので、同顧客向けには人気IPコンテンツを活用した書籍物販ビジネス等を開始したものの、デジタルポイント案件の減収分を補うまでには至らなかった。また、自動車・関連品業界向けについても、新車販売の商談機会減少による販促グッズの低迷で、同7.6%減の1,440百万円と2期連続で減少した。
外食・各種サービス業界向けは、前期の売上に貢献した大手外食グループ向けの人気IPコンテンツを活用した大型コラボキャンペーンが無くなったことで、同20.0%減の830百万円となった。化粧品・トイレタリー業界向けについても人気IPコンテンツを活用したプロモーション案件が終了したことで同25.0%減の680百万円となり、薬品・医療用品業界向けについては、前期に外資系企業から受注した福利厚生施策に関連したスポット案件※が無くなったことで、同52.2%減の353百万円となった。
※2021年3月期はコロナ禍での福利厚生施策として、食品デリバリーのチケットを社員に配布する案件を受注した。
3. 子会社の動向
岐阜クリエートの業績については、コロナ禍の影響で落ち込んでいた販促用を中心としたポケットティッシュの生産数が前期比9.5%増の78百万個と5期ぶりに増加に転じたことやコスト低減に取り組んだことにより、増収増益に転じた。ただ、コロナ禍前の生産数(2020年3月期が113百万個)と比較すると7割程度の水準にとどまっており、回復は限定的となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2022年3月期の業績概要
CDG<2487>の2022年3月期の連結業績は、売上高で前期比3.1%減の11,261百万円、営業利益で同9.1%減の501百万円、経常利益で同8.3%減の559百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同13.9%減の435百万円と減収減益に転じ、期初会社計画に対しても売上高、各利益ともに下振れて着地した。なお、2022年3月期より収益認識会計基準等を適用したことに伴い、売上高で317百万円、売上原価で318百万円の減額要因となり、営業利益、経常利益は1百万円の増額要因となっている。従来会計基準で比較すれば、売上高は前期比0.4%減、営業利益は同9.4%減であった。
売上高については、人気のIPコンテンツを活用したプロモーション案件や、リアルとデジタルを組み合わせたプロモーション案件の獲得に取り組んだものの、複数の大型プロモーション案件や新型コロナウイルス関連の特需的な売上貢献があった2021年3月期の水準からは若干減収となった。
売上高総利益率が前期比1.1ポイント上昇したが、従来会計基準ベースで見ると同0.3ポイントの上昇となった。2021年3月期の増収に貢献したリアルとデジタルを融合した複合型案件については、1件当たりの受注金額は大きいものの、工数が多くなるため利益率が相対的にまだ低く、こうした案件が2022年3月期は少なかったことが利益率の改善要因になったと見られる。従来会計基準ベースでの売上高総利益率は27.5%で、2020年3月期の28.4%と比較するとまだ低い水準となっている。売上総利益は利益率の改善により前期比1.0%増と若干ながら利益を確保したが、中長期の売上拡大に向けた人員の増強やDX推進に関連するシステム投資を実施したことにより販管費が同3.1%増加し、営業利益は減益となった。期末の連結従業員数は前期末比9名増の268名となっている。
会社計画比に対する売上高の減額要因としては、2021年3月期に大手コンビニエンスストアから受注したLINEによるデジタルポイントを活用したプロモーション案件について、同顧客が自社アプリで対応するようになったため、売上が無くなったことが主因である。また、主力顧客の一つであった自動車ディーラー向けの販促グッズも、半導体不足による新車の生産計画の遅れによって、店舗への来店客数が減少し減額要因となった。会社計画に対して営業外収支が50百万円改善しているのは、為替差益19百万円、補助金収入16百万円、出資金評価益11百万円の計上が主因である。また、特別利益として投資有価証券売却益24百万円、新株予約権戻入益16百万円を計上した。
2022年3月期は飲食・嗜好品業界、情報・通信業界、ファッション・アクセサリー業界等が2ケタ増収と好調に推移
2. 業種別売上動向
業種別売上高の動向を見ると主要11業種中、増収となったのは4業種にとどまった。このうち、飲料・嗜好品業界向けは、大手飲料メーカーから人気IPコンテンツの商品化や、それにSNSやLINEによるデジタルプロモーションを絡めた長期大型プロモーション案件を受注したことで前期比31.9%増の1,588百万円と大幅増となった。また、情報・通信業界向けでは、大手宅配サービス企業のプロモーション案件が増加したほか、大手インターネット企業が手掛けるライブ配信サービスにおけるオンラインイベント企画やグッズ制作、運営受託業務の売上が好調だったことにより同61.6%増の1,487百万円と急増した。
ファッション・アクセサリー業界向けでは、主要顧客の感謝祭記念セールグッズの増加等により同20.9%増の867百万円となった。金融・保険業界向けでは大手クレジットカード会社のディズニーのコンテンツを使用したプロモーション案件が好調に推移したほか、保険代理店会社の株主優待関連の支援サービスが拡大し、同50.3%増の556百万円と4期ぶりに増収に転じた。
一方で、減収となった主な業種を見ると、流通・小売業界向けが同22.4%減の2,109百万円と3期ぶりの減収に転じた。前述した通り大手コンビニエンスストア向けのデジタルポイントを活用したプロモーション案件が無くなったことによるもので、同顧客向けには人気IPコンテンツを活用した書籍物販ビジネス等を開始したものの、デジタルポイント案件の減収分を補うまでには至らなかった。また、自動車・関連品業界向けについても、新車販売の商談機会減少による販促グッズの低迷で、同7.6%減の1,440百万円と2期連続で減少した。
外食・各種サービス業界向けは、前期の売上に貢献した大手外食グループ向けの人気IPコンテンツを活用した大型コラボキャンペーンが無くなったことで、同20.0%減の830百万円となった。化粧品・トイレタリー業界向けについても人気IPコンテンツを活用したプロモーション案件が終了したことで同25.0%減の680百万円となり、薬品・医療用品業界向けについては、前期に外資系企業から受注した福利厚生施策に関連したスポット案件※が無くなったことで、同52.2%減の353百万円となった。
※2021年3月期はコロナ禍での福利厚生施策として、食品デリバリーのチケットを社員に配布する案件を受注した。
3. 子会社の動向
岐阜クリエートの業績については、コロナ禍の影響で落ち込んでいた販促用を中心としたポケットティッシュの生産数が前期比9.5%増の78百万個と5期ぶりに増加に転じたことやコスト低減に取り組んだことにより、増収増益に転じた。ただ、コロナ禍前の生産数(2020年3月期が113百万個)と比較すると7割程度の水準にとどまっており、回復は限定的となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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