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CAICAD Research Memo(1):2022年10月期上期は増収増益による営業黒字化を実現

注目トピックス 日本株
■要約

1. 会社概要
CAICA DIGITAL<2315>※1は、金融業界向けを主としたシステム開発や暗号資産に関するシステム開発等を行う「ITサービス事業」及び、金融商品取引法に基づく第一種金融商品取引業、暗号資産※2に関する金融商品の開発・販売、暗号資産交換所運営等を手掛ける「金融サービス事業」の両輪で事業を展開している。システム開発において長年にわたって蓄積してきた高度な技術やノウハウなどに強みがあり、同社グループ全技術者(約400名)がブロックチェーン技術者となる計画を実行中である。2021年3月には暗号資産交換所を擁する(株)カイカエクスチェンジホールディングス(旧 (株)Zaif Holdings)を連結子会社とし、「CAICAテクノロジーズ」「カイカエクスチェンジグループ」「カイカ証券グループ」の3本柱の体制を構築し、暗号資産関連ビジネスの拡大に向けて体制を整えた。

※1 2021年11月1日より、「株式会社CAICA」から、「株式会社CAICA DIGITAL」へ商号変更した。これと同時に、金融サービス事業に属する子会社の商号もそれぞれ変更し、CAICA(カイカ)ブランドへ統一している(ただし、暗号資産交換所は「Zaif」のサービス名を継続使用)。
※2 暗号資産とは、中央銀行などの公的な発行主体や管理者が存在せず、インターネットを通じて不特定多数に対して商品やサービスの購入の対価として利用できる財産的価値のことを指す。2019年3月15日に暗号資産に関する法改正が閣議決定され、今まで「仮想通貨」と呼ばれていた名称が「暗号資産」へと変更された。


2. 2022年10月期上期決算の概要
2022年10月期上期の連結業績は、売上高が前年同期比36.9%増の3,661百万円、営業利益が64百万円(前年同期は243百万円の損失)と増収増益となり、営業黒字化を実現した。期初予想に対しても総じて計画線で推移している。売上高は、好調な受注環境を背景として「ITサービス事業」が堅調に推移するとともに、「金融サービス事業」についても、2021年10月期第3四半期から連結化したカイカエクスチェンジホールディングスが期初から寄与したことや、(株)カイカキャピタルによる暗号資産の投融資・運用が好調であったことから大きく拡大した。一方、暗号資産市場全体が低調に推移するなか、「Zaif」における受入手数料が想定を下回ったほか、カイカ証券(株)においてもこれまでの主力商品であったeワラント(カイカ証券の登録商標)の販売減を暗号資産関連商品でカバーするには至らなかった。利益面では、「Zaif」の次世代システム導入など先行費用を積極投入したものの、「ITサービス事業」の収益性改善や、「金融サービス事業」における収益の底上げにより営業黒字化を実現した。また、活動面では、「Zaif」における次世代システムへの移行をはじめ、新規サービスの販売強化や新商品の投入など、暗号資産関連ビジネスの加速に向けた取り組みが本格化してきた。特に、国内最大級のコミッションサービスである「Skeb」とのIEO※1実施検討のほか、コイン積立※2の拡充、取扱暗号資産の拡充など、「マーケット状況に影響されにくい収益構造」の構築に向けて大きな前進を図ることができた。

※1 Initial Exchange Offering(イニシャル・エクスチェンジ・オファリング)の略。企業・団体・プロジェクトなどがユーティリティトークンの発行を通じて資金調達をする仕組みのうち、暗号資産交換所がその発行体・プロジェクトへの審査を実施したうえで、販売を行う方法のことである。イニシャル・コイン・オファリング(ICO)と比較し、交換所という第三者の審査を通過する事で、信用性が高まるメリットがある。
※2 日本円で設定した金額を毎月(1日)に自動引き落としし暗号資産を自動で購入できるサービス。利用者にとっては時間分散効果が働くため、価格変動リスクを抑えながら着実な資産形成が可能となる。


3. 2022年10月期の業績見通し
2022年10月期の連結業績について同社は、期初予想を据え置き、売上高を前期比28.4%増の7,632百万円、営業利益を211百万円(前期は915百万円の損失)と増収増益による黒字転換を目指している。売上高については、引き続き「ITサービス事業」が堅調に推移するとともに、「金融サービス事業」の伸びが増収に大きく寄与する見通しとなっている。特に「金融サービス事業」については、カイカエクスチェンジホールディングスの通年寄与に加え、カイカ証券とのシナジー創出による暗号資産関連ビジネスの拡大を想定している。利益面でも、「Zaif」の次世代システム導入や広告投資の拡大など、今後の事業拡大に向けた先行費用を予定しているものの、増収に伴う収益の底上げにより大幅な増益を実現し、黒字転換を図る想定となっている。とりわけ、「金融サービス事業」については、「Zaif」を中核とする暗号資産関連ビジネスの本格化により、収益基盤の確立を図っていく。

4. 今後の方向性
2期目を迎えている中期経営計画については、新サービス提供開始の遅れや暗号資産の相場低迷の影響を受け、計画を下回って推移しているが、今後の方向性や「2030年に向けた将来ビジョン」に大きな見直しはなく、最終年度の計画数値も現時点で据え置いている。すなわち、新しい金融資産である暗号資産、普及拡大が間近に迫ったブロックチェーン(トークンエコノミーを含む)、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)によりさらに加速するデジタル化を背景として、他社に例を見ない事業基盤を生かし、金融とITをシームレスに統合した新たな「金融プラットフォーマー構想」の実現を目指しており、戦略の軸となるのは、復活に向けて本格的に動き出した「Zaif」を中核とする暗号資産関連ビジネスの拡大にある。特に、カイカ証券との連携を含む新商品開発や「Zaif」の顧客基盤を活用したマーケティングなど、シナジー創出による事業拡大を図っていく。

■Key Points
・2022年10月期上期は「ITサービス事業」が堅調に推移するとともに、「金融サービス事業」による収益の底上げにより増収増益(営業黒字化)を実現
・活動面でも、「Zaif」における次世代システムへの移行をはじめ、新規サービスの販売強化や新商品の投入など、暗号資産関連ビジネスの加速に向けた取り組みが本格化
・2022年10月期については、期初予想を据え置き、通期でも増収増益(黒字転換)を見込む
・金融のデジタル化が進むなかで、他社に例を見ない事業基盤を生かし、金融とITをシームレスに統合した新たな「金融プラットフォーマー構想」の実現を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)




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