C&R社 Research Memo(6):2023年2月期2Q累計業績は主力事業の拡大により実質2ケタ増収増益に
[22/11/09]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
1. 2023年2月期第2四半期累計業績の概要
クリーク・アンド・リバー社<4763>の2022年2月期の連結業績は、売上高で前年同期比6.2%増の22,334百万円、営業利益で同16.4%増の2,511百万円、経常利益で同16.1%増の2,523百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益で同27.2%増の1,788百万円と概ね会社計画どおりとなり、第2四半期累計として過去最高を更新した。なお、収益認識会計基準等の適用に伴い、売上高で1,026百万円の減少、営業利益、経常利益でそれぞれ62百万円の増加要因となっており、旧会計基準ベースで見ると売上高で11.1%増、営業利益で13.5%増、経常利益で13.2%増と実質2ケタ増収増益となった。
主力のクリエイティブ分野(日本)を中心にすべての事業セグメントで増収となり、営業利益もクリエイティブ分野(日本)、医療分野、会計・法曹分野の増益により、その他部門の損失拡大を吸収する格好となった。なお、クリエイティブ分野(日本)の売上高は前年同期比3.2%増となったが、旧会計基準ベースでは同10.3%増となっている。
事業別売上高を同社が開示している売上構成比から試算すると、プロデュース事業は前年同期比27.4%増の9,380百万円、エージェンシー(派遣)事業は同1.4%減の8,710百万円、エージェンシー(紹介)事業は同13.8%増の3,350百万円、ライツマネジメント事業他は同52.8%減の893百万円となった。プロデュース事業ではクリエイティブ分野(日本)、エージェンシー(紹介)事業では医療分野がそれぞれ好調に推移した。また、ライツマネジメント事業他の減収は、収益認識会計基準等の適用によるもので※、旧会計基準ベースでは同1.4%増となっている。
※電子書籍の取次販売について、従来は総額を売上高として計上していたが、収益認識会計基準等の適用に伴い、純額方式で計上する方法に変更した。
一方、売上総利益はプロデュース事業が同25.7%増の3,059百万円、エージェンシー(派遣)事業が同2.4%減の1,979百万円、エージェンシー(紹介)事業が同10.9%増の3,239百万円、ライツマネジメント事業他が同1.4%減の719百万円となった。派遣事業が伸び悩んだ要因としては、受注が好調だった請負事業に人的リソースが振り向けられたことが一因として考えられる。また、ライツマネジメント事業他については、前第2四半期以降に収益が急拡大した「漫画LABO※」によるオリジナル電子書籍の成長が一服し、伸び悩む格好となった。
※「漫画LABO」とは、ネットワークした多くの漫画家や編集者によるコミック制作プラットフォームで2017年より事業を開始した。「漫画LABO」で制作されたコミックスについては、電子書籍の販売額からプラットフォーマーに支払う手数料を差し引いた金額が売上高となり、ここから作家等に制作料を支払い、残った部分が営業利益となる。
販管費の増加については、人件費や採用費・研修費の増加に加えて、子会社4社の設立費用並びに2社を連結子会社化したことに伴うのれん償却額の増加(29百万円増)が主な要因となっている。同社では事業領域の拡大を推進しており、子会社として2022年4月にアグリカルチャー分野を展開する(株)コネクトアラウンド、障がい者雇用支援を行う(株)One Leaf Clover、同年7月にシェフの独立・開業支援を行う(株)Chef’s value、漫画に音楽や音声を融合した動画「モーションコミック」のコンテンツ及びプラットフォームを開発・提供する(株)Nextrekを設立した。また、同年3月にはファッション分野でプロモーション事業等を展開する(株)forGIFTの株式を追加取得し子会社化(出資比率35%から77.5%)したほか、同年5月に二次元イラストやキャラクターに特化したNFTプラットフォームを開発・運営するスタートアップ企業、(株)ANIFTYの株式を51.8%取得し子会社化した。なお、forGIFTの株式追加取得に伴って発生した段階差益95百万円を特別利益として計上している。
四半期ベースの営業利益を見ると、第1四半期が前年同期比37.1%増の1,687百万円と好調な滑り出しを見せたのに対して、第2四半期は同11.2%減の823百万円と減益に転じた。主な減益要因としては、新規子会社の設立等を含めた投資プロジェクト費用の増加と一部子会社の収益悪化、並びに電子書籍・版権事業が減益となったことが挙げられる。2022年2月期はコロナ禍ということもあって投資については慎重なスタンスで臨み、第4四半期に集中して2.5億円の費用を計上したが、2023年2月期は通期で2.5億円の計画に対して、上期に1億円を投下した(大半は第2四半期に計上)※。また、電子書籍・版権事業については2022年2月期第2四半期以降にオリジナル作品のヒットが相次ぎ、利益が急増したため、2023年2月期第1四半期は前年同期比で約60百万円の増益となったが、第2四半期は逆に約60百万円の減益となった。
※主な投資案件としては、「C&R Creative Studios」のメタバース化、「XR EXPO(R)(VR建築展示場)」の構築、新卒採用の強化及び入社前研修の充実、DX(収益認識会計基準対応/効率化の推進)、子会社設立費用等。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2023年2月期第2四半期累計業績の概要
クリーク・アンド・リバー社<4763>の2022年2月期の連結業績は、売上高で前年同期比6.2%増の22,334百万円、営業利益で同16.4%増の2,511百万円、経常利益で同16.1%増の2,523百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益で同27.2%増の1,788百万円と概ね会社計画どおりとなり、第2四半期累計として過去最高を更新した。なお、収益認識会計基準等の適用に伴い、売上高で1,026百万円の減少、営業利益、経常利益でそれぞれ62百万円の増加要因となっており、旧会計基準ベースで見ると売上高で11.1%増、営業利益で13.5%増、経常利益で13.2%増と実質2ケタ増収増益となった。
主力のクリエイティブ分野(日本)を中心にすべての事業セグメントで増収となり、営業利益もクリエイティブ分野(日本)、医療分野、会計・法曹分野の増益により、その他部門の損失拡大を吸収する格好となった。なお、クリエイティブ分野(日本)の売上高は前年同期比3.2%増となったが、旧会計基準ベースでは同10.3%増となっている。
事業別売上高を同社が開示している売上構成比から試算すると、プロデュース事業は前年同期比27.4%増の9,380百万円、エージェンシー(派遣)事業は同1.4%減の8,710百万円、エージェンシー(紹介)事業は同13.8%増の3,350百万円、ライツマネジメント事業他は同52.8%減の893百万円となった。プロデュース事業ではクリエイティブ分野(日本)、エージェンシー(紹介)事業では医療分野がそれぞれ好調に推移した。また、ライツマネジメント事業他の減収は、収益認識会計基準等の適用によるもので※、旧会計基準ベースでは同1.4%増となっている。
※電子書籍の取次販売について、従来は総額を売上高として計上していたが、収益認識会計基準等の適用に伴い、純額方式で計上する方法に変更した。
一方、売上総利益はプロデュース事業が同25.7%増の3,059百万円、エージェンシー(派遣)事業が同2.4%減の1,979百万円、エージェンシー(紹介)事業が同10.9%増の3,239百万円、ライツマネジメント事業他が同1.4%減の719百万円となった。派遣事業が伸び悩んだ要因としては、受注が好調だった請負事業に人的リソースが振り向けられたことが一因として考えられる。また、ライツマネジメント事業他については、前第2四半期以降に収益が急拡大した「漫画LABO※」によるオリジナル電子書籍の成長が一服し、伸び悩む格好となった。
※「漫画LABO」とは、ネットワークした多くの漫画家や編集者によるコミック制作プラットフォームで2017年より事業を開始した。「漫画LABO」で制作されたコミックスについては、電子書籍の販売額からプラットフォーマーに支払う手数料を差し引いた金額が売上高となり、ここから作家等に制作料を支払い、残った部分が営業利益となる。
販管費の増加については、人件費や採用費・研修費の増加に加えて、子会社4社の設立費用並びに2社を連結子会社化したことに伴うのれん償却額の増加(29百万円増)が主な要因となっている。同社では事業領域の拡大を推進しており、子会社として2022年4月にアグリカルチャー分野を展開する(株)コネクトアラウンド、障がい者雇用支援を行う(株)One Leaf Clover、同年7月にシェフの独立・開業支援を行う(株)Chef’s value、漫画に音楽や音声を融合した動画「モーションコミック」のコンテンツ及びプラットフォームを開発・提供する(株)Nextrekを設立した。また、同年3月にはファッション分野でプロモーション事業等を展開する(株)forGIFTの株式を追加取得し子会社化(出資比率35%から77.5%)したほか、同年5月に二次元イラストやキャラクターに特化したNFTプラットフォームを開発・運営するスタートアップ企業、(株)ANIFTYの株式を51.8%取得し子会社化した。なお、forGIFTの株式追加取得に伴って発生した段階差益95百万円を特別利益として計上している。
四半期ベースの営業利益を見ると、第1四半期が前年同期比37.1%増の1,687百万円と好調な滑り出しを見せたのに対して、第2四半期は同11.2%減の823百万円と減益に転じた。主な減益要因としては、新規子会社の設立等を含めた投資プロジェクト費用の増加と一部子会社の収益悪化、並びに電子書籍・版権事業が減益となったことが挙げられる。2022年2月期はコロナ禍ということもあって投資については慎重なスタンスで臨み、第4四半期に集中して2.5億円の費用を計上したが、2023年2月期は通期で2.5億円の計画に対して、上期に1億円を投下した(大半は第2四半期に計上)※。また、電子書籍・版権事業については2022年2月期第2四半期以降にオリジナル作品のヒットが相次ぎ、利益が急増したため、2023年2月期第1四半期は前年同期比で約60百万円の増益となったが、第2四半期は逆に約60百万円の減益となった。
※主な投資案件としては、「C&R Creative Studios」のメタバース化、「XR EXPO(R)(VR建築展示場)」の構築、新卒採用の強化及び入社前研修の充実、DX(収益認識会計基準対応/効率化の推進)、子会社設立費用等。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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