C&R社 Research Memo(8):クリエイティブ分野(日本)と医療分野が順調に拡大(2)
[22/11/09]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■クリーク・アンド・リバー社<4763>の業績動向
(4)会計・法曹分野
会計分野は子会社のジャスネットコミュニケーションズ(株)(出資比率100.0%)、法曹分野は(株)C&Rリーガル・エージェンシー社(同90.0%)でエージェンシー事業を中心に展開している。
2023年2月期第2四半期累計の売上高は前年同期比8.5%増の1,126百万円、営業利益は同59.0%増の62百万円となった。同社が開示している分野別構成比から試算した会計分野の売上高は同6.2%増の938百万円、営業利益は同147.3%増の42百万円と増収増益となった。企業や会計事務所向けに人材需要が回復してきたことが要因だ。また、新たな取り組みとして2022年6月にジャスネットコミュニケーションズがミロク情報サービス<9928>の子会社である(株)MJS M&Aパートナーズ(以下、mmap)とのパートナー契約の締結を発表し、「会計事務所のための事業承継サービス」の提供を開始した。ジャスネットコミュニケーションズに登録している6.1万名のうち、公認会計士や税理士などの有資格者で事務所経営を希望する人材を、mmapがネットワークする会計事務所に紹介するサービスとなる。会計事務所では経営者が高齢化し後継者問題を抱えているところも多く、こうしたニーズに対応していく。
一方、法曹分野については売上高で前年同期比22.1%増の188百万円、営業利益で同10.2%減の19百万円と増収減益となった。企業における法務・知財関連職の人材需要拡大が主な増収要因となったが、採用費や人件費の増加により減益となった。
(5)その他事業
子会社15社で構成されるその他事業の売上高は前年同期比18.1%増の1,445百万円、営業損失は181百万円(前年同期は14百万円の損失)となった。15社のうち6社が新たに連結対象子会社として加わったが(うち、4社は新設子会社)、売上高の影響額は数千万円程度だったと見られる。
主な子会社の動向を見ると、IT分野のエージェンシー事業を展開する(株)リーディング・エッジ社(出資比率99.99%)は、ロボット・AI市場向けで多く利用されるプログラム言語「Python」に精通した5千人以上のエンジニア等のネットワークを構築し、IT技術者の採用や育成、紹介に取り組んでいるほか、データ分析ソリューション提供企業と連携して、データサイエンティストの採用や育成に向けた取り組みも開始した。2023年2月期第2四半期累計の売上高は前年同期比で微減収となり、利益面では1億円弱の損失を計上した。請負案件の受注獲得に向けて人員体制の増強を図ったものの、受注が想定外に伸びず人員の稼働率が低下したことや、不採算案件が発生したことが損失の発生要因となった。第3四半期以降は派遣案件の受注獲得に注力し始めたことで稼働率も向上し、また不採算案件もなくなったことから下期には黒字転換する見込みとなっている。
ファッション分野のエージェンシー事業を展開する(株)インター・ベル(同100.0%)は、主に販売職の派遣や店舗の運営代行業務を展開している。アパレル業界では、店舗への来客数がコロナ禍以前の状態まで戻っていないものの、販売員の派遣需要は徐々に回復しており、また、販売代行事業が伸長したこともあり増収増益となった。
人材メディア事業を展開する(株)プロフェッショナルメディア(同100.0%)は、Web、IT、AI業界の総合求人サイト「DXキャリア」を運営しており、同業界における旺盛な需要を背景に売上高は順調に拡大した。利益面でも損失が縮小し、通期で黒字化する見通しとなっている。
VR事業を展開する(株)VR Japan(同84.21%、12月決算)は、中国大手メーカーからVRゴーグルを調達し、国内で販売・運用・保守を行っている。導入案件の減少により売上高は前年同期比で減収となり、利益面でも前年同期並みの損失となった。新たな取り組みとして順天堂大学と共同で医療ARシステムの開発に着手しており、2022年12月にプロトタイプを完成させ、2023年春以降の商品化を目指している。具体的には、肺がんなどの治療で行う胸腔ドレナージ※の安全性向上を目的に、臓器の位置を正確に把握するためのARシステムの開発を進めている。
※胸腔ドレナージとは、胸腔内にドレーン(管)を挿入することで、貯留した気体や液体(胸水や血液、膿)を持続的に体外へ排出(ドレナージ)する治療法。
AIシステムの企画・開発・販売・運用・保守事業を行う(株)Idrasys(同80.11%)では、独自開発したAI予測プラットフォーム「Forecasting Experience」(2020年5月リリース)を展開している。「Forecasting Experience」の特長は、学習データをExcelベースで簡単に作成でき、専門知識がなくても比較的容易に予測モデルを構築できる点にある。セミナー開催や展示会への出展により新規リードの獲得に取り組んでいるが、顧客件数はまだ少なく収益化前の段階となっている。同社では下期に単月ベースで黒字化し、2024年2月期からの利益貢献を目標としている。
米国で法曹分野のSNSプラットフォーム「JURISTERRA」の開発・運営を行うCREEK & RIVER Global, Inc.(同100%)については、「JURISTERRA」の本格稼働に向けた開発を進めると同時に、その一部機能を活用して、米国と日本を結んだ法務コンサルティングサービスを展開している。「JURISTELLA」については、法制度面においてクリアすべき課題が残っているため運用開始時期は未定で、当面はアナログでのマッチングサービスを継続していく方針となっており、収益への影響も軽微となっている。
ITコンサルティングのほか、WebアプリケーションやAIシステムの構築を行う(株)Grune(同75.0%、10月決算)は、売上高で微増収となったものの、積極的な人材採用に取り組んだことにより利益面では若干の損失を計上した。また、中国で版権ビジネスを展開するCREEK & RIVER SHANGHAI Co., Ltd.(同100.0%)については、売上高で微増収となったが、一部キャンセルが発生した影響により利益面では減益となった。
新たに連結対象として加わったforGIFTは売上高で約60百万円、営業利益で数百万円を計上した。このうち、新規事業として2023年2月期より開始したアパレル3DCGサンプル制作サービス「sture(ストゥーラ)」は約10百万円の売上を計上し、引き合いも増えているようだ。同サービスは同社開発スタジオで蓄積してきたゲームの3DCG制作技術とファッション分野での知見を融合したもので、グループシナジーが発揮できるサービスとして今後の成長が期待される。
新設子会社のうち、コネクトアラウンドは農業分野でのテクノロジーを活用した障がい者雇用支援サービスを2022年内に開始する予定となっている。また、Chef’s valueでは2022年11月末に新規店舗を1店舗オープンする予定となっており、料理人の独立・開業支援を開始する。Nextrekでは「モーションコミック」のプラットフォーム開発を進めるとともに、使用する漫画コンテンツの著作権者との許諾交渉を行っており、2023年1月頃のサービス開始を目指している。そのほか、連結子会社化したANIFTYでは、アニメ作家や漫画家、イラストレーター、動画制作者等の優れたコンテンツをNFTとして流通させ、グローバル市場での収益化を図るとともに、メタバースを活用した新たなビジネスモデルの構築に向けた取り組みを推進し、2024年2月期の黒字化を目指している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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(4)会計・法曹分野
会計分野は子会社のジャスネットコミュニケーションズ(株)(出資比率100.0%)、法曹分野は(株)C&Rリーガル・エージェンシー社(同90.0%)でエージェンシー事業を中心に展開している。
2023年2月期第2四半期累計の売上高は前年同期比8.5%増の1,126百万円、営業利益は同59.0%増の62百万円となった。同社が開示している分野別構成比から試算した会計分野の売上高は同6.2%増の938百万円、営業利益は同147.3%増の42百万円と増収増益となった。企業や会計事務所向けに人材需要が回復してきたことが要因だ。また、新たな取り組みとして2022年6月にジャスネットコミュニケーションズがミロク情報サービス<9928>の子会社である(株)MJS M&Aパートナーズ(以下、mmap)とのパートナー契約の締結を発表し、「会計事務所のための事業承継サービス」の提供を開始した。ジャスネットコミュニケーションズに登録している6.1万名のうち、公認会計士や税理士などの有資格者で事務所経営を希望する人材を、mmapがネットワークする会計事務所に紹介するサービスとなる。会計事務所では経営者が高齢化し後継者問題を抱えているところも多く、こうしたニーズに対応していく。
一方、法曹分野については売上高で前年同期比22.1%増の188百万円、営業利益で同10.2%減の19百万円と増収減益となった。企業における法務・知財関連職の人材需要拡大が主な増収要因となったが、採用費や人件費の増加により減益となった。
(5)その他事業
子会社15社で構成されるその他事業の売上高は前年同期比18.1%増の1,445百万円、営業損失は181百万円(前年同期は14百万円の損失)となった。15社のうち6社が新たに連結対象子会社として加わったが(うち、4社は新設子会社)、売上高の影響額は数千万円程度だったと見られる。
主な子会社の動向を見ると、IT分野のエージェンシー事業を展開する(株)リーディング・エッジ社(出資比率99.99%)は、ロボット・AI市場向けで多く利用されるプログラム言語「Python」に精通した5千人以上のエンジニア等のネットワークを構築し、IT技術者の採用や育成、紹介に取り組んでいるほか、データ分析ソリューション提供企業と連携して、データサイエンティストの採用や育成に向けた取り組みも開始した。2023年2月期第2四半期累計の売上高は前年同期比で微減収となり、利益面では1億円弱の損失を計上した。請負案件の受注獲得に向けて人員体制の増強を図ったものの、受注が想定外に伸びず人員の稼働率が低下したことや、不採算案件が発生したことが損失の発生要因となった。第3四半期以降は派遣案件の受注獲得に注力し始めたことで稼働率も向上し、また不採算案件もなくなったことから下期には黒字転換する見込みとなっている。
ファッション分野のエージェンシー事業を展開する(株)インター・ベル(同100.0%)は、主に販売職の派遣や店舗の運営代行業務を展開している。アパレル業界では、店舗への来客数がコロナ禍以前の状態まで戻っていないものの、販売員の派遣需要は徐々に回復しており、また、販売代行事業が伸長したこともあり増収増益となった。
人材メディア事業を展開する(株)プロフェッショナルメディア(同100.0%)は、Web、IT、AI業界の総合求人サイト「DXキャリア」を運営しており、同業界における旺盛な需要を背景に売上高は順調に拡大した。利益面でも損失が縮小し、通期で黒字化する見通しとなっている。
VR事業を展開する(株)VR Japan(同84.21%、12月決算)は、中国大手メーカーからVRゴーグルを調達し、国内で販売・運用・保守を行っている。導入案件の減少により売上高は前年同期比で減収となり、利益面でも前年同期並みの損失となった。新たな取り組みとして順天堂大学と共同で医療ARシステムの開発に着手しており、2022年12月にプロトタイプを完成させ、2023年春以降の商品化を目指している。具体的には、肺がんなどの治療で行う胸腔ドレナージ※の安全性向上を目的に、臓器の位置を正確に把握するためのARシステムの開発を進めている。
※胸腔ドレナージとは、胸腔内にドレーン(管)を挿入することで、貯留した気体や液体(胸水や血液、膿)を持続的に体外へ排出(ドレナージ)する治療法。
AIシステムの企画・開発・販売・運用・保守事業を行う(株)Idrasys(同80.11%)では、独自開発したAI予測プラットフォーム「Forecasting Experience」(2020年5月リリース)を展開している。「Forecasting Experience」の特長は、学習データをExcelベースで簡単に作成でき、専門知識がなくても比較的容易に予測モデルを構築できる点にある。セミナー開催や展示会への出展により新規リードの獲得に取り組んでいるが、顧客件数はまだ少なく収益化前の段階となっている。同社では下期に単月ベースで黒字化し、2024年2月期からの利益貢献を目標としている。
米国で法曹分野のSNSプラットフォーム「JURISTERRA」の開発・運営を行うCREEK & RIVER Global, Inc.(同100%)については、「JURISTERRA」の本格稼働に向けた開発を進めると同時に、その一部機能を活用して、米国と日本を結んだ法務コンサルティングサービスを展開している。「JURISTELLA」については、法制度面においてクリアすべき課題が残っているため運用開始時期は未定で、当面はアナログでのマッチングサービスを継続していく方針となっており、収益への影響も軽微となっている。
ITコンサルティングのほか、WebアプリケーションやAIシステムの構築を行う(株)Grune(同75.0%、10月決算)は、売上高で微増収となったものの、積極的な人材採用に取り組んだことにより利益面では若干の損失を計上した。また、中国で版権ビジネスを展開するCREEK & RIVER SHANGHAI Co., Ltd.(同100.0%)については、売上高で微増収となったが、一部キャンセルが発生した影響により利益面では減益となった。
新たに連結対象として加わったforGIFTは売上高で約60百万円、営業利益で数百万円を計上した。このうち、新規事業として2023年2月期より開始したアパレル3DCGサンプル制作サービス「sture(ストゥーラ)」は約10百万円の売上を計上し、引き合いも増えているようだ。同サービスは同社開発スタジオで蓄積してきたゲームの3DCG制作技術とファッション分野での知見を融合したもので、グループシナジーが発揮できるサービスとして今後の成長が期待される。
新設子会社のうち、コネクトアラウンドは農業分野でのテクノロジーを活用した障がい者雇用支援サービスを2022年内に開始する予定となっている。また、Chef’s valueでは2022年11月末に新規店舗を1店舗オープンする予定となっており、料理人の独立・開業支援を開始する。Nextrekでは「モーションコミック」のプラットフォーム開発を進めるとともに、使用する漫画コンテンツの著作権者との許諾交渉を行っており、2023年1月頃のサービス開始を目指している。そのほか、連結子会社化したANIFTYでは、アニメ作家や漫画家、イラストレーター、動画制作者等の優れたコンテンツをNFTとして流通させ、グローバル市場での収益化を図るとともに、メタバースを活用した新たなビジネスモデルの構築に向けた取り組みを推進し、2024年2月期の黒字化を目指している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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