霞ヶ関キャピタル Research Memo(2):2つの独自のビジネスモデルを展開
[22/11/09]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■会社概要
1. 会社概要
霞ヶ関キャピタル<3498>は2011年9月、東日本大震災により被災した宮城県柴田郡大河原町の「ショッピングセンター事業」をきっかけに設立された。現在は「不動産コンサルティング事業(物流施設開発、アパートメントホテル開発、海外投資など)」と「自然エネルギー事業(太陽光発電など)」を展開する。同社は、これらの「成長性のある事業分野」かつ「社会的意義のある事業」を行うことで、社会の課題の解決に貢献することをビジネスポリシーとしている。なお、2018年11月に東証マザーズ市場へ上場し、2022年4月の市場区分再編に伴いグロース市場へ移行した。
事業の拡大に伴い、2019年9月には、これまでのホテル開発事業をより強化するため、サブリース事業、オペレーション事業を推進する「霞ヶ関パートナーズ(株)」(持分比率100%)、投資分析、投資戦略立案、最適スキーム構築(法務・税務)、ファイナンスアレンジメント機能を持ち、潜在価値の実現化、投資パフォーマンスの極大化、資源と資金の最適な組み合わせを追求する「霞ヶ関投資顧問(株)」(同100%)、同社で開発するホテル等を主たるシードアセット(ファンドの投資対象資産)としてファンドの組成及びアセットマネジメント事業の構築を進める「霞ヶ関アセットマネジメント(株)」(同100%)の3子会社を設立した。設立以来、事業内容を充実・拡大し続けていることに伴い、2020年3月には第二種金融商品取引業及び投資助言・代理業登録、同年6月には物流事業を開始した。さらに、2021年3月には不動産テック事業への参入を目的として「KC Technologies(株)」(同70%)を設立、同年4月には「ホテル京都木屋町」を保有する「メゾンドツーリズム京都(株)」(同100%)を連結子会社化した。同年12月にはヘルスケア事業を発足、2022年1月には、LFD(同66%)による物流施設開発合弁事業を開始したほか、レジデンスファンドの組成を行った。直近では、同年5月に三井物産デジタル・アセットマネジメント(株)と共同アセットマネジメントに関する基本合意書を締結するなど、次の成長戦略に向けて着々と布石を打っている。
同社は、創成期からの事業推進役であった河本幸士郎(こうもとこうしろう)氏が代表取締役社長を務めており、連結ベースの従業員数は2018年2月末の22人から2022年8月末には151人(連結グループ、役員等含む)に増加している。金融機関、ファンド、不動産業界出身者や、弁護士、会計士、不動産鑑定士など専門資格の保有者も多く、少数精鋭のプロ集団を構築していることが同社の強みの1つでもある。
2. 事業内容とビジネスモデル
事業内容については、「不動産コンサルティング事業」と「自然エネルギー事業」の2つのセグメントに分類して開示している。不動産コンサルティング事業には物流施設開発、アパートメントホテル開発、ヘルスケア関連施設開発、ファンド事業、海外投資、ショッピングセンターなどの事業が含まれ、2022年8月期の売上高構成比は99.7%(20,726百万円)を占める。一方、自然エネルギー事業は主として太陽光発電事業を展開しており、同売上高構成比は0.3%(54百万円)にとどまる。また、2022年8月期のセグメント損益(全社費用控除前)では、不動産コンサルティング事業が4,310百万円の利益であったものの、自然エネルギー事業は23百万円の損失であった。
物流施設開発事業等が本格稼働したことに伴い、足元では不動産コンサルティング事業の売上高・利益が大きく拡大している。一方、自然エネルギー事業については、太陽光発電が成熟市場となり採算が取れにくくなっていることから過渡期にある。このため、今後は風力発電施設開発を強化する方針である。同社は投資家にとって魅力のある不動産投資商品を提供する方針で、柔軟な戦略やビジネスモデルとそれを実行する十分な人材と資金の活用により、今後も既存の事業分野にとどまることなく、事業環境の変化に対応して新たな事業へのチャレンジを続けると弊社では見ている。
同社の大きな特長は、「戦略的コンサルティング型デベロッパー」と「成果報酬志向型ファンドマネージャー」という、他に例を見ない独自のビジネスモデルを構築していることにある。「戦略的コンサルティング型デベロッパー」とは、同社の持つ企画力・ソーシング力(投資対象となる案件の調達力)、ストラクチャリング力、ファンドマネジメント力を活用することで、不動産を保有しないデベロッパーと定義している。また、「成果報酬志向型ファンドマネージャー」とは、アップフロントフィー※によらない、ストック収入による安定収益基盤と成果報酬によるアップサイドの両立を図ることと定義している。このユニークなビジネスモデルによって、高収益と財務の健全性を実現している。
※ファイナンスのアレンジメントに対し、貸手に対して融資総額の一定比率で支払われる手数料。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
<NS>
1. 会社概要
霞ヶ関キャピタル<3498>は2011年9月、東日本大震災により被災した宮城県柴田郡大河原町の「ショッピングセンター事業」をきっかけに設立された。現在は「不動産コンサルティング事業(物流施設開発、アパートメントホテル開発、海外投資など)」と「自然エネルギー事業(太陽光発電など)」を展開する。同社は、これらの「成長性のある事業分野」かつ「社会的意義のある事業」を行うことで、社会の課題の解決に貢献することをビジネスポリシーとしている。なお、2018年11月に東証マザーズ市場へ上場し、2022年4月の市場区分再編に伴いグロース市場へ移行した。
事業の拡大に伴い、2019年9月には、これまでのホテル開発事業をより強化するため、サブリース事業、オペレーション事業を推進する「霞ヶ関パートナーズ(株)」(持分比率100%)、投資分析、投資戦略立案、最適スキーム構築(法務・税務)、ファイナンスアレンジメント機能を持ち、潜在価値の実現化、投資パフォーマンスの極大化、資源と資金の最適な組み合わせを追求する「霞ヶ関投資顧問(株)」(同100%)、同社で開発するホテル等を主たるシードアセット(ファンドの投資対象資産)としてファンドの組成及びアセットマネジメント事業の構築を進める「霞ヶ関アセットマネジメント(株)」(同100%)の3子会社を設立した。設立以来、事業内容を充実・拡大し続けていることに伴い、2020年3月には第二種金融商品取引業及び投資助言・代理業登録、同年6月には物流事業を開始した。さらに、2021年3月には不動産テック事業への参入を目的として「KC Technologies(株)」(同70%)を設立、同年4月には「ホテル京都木屋町」を保有する「メゾンドツーリズム京都(株)」(同100%)を連結子会社化した。同年12月にはヘルスケア事業を発足、2022年1月には、LFD(同66%)による物流施設開発合弁事業を開始したほか、レジデンスファンドの組成を行った。直近では、同年5月に三井物産デジタル・アセットマネジメント(株)と共同アセットマネジメントに関する基本合意書を締結するなど、次の成長戦略に向けて着々と布石を打っている。
同社は、創成期からの事業推進役であった河本幸士郎(こうもとこうしろう)氏が代表取締役社長を務めており、連結ベースの従業員数は2018年2月末の22人から2022年8月末には151人(連結グループ、役員等含む)に増加している。金融機関、ファンド、不動産業界出身者や、弁護士、会計士、不動産鑑定士など専門資格の保有者も多く、少数精鋭のプロ集団を構築していることが同社の強みの1つでもある。
2. 事業内容とビジネスモデル
事業内容については、「不動産コンサルティング事業」と「自然エネルギー事業」の2つのセグメントに分類して開示している。不動産コンサルティング事業には物流施設開発、アパートメントホテル開発、ヘルスケア関連施設開発、ファンド事業、海外投資、ショッピングセンターなどの事業が含まれ、2022年8月期の売上高構成比は99.7%(20,726百万円)を占める。一方、自然エネルギー事業は主として太陽光発電事業を展開しており、同売上高構成比は0.3%(54百万円)にとどまる。また、2022年8月期のセグメント損益(全社費用控除前)では、不動産コンサルティング事業が4,310百万円の利益であったものの、自然エネルギー事業は23百万円の損失であった。
物流施設開発事業等が本格稼働したことに伴い、足元では不動産コンサルティング事業の売上高・利益が大きく拡大している。一方、自然エネルギー事業については、太陽光発電が成熟市場となり採算が取れにくくなっていることから過渡期にある。このため、今後は風力発電施設開発を強化する方針である。同社は投資家にとって魅力のある不動産投資商品を提供する方針で、柔軟な戦略やビジネスモデルとそれを実行する十分な人材と資金の活用により、今後も既存の事業分野にとどまることなく、事業環境の変化に対応して新たな事業へのチャレンジを続けると弊社では見ている。
同社の大きな特長は、「戦略的コンサルティング型デベロッパー」と「成果報酬志向型ファンドマネージャー」という、他に例を見ない独自のビジネスモデルを構築していることにある。「戦略的コンサルティング型デベロッパー」とは、同社の持つ企画力・ソーシング力(投資対象となる案件の調達力)、ストラクチャリング力、ファンドマネジメント力を活用することで、不動産を保有しないデベロッパーと定義している。また、「成果報酬志向型ファンドマネージャー」とは、アップフロントフィー※によらない、ストック収入による安定収益基盤と成果報酬によるアップサイドの両立を図ることと定義している。このユニークなビジネスモデルによって、高収益と財務の健全性を実現している。
※ファイナンスのアレンジメントに対し、貸手に対して融資総額の一定比率で支払われる手数料。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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