ステップ Research Memo(4):2022年9月期業績は生徒数が順調に増加し、増収増益で着地
[22/12/19]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
1. 2022年9月期の業績概要
ステップ<9795>の2022年9月期業績は、売上高で前期比4.7%増の13,653百万円、営業利益で同4.2%増の3,656百万円、経常利益で同3.8%増の3,728百万円、当期純利益で同3.7%増の2,563百万円と2期連続の増収増益、過去最高を更新した。なお、収益認識会計基準等の適用に伴い売上高、営業利益、経常利益で312百万円の減額要因※となっており、旧会計基準ベースで見れば、売上高で7.1%増、営業利益で13.1%増、経常利益で12.5%増と実質2ケタ増益を達成したことになる。
※従来基準では、諸費用(教材費等)による売上高について各学期の初月(1月、4月、9月)に一括して売上計上してきたが、新基準では1月計上分を1〜3月、4月分を4〜7月、9月分を9〜12月の各月に按分計上する方法に変更した(8月は夏期講習のため諸費用売上なし)。これにより、従来基準で9月に計上していた諸費用売上高のうち、10〜12月の3ヶ月分の売上計上時期が翌期にずれ込むこととなり、その影響額が312百万円となっている。
(1) 売上高の増加要因
売上高の内訳を見ると、小中学生部門が前期比4.8%増の10,935百万円、高校生部門が同4.3%増の2,717百万円といずれも順調に増加した。期中平均生徒数は全体で同6.7%増、小中学生部門で同7.1%増、高校生部門で同5.0%増となった。2020年はコロナ禍の影響を受けたものの、2021年春以降は再び入塾生徒数の増加傾向が続いた。2022年7〜8月にコロナ第7波が直撃した影響で、夏期講習の参加を経て入塾する生徒数が減少したものの、会社計画は達成した。特に、小学生については期中平均で前期比12.5%増と好調に推移した。中学生や高校生のスクール・校舎で定員に達し、募集を打ち切るスクールが増加していることを受け、小学生の段階から通塾する動きが顕著となった。高校生部門においても「横浜校」や「大船校」では増床を実施したものの、依然として入塾希望が多く、「大船校」では受験学年で全教科満席に達するなど、講師数や校舎の収容能力に余裕があればさらに生徒数を伸ばせた可能性がある。
小中学部の138スクールの状況を見ると、2022年11月第1週時点で定員に達したスクール数は1年生で38スクール(2022年4月比7スクール増)、2年生で61スクール(同16スクール増)、3年生で36スクール(同10スクール増)、延べ135スクールとなっている。1年前が118スクール、2年前が53スクール、コロナ禍前となる2019年が69スクールであったことを考えると、コロナ禍以降に人気が一段と高まったことが窺える。充席率(定員に対する塾生数の割合)で見ても88.6%(1年生84.0%、2年生91.2%、3年生89.8%)とほぼ満席に近い状況となっている。これは高い合格実績に加えて、コロナ禍でも徹底した感染対策を施したうえでライブ授業を継続してきたこと(状況に応じてオンライン授業にも対応)、志望校を決める際にも的確なアドバイスを行うなど生徒や保護者のニーズに対応した質の高いサービスを提供してきたことで支持を高め、口コミでそれが広がり入塾希望者の増加につながっていると考えられる。
開校経過年数別の生徒数(小中学部)の動向について見ても、開校から10年以上経過したスクールの平均生徒数が205人と高水準を維持している点は注目される。これらスクールはもともとの地盤である神奈川県南西部が中心で、「STEP」のシェアが高いエリアが多いのだが、対象学年人口が減少している地域も多く、揺るぎないブランド力を確立していることが窺える。また、開校から1〜10年未満のスクールについては着実に1スクール当たりの平均生徒数が増加しており、収益性の向上につながっている。
なお、2022年9月期における新規開設は小中学生部門で3スクールとなり、いずれも注力エリアである川崎市に2022年3月に開校した。「武蔵新城スクール(川崎市中原区)」「武蔵中原スクール(川崎市中原区)」はJR南武線沿線に位置し、神奈川県内で最大規模の生徒数(約1,300人)を持つ公立中学校が近隣にあるエリアとなる。また、「向ヶ丘遊園スクール(川崎市多摩区)」は小田急線沿線のスクールで、駅近隣に条件に適う物件が見つかったため、当初計画にはなかったが追加で開校することになった。平均生徒数が68人と前年同期の79人と比較して少ないように見えるが、川崎市はまだ出校数が11校と少なくブランド力もその他の地域と比較して低いためで、こうした点を考慮すると順調な滑り出しになっているとの認識だ。また、高校生部門では新規出校がなかったが、「横浜校」の2号館を3月に開設したほか1号館を増床、「大船校」についても3号館を増設した。
(2) 費用の状況
売上原価は前期比5.1%増の9,217百万円となり、売上原価率は67.5%と同0.2ポイント上昇したが、これは会計基準変更によるものであり、旧会計基準で換算した場合は66.0%と実質1.3ポイントの低下となった。低下要因を見ると、人件費率で0.5ポイント、教材費で0.3ポイント、減価償却費で0.2ポイント、その他費用で0.5ポイント低下しており、主に1スクール当たり生徒数の増加による固定費比率の低下が原価率の改善要因となっている。ただ、水道光熱費に関しては下期に入って電気料金の値上げが進んだ影響で、前期比0.1ポイント上昇し、金額ベースでも同21.2%増となった。
販管費は前期比3.1%増の779百万円となり、販管費率では5.7%と同0.1ポイント低下した。旧会計基準ベースでは0.2ポイント低下したことになる。人件費率が0.2ポイント低下したほか、広告宣伝費率が0.1ポイント低下したことによる。広告宣伝費については定員に達するスクールが増えたことで折込チラシを中心に削減が進み、金額ベースでも前期比5.9%減となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2022年9月期の業績概要
ステップ<9795>の2022年9月期業績は、売上高で前期比4.7%増の13,653百万円、営業利益で同4.2%増の3,656百万円、経常利益で同3.8%増の3,728百万円、当期純利益で同3.7%増の2,563百万円と2期連続の増収増益、過去最高を更新した。なお、収益認識会計基準等の適用に伴い売上高、営業利益、経常利益で312百万円の減額要因※となっており、旧会計基準ベースで見れば、売上高で7.1%増、営業利益で13.1%増、経常利益で12.5%増と実質2ケタ増益を達成したことになる。
※従来基準では、諸費用(教材費等)による売上高について各学期の初月(1月、4月、9月)に一括して売上計上してきたが、新基準では1月計上分を1〜3月、4月分を4〜7月、9月分を9〜12月の各月に按分計上する方法に変更した(8月は夏期講習のため諸費用売上なし)。これにより、従来基準で9月に計上していた諸費用売上高のうち、10〜12月の3ヶ月分の売上計上時期が翌期にずれ込むこととなり、その影響額が312百万円となっている。
(1) 売上高の増加要因
売上高の内訳を見ると、小中学生部門が前期比4.8%増の10,935百万円、高校生部門が同4.3%増の2,717百万円といずれも順調に増加した。期中平均生徒数は全体で同6.7%増、小中学生部門で同7.1%増、高校生部門で同5.0%増となった。2020年はコロナ禍の影響を受けたものの、2021年春以降は再び入塾生徒数の増加傾向が続いた。2022年7〜8月にコロナ第7波が直撃した影響で、夏期講習の参加を経て入塾する生徒数が減少したものの、会社計画は達成した。特に、小学生については期中平均で前期比12.5%増と好調に推移した。中学生や高校生のスクール・校舎で定員に達し、募集を打ち切るスクールが増加していることを受け、小学生の段階から通塾する動きが顕著となった。高校生部門においても「横浜校」や「大船校」では増床を実施したものの、依然として入塾希望が多く、「大船校」では受験学年で全教科満席に達するなど、講師数や校舎の収容能力に余裕があればさらに生徒数を伸ばせた可能性がある。
小中学部の138スクールの状況を見ると、2022年11月第1週時点で定員に達したスクール数は1年生で38スクール(2022年4月比7スクール増)、2年生で61スクール(同16スクール増)、3年生で36スクール(同10スクール増)、延べ135スクールとなっている。1年前が118スクール、2年前が53スクール、コロナ禍前となる2019年が69スクールであったことを考えると、コロナ禍以降に人気が一段と高まったことが窺える。充席率(定員に対する塾生数の割合)で見ても88.6%(1年生84.0%、2年生91.2%、3年生89.8%)とほぼ満席に近い状況となっている。これは高い合格実績に加えて、コロナ禍でも徹底した感染対策を施したうえでライブ授業を継続してきたこと(状況に応じてオンライン授業にも対応)、志望校を決める際にも的確なアドバイスを行うなど生徒や保護者のニーズに対応した質の高いサービスを提供してきたことで支持を高め、口コミでそれが広がり入塾希望者の増加につながっていると考えられる。
開校経過年数別の生徒数(小中学部)の動向について見ても、開校から10年以上経過したスクールの平均生徒数が205人と高水準を維持している点は注目される。これらスクールはもともとの地盤である神奈川県南西部が中心で、「STEP」のシェアが高いエリアが多いのだが、対象学年人口が減少している地域も多く、揺るぎないブランド力を確立していることが窺える。また、開校から1〜10年未満のスクールについては着実に1スクール当たりの平均生徒数が増加しており、収益性の向上につながっている。
なお、2022年9月期における新規開設は小中学生部門で3スクールとなり、いずれも注力エリアである川崎市に2022年3月に開校した。「武蔵新城スクール(川崎市中原区)」「武蔵中原スクール(川崎市中原区)」はJR南武線沿線に位置し、神奈川県内で最大規模の生徒数(約1,300人)を持つ公立中学校が近隣にあるエリアとなる。また、「向ヶ丘遊園スクール(川崎市多摩区)」は小田急線沿線のスクールで、駅近隣に条件に適う物件が見つかったため、当初計画にはなかったが追加で開校することになった。平均生徒数が68人と前年同期の79人と比較して少ないように見えるが、川崎市はまだ出校数が11校と少なくブランド力もその他の地域と比較して低いためで、こうした点を考慮すると順調な滑り出しになっているとの認識だ。また、高校生部門では新規出校がなかったが、「横浜校」の2号館を3月に開設したほか1号館を増床、「大船校」についても3号館を増設した。
(2) 費用の状況
売上原価は前期比5.1%増の9,217百万円となり、売上原価率は67.5%と同0.2ポイント上昇したが、これは会計基準変更によるものであり、旧会計基準で換算した場合は66.0%と実質1.3ポイントの低下となった。低下要因を見ると、人件費率で0.5ポイント、教材費で0.3ポイント、減価償却費で0.2ポイント、その他費用で0.5ポイント低下しており、主に1スクール当たり生徒数の増加による固定費比率の低下が原価率の改善要因となっている。ただ、水道光熱費に関しては下期に入って電気料金の値上げが進んだ影響で、前期比0.1ポイント上昇し、金額ベースでも同21.2%増となった。
販管費は前期比3.1%増の779百万円となり、販管費率では5.7%と同0.1ポイント低下した。旧会計基準ベースでは0.2ポイント低下したことになる。人件費率が0.2ポイント低下したほか、広告宣伝費率が0.1ポイント低下したことによる。広告宣伝費については定員に達するスクールが増えたことで折込チラシを中心に削減が進み、金額ベースでも前期比5.9%減となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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