エノモト Research Memo(8):基礎的需要は強いが、外部環境が不安定化
[22/12/27]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
1. 2023年3月期第2四半期の業績動向
エノモト<6928>の2023年3月期第2四半期の業績は、売上高14,650百万円(前年同期比6.8%増)、営業利益938百万円(同18.5%減)、経常利益1,127百万円(同3.3%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益778百万円(同8.2%減)と増収減益となった。パワー半導体やコネクタなど基礎的な需要は強いが、中国ゼロコロナ政策の影響などにより外部環境はやや厳しかったと言えるだろう。
日本経済は、コロナ禍の行動制限の緩和などにより経済活動が正常化に向かう一方、ゼロコロナ政策による中国のサプライチェーン混乱や、ウクライナ情勢などに起因する世界的な物価・エネルギー価格の高騰の影響を強く受けた。同社が属する電子部品業界は、自動車や産業用機器の需要が依然として強いものの、半導体や部材の供給不足により様々な場面で生産状況が不安定化するケースが見られた。このような環境下において、同社は世界的な需要拡大局面にあるパワー半導体用リードフレームと、複合加工技術力により差別化された超微細コネクタ用部品の製造に注力した。また、収益力のさらなる強化を目指して、スマートファクトリー化に向けたシステム構築や、作業と管理の自動化・効率化への投資を積極的に推進した。
その結果、売上高は、スマートフォン向けコネクタ用部品が前年同期の前倒し出荷により反動減となったが、パワー半導体用リードフレームの好調、高騰する原材料価格の売価への転嫁、円安による海外子会社の円換算額の増加などから増収を確保した。利益面では、スマートフォン向けコネクタの前年反動に対し汎用リードフレームの出荷が増加したことによる製品ミックスの変動、生産力増強に伴う減価償却費や人件費の増加、エネルギー価格上昇による経費の増加などにより、売上総利益率が低下した。販管費は、売上高増加に伴い変動費が増加したことに加え、物流価格高騰による経費や体制強化に伴う人件費・開発費用が増加した。このため営業利益は減益となったが、2022年3月期第4四半期を底に回復傾向を示した。なお、営業外収益で為替差益138百万円が発生したことで、経常利益を押し上げた。
通期計画に対する第2四半期の進捗率は売上高が51.2%、営業利益が42.7%と一見チグハグであるが、当初の想定に対しては総じて弱い動きになっていると思われる。もともと2023年3月期は、前年同期のスマートフォン向けコネクタ用部品の前倒し出荷の反動や先行的な費用の発生などにより、下期型の収益構造を見込んでいた。これからすると売上高の進捗率はやや強く見えるが、原材料価格の高騰や円安などの影響に加え、中国ゼロコロナ政策やウクライナ情勢などによるスマートフォン生産の不安定化やスマートフォン販売の欧米などでの伸び悩みが続いており、むしろやや弱い動きになっていると見られる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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1. 2023年3月期第2四半期の業績動向
エノモト<6928>の2023年3月期第2四半期の業績は、売上高14,650百万円(前年同期比6.8%増)、営業利益938百万円(同18.5%減)、経常利益1,127百万円(同3.3%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益778百万円(同8.2%減)と増収減益となった。パワー半導体やコネクタなど基礎的な需要は強いが、中国ゼロコロナ政策の影響などにより外部環境はやや厳しかったと言えるだろう。
日本経済は、コロナ禍の行動制限の緩和などにより経済活動が正常化に向かう一方、ゼロコロナ政策による中国のサプライチェーン混乱や、ウクライナ情勢などに起因する世界的な物価・エネルギー価格の高騰の影響を強く受けた。同社が属する電子部品業界は、自動車や産業用機器の需要が依然として強いものの、半導体や部材の供給不足により様々な場面で生産状況が不安定化するケースが見られた。このような環境下において、同社は世界的な需要拡大局面にあるパワー半導体用リードフレームと、複合加工技術力により差別化された超微細コネクタ用部品の製造に注力した。また、収益力のさらなる強化を目指して、スマートファクトリー化に向けたシステム構築や、作業と管理の自動化・効率化への投資を積極的に推進した。
その結果、売上高は、スマートフォン向けコネクタ用部品が前年同期の前倒し出荷により反動減となったが、パワー半導体用リードフレームの好調、高騰する原材料価格の売価への転嫁、円安による海外子会社の円換算額の増加などから増収を確保した。利益面では、スマートフォン向けコネクタの前年反動に対し汎用リードフレームの出荷が増加したことによる製品ミックスの変動、生産力増強に伴う減価償却費や人件費の増加、エネルギー価格上昇による経費の増加などにより、売上総利益率が低下した。販管費は、売上高増加に伴い変動費が増加したことに加え、物流価格高騰による経費や体制強化に伴う人件費・開発費用が増加した。このため営業利益は減益となったが、2022年3月期第4四半期を底に回復傾向を示した。なお、営業外収益で為替差益138百万円が発生したことで、経常利益を押し上げた。
通期計画に対する第2四半期の進捗率は売上高が51.2%、営業利益が42.7%と一見チグハグであるが、当初の想定に対しては総じて弱い動きになっていると思われる。もともと2023年3月期は、前年同期のスマートフォン向けコネクタ用部品の前倒し出荷の反動や先行的な費用の発生などにより、下期型の収益構造を見込んでいた。これからすると売上高の進捗率はやや強く見えるが、原材料価格の高騰や円安などの影響に加え、中国ゼロコロナ政策やウクライナ情勢などによるスマートフォン生産の不安定化やスマートフォン販売の欧米などでの伸び悩みが続いており、むしろやや弱い動きになっていると見られる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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