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平和RE Research Memo(3):物件譲渡益が寄与し、期初予想を上回る好決算。分配金は過去最高を更新

注目トピックス 日本株
*14:33JST 平和RE Research Memo(3):物件譲渡益が寄与し、期初予想を上回る好決算。分配金は過去最高を更新
■平和不動産リート投資法人<8966>の業績動向

1. 2022年11月期の業績概要
2022年11月期における国内経済は、コロナ禍に対し、入国制限の緩和や政府による全国旅行支援策により持ち直しの傾向が見られた。しかし、第8波による感染拡大への懸念に加え、ウクライナ情勢等を原因とする原油価格の高騰や米国金融当局の利上げに伴う急激な円安の進行等により、物価上昇等が景気回復の重荷となっている。また、こうした状況下で海外経済の不透明感が引き続き内在しており、海外動向にも留意が必要となっている。
このような経済環境下、2022年11月期(第42期)の業績は営業収益7,836百万円(前期比7.0%増)、営業利益4,018百万円(同11.3%増)、経常利益3,566百万円(同11.7%増)、当期純利益3,565百万円(同11.7%増)となった。物件譲渡益(549百万円)及び期初の公募増資による新規物件取得が寄与し、営業収益及び各段階利益は、いずれも期初予想を上回って着地した。物件譲渡益については、グレイスビル泉岳寺前(準共有持分50%)を2022年11月期と2023年5月期の2期に分けて売却する。なお、REITでは、税引前利益の90%超を分配金として支払う場合には法人税が免除されることから、当期純利益は経常利益とほぼ同水準となっている。

2022年11月期の外部成長としては、2021年11月期に続いて期初に実施した公募増資を活用してオフィス4物件とレジデンス2物件を取得し、オフィス1物件を2022年11月期と2023年5月期の2期に分けて売却した結果、2022年11月期末の運用資産は合計120物件/2,133億円に拡大した。内部成長としては、ポートフォリオ全体の期中平均稼働率が97.73%(前期比0.25ポイント上昇)と回復基調にある。オフィスの期中平均稼働率は98.69%とコロナ禍においても高位安定稼働を見せたほか、レジデンスの期中平均稼働率は97.10%と過去最高を記録した。レジデンスはリーシング上の非繁忙期だったが、繁忙期(5月期は入学、卒業や就職などが重なる3〜4月を含むため繁忙期になる)に当たる前期の稼働率を上回った。また、高い稼働率を背景に、NOI利回り(実質利回りとも言う、(賃貸事業収入-賃貸事業費用)(年換算)/期中平均帳簿価額×100で計算)も5.16%(同0.04ポイント低下)と、引き続き高水準を維持している。財務運営では、良好な金融環境を背景に借入期間を長期化し、健全な財務体質を堅持している。

以上から、EPUは3,201円(前期比176円増)となり内部留保繰入を増やすとともに、DPUは3,130円(同80円増)と14期連続でスポンサー変更後の最高値を更新した。また、物件譲渡益等の一時的要因を除いた実力ベースの収益力を示す、賃貸収益ベースのEPUは、前期比118円増の2,757円となった。内訳は、物件取得が大きく寄与した結果、外部成長で114円増、既存オフィスで10円減、既存レジデンスで51円増、財務等で34円減、販管費で3円減であった。

これらの着実な成長に加え、同REITは分散の効いたポートフォリオ(120物件)、潤沢なフリーキャッシュ(67億円)、十分な内部留保(54.6億円)、低い鑑定LTV(期末の鑑定評価額(帳簿価額+含み損益)に対する有利子負債の割合)(38.37%)、コミットメントライン(70億円)、格付AA-(安定的)(2022年6月に格上げ)など、外部環境の変動に備えて十分なリスク耐性を備えている。また、継続的な物件取得、財務基盤の安定化、将来の安定的な分配金支払いなどを可能にしている。なお、2022年来の電気料金高騰への対応としては、オフィスではテナントへの変動単価での請求方法への切り替えが完了し、レジデンスではテナント負担としている。

2. 財政状態
2022年11月期末の財政状態は、総資産221,531百万円(前期末比5.6%増)、純資産113,007百万円(同8.0%増)、有利子負債99,557百万円(同2.9%増)であった。平均調達金利は0.724%と過去最低金利を更新し、有利子負債の平均調達年数は7.18年であった。主要金融機関との良好な関係の下、比較的金利水準が高い過去の借入金が満期を迎えることで、今後も緩やかな調達コストの低下が見込まれる。なお、長期借入金比率は99.8%、固定化比率は74.7%と高く、将来の金利上昇リスクに備えている。また、大手都銀からのコミットメントライン(必要な時に借りられる、銀行からの融資枠)を2020年11月期より70億円に拡大し、不測の事態にも対応できるように、手元流動性を拡充している。

一方、鑑定LTVは38.37%と良好な低水準を維持している。同REITでは、同比率40〜50%を標準水準として維持し、上限を65%に設定しているが、鑑定評価額の増加に伴って同比率は低下傾向にあり、借入余力が拡大したことで、より機動的な物件取得が可能となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)



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