ナガイレーベ Research Memo(3):付加価値の高い高機能性商品の拡販に注力
[23/04/27]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
*15:43JST ナガイレーベ Research Memo(3):付加価値の高い高機能性商品の拡販に注力
■事業概要
1. 売上構成
ナガイレーベン<7447>の製品は、医療白衣及びその関連製品である。アイテム別売上高構成比(2023年8月期第2四半期)は、ヘルスケアウェア54.4%、ドクターウェア14.1%、ユーティリティウェア・他3.0%、感染対策商品※0.0%、患者ウェア18.2%、手術ウェア9.1%、海外市場1.2%となっている。
※ 2020年8月期から「感染対策商品」を新たに区分した。
「ヘルスケアウェア」とは主に看護師向け製品のことで、「ユーティリティウェア・他」にはユーティリティウェア(白衣などの上に着るエプロンやカーディガン等)やシューズなどが含まれる。各アイテムの利益率は大きくは変わらないが、仕入商品の割合が高い「ユーティリティウェア・他」の利益率は相対的に低い。また2020年8月期から新たにセグメント分けされた感染対策商品は、厚生労働省向けが中心であったことから、利益率は平均よりやや低くなっている。
また、2021年8月期より新たな区分として「市場別」を取り入れている。国内市場のうち、同社のシェアが比較的高い市場として「コア市場」(ヘルスケアウェア、ドクターウェア、ユーティリティウェア・他、感染対策商品)、今後の成長余地が高い市場として「周辺市場」(患者ウェア、手術ウェア)、そして「海外市場」の3つに区分した。2023年8月期第2四半期の売上高構成比は、コア市場が71.5%、周辺市場が27.3%、海外市場が1.2%であった。なお、新区分の設定に伴い、従来開示していた地域別売上高は非開示となった。
商品(機能)別売上高構成比(2023年8月期第2四半期)は、ハイエンド商品7.5%、高付加価値商品57.2%、付加価値商品31.4%、量販品3.9%、厚生労働省向け0.0%となっている。ナースウェアでおおよその価格帯分類をすると、量販品(5,000円以下)、付加価値商品(5,000〜7,500円)、高付加価値商品(7,500〜10,000円)、ハイエンド商品(10,000円以上)となっている。高価格なほど利益率は高い傾向にあり、ハイエンド商品、高付加価値商品の拡販に注力していく方針だ。
2. 販売ルートと生産状況
同社のエンドユーザーは看護師や医師などで、製品の購入者は主に病院等の医療施設や介護施設などとなっている。ただ、直接販売は行っておらず、これらの医療施設などと取引している業者を経由した販売が100%を占める。これによって販売経費を抑えているが、大病院などへは常に同社の営業社員がコンタクトを取り、顧客ニーズを汲み取っている。
以前は病院内で自ら医療白衣の洗濯を行うケースが多かったが、近年は洗濯のアウトソーシングの普及に伴って、リースに切り替わってきている。このリース期間は通常4年であることから、4年ごとにリースの切り換え需要が発生することが、同社の業績を安定的に支えていると言える。ただしリース更新のサイクルは必ずしも前回と同じ時期に発生するとは限らず、多少前後する(ずれ込む)場合もあるため、四半期ごとの売上高(前年同期比)には、ぶれが生じる場合もある。
生産体制については、2023年8月期第2四半期の実績(同社単独)で、製品の99.6%が自社及び協力工場(国内生産47.6%、海外生産52.0%)で生産され、仕入商品は0.4%となっている。海外生産はインドネシア、ベトナム、中国で行われているが、自社工場を持たずに現地のパートナー企業の工場で生産を行っており、投資リスク軽減とコスト削減を両立させている。
3. 特色と強み
同社は医療白衣の専業メーカーだが、その強みの1つは企画から原材料の調達、製造、販売まで一貫して行う体制が整っていることである。製品企画の面では、ユーザーのニーズを的確につかみ、これを製品に反映させている。具体的には働きやすい(動きやすい)、静電気が発生しにくい、制菌(細菌の増殖を抑える)などの機能面に加え、デザイン性にも優れた製品を提供することで、ユーザーから高い評価を得ている。同時に製造面においては、素材を共同開発する東レ<3402>をはじめとする大手合繊メーカーや繊維商社などと直接やり取りすることで、最適な素材を確保して安価に製造し、適正マージンを乗せて販売することが可能になっている。
また、多くの提携工場を持つことに加えて、資金力が豊富であることから常に数千種類に及ぶ製品アイテムの在庫をそろえており、オーダーメイドにも対応している。幅広いユーザーニーズに対して、希望する製品を指定された期日に即納する迅速な生産・販売体制(Quick Response体制、以下QR)が整っており、このことも顧客からの信頼を厚くしている。販売面においては、全国に1,000社近くの代理店網を有しており、販売力が強固でありながら、同社自身は販売経費を可能な限り抑えている。
その結果、医療白衣のコア市場では国内シェアは60%超となっており、医療白衣のリーディングカンパニーとしての確固たる地位を維持している。また、売上総利益率は44.4%(2022年8月期実績)と高水準を維持している。高い利益率と高い市場シェアを両立できているということは、多くの顧客が同社の製品・サービスに満足しているということであり、これこそが最大の強みと言える。
医療白衣というニッチ市場に経営資源を集約させることで、企画から生産・販売まで一貫した効率的な経営が可能となっている。また、ニッチ市場ではあるが、患者ウェアや手術ウェアなど、相対的に同社のシェアが低い周辺市場においてはまだ開拓の余地がある。同社では、「当分はこの医療白衣で事業を伸ばすことは可能であり、今後も積極的に周辺市場の開拓を行う」としている。
4. 企業としての方針(CSRの取り組み)
同社は2015年で創業100周年を迎えたが、この間に「人の和」「利益の創出」「社会への貢献」の3つを中心とした「ナガイズム」という企業精神を醸成させてきた。その後も、以下のような施策を実行してCSRに取り組んでいる。
【「いのちの力になりたい」を核にした主な取り組み】
(1) 女性活躍:女性主役産業をサポート
同社の製品の多くは病院や介護の現場で働く女性向けであり、また同社の生産現場では多くの女性スタッフが縫製作業に関わっている。同社の事業活動が、多様なライフイベントを持つ女性が活躍できる場を創出し、働く女性への支援につながっている。
(2) 顧客への貢献
a) 看護師向けの憩いの場「ITONA」ギャラリーの開設
2015年の創業100周年を記念して、主要なエンドユーザーである看護師への「ありがとう」の気持ちを形にするため、日本で初めての看護師のための心のコミュニケーションスペース「ITONA(いとな)」ギャラリーを開設した。
b) 看護師のためのビューティ講座
資生堂ジャパン(株)の協力を得て、医療現場の看護師にふさわしいメイクアップ・立ち居振る舞い等を学べる実践講座を開催している。2022年8月期からはオンライン化し、オンラインビューティ講座やビューティアドバイスムービーを公開している。また、当四半期は医療機関に入職する新人ナースの研修時に使用できるように、新人ナース向けに再編集したビューティムービーを医療機関に提供した。
c) 看護学生白衣のリメイク
岡山大学看護学生の実習衣をポシェット等にリメイクすることで、自身が入職後も医療現場にて使用できるようにしている。また、当四半期は富士市立看護専門学校の卒業生全員に、自らの実習衣をポシェットにアップサイクルして卒業記念品として学校からプレゼントした。
(3) 地域貢献
a) メディカルキッズプロジェクト
病院が地域社会との交流を深め、子供たちが安心して通院・入院できるようにとの考えから始められたもので、医師や看護師に模した子ども用白衣の病院貸出しや、キャラクター着ぐるみの病院訪問を実施している。
b) 歴史白衣の貸出し
白衣の変遷とともに、看護師の歴史を理解することを目的として、医療機関の催事等に無料貸し出しをしている。
c) 生産拠点を通じた地域貢献
国内では秋田県、海外では中国、インドネシア、ベトナムなどの地域で生産を行うことで雇用を創出、地域経済に貢献している。
d) 災害支援看護師用ユニフォームの提供
2022年8月期に開始した新たな取り組みとして、災害時に各地から現場に派遣される看護師が着用するユニフォームを(公社)日本看護協会へ提供したほか、各都道府県看護協会へ保管・備蓄用のユニフォームを提供した。
【社会的責任への取り組み】
(4) 環境
a) 事業を通じた環境負荷低減
同社製品の多くは枯渇性資源に由来する素材を使用しており、繰り返し・永く使用できる商品として企画・製造・販売することで、限りある資源の有効活用、環境負荷の低減につながると同社では考えている。具体的には、2005年にISO14001の認証を取得し、原材料の裁断くずを再利用したルーフ材加工などの取り組みを実施している。また、リユーザブル感染対策商品の開発や、病院の手術現場向けにリユース商品「コンペルパック」を開発・販売している。使い捨て材料が多く使われる手術現場に、繰り返し洗濯・減菌して使用できるウェアを提供することで、医療廃棄物の削減を実現している。このほかにも、営業車にハイブリッド車(HV)を導入、本社社屋に太陽光発電パネルを設置している。
b) 気候変動問題対応
TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に準じた気候変動開示として、気候変動問題に対する緩和と適応の取り組み、機会とリスクの洗い出し等、シナリオ分析に向けた策定プロセスの実施を予定している。
(5) 社会貢献
a) 感染対策商品を医療機関等に寄付等
新型コロナウイルス感染対策として、再利用可能なリユーザブルマスク(4万枚)、リユーザブル アイソレーションガウン(1万枚)を寄付した。また継続的に医療従事者への応援メッセージを発信しているほか、ナースのための詩集を定期発行し、病院や看護師に無料贈呈している。
b) 障害者雇用支援
障害者の積極的な雇用・促進に貢献した優良事業所として子会社のナガイ白衣工業(株)が選ばれ、厚生労働大臣から表彰を受けた(2016年9月)。
c) 災害時支援
SARSやインドネシア大地震、阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震、コロナ禍などの災害発生時に、日本看護協会や日本赤十字社を通じた寄付や白衣、マスクの提供、車椅子の寄贈などを実施している。
d) 「未来の授業」に掲載
SDGs(Sustainable Development Goals)の授業に使用される教材として全国の小中学校に配布される「未来の授業」に、同社の取り組みが紹介された。
e) その他支援
国連の食糧支援機関「国連WFP」を支援しているほか、「南三陸 復興桜植樹」をサポートしており、東日本大震災の津波到達地点に桜を植える活動「海の見える命の森」を、被災地である宮城県南三陸町の有志らと行っている。なお、代表取締役社長の澤登一郎(さわのぼりいちろう)氏が秋田県美郷町産業大使に就任している。このほか、(公財)日本チャリティ協会が普及活動を行っている障がい者支援「パラアート活動」のオフィシャルサポーターを務めている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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■事業概要
1. 売上構成
ナガイレーベン<7447>の製品は、医療白衣及びその関連製品である。アイテム別売上高構成比(2023年8月期第2四半期)は、ヘルスケアウェア54.4%、ドクターウェア14.1%、ユーティリティウェア・他3.0%、感染対策商品※0.0%、患者ウェア18.2%、手術ウェア9.1%、海外市場1.2%となっている。
※ 2020年8月期から「感染対策商品」を新たに区分した。
「ヘルスケアウェア」とは主に看護師向け製品のことで、「ユーティリティウェア・他」にはユーティリティウェア(白衣などの上に着るエプロンやカーディガン等)やシューズなどが含まれる。各アイテムの利益率は大きくは変わらないが、仕入商品の割合が高い「ユーティリティウェア・他」の利益率は相対的に低い。また2020年8月期から新たにセグメント分けされた感染対策商品は、厚生労働省向けが中心であったことから、利益率は平均よりやや低くなっている。
また、2021年8月期より新たな区分として「市場別」を取り入れている。国内市場のうち、同社のシェアが比較的高い市場として「コア市場」(ヘルスケアウェア、ドクターウェア、ユーティリティウェア・他、感染対策商品)、今後の成長余地が高い市場として「周辺市場」(患者ウェア、手術ウェア)、そして「海外市場」の3つに区分した。2023年8月期第2四半期の売上高構成比は、コア市場が71.5%、周辺市場が27.3%、海外市場が1.2%であった。なお、新区分の設定に伴い、従来開示していた地域別売上高は非開示となった。
商品(機能)別売上高構成比(2023年8月期第2四半期)は、ハイエンド商品7.5%、高付加価値商品57.2%、付加価値商品31.4%、量販品3.9%、厚生労働省向け0.0%となっている。ナースウェアでおおよその価格帯分類をすると、量販品(5,000円以下)、付加価値商品(5,000〜7,500円)、高付加価値商品(7,500〜10,000円)、ハイエンド商品(10,000円以上)となっている。高価格なほど利益率は高い傾向にあり、ハイエンド商品、高付加価値商品の拡販に注力していく方針だ。
2. 販売ルートと生産状況
同社のエンドユーザーは看護師や医師などで、製品の購入者は主に病院等の医療施設や介護施設などとなっている。ただ、直接販売は行っておらず、これらの医療施設などと取引している業者を経由した販売が100%を占める。これによって販売経費を抑えているが、大病院などへは常に同社の営業社員がコンタクトを取り、顧客ニーズを汲み取っている。
以前は病院内で自ら医療白衣の洗濯を行うケースが多かったが、近年は洗濯のアウトソーシングの普及に伴って、リースに切り替わってきている。このリース期間は通常4年であることから、4年ごとにリースの切り換え需要が発生することが、同社の業績を安定的に支えていると言える。ただしリース更新のサイクルは必ずしも前回と同じ時期に発生するとは限らず、多少前後する(ずれ込む)場合もあるため、四半期ごとの売上高(前年同期比)には、ぶれが生じる場合もある。
生産体制については、2023年8月期第2四半期の実績(同社単独)で、製品の99.6%が自社及び協力工場(国内生産47.6%、海外生産52.0%)で生産され、仕入商品は0.4%となっている。海外生産はインドネシア、ベトナム、中国で行われているが、自社工場を持たずに現地のパートナー企業の工場で生産を行っており、投資リスク軽減とコスト削減を両立させている。
3. 特色と強み
同社は医療白衣の専業メーカーだが、その強みの1つは企画から原材料の調達、製造、販売まで一貫して行う体制が整っていることである。製品企画の面では、ユーザーのニーズを的確につかみ、これを製品に反映させている。具体的には働きやすい(動きやすい)、静電気が発生しにくい、制菌(細菌の増殖を抑える)などの機能面に加え、デザイン性にも優れた製品を提供することで、ユーザーから高い評価を得ている。同時に製造面においては、素材を共同開発する東レ<3402>をはじめとする大手合繊メーカーや繊維商社などと直接やり取りすることで、最適な素材を確保して安価に製造し、適正マージンを乗せて販売することが可能になっている。
また、多くの提携工場を持つことに加えて、資金力が豊富であることから常に数千種類に及ぶ製品アイテムの在庫をそろえており、オーダーメイドにも対応している。幅広いユーザーニーズに対して、希望する製品を指定された期日に即納する迅速な生産・販売体制(Quick Response体制、以下QR)が整っており、このことも顧客からの信頼を厚くしている。販売面においては、全国に1,000社近くの代理店網を有しており、販売力が強固でありながら、同社自身は販売経費を可能な限り抑えている。
その結果、医療白衣のコア市場では国内シェアは60%超となっており、医療白衣のリーディングカンパニーとしての確固たる地位を維持している。また、売上総利益率は44.4%(2022年8月期実績)と高水準を維持している。高い利益率と高い市場シェアを両立できているということは、多くの顧客が同社の製品・サービスに満足しているということであり、これこそが最大の強みと言える。
医療白衣というニッチ市場に経営資源を集約させることで、企画から生産・販売まで一貫した効率的な経営が可能となっている。また、ニッチ市場ではあるが、患者ウェアや手術ウェアなど、相対的に同社のシェアが低い周辺市場においてはまだ開拓の余地がある。同社では、「当分はこの医療白衣で事業を伸ばすことは可能であり、今後も積極的に周辺市場の開拓を行う」としている。
4. 企業としての方針(CSRの取り組み)
同社は2015年で創業100周年を迎えたが、この間に「人の和」「利益の創出」「社会への貢献」の3つを中心とした「ナガイズム」という企業精神を醸成させてきた。その後も、以下のような施策を実行してCSRに取り組んでいる。
【「いのちの力になりたい」を核にした主な取り組み】
(1) 女性活躍:女性主役産業をサポート
同社の製品の多くは病院や介護の現場で働く女性向けであり、また同社の生産現場では多くの女性スタッフが縫製作業に関わっている。同社の事業活動が、多様なライフイベントを持つ女性が活躍できる場を創出し、働く女性への支援につながっている。
(2) 顧客への貢献
a) 看護師向けの憩いの場「ITONA」ギャラリーの開設
2015年の創業100周年を記念して、主要なエンドユーザーである看護師への「ありがとう」の気持ちを形にするため、日本で初めての看護師のための心のコミュニケーションスペース「ITONA(いとな)」ギャラリーを開設した。
b) 看護師のためのビューティ講座
資生堂ジャパン(株)の協力を得て、医療現場の看護師にふさわしいメイクアップ・立ち居振る舞い等を学べる実践講座を開催している。2022年8月期からはオンライン化し、オンラインビューティ講座やビューティアドバイスムービーを公開している。また、当四半期は医療機関に入職する新人ナースの研修時に使用できるように、新人ナース向けに再編集したビューティムービーを医療機関に提供した。
c) 看護学生白衣のリメイク
岡山大学看護学生の実習衣をポシェット等にリメイクすることで、自身が入職後も医療現場にて使用できるようにしている。また、当四半期は富士市立看護専門学校の卒業生全員に、自らの実習衣をポシェットにアップサイクルして卒業記念品として学校からプレゼントした。
(3) 地域貢献
a) メディカルキッズプロジェクト
病院が地域社会との交流を深め、子供たちが安心して通院・入院できるようにとの考えから始められたもので、医師や看護師に模した子ども用白衣の病院貸出しや、キャラクター着ぐるみの病院訪問を実施している。
b) 歴史白衣の貸出し
白衣の変遷とともに、看護師の歴史を理解することを目的として、医療機関の催事等に無料貸し出しをしている。
c) 生産拠点を通じた地域貢献
国内では秋田県、海外では中国、インドネシア、ベトナムなどの地域で生産を行うことで雇用を創出、地域経済に貢献している。
d) 災害支援看護師用ユニフォームの提供
2022年8月期に開始した新たな取り組みとして、災害時に各地から現場に派遣される看護師が着用するユニフォームを(公社)日本看護協会へ提供したほか、各都道府県看護協会へ保管・備蓄用のユニフォームを提供した。
【社会的責任への取り組み】
(4) 環境
a) 事業を通じた環境負荷低減
同社製品の多くは枯渇性資源に由来する素材を使用しており、繰り返し・永く使用できる商品として企画・製造・販売することで、限りある資源の有効活用、環境負荷の低減につながると同社では考えている。具体的には、2005年にISO14001の認証を取得し、原材料の裁断くずを再利用したルーフ材加工などの取り組みを実施している。また、リユーザブル感染対策商品の開発や、病院の手術現場向けにリユース商品「コンペルパック」を開発・販売している。使い捨て材料が多く使われる手術現場に、繰り返し洗濯・減菌して使用できるウェアを提供することで、医療廃棄物の削減を実現している。このほかにも、営業車にハイブリッド車(HV)を導入、本社社屋に太陽光発電パネルを設置している。
b) 気候変動問題対応
TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に準じた気候変動開示として、気候変動問題に対する緩和と適応の取り組み、機会とリスクの洗い出し等、シナリオ分析に向けた策定プロセスの実施を予定している。
(5) 社会貢献
a) 感染対策商品を医療機関等に寄付等
新型コロナウイルス感染対策として、再利用可能なリユーザブルマスク(4万枚)、リユーザブル アイソレーションガウン(1万枚)を寄付した。また継続的に医療従事者への応援メッセージを発信しているほか、ナースのための詩集を定期発行し、病院や看護師に無料贈呈している。
b) 障害者雇用支援
障害者の積極的な雇用・促進に貢献した優良事業所として子会社のナガイ白衣工業(株)が選ばれ、厚生労働大臣から表彰を受けた(2016年9月)。
c) 災害時支援
SARSやインドネシア大地震、阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震、コロナ禍などの災害発生時に、日本看護協会や日本赤十字社を通じた寄付や白衣、マスクの提供、車椅子の寄贈などを実施している。
d) 「未来の授業」に掲載
SDGs(Sustainable Development Goals)の授業に使用される教材として全国の小中学校に配布される「未来の授業」に、同社の取り組みが紹介された。
e) その他支援
国連の食糧支援機関「国連WFP」を支援しているほか、「南三陸 復興桜植樹」をサポートしており、東日本大震災の津波到達地点に桜を植える活動「海の見える命の森」を、被災地である宮城県南三陸町の有志らと行っている。なお、代表取締役社長の澤登一郎(さわのぼりいちろう)氏が秋田県美郷町産業大使に就任している。このほか、(公財)日本チャリティ協会が普及活動を行っている障がい者支援「パラアート活動」のオフィシャルサポーターを務めている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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